この章では、Oracle Big Data Applianceの機能およびハードウェア・コンポーネントについて説明します。ここには使用方法の情報も含まれます。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle Big Data Applianceは、ソーシャル・メディア・フィード、電子メール、Webログ、写真、スマート・メーター、センサーなどのデバイスによって生成された大量の非構造化データを取得して分析する目的で最適化されたハードウェアおよびソフトウェアのエンジニアド・システムです。
Oracle Big Data Applianceは、Oracle Exadata Database MachineおよびOracle Exalytics In-Memory Machineと連携し、エンタープライズ規模のパフォーマンス、可用性、保守性およびセキュリティを実現しながらすべてのデータ・タイプを最先端の方法で分析するようにエンジニアリングされています。
Oracle Linuxオペレーティング・システムおよびCloudera's Distribution including Apache Hadoop (CDH)が、Oracle Big Data Applianceにインストールされている他のすべてのソフトウェア・コンポーネントの基盤となっています。
関連項目: 『Oracle Big Data Applianceソフトウェア・ユーザーズ・ガイド』 |
Oracle Big Data Applianceは、1つのラックとネットワークに接続するための複数のコンポーネントで構成されます。表1-1に、Oracle Big Data Applianceラックのコンポーネントを示します。
表1-1 Oracle Big Data Applianceラック・コンポーネント
フルラック | スタータ・ラック | 説明 |
---|---|---|
18 |
6 |
Oracle Server X5-2L、Sun Server X4-2L、Sun Server X3-2LまたはSun Fire X4270 M2 (フル・ラックのみ) |
1 |
1 |
Sun Rack II 1242ベース |
2 |
2 |
Sun Network QDR InfiniBand Gateway NM2-GWスイッチ |
1 |
1 |
Sun Datacenter InfiniBand Switch 36 NM2-36Pスイッチ |
1 |
1 |
Cisco Catalyst 4948-E-F Ethernetスイッチ(Sun Fire X4270 M2ベースのラックでは4948) |
2 |
2 |
配電ユニット |
0または1 |
0 |
KVM (Sun Fire X4270 M2ベース・ラックのみ) |
表1-2に、Oracle Server X5-2Lのコンポーネントを示します。
表1-2 Oracle Server X5-2Lサーバー・コンポーネント
数量 | 説明 |
---|---|
1 |
Oracle Server X5-2Lサーバー・ベース |
2 |
18コアIntel Xeon E5-2699 v3プロセッサ(2.3GHz) |
8 |
16GBのDDR4メモリー |
12 |
8TB 3.5インチ7200RPMドライブ高容量SAS (ホット・スワップ可能) |
1 |
Oracle Integrated Lights Out Manager v3.1 (リモート管理用のイーサネット・ポート付属) |
2 |
4X QDR (40Gbps)インフィニバンド・ポート(デュアル・ポートPCIe 3.0ホスト・チャネル・アダプタ・ネットワーク・インタフェース・カード1つ) |
4 |
組込みの10ギガビット・イーサネット・ポート |
1 |
8つの内部ポートおよび512MBのバッテリ・バックアップ付き書込みキャッシュを搭載したホスト・バス・アダプタ(ディスク・コントローラ)。12 Gbps SAS III PCIe 8P RAID-INT |
2 |
ホット・スワップ可能な冗長電源およびファン |
1 |
USB-2 4GBフラッシュ・ドライブ |
表1-3に、Sun Server X4-2Lのコンポーネントを示します。
表1-3 Sun Server X4-2Lサーバー・コンポーネント
数量 | 説明 |
---|---|
1 |
Sun Server X4-2Lサーバー・ベース |
2 |
8コアIntel Xeon E5-2650 v2プロセッサ(2.6GHz) |
8 |
8GB DDR3 2RX4 1600 MHz DIMM (64GB RAM、最大512GBまで拡張可能) |
12 |
8TB 3.5インチ7200RPMドライブ高容量SAS (ホット・スワップ可能) |
1 |
Oracle Integrated Lights Out Manager v3.1 (リモート管理用のイーサネット・ポート付属) |
2 |
4X QDR (40Gbps)インフィニバンド・ポート(デュアル・ポートPCIe 3.0ホスト・チャネル・アダプタ・ネットワーク・インタフェース・カード1つ) |
4 |
組込みの10ギガビット・イーサネット・ポート |
1 |
8つの内部ポートおよび512MBのバッテリ・バックアップ付き書込みキャッシュを搭載したホスト・バス・アダプタ(ディスク・コントローラ)。SAS III 6Gbps |
2 |
ホット・スワップ可能な冗長電源およびファン |
1 |
USB-2 4GBフラッシュ・ドライブ |
表1-4に、Sun Server X3-2Lのコンポーネントを示します。
表1-4 Sun Server X3-2Lサーバー・コンポーネント
数量 | 説明 |
---|---|
1 |
Sun Server X3-2Lサーバー・ベース |
2 |
8コアIntel Xeon E5-2660プロセッサ(2.2GHz) |
8 |
8GB DDR3 2RX4 1600 MHz DIMM (64GB RAM、最大512GBまで拡張可能) |
12 |
3TB 3.5インチ7200RPMドライブ高容量SAS (ホット・スワップ) |
1 |
Oracle Integrated Lights Out Manager v3.1 (リモート管理用のイーサネット・ポート付属) |
2 |
4X QDR (4 Gbps)インフィニバンド・ポート(デュアル・ポートPCIe 2.0ホスト・チャネル・アダプタ・ネットワーク・インタフェース・カード1つ) |
4 |
組込みの10ギガビット・イーサネット・ポート |
1 |
8つの内部ポートおよび512MBのバッテリ・バックアップ付き書込みキャッシュを搭載したホスト・バス・アダプタ(ディスク・コントローラ)。SAS III 6 GBPS |
2 |
ホット・スワップ可能な冗長電源およびファン |
1 |
USB-2 4GBフラッシュ・ドライブ |
表1-5に、Sun Fire X4270 M2のコンポーネントを示します。
表1-5 Sun Fire X4270 M2サーバー・コンポーネント
数量 | 説明 |
---|---|
1 |
Sun Fire X4270 M2サーバー・ベース |
2 |
6コアIntel Xeon X5675プロセッサ(3.06GHz) |
6 |
8GB DDR3 2RX4 1333MHz DIMM (48GB RAM) |
12 |
3TB 3.5インチ7200RPMドライブ |
1 |
Oracle Integrated Lights Out Manager v3.0のイーサネット・ポート(リモート管理用) |
1 |
デュアル・ポート4X QDR (40Gbps)インフィニバンド・ホスト・チャネル・アダプタ・ネットワーク・インタフェース・カード |
1 |
8つの内部ポートおよび512MBのバッテリ・バックアップ付き書込みキャッシュを搭載したホスト・バス・アダプタ(ディスク・コントローラ)。 |
2 |
冗長電源およびファン |
4 |
組込みの1ギガビット・イーサネット・ポート |
1 |
USB-2 4GBフラッシュ・ドライブ |
Oracle Big Data Appliance予備部品キットには、ディスク・ドライブ、アクセサリ・キット、ケーブルおよびドキュメントが含まれます。表1-6および表1-7に、同梱の予備品を示します。
表1-6 同梱のコンポーネントおよびアクセサリ
部品番号 | 数量 | 説明 |
---|---|---|
7066826 |
2 |
|
590-896-501B |
1 |
LCDアクセサリ・キット(Sun Fire X4270 M2ベース・ラックのみ) |
1 |
Oracleストレージ・サーバーのドキュメント・キット |
|
1 |
Sun Rack IIアクセサリ・キット |
|
53-2332-xx |
1 |
部品番号 | 長さ | 数量 | 説明 |
---|---|---|---|
530-4446-01 |
5m |
10 |
QSFPパッシブ銅線ケーブル(マルチラック用) |
530-4445-01 |
3m |
6 |
QSFPパッシブ銅線ケーブル(マルチラック用) |
350-1519-01 |
-- |
3 |
ASSY、NM2シリアル・ケーブル・セット(インフィニバンド・スイッチ用) |
表1-8に、Oracle Big Data Applianceラックの中央部に固定されている予備ケーブルを示します。
ソフトウェア・コンポーネントは、Oracle Big Data Applianceラックのすべてのサーバーにインストールされています。Oracle Linux、必要なドライバ、ファームウェアおよびハードウェア検証ユーティリティは、工場出荷時にインストール済です。次のツールが含まれます。
Oracle Integrated Lights Out Manager (Oracle ILOM)は、Oracle Big Data Applianceラックのサーバーとスイッチを管理および監視するために使用できる、事前インストールされた専用のハードウェアおよびソフトウェアで構成されます。第15章を参照してください。
setup-root-ssh
ユーティリティは、Oracle Big Data Applianceラックのすべてのサーバーでroot
ユーザーに対してパスワードなしSSHを設定します。「パスワードなしSSHの設定」を参照してください。
dcli
ユーティリティは、Oracle Big Data Appliance上のサーバー・グループ全体でコマンドを実行して出力を返します。第14章を参照してください。
様々なユーティリティによって、クラスタおよびネットワークの健全性がチェックされます。第13章を参照してください。
エンド・ユーザー・ソフトウェアは、すべてMammothユーティリティを使用してサイトにインストールします。第10章を参照してください。
Oracle Big Data Applianceのハードウェアやソフトウェアを変更する場合、次の制限事項が適用されます。これらの制限事項に違反すると、保証やサポートの対象外となることがあります。
Oracle Big Data Applianceのハードウェアは、変更またはカスタマイズできませんが、次の2つの例外があります。
48ポートのCisco 4948管理イーサネット・スイッチを交換できます。ユーザーは次のことを実行できます。
ギガビット・イーサネット・スイッチを、内部データ・センター・ネットワーク標準に準拠する同等の1U 48ポート・ギガビット・イーサネット・スイッチに交換できます。この交換は、Oracle Big Data Applianceの納品後に、ユーザーが独自の費用と労力を使用して実行する必要があります。ユーザーがこの変更を選択する場合、オラクル社は、多くの関連シナリオが考えられるこの変更を行うことや支援することはできず、これは標準インストールの一部には含まれません。ユーザーは、交換ハードウェアを用意し、他の方法によってこの変更を行うか、手配する必要があります。
イーサネット・スイッチに接続されたカテゴリ5ケーブルを取り外し、外部スイッチまたはパッチ・パネルを通じてカスタマ・ネットワークに接続できます。ユーザーは、これらの変更を独自の費用と労力を使用して実行する必要があります。この場合、ラックのCisco 4948イーサネット・スイッチはオフにして、データ・センター・ネットワークから切断できます。
KVMのないラックでは、ラックのスロット41と42に、10GbE (または40GbE)および1GbEの両方をサポートする、Sun Network 10GbE Switch 72pなどのTop of Rack (TOR)スイッチをインストールします。これらのスロットは、工場出荷時の構成では空です。ユーザーは、このインストールを独自の費用と労力を使用して実行する必要があります。標準インストールには含まれていません。
この変更は、Sun Fire X4270 M2ベース・ラックでは空のスロットがないため、許可されません。
ユーザーは、Oracle Big Data Applianceサーバーのファームウェアを直接更新することはできません。Oracle Big Data Applianceパッチによって、サーバーILOM/BIOS、インフィニバンド・ホスト・チャネル・アダプタ(HCA)、ディスク・コントローラ・ホスト・バス・アダプタ(HBA)およびハード・ドライブ(HDD)のファームウェアは更新されます。
例外は、障害が発生したサーバー・コンポーネント(ディスク・ドライブなど)を、障害が発生したコンポーネントより前のバージョンのファームウェアがインストールされたものに交換する場合のみです。アップグレードは、bdaupdatefw
ユーティリティを使用して実行する必要があります。
ユーザーは、Oracle Big Data Applianceの他のコンポーネントのファームウェアを更新できます。
ユーザーは、データ・センター要件を満たすようにCisco 4948イーサネット・スイッチのIOSおよびファームウェア・バージョンを更新できます。
インフィニバンド・スイッチのファームウェアは、その更新版がMy Oracle Support ID 1528190.1に記載されている検証済バージョンに準拠する場合に更新できます。
インフィニバンド関連のパッケージは、必ず正式にサポートされているリリースで維持する必要があります。
配電ユニット(PDU)のファームウェアは、その更新版がMy Oracle Support ID 1528190.1に記載されている検証済バージョンに準拠する場合に更新できます。
ユーザーは、必要に応じてKVMスイッチのファームウェアおよびKMM (キーボード、モニター、マウス)を更新できます(Sun Fire X4270 M2ベース・ラックのみ)。
ユーザーは、公式のOracle Linuxソースから取得したOracle Linuxパッチを適用できます。
ユーザーは、Oracle Big Data Applianceサーバーに追加のソフトウェアをインストールできます。オラクル社では、標準以外のモジュールに関する質問や問題には対応していません。サーバーに障害が発生し、オラクル社でその障害の原因が標準以外のモジュールに存在する可能性があると判断した場合、Oracleサポートでは、ユーザーを標準以外のモジュールのベンダーに任せる場合や、その問題が標準以外のモジュールなしで再現されるかどうかを尋ねる場合があります。
サード・パーティ・ソフトウェアは、次の制限事項に準拠する必要があります。
ソフトウェアはOracle Big Data Appliance上で実行される64ビット・バージョンのOracle Linuxをサポートしている必要があります。
ソフトウェアは、クラスタにインストールされたApache Hadoop (CDH)やOracle NoSQL DatabaseなどのCloudera's Distributionの使用と関連付けられている必要があります。また、監視ソフトウェアなどの情報技術(IT)またはデータ・センター要件と関連付られている必要があります。
ソフトウェアは、Oracle Big Data Applianceにすでにインストールされているソフトウェア・コンポーネントを上書き、更新、置換または無効化しないようにする必要があります。新しいソフトウェアがインストールされた各サーバーでbdachecksw
を実行し、元のソフトウェア・コンポーネントが有効であることを確認してください。bdacheckswを参照してください。
ソフトウェアは、オペレーティング・システム、CDHクラスタまたはOracle NoSQL Databaseの動作に影響を与える程度までCPU、ディスクまたはメモリー・リソースを消費しないようにする必要があります。
ユーザーは、Mammothユーティリティによってインストールされたソフトウェアに加えて、ユーザーがOracle Big Data Applianceにインストールするすべてのソフトウェアをサポートする責任を負います。
Oracle NoSQL DatabaseをOracle Big Data Appliance上にインストールおよび構成するには、次の方法を使用します。
Mammothインストール
Mammothユーティリティは、オプションでCommunity EditionまたはEnterprise Edition、いずれかのOracle NoSQL Databaseを、3つ以上のサーバーから構成されるクラスタ上にインストールおよび構成できます。このタイプのインストールは通常、オラクル社顧客サービスの担当者が実行します。第4章を参照してください。
Oracle NoSQL Databaseは、CDHと同じクラスタで実行できません。Oracle NoSQL DatabaseおよびCDHの両方をサポート可能な最少のラック構成は、12サーバー(6つの追加サーバーが搭載されたスタータ・ラック)です。これは、3つのOracle NoSQL Databaseサーバーおよび6つのCDHサーバー(必要に応じ残り3つのサーバーを割当て可能)に最低限必要なサーバーを提供します。スタータ・ラックは、Oracle NoSQL DatabaseまたはCDHのいずれかをサポートできますが、両方はサポートしません。
ユーザーは、Community EditionのサポートはOracle Storeで受けることができ、またEnterprise Editionのサポートは製品サポートの永続的ライセンスにより受けることができます。Oracle NoSQL Databaseのサポートは、Oracle Big Data Applianceに含まれていません。
カスタム・インストール
Oracle NoSQL DatabaseおよびCDHの両方をスタータ・ラックにインストールし、Oracle Big Data Appliance顧客サポートまたはCDHクラスタを保持するには、次のようにします。
Oracle Big Data Applianceは、この構成のOracle NoSQL Databaseをサポートしていません。かわりに、Community EditionのサポートはOracle Storeで、またEnterprise Editionのサポートは製品サポートの永続的ライセンスにより受けることができます。
注意: この構成はお薦めしません。CDHおよびOracle NoSQL Databaseを別々のサーバーにインストールすると、両方の製品で最高のパフォーマンスおよびレイテンシを得られます。 |
次のようにして、カスタムでスタータ・ラックにインストールします。
Mammothユーティリティを使用して、CDHを6つのサーバーすべてにインストールおよび構成します。この標準インストールはオラクル社顧客サービス担当者が実行します。ユーザーは残りの手順を実行して、Oracle NoSQL Databaseをインストールおよび構成する必要があります。
手動でOracle NoSQL Databaseをノード4、5および6にインストールします。
ノード4、5および6を再構成すると、CDHおよびOracle NoSQL Databaseの両方が十分なCPUおよびメモリー・リソースで適切に実行できます。
HDFSからディスクを削除し、Oracle NoSQL Databaseに再び割り当てないようにしてください。非サポートのCDH構成が生じる場合があります。
ユーザーは、Cloudera Managerを使用してサービスを停止および開始できますが、あるサーバーから別のサーバーにサービスを移動することはできません。NameNodeやJobTrackerなどのHadoopサービスは、Mammothユーティリティによってそれらがインストールされたサーバー上に常駐する必要があります。
関連項目: サービスの場所の詳細は、『Oracle Big Data Applianceソフトウェア・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。 |
ユーザーは、このガイドに記載されている場合を除き、Oracle Big Data ApplianceサーバーにUSBデバイスを接続することはできません。そのように記載されている場合でも、USBデバイスを100mAを超える電源につなぐことはできません。
サーバーのネットワーク・ポートを使用して、Internet Small Computer System Interface (iSCSI)またはNetwork File System (NFS)プロトコルを通じてSunサーバー以外の外部サーバーに接続できます。ただし、Fibre Channel over Ethernet (FCoE)プロトコルはサポートされません。
インフィニバンド・ネットワークには、Oracle Big Data Appliance、Oracle Exadata Database MachineおよびOracle Exalogic Elastic Cloud Machineでの使用を目的として指定されたスイッチのみを接続できます。これらのエンジニアド・システムで使用されないサードパーティ・スイッチや他のスイッチとの接続は、サポートされません。