Oracle® Mobile Application Framework Oracle Mobile Application Frameworkでのモバイル・アプリケーションの開発 2.1.2.0.0 E64869-01 |
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この章では、MAFアプリケーションでデータの同期化とキャッシュを有効にする方法を説明します。
この章の内容は次のとおりです。
データの同期化は、モバイル・アプリケーションのユーザーに優れたユーザー操作性を提供するための重要な要素です。ユーザーは、モバイル・アプリケーションがいつでも使用でき、機能することを期待します。実際には、モバイル・アプリケーションの接続の信頼性が低いことはよく知られており、ネットワーク接続を使用できなかったり、接続の確立時につながったり切れたりを繰り返し、最終的に切断されることがあります。モバイル・アプリケーションで最適なユーザー操作性を実現するため、MAFには、オフライン時でも継続して機能するアプリケーションを開発できる同期APIが用意されているので、モバイル・アプリケーションでの最適なユーザー操作性が保証されます。ネットワーク接続が使用できない場合、アプリケーションではローカルに格納されているキャッシュ・データにアクセスして、シームレスなユーザー操作を確保します。
MAFに含まれる同期クライアントは、デバイスのMAFアプリケーション内に存在します。同期クライアントは、データをキャッシングおよび同期するときに特定のポリシーを採用して、リソースごとに定義された特定のポリシーを観察することで異なるリソースをキャッシュできるようにします。同期クライアントは、デフォルトのsync-config.xml
ファイルで設定されたポリシーを使用してデータをローカルにキャッシュします。
sync-config.xml
ファイルにより、モバイル・アプリケーションが、様々なタイプのWebサービス(SOAP、REST-XML、JSONペイロードによるREST)を介してアクセスされるサーバー側リソースから取得されたデータをSQLite埋込みデータベースにキャッシュできるようになるだけでなく、キャッシュ内のこのデータおよびサーバー側リソースも更新できるようになります。
キャッシュ機能は、アプリケーション・コード内に実装しなくても、sync-config.xml
ファイル内のプロパティを編集することで構成可能です。アプリケーションを作成すると、デフォルト・バージョンのsync-config.xml
ファイルが格納されます(図25-1を参照)。sync-config.xml
ファイルには「アプリケーション・リソース」ペインのADF-META-INFノードからアクセスでき、このファイルを変更するには、JDeveloperのソース・エディタを使用します。MAFランタイムは、デプロイ後にこのファイルを読み取ります。
注意: これはアプリケーション全体のリソースですが、sync-config.xml ファイルを機能アーカイブ(FAR)ファイルに含めることができます。FARをMAFアプリケーションに追加する場合は、FARのsync-config.xml ファイルがアプリケーションのsync-config.xml とマージされます。詳細は、第25.1.4項「FARを使用したsync-config.xmlファイルの更新に関する必知事項」を参照してください。 |
次の例は、デフォルトのsync-config.xml
ファイルを示しています。このファイル内のプロパティを使用すると、次のものに対するキャッシュ・ポリシーを構成できます。
ほとんど変更されない静的リスト
頻繁に変更される大規模なコレクション(リスト全体をリフレッシュせずにデルタをフェッチします)
高度に動的なデータ(結果の文脈依存性が高いため、キャッシュを使用せずにリフレッシュする必要があります)
1対1および1対nのカーディナリティを持つ、個々のリソースおよびその直接の子のキャッシュ
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <Settings xmlns="http://xmlns.oracle.com/sync/config"> <BaseUri>http://127.0.0.1</BaseUri> <AppId/> <LazyPersistence/> <RefreshPolicy/> <DbStorageFolderPath/> <FileStorageFolderPath/> <Policies> <DefaultPolicy> <FetchPolicy>FETCH_FROM_SERVICE</FetchPolicy> <UpdatePolicy>UPDATE_IF_ONLINE</UpdatePolicy> <ExpirationPolicy>NEVER_EXPIRE</ExpirationPolicy> <EvictionPolicy>MANUAL_EVICTION</EvictionPolicy> </DefaultPolicy> </Policies> </Settings>
同期クライアントは、データをキャッシングおよび同期するときに特定のポリシーを採用して、リソースごとに定義された特定のポリシーを観察することで異なるリソースをキャッシュできるようにします。データ同期を有効にするには、maf.properties
ファイルで次の行のコメントを外します。
# Sync functionality is disabled by default. Uncomment the line below to enable it. #java.commandline.argument=-DsyncEnabled=true
注意: 同期を有効にしてアプリケーションをデプロイした後、実行時にオフにする方法はありません。 |
データ・ストレージ・ポリシー設定の構成の詳細は、第25.1.1項「sync-config.xmlファイルを使用したデータ・キャッシュの実装」を参照してください。
sync-config.xml
のBaseUri
要素およびServerGroup
要素のbaseUri
属性は、connections.xml
で定義されたエンド・ポイントを参照できます。この機能を利用するには、次のように、URL以外の有効な接続参照を指すように値を置換します。
baseUri="<connection_reference_name_in_connections_xml>
注意: sync-config.xml 内のURLは、connections.xml で指定されたURLと完全に同一のURLを指すエンド・ポイントでのみ置換してください。マイグレータは、connections.xml にエンド・ポイントを自動的に作成し、アプリケーションの移行時にこれらを使用するようにsync-config.xml を更新します。その後、sync-config.xml 内の接続エンド・ポイントに対する変更は手動で行う必要があります。 |
エンド・ポイントが接続オーバーライドを使用して実行時に変更された場合、同期ポリシーは新規URLに対しても同じになります。詳細は、第16章「MAFアプリケーションで使用されるエンド・ポイントの構成」を参照してください。
ビュー・コントローラ・プロジェクトがFARとしてデプロイされると、sync-config.xml
ファイルは機能アーカイブ・ファイルに含まれます。connections.xml
ファイルと同様に、FARをアプリケーションに追加すると、MAFではFAR (jar-sync-config.xml
)内のsync-config.xml
ファイルの内容と、使用するアプリケーションのsync-config.xml
ファイルの内容をマージします。sync-config.xml
ファイルは、モバイル・アプリケーションによって使用されるWebサービスのエンドポイントを記述するため、モバイル・アプリケーションを構成するアプリケーション機能によって使用されるすべてのWebサービスのエンドポイントを、FARを追加することで更新できます(第8.4項「FARのビュー・コントローラ・プロジェクトとしての追加時に行われる処理」を参照)。
FARをアプリケーションに追加すると、MAFでは、アプリケーションのsync-config.xml
ファイルおよびconnections.xml
ファイルを確認し、必要に応じて変更するように求めるメッセージがログに記録されます。図25-2に示すように、これらのメッセージは、使用するアプリケーションのsync-config.xml
ファイルの状態を反映します。
使用するアプリケーションにsync-config.xml
ファイルがない場合、MAFではこのファイルをアプリケーションに追加し、次のようなメッセージを書き込みます。
oracle.adfmf.framework.dt.deploy.features.deployers.SyncConfigMerger _logNoSyncConfigInAppUsingFar WARNING: The application does not contain a synchronization file, "sync-config.xml". Creating one containing the synchronization configuration in the Feaure Archive.
sync-config.xml
ファイルの<ServerGroup>
要素に、使用するアプリケーションのconnections.xml
ファイルで定義された対応する<Reference>
要素がない場合、MAFでは接続の確認(または作成)をリクエストする次のようなログ・メッセージを書き込みます。
oracle.adfmf.framework.dt.deploy.features.deployers.SyncConfigMerger _logAddedServerGroups WARNING: The following server groups were added sync-config.xml by the Add to Application operation: { ServerGroup1 - there is no existing application connection defined for this server group. Please create the connection. ServerGroup2 - verify its configuration. }
使用するアプリケーションのsync-config.xml
ファイルの<ServerGroup>
定義が、FAR内の対応するsync-config.xml
ファイルの定義を複製する場合、MAFでは次のSEVERE
レベルのメッセージをログに書き込みます。
oracle.adfmf.framework.dt.deploy.features.deployers.SyncConfigMerger _logDuplicateServerGroups SEVERE: Cannot merge the server groups from the Feature Archive because the following definitions already exist: ServerGroup1 ServerGroup2