Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer管理者ガイド 11gリリース1 (11.1.1) E51906-01 |
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この章では、マルチディメンション・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムの管理について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Discovererエンド・ユーザーがマルチディメンション・データ・ソースにアクセスする前に、次の作業を実行する必要があります。
Oracle9i Enterprise EditionまたはOracle Database 10gのデータベースをOLAPオプションを使用してインストールし、適切なデータベース・パッチをインストールします。
詳細は、使用しているプラットフォーム用のOracle9iまたはOracle Databaseのインストレーション・ガイド、およびDiscovererのインストール時に使用したガイドを参照してください。
OLAPカタログのデータへのアクセス権を付与します。OLAPカタログでは、論理マルチディメンション・オブジェクトを定義します。OLAPカタログは、リレーショナル・データベース・スキーマまたはアナリティック・ワークスペースのいずれかにマップされます。
アナリティック・ワークスペースには、OLAP DMLで記述されたマルチディメンション・データ・オブジェクトおよびプロシージャが格納されます。OLAP DMLは、Oracle OLAP計算エンジンで使用されるデータ操作言語です。OLAP DMLによってクエリー言語(SQLなど)の分析機能およびOLAP APIが拡張されるため、予測、モデリングおよびwhat-ifシナリオも処理対象になります。
詳細は、『Oracle9i OLAPユーザーズ・ガイド』または『Oracle OLAPアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
オンライン分析処理(OLAP)は、マルチディメンション・データ・ソースに対して実行するクエリーを示します。たとえば、「注文84305はいつ出荷されたか」は単純なクエリーの例です。また、「南西地区の今四半期の売上を、1年前の売上とどのように比較するか、次の四半期の売上予測はどうなるか、売上予測を改善するために変更できる要因は何か」は、典型的な一連のクエリーの例です。
最も標準的なクエリーは、単純なデータ選択と取得で構成されます。ただし、OLAPクエリーは詳細に構造化されているため、計算、時系列の分析、および集計済の履歴データや現行データへのクイック・アクセスを含めることができます。OLAPクエリーでは、メジャーで使用するディメンションおよび階層を使用します。データのクエリーを行う際は、「当地区で製品をどのように販売するか」のようにビジネス用語を使用します。各ディメンションには、質問する方法を反映した独自の選択内容が含まれます。
OLAPの詳細は、次のドキュメントを参照してください。
『Oracle9i OLAPユーザーズ・ガイド』
『Oracle OLAPアプリケーション開発者ガイド』
『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer Plusユーザーズ・ガイド』
マルチディメンション・データ・ソースは、大量のデータを分析するために最適化されています。このようなデータ・ソースは、データ・ウェアハウス、またはオンライン分析処理(OLAP)データ・ソースとも呼ばれます。
リレーショナル・データ・ソースでは、データがテーブルに編成されています。テーブルは、列と行を持つデータ構造です。これに対して、マルチディメンション・データは、1つ以上のディメンションで編成されたデータです。通常、マルチディメンション・データ構造はキューブと呼ばれます。Oracleデータベース(リリース9.2.0.7以降)には、リレーショナル・データ構造(テーブルと列)とマルチディメンション・データ構造(キューブ)の両方を含めることができます。これら2つの構造を組み合せることによって、マルチディメンション・データに迅速にアクセスする一方で、リレーショナル・データを集計することも可能です。
Discovererカタログは、Discoverer Plus OLAP用のオブジェクトの定義を格納および取得するためのリポジトリです。Discovererカタログは、Oracle Business Intelligence Beans (BI Beans)を使用して作成されたアプリケーションで使用できます。エンド・ユーザーはDiscoverer Plus OLAPを使用して、ワークブック、計算、保存済選択などのオブジェクトをDiscovererカタログに格納し、Discovererカタログにアクセスする他のユーザーとそれらのオブジェクトを共有します。たとえば、ユーザーはBI Beansアプリケーションでグラフを作成してDiscovererカタログに格納できます。他のユーザーは、適切なアクセス権を持っている場合、Discovererカタログに格納されたグラフを取得して、Discoverer Plus OLAPで新規ワークシートにそのグラフを挿入できます。
Discovererカタログを使用すると、ユーザーやシステム管理者は特定のオブジェクトへのアクセス権を指定できるため、オブジェクト・レベルでのセキュリティを確立できます。
注意: DiscovererカタログをOLAPカタログと混同しないでください。Discovererカタログにはオブジェクト定義が格納されています。OLAPカタログでは論理マルチディメンション・オブジェクトを定義します。そのオブジェクトは、スター・スキーマまたはスノーフレーク・スキーマのテーブル内の列、あるいはアナリティック・ワークスペースのマルチディメンション・オブジェクトにマップできます。
Discovererカタログのインストールおよび管理の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer構成ガイド』を参照してください。
この項では、マルチディメンション・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムの管理者の役割、使用するツール、およびマルチディメンション・データ・ソースとリレーショナル・データ・ソースの管理方法の相違について説明します。
Discovererマネージャには、Discoverer Plus OLAPの初期実装、および継続的な管理とメンテナンスを行う責任があります。Discovererマネージャとしての役割を果たし、マルチディメンション・データ・ソースを使用する際に企業の意思決定担当者をサポートするには、次の事項を理解しておく必要があります。
データベースの理解: データベースのデータ内容、データの場所、データの格納方法(リレーショナル・データベース・スキーマまたはアナリティック・ワークスペースのどちらに格納するか)、メタデータの構成方法、および他のデータとの関連について把握している必要があります。
ビジネスの理解: 意思決定担当者が必要とするデータ、実行される分析の種類、および最終結果をわかりやすく表示する方法について把握している必要があります。
マルチディメンション・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムを管理するためには、リレーショナル・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムとの管理方法の相違を理解する必要があります。相違点は次のとおりです。
マルチディメンション・データ・ソースとともにDiscovererを使用する場合は、Discoverer Administratorを使用して管理作業を実行しません。かわりに、「マルチディメンション・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムを管理するために使用するツール」で説明するツールを使用します。
リレーショナル・データ・ソースとともにDiscovererを使用する場合、DiscovererではEnd User Layer (EUL)を使用します。マルチディメンション・データ・ソースとともにDiscovererを使用する場合、DiscovererではEnd User Layer (EUL)を使用せず、Discovererカタログを使用します。
次の作業は、通常、マルチディメンション・データ・ソースではなくリレーショナル・データ・ソースに対して実行されます。
ワークブックのスケジュール
結合の作成とメンテナンス
サマリー・フォルダの作成とメンテナンス
クエリーのパフォーマンスの予測
リレーショナル・データ・ソースでDiscovererを使用する場合とDiscoverer Plus OLAPを使用する場合の相違については、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer Plusユーザーズ・ガイド』を参照してください。
マルチディメンション・データ・ソースにアクセスするDiscovererシステムを管理する際は、指定のツールを使用して次の管理作業を実行します。
Oracle Analytic Workspace ManagerまたはOracle Warehouse Builderを使用して、OLAPカタログ・メタデータを定義します。メタデータの定義方法は、ROLAP (リレーショナル・オンライン分析処理)を使用するか、またはMOLAP (マルチディメンション・オンライン分析処理)を使用するかによって異なります。
ROLAPでは、OLAPカタログはリレーショナル・データベース・スキーマにマップされます。
MOLAPでは、OLAPカタログはアナリティック・ワークスペースにマップされます。
データの適切な定義方法および構成の詳細は、『Oracle9i OLAPユーザーズ・ガイド』または『Oracle OLAPアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
Oracle Fusion Middleware Controlを使用して、Discovererカタログを構成します。次の作業を実行します。
Discovererカタログのインストール
情報に対するアクセス制御
Discovererカタログのオブジェクトのインポートおよびエクスポート
ロゴおよびルック・アンド・フィールのカスタマイズ
ログ・レベルの指定
Discoverer Plus OLAPサーブレットのURLパラメータの指定
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer構成ガイド』を参照してください。
Oracle Analytic Workspace Managerを使用して、ディメンションおよびメジャーをメンテナンスします。
詳細は、『Oracle9i OLAPユーザーズ・ガイド』または『Oracle OLAPアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
Oracle Analytic Workspace ManagerまたはOracle Warehouse Builderを使用して、ディメンション階層をメンテナンスします。
詳細は、『Oracle9i OLAPユーザーズ・ガイド』または『Oracle OLAPアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
Discoverer Plus OLAPで計算と条件を作成してメンテナンスします。
詳細は、Discoverer Plus OLAPのヘルプ・システムを参照してください。
Discovererマネージャは、次の各項で説明する方法でDiscoverer Plus OLAPのユーザーを支援できます。
Discoverer Plus OLAPには、製品に含まれる多数の強力な機能を説明するためにサンプル・ワークブックが同梱されています。ユーザーがサンプル・ワークブックにアクセスできるようにするには、Discovererカタログとサンプル・ワークブックをインストールする必要があります。このインストール処理に関するドキュメントは、Oracle Technology NetworkのDiscovererの項から入手できます。
Discovererマネージャは、Discoverer Plus OLAPまたはDiscoverer Viewerの起動前にユーザーが特定の作業を実行するためのプリプロセッサ・プログラムを作成できます。
Discoverer Plus OLAPおよびDiscoverer Viewerのユーザーは、製品の起動前にプリプロセッサ・プログラムを実行すると便利な場合があります。プリプロセッサ・タスクを指定するには、PL/SQLコードを入力し、D4OSYSスキーマにD4O_AUTOGOストアド・プロシージャを定義します。このストアド・プロシージャは、Discoverer Plus OLAPおよびDiscoverer Viewerの起動時に自動的に実行されます。
D4O_AUTOGOストアド・プロシージャを使用して、次のような作業を実行できます。
ROLAP実装でSQLコマンドを実行できます。
MOLAP実装で、SQLのAW.EXECUTEコマンドをアナリティック・ワークスペースで使用してルーチンをコールします。このルーチンを使用して、次のような作業を実行できます。
アナリティック・ワークスペースでプログラムを起動します。
予測を実行します。
PERMITコマンドを使用して有効範囲をデータに適用できます。「プリプロセッサ・プログラムの作成例」を参照してください。
D4O_AUTOGOストアド・プロシージャが受け取る引数は、ログインするユーザーのユーザーIDのテキスト値のみです。D4O_AUTOGOストアド・プロシージャが定義されている場合、Discoverer Plus OLAPおよびDiscoverer Viewerは現行ユーザーのユーザーIDをストアド・プロシージャに渡します。
ユーザーが分析を許可されるデータ値の範囲を設定することは、プリプロセッサ・タスクの一例です。たとえば、サンプル・ワークブックでは、ユーザーScottは将来の予測データ(たとえば、2005年データ)を参照することは許可されていません。このようなセキュリティを設定するには、D4O_AUTOGOストアド・プロシージャを使用してデータの範囲を設定するための環境を指定する必要があります。
サンプル・ワークブックで使用するデータは、shawという名前のOracle OLAPアナリティック・ワークスペースに格納されます。このワークスペースにはscope_dataというストアド・プロシージャが定義され、現行のデータベース・ユーザーIDに基づいて期間の範囲が設定されます。scope_dataストアド・プロシージャは次のように定義されます。
DEFINE SCOPE_DATA PROGRAM PROGRAM "Scopes data based on user id trap on error noprint aw attach CS_OLAP.SHAW first "*** "* shawt_time_isvisible specifies for each user the time periods that are visible. "* The SCOTT user does not have access to 2002 forecast data "*** limit shawusers to upcase(userid) cns shawt_time permit read when shawt_time_isvisible error: return END
scope_dataストアド・プロシージャを実行するために、D4O_AUTOGOストアド・プロシージャを次のように定義できます。
CREATE OR REPLACE PROCEDURE D4OSYS.D4O_AUTOGO (user_id IN VARCHAR) is BEGIN dbms_aw.aw_attach('CS_OLAP', 'SHAW'); dbms_aw.execute('scope_data'); END;