ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのマネージング
11gリリース1 (11.1.1)
B72426-05
  ドキュメント・ライブラリへ移動
ライブラリ
目次へ移動
目次

前
 
次
 

27 Dynamic Converterの概要

この章では、Dynamic Converterの概要について説明します。Dynamic Converterは、カスタマイズ可能なテンプレートを使用してオンデマンドでドキュメントの変換を実行する、Oracle WebCenter Content Serverコンポーネントの1つです。

この章の内容は、次のとおりです。

27.1 Dynamic Converterについて

Dynamic Converterは、重要なビジネス・ドキュメントに対して、業界で実証された変換テクノロジとオンデマンドの公開ソリューションを提供します。Dynamic Converterでは、ドキュメントの作成に使用したアプリケーションを使用しなくてもすべての人がドキュメントを参照できるよう、ビジネス・ドキュメントをWebページに簡単に変換できます。利点は即時的で、独自のアプリケーションのボトルネックを発生させることなく、情報を自由に交換できます。

Webブラウザが最初にドキュメントをリクエストするときに、ドキュメントをWebページとして表示する方法を決定する一連のルールが適用されます。これらのルールは、Dynamic Converterのコア・コンポーネントであるテンプレートで定義されます。

Dynamic Converterには、ユーザーにとって数多くの重要な利点があります。

  • ビジネス・ドキュメントをWebブラウザで簡単に表示できます。

  • ネイティブ・アプリケーション(Adobe Acrobat、Microsoft Wordなど)が不要です。

  • 異なるWebブラウザに複数のドキュメントのレンディションを使用できます。

  • テンプレートをContent Publisherと交換できます。

  • レガシー・フォーマットを含む多数のビジネス・ドキュメント・タイプがサポートされます。

ユーザーは、コンテンツ・サーバーの検索結果ページとコンテンツ情報ページにあるHTMLリンクを通じてコンテンツ・サーバーのソース・ドキュメントのHTMLレンディションを使用できます。

27.2 Dynamic Converterの基本的な概念

Dynamic Converterのコンテキストにおいては、次の概念が重要です。

  • 開発者: Dynamic Converterをその他のテクノロジやアプリケーションに統合するユーザーです。

  • ソース・ファイル: 開発者がWebページに変換する対象となるドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションまたはその他の情報です(ソース・ドキュメントおよびコンテンツ・アイテムとも呼ばれます)。

  • 出力ファイル(単数形): ソース・ファイルから作成されるファイルです(Webで表示可能なフォーマットとも呼ばれます)。

  • 出力ファイル(複数形): ソース・ファイルからレンダリングされた出力(Webページ)を構成するすべてのファイルのセットです。

  • テンプレート: テンプレートは、ソース・ドキュメントを出力ドキュメントに変換する方法を変換エンジンに通知します。

  • テンプレート・ルール: 特定の条件に一致するドキュメントは、指定したテンプレート、レイアウトおよびオプションを使用して変換されます。

27.3 Dynamic Converterプロセス

図27-1は、Dynamic Converterの基本的なプロセスを示しています。

図27-1 Dynamic Converterの基本的なプロセス

Dynamic Converterの基本的なプロセス

このプロセスは、5つのステップから構成されています。

  1. ユーザーがWebブラウザを通してコンテンツ・アイテムをリクエストします。

  2. このリクエストがWebサーバーからDynamic Converterに渡されて、そこでHTML変換に使用されるテンプレートが決定されます(メタデータの一致条件に基づいて決定されます)。

  3. ネイティブ・ファイル(WordドキュメントやExcelスプレッドシートなど)がDynamic Converterによって変換されます。

  4. 変換の結果、1つ以上のHTMLページとサポート・ファイル(GIF、JPEGなど)が作成されます。これらは、Dynamic Converterによって、コンテンツ・サーバーのWeb表示可能なファイルのリポジトリ(Web Layout)の専用のキャッシュ領域に出力されます。

  5. Webサーバーによって、追加のファイル(CSSファイルや、ページ・ヘッダーおよびページ・フッターに使用されるイメージなど)が取得されて、Dynamic Converterによって生成されたすべてのファイルとともにこれらのファイルがユーザーに提供されます。


    注意:

    Dynamic Converterでは、サーバーの負荷を軽減し、ドキュメントの変換が重複して行われないようにするためにキャッシュが使用されます。

27.4 事前変換

前のバージョンのDynamic Converterでは、コンテンツ・アイテムはWebで表示可能なフォーマット(HTML、XMLなど)に変換されました。この状況は、コンテンツ・アイテムがユーザーによって最初にリクエストされたとき、つまり、ユーザーが検索結果またはコンテンツ情報ページのコンテンツ・アイテムの横にある(HTML)リンクをクリックしたときに発生しました。コンテンツ・アイテムが変換された後、変換されたファイルに対する後続の各リクエストが即時に処理されるように、そのコンテンツ・アイテムはコンテンツ・サーバーにキャッシュされました。

バージョン6.0 (2004年頃)以降のDynamic Converterでは、ユーザーがコンテンツ・アイテムをリクエストしたときではなく、コンテンツ・アイテムがチェックインされたときに、変換ルールに一致するコンテンツ・アイテムが変換されます。これにより、ユーザーはコンテンツ・アイテムの動的に変換されたレンディションを遅延なく即時に表示できます。

この事前変換は、Dynamic Converterの変換ルールに一致するコンテンツ・アイテムにのみ適用されます。ルールは、「テンプレートの選択ルール」ページで指定されます。

コンテンツ・アイテムに対してルールが存在しない場合は、コンテンツ・アイテムに対してデフォルトのテンプレートおよびレイアウト・ファイルが使用可能な場合でも、事前変換は行われません。デフォルトのテンプレートおよびレイアウト・ファイルは、「Dynamic Converterの構成」ページで指定されます。

事前変換は、「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで有効にする必要があります。

27.5 強制変換

Webサイトで異なる目的に使用できるように、同じコンテンツ・アイテムの複数の変換を指定できます。たとえば、コンテンツ・アイテムを、ある場所ではHTMLコードのスニペットとして含め、別の場所では完結した記事として含めることができます。このためには、Dynamic Converterの強制変換を使用します。

強制変換を使用するとルールのリストを指定でき、このリストのすべてのルールが評価されます。最初のルールが一致すると適用されます。次のルールが一致した場合も適用され、これが繰り返されます。これにより、Dynamic Converterは、必要に応じて、同じコンテンツの複数のレンディションを作成できます。その結果、各種テンプレートやレイアウト・ファイルを使用してコンテンツを複数回変換できます。

「テンプレートの選択ルール」ページで、テンプレート・ルールの強制変換を有効にできます。

強制変換は、事前変換と同時に、つまりコンテンツ・アイテムがコンテンツ・サーバーにチェックインされるときに実行されます。エンド・ユーザーは、事前変換と強制変換の違いを区別できません。方法は異なりますが、ユーザーがHTMLリンクをクリックするまでに、コンテンツ・アイテムを変換してキャッシュに格納することを目的としている点は同じです。

強制変換は、「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで、事前変換とともに有効になっている必要があります。

27.6 フラグメントのみの変換

強制変換(第27.5項を参照)の1つにフラグメントのみの変換があります。フラグメントは、コンテンツの一部分であり、他のコンテンツ・アイテムに組み込まれます。個々のフラグメントを組み合せて、コンテンツ・リッチなWebページを形成できます。通常、フラグメントには、<html>タグや<body>タグは含まれていないため、簡単に他のWebページに組み込むことができます。フラグメントはそれ自体表示されるものではないため、HTML動的変換リンクをクリックするユーザーには表示しません。ユーザー・リクエストにおいて、フラグメント用に設計されたルールは、Dynamic Converterのルール評価から除外される必要があります。

強制変換が選択されている場合は、「テンプレートの選択ルール」ページでテンプレート・ルールに対するフラグメントのみの変換を有効にできます。

フラグメントのみの変換は、他の強制変換と同様に、コンテンツ・アイテムがコンテンツ・サーバーにチェックインされたときに事前に実行されます。

27.7 キャッシュおよび問合せ

Dynamic Converterには、イントラネットや外部のWebサイトの全体的なパフォーマンスを大幅に向上させる、変換およびキャッシュの戦略が含まれています。この機能によって、コンテンツ・サーバーで、動的に作成されるWebページを以前のバージョンよりもより迅速に提供できるようになります。

変換およびキャッシュの拡張機能がアプリケーションに組み込まれている一方で、Dynamic Converterを調整するために設定可能ないくつかの構成オプションも用意されています。

これらすべての構成オプションは、「Dynamic Converterの構成」ページの「変換とキャッシュの最適化」セクションで設定できます

27.7.1 タイムスタンプのキャッシュ

ユーザーが検索結果ページまたはコンテンツ情報ページでHTML動的変換リンクをクリックすると、ソース・ドキュメント、変換テンプレートおよびレイアウト・ファイル(該当する場合)の3つのファイルに対する問合せがコンテンツ・サーバー・データベースに対して行われます。データベース問合せによって、動的に変換されたファイルが最新であることが確認されますが、最新の変換が使用可能である場合でもこれらの問合せは実行されます。

Dynamic Converterバージョン6.2以上では、毎回データベースに問い合せることなく、コンテンツ・アイテムおよび変換テンプレートのリビジョンを検証する新しい方法が使用されます。データベース問合せのかわりに、変換されたコンテンツ・アイテムのタイムスタンプがサーバーのメモリーベースのキャッシュに保存されます。その後の変換リクエストでは、データベースに問い合せることなく、キャッシュされたこれらのタイムスタンプと変換対象のコンテンツ・アイテムのタイムスタンプを比較できます。事前変換要素(第27.4項を参照)と組み合せると、Dynamic Converterにおけるリビジョンと変換の問合せがより効率的になります。キャッシュおよび問合せメカニズムでは、タイムスタンプを使用して、コンテンツ・サーバー内の新しいリビジョンのコンテンツ・アイテムが検出されます。これは、新しいリビジョンが作成されるたびに、新しいタイムスタンプを持つ新しいファイルが作成されるためです。

27.7.2 メタデータの変更

ユーザーがコンテンツ・アイテムに対してメタデータのみの変更を加えると、新しいファイルやタイムスタンプは作成されず、変更は検出されません。この問題に対処するため、すべてのメタデータ変更がDynamic Converterで認識されるようにする必要があります。そのためには、「Dynamic Converterの構成」ページの「メタデータ更新時の再変換」オプションを有効にする必要があります。このオプションによって、コンテンツ・サーバーはメタデータ更新後に、ソース・コンテンツ・アイテムのタイムスタンプを強制的に更新します。このオプションを有効にすると、Webで表示可能なすべてのフォーマットのタイムスタンプが更新され、対応するソース・コンテンツ・アイテムに対して行われたメタデータ変更が反映されます。その結果、更新されたタイムスタンプはDynamic Converterによって認識され、メタデータの更新されたコンテンツ・アイテムが再変換されます。

データベースで確認する方式

コンテンツ・アイテムのメタデータが更新されたかどうかをデータベースで確認する方式を選択できます。このオプションは、「Dynamic Converterの構成」ページで設定します。この構成オプションが有効の場合、コンテンツ・アイテムの更新によって、変換されたファイルのタイムスタンプの変化が引き続き通知されますが、キャッシュと問合せを使用する新しい方法は、コンテンツ・アイテムが最新かどうかの判断に使用されません。そのかわり、この情報についてコンテンツ・サーバー・データベースに対して問合せが実行されます。最適化された問合せ要素に問題が発生している場合、または関連する問題のトラブルシューティングを行っている場合には、この方法を検討してください。

27.7.3 タイムスタンプのチェック頻度

Dynamic Converterでは、デフォルトで、変換済コンテンツ・アイテムのタイムスタンプが1,500ミリ秒(1.5秒)ごとにチェックされます。実行される問合せの数と、サイトへの訪問者数とのバランスをとるために、この値を増減できます。タイムスタンプのチェック頻度は、「Dynamic Converterの構成」ページで変更できます。

たとえば、この設定を1分(60,000ミリ秒)に増やし、新しいコンテンツ・アイテムをコンテンツ・サーバーにチェックインした場合、新しいバージョンは、チェックイン後1分が経過しないとユーザーに提供されません。

27.7.4 キャッシュ間隔

キャッシュ間隔とは、変換キャッシュが評価される頻度を指しています。キャッシュされたアイテムは、キャッシュ内の滞在時間および変換ステータスに応じて削除するかどうかが決定されます。キャッシュ間隔(日単位)は、「Dynamic Converterの構成」ページで設定できます。デフォルトは7日(1週間に1回)です。

27.7.5 キャッシュ・サイズ

動的に変換されたファイルは、不必要な再変換を避けるために、キャッシュに保持されます。キャッシュの最大サイズは、「Dynamic Converterの構成」ページで設定できます。デフォルトは10,000 MB (約10 GB)です。キャッシュが最大サイズを超えると、次のクリーンアップ・サイクル(デフォルトは7日間)で、最も長い期間アクセスされていないキャッシュ・アイテムがまず削除されます(削除用リストは最終アクセスの日付の昇順でソートされます。)キャッシュ・サイズの制限を超えていない場合は、同じ順序で削除の候補となるキャッシュ・アイテムが調査されますが、既存のドキュメントの強制変換アイテムは削除されません。

27.7.6 キャッシュの有効期間

Dynamic Converterでは、アイテムが重複して変換されないように、変換されたコンテンツ・アイテムはWebレイアウト変換キャッシュに保持されます。キャッシュ内の変換済アイテムが削除されるまでの最低保存日数を指定できます。デフォルトでは、キャッシュのクリーン・アップは7日間ごとに評価されます。有効期限は、すでに存在しないドキュメントのキャッシュ済アイテムおよび強制変換によって生成されていないキャッシュ済アイテムのみに適用されます(第27.5項を参照)。デフォルトのキャッシュ有効期限は7日間です。

キャッシュの有効期限設定以外に、キャッシュの評価頻度を制御するためのキャッシュ間隔(第27.7.4項を参照)があります。たとえば、キャッシュ間隔が14日間に設定され、キャッシュの有効期限が8日間に設定された場合、キャッシュは14日ごとに評価されて、8日間を超えてキャッシュ内に存在するすべてのキャッシュ済アイテムが削除されます(ただし、強制変換の結果生成されたアイテムは削除されません)。

27.8 特殊な変換

Dynamic Converterでは、次の特殊な変換がサポートされています。

27.8.1 HTMLフォームのHTMLへの変換

Dynamic Converterでは、HTMLフォームのHTMLへの変換がサポートされています。これにより、HTMLフォームに入力された情報を柔軟に表示できます。

たとえば、データ入力のために使用されるHTMLフォームは、次のようになります。

図27-2 データ入力フォーム

データ入力フォーム

このHTMLフォームおよび入力された値は、「送信」ボタンをクリックして送信されると、自動的にHCSFファイルとしてコンテンツ・サーバーにチェックインされます。その後ユーザーがフォーム・データを表示する場合、テンプレートを使用して、HTMLフォームのデータを表示できます。

図27-3 フォーム・データの表

サンプル・フォーム・データの表

27.8.2 XMLのHTMLへの変換

Dynamic Converterでは、XSLファイルを使用したXMLからHTMLへの変換がサポートされます。XSLファイル(拡張子が.xsl)は、XMLファイルがWebブラウザでHTMLとしてどのように表示されるかを定義するテンプレートです。

Dynamic ConverterがXMLファイルを適切に識別して変換できるようにするには、次の操作を行う必要があります。

  • XSLファイルをコンテンツ・サーバーにチェックインします。

  • XMLファイルを認識するように、Dynamic Converterを構成します。動的変換へのファイル・フォーマットの追加方法の説明は、第28.3.1項を参照してください。(この場合、「フォーム」テキスト・ボックスにapplication/xmlを追加します。)

  • 変換対象のXMLファイルと一致するDynamic Converterルールを作成し、そのルール用の変換テンプレートとしてXSLファイルを指定します。詳細は、第29章「テンプレート・ルールの管理」を参照してください。


    注意:

    サンプルのXMLファイルとXSLファイルは、Oracle Technology Network (http://www.oracle.com/technetwork/indexes/samplecode/)からダウンロードできます。

27.8.3 段落のグラフィックとしてのレンダリング

Dynamic Converterでは、段落をグラフィックとしてレンダリングします。この機能を使用して、フォントへのパブリック・アクセスを許可することなくカスタム・フォントと保護されたフォントをドキュメントに追加できます。

この設定は、クラシックHTML変換テンプレート・エディタにあります(「フォーマット」段落を選択します)。WindowsでDynamic Converterを実行している場合、レンダリング用に選択したフォントは、変換で使用されるフォントと同じになります。

UNIXにDynamic Converterがインストールされている場合、変換プロセスは別のフォントのグループを基にして描画します。その場合、テンプレート・エディタで選択されたフォントは、UNIXシステムでも使用可能である必要があります。レンダリングを有効にするには、両方のフォントが完全に同じ名前である必要があります。GD_Font_Path変数はフォント・ディレクトリを指している必要があり、そのディレクトリにはファイル拡張子が.ttfのTrueTypeフォントが1つ以上含まれている必要があります。これらの要件が満たされていない場合は、グラフィックとしての段落のレンダリングに失敗します。

段落をグラフィックとしてレンダリングする場合、Dynamic Converterでは埋込みグラフィックがサポートされません。段落内のイメージは、文字列[]に置換されます。テンプレートでは、グラフィックが含まれるセクション内のグラフィックとして、段落のレンダリングを使用しないようにする必要があります。

27.9 コンテンツ・サーバーにおけるDynamic Converterインタフェース

この項では、Dynamic Converterソフトウェアをインストールした後にコンテンツ・サーバーのインタフェースがどのように変わるかについて説明します。

「Dynamic Converterの管理」リンクがない場合は、Dynamic Converterが正しくインストールされなかったか、または有効化されていません。Dynamic Converterコンポーネントのインストール方法の詳細は、『Oracle WebCenter Contentのインストールと構成』を参照してください。

図27-4 「Dynamic Converterの管理」リンクの「管理」トレイ

「Dynamic Converterの管理」リンク

コンテンツ・サーバーにDynamic Converterが正常に追加されると、「管理」ページと「管理」メニューに「Dynamic Converterの管理」というリンクが追加されます。