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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11gリリース1 (11.1.1.9.0)
B55900-11
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4 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備

この章では、Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備方法について説明します。推奨されるディレクトリ構造とその場所に関する情報を示し、共有記憶域の構成手順も説明します。

この章には次のトピックが含まれます:

4.1 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備の概要

ファイル・システムの設定では、構成と管理が容易でわかりやすいエンタープライズ・デプロイメントを作成できるようにすることが重要です。この章の情報に従ってファイル・システムを設定することをお薦めします。この章で定義されている用語は、このガイド内のダイアグラムおよび手順で使用されます。

この章を参照情報として使用すると、インストールおよび構成手順で使用されているディレクトリ変数について理解できます。その他のディレクトリ・レイアウトも可能であり、サポートされていますが、このマニュアルで採用するモデルは、可用性を最大化するために選択されており、コンポーネントの最良の独立性と構成の対称性の両方を実現し、バックアップおよび災害からのリカバリを容易にします。ドキュメントの残りの部分では、このディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。

4.2 ディレクトリとディレクトリ環境変数の用語

この項では、Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメントを構成するためにこのガイドで使用されるディレクトリ環境変数について説明します。このガイドでは、インストールして構成するディレクトリを次のディレクトリ変数を使用して説明しています。

  • ORACLE_BASE: この環境変数と関連ディレクトリ・パスは、Oracle製品がインストールされているベース・ディレクトリを指しています。

  • MW_HOME: この環境変数および関連するディレクトリ・パスは、Oracle Fusion Middlewareが常駐している場所を指します。

  • WL_HOME: この環境変数と関連ディレクトリ・パスには、WebLogic Serverをホストするために必要なファイルがインストールされて格納されています。

  • ORACLE_HOME: この環境変数と関連ディレクトリ・パスは、Oracle SOA SuiteまたはOracle WebCenter Portalがインストールされている場所を指します。

  • ORACLE_COMMON_HOME: この環境変数と関連ディレクトリ・パスは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびJava Required Files (JRF)に必要なバイナリ・ファイルとライブラリ・ファイルを含むOracleホームを参照しています。

  • DOMAIN Directory: このディレクトリ・パスは、Oracle WebLogic Serverドメイン情報(構成アーティファクト)が格納されている場所を指しています。後述のように同じノード内にある場合でも、個々のOracle WebLogicサーバーで異なるドメイン・ディレクトリを使用できます。

  • ORACLE_INSTANCE: Oracleインスタンスには、1つ以上のシステム・コンポーネントがあります。コンポーネントの例には、Oracle Web Cache、Oracle HTTP Server、Oracle Internet Directoryなどがあります。Oracleインスタンスのディレクトリには、更新可能なファイルがあります。それらのファイルの例には、構成ファイル、ログ・ファイル、一時ファイルなどがあります。

  • JAVA_HOME: JRockitがインストールされている場所です。

    このガイドで説明する例ではJRockitを使用します。動作保証された任意のバージョンのJavaを使用することができ、特に記載がないかぎり完全にサポートされています。

  • ASERVER_HOME: ドメイン構成のプライマリの場所です。典型的な例は、/u01/oracle/config/domains/domain_nameです。

  • MSERVER_HOME: 管理対象サーバーの起動と停止に使用されるドメイン構成のコピーです。典型的な例は、/u02/private/oracle/config/domains/domain_nameです。

  • WEBGATE_ORACLE_HOME: WebGateがインストールされている場所です。


ヒント:

この項で説明している場所には、ショートカットとして環境変数を使用し、ディレクトリに簡単に移動できます。たとえば、Linuxでは$ORACLE_BASEという環境変数を使用し、/u01/app/oracle(つまり、推奨されるORACLE_BASEの場所)を参照できます。Windowsでは、%ORACLE_BASE%とWindowsに固有のコマンドを使用できます。

4.3 異なるディレクトリの推奨場所

次の各項では、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジに対して共有記憶域を使用する場合の基本的な推奨事項を紹介します。

4.3.1 バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリに対する共有記憶域に関する推奨事項

次の各項では、Oracle Fusion MiddlewareのOracleホーム・ディレクトリに対して共有記憶域を使用する場合のガイドラインについて説明します。

4.3.1.1 バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリについて

Oracle Fusion Middleware製品をインストールする際には、製品のバイナリをOracleホームにインストールします。Oracleホーム・ディレクトリにインストールされたバイナリ・ファイルは読取り専用であり、Oracleホームにパッチが適用されるか新しいバージョンにアップグレードされるまで変更されることはありません。

標準的な本番環境では、Oracleホーム・ファイルは、Oracle Fusion Middleware構成ウィザードを使用して作成するドメイン構成ファイルとは別の場所に保存します。

Oracle Fusion Middlewareのインストールに対するMiddlewareホームには、Oracle WebLogic Serverのバイナリ、Oracle Fusion Middlewareのインフラストラクチャ・ファイルおよびOracle Fusion Middleware製品固有のディレクトリが含まれます。

Oracle Fusion MiddlewareのOracleホームの構造および内容の詳細は、概念を参照してください。

4.3.1.2 複数のドメインでの単一のOracleホームの共有について

Oracle Fusion Middlewareでは、単一のOracleホームから複数のOracle WebLogic Serverドメインを構成できます。このため、Oracleホームを共有ボリューム上の1つの場所にインストールし、複数のホスト・インストールでOracleホームを再利用することが可能です。


注意:

共有記憶域に配置できないOracle WebCenter ContentおよびOracle WebCenter Content: Inbound Refineryの管理対象サーバーを除き、管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリは、ローカルまたは共有記憶域に配置できます。これらの管理対象サーバーは、ノード固有のファイル(intradoc.cfgなど)を使用します。

Oracleホームが異なるホスト上の複数のサーバーにより共有されている場合、留意するべきいくつかのベスト・プラクティスがあります。具体的には、各ホスト上のOracleインベントリ(oraInventory)が、整合性を保ち、パッチを適用するために更新されていることを確認します。

ホストに対するoraInventoryを更新し、Oracleホームを共有記憶域にアタッチするには、次のコマンドを使用します。

ORACLE_HOME/oui/bin/attachHome.sh

oraInventoryの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド for Microsoft Windows and UNIX Systems』のOracle Universal Installerインベントリに関する項を参照してください。

4.3.1.3 冗長バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリの使用について

可用性が最大になるように、共有記憶域ではバイナリの冗長インストールを使用することをお薦めします。

このモデルでは、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアに対する同一のOracleホームを2つの異なる共有ボリューム上にインストールします。1つのOracleホームを1つのサーバーのセットにマウントし、もう一方のOracleホームを残りのサーバーにマウントします。各Oracleホームは同じマウント・ポイントを持つため、サーバーがどのOracleホームを使用しているかにかかわらず、Oracleホームのパスは常に同じになります。

いずれかのOracleホームが破損するか利用できなくなっても、サーバーの半数しか影響を受けません。さらに保護を強化するために、これらのボリュームのディスク・ミラーを行うことをお薦めします。

共有記憶域上の別々のボリュームを使用できない場合は、同じボリューム内の異なるディレクトリを使用して別々のボリュームをシミュレートし、ホスト側でこれらのボリュームを同じマウント位置にマウントすることをお薦めします。これによって複数ボリュームが提供するような保護が保証されるわけではありませんが、ユーザーによる削除や個々のファイルの破損からの保護は可能になります。

4.3.2 ドメイン構成ファイルに対する共有記憶域に関する推奨事項

次の各項では、Oracle Fusion Middleware製品をエンタープライズ・デプロイメントで構成する場合に作成するOracle WebLogic Serverのドメイン構成ファイルに対して共有記憶域を使用する場合のガイドラインについて説明します。

4.3.2.1 Oracle WebLogic Serverの管理サーバーと管理対象サーバーのドメイン構成ファイルについて

Oracle Fusion Middleware製品の構成時には、Oracle WebLogic Serverドメインを作成または拡張します。各Oracle WebLogic Serverドメインは、1つの管理サーバーおよび1つ以上の管理対象サーバーで構成されます。

Oracle WebLogic Serverドメインの詳細は、Oracle WebLogic Serverのドメイン構成の理解に関する項を参照してください。

エンタープライズ・デプロイメントでは、ドメインの管理対象サーバーがアクティブ/アクティブ型の高可用性のために構成される場合があることを理解しておく必要があります。ただし、管理サーバーはこのように構成できません。管理サーバーはシングルトン・サービスです。つまり、一度に1つのホストでのみアクティブにすることができます。

4.3.2.2 管理サーバーと管理対象サーバーのドメイン構成ファイルの共有記憶域要件

ドメイン構成ファイルのコピーを2つ作成することをお薦めします。

  • 1つは管理サーバーの構成ファイル用のコピーです。

    このディレクトリは共有記憶域上にインストールし、管理サーバーを実行しているホストに排他的にマウントします。

    ホストで障害が発生した場合に、このディレクトリを別のホストにマウントし、そのホストで管理サーバーを起動できます。

  • もう一方のコピーは管理対象サーバーの構成ファイル用です。

    管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリは、ローカルの記憶域にも共有記憶域にも配置できます。

    管理対象サーバーがドメイン・ディレクトリを共有すると、スケール・アウト手順が容易になります。ただし、管理対象サーバーの構成ファイルを共有すると、パフォーマンスに影響する可能性もあります。

    したがって、ストレージ・システムの要件があれば、使用するデプロイメントではその要件に応じて決定する必要があります。ストレージ・システムによっては、複数のマシンが同じ共有ボリュームをマウントするための構成オプションが提供されているものもあります。

    このエンタープライズ・デプロイメント・トポロジで用意されている構成手順では、管理対象サーバーごとに各ノードのローカル・ドメイン・ディレクトリが使用されると想定しています。

4.3.3 JMSファイル・ストアおよびトランザクション・ログに対する共有記憶域に関する推奨事項

サーバーの障害や移行の場合にリカバリで複数のホストを利用可能にするには、JMSファイル・ストアとJTAトランザクション・ログは共有記憶域に配置する必要があります。

ファイル・ストア内のJMSおよびJTA情報の使用方法の詳細は、Oracle WebLogic Serverサーバー環境の構成のWebLogic永続ストアの使用方法に関する項を参照してください。

4.3.4 ディレクトリの推奨場所

この項では、推奨されるディレクトリについて説明します。共有記憶域の場所が直接指定されている場合は必ず、そのディレクトリでは共有記憶域が必要とされることを意味します。ローカル・ディスクが使用されたり共有記憶域がオプションの場合、マウント指定では「共有記憶域を使用している場合」の語句で修飾されます。共有記憶域の場所は例であり、指定されたマウント・ポイントが使用されているかぎり変更できます。ただし、共有記憶域デバイスでは整合性と単純化のためこの構造をお薦めします。

ORACLE_BASE:

推奨ディレクトリ: /u01/app/oracle

管理サーバー・ドメイン・ディレクトリのドメイン・ディレクトリ:

ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver/domain_name (最後のdomain_nameディレクトリは、構成ウィザードにより追加されます。)

  • マシンのマウント・ポイント: ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver

  • 共有記憶域の場所: ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver

  • マウント元: このディレクトリをマウントする必要があるのは、管理サーバーが稼働しているノードのみです。管理サーバーが別のノードに再配置(フェイルオーバー)されたら、そのノードが同じマウント・ポイントで同じ共有記憶域をマウントします。トポロジ内の残りのノードがこの場所をマウントする必要はありません。

管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリのドメイン・ディレクトリ:

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name

  • 共有ディスクを使用している場合、このマシンのマウント・ポイントは、ORACLE_BASE/admin /domain_name/Noden/mserver/にマウントされたORACLE_BASE/admin/domain_name/mserverになります(各ノードでは管理対象サーバー用に異なるドメイン・ディレクトリが使用されます)。


注意:

この手順は実際、共有記憶域によって異なります。前述の例はNASに特有でありますが、他の記憶域タイプでは別のタイプのマッピングによりこの冗長性が実現される場合があります。

JMSファイルベース・ストアとTlogs用の場所(SOAのみ):

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/jms

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs

  • マウント・ポイント: ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/

  • 共有記憶域の場所: ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/

  • マウント元: Oracle SOA Suiteが稼働するすべてのノードでは、別のノードへのサーバー移行が発生したときにトランザクション・ログおよびJMSストアを使用できるように、この共有記憶域の場所をマウントする必要があります。

管理サーバーのアプリケーション・ディレクトリの場所

ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver/applications

  • マウント・ポイント: ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver/

  • 共有記憶域の場所: ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver

  • マウント元: このディレクトリをマウントする必要があるのは、管理サーバーが稼働しているノードのみです。管理サーバーが別のノードに再配置(フェイルオーバー)されたら、そのノードが同じマウント・ポイントで同じ共有記憶域をマウントします。トポロジ内の残りのノードがこの場所をマウントする必要はありません。

管理対象サーバーのアプリケーション・ディレクトリの場所

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/applications


注意:

このディレクトリは、WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメントではローカルになります。

MW_HOME (アプリケーション層)

推奨ディレクトリ: ORACLE_BASE/product/fmw

  • マウント・ポイント: ORACLE_BASE/product/fmw

  • 共有記憶域の場所: ORACLE_BASE/product/fmw (VOL1とVOL2)


    注意:

    共有記憶域に利用できるボリュームが1つしかない場合に、誤ってファイルを削除しないように、あるいはパッチを適用できるように、別のディレクトリを使用して冗長に構成することができます。2つのMW_HOMEを使用できます。その場所は、少なくとも1つはORACLE_BASE/product/fmw1、もう一方はORACLE_BASE/product/fmw2とします。これらのMW_HOMEは、すべてのノードで同じマウント・ポイントにマウントされます。

  • マウント元: 少なくとも半分のノードで一方のインストールを使用し、もう半分で他方のインストールを使用できるように、ノードではVOL1とVOL2を互換的にマウントします。

    WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジでは、SOAHOST1とWCPHOST1は、VOL1をマウントし、SOAHOST2とWCPHOST2はVOL2をマウントします。使用可能なボリュームが1つのみの場合は、ノードは共有記憶域において、考えられる2つのディレクトリを互換的にマウントします。たとえば、SOAHOST1ではORACLE_BASE/product/fmw1、SOAHOST2ではORACLE_BASE/product/fmw2を、それぞれ共有記憶域の場所として使用します。

ORACLE_HOME (Web層):

推奨ディレクトリ: ORACLE_BASE/product/fmw/web

  • マウント・ポイント: ORACLE_BASE/product/fmw

  • 共有記憶域の場所: ORACLE_BASE/product/fmw (VOL1VOL2)


    注意:

    Web層のインストールは通常、WEBHOSTノードのローカル記憶域で実行されます。共有記憶域を使用する場合は、層を横断する記憶域デバイスへのアクセスには、適切なセキュリティ制限をかけることを検討してください。

    このエンタープライズ・デプロイメント・ガイドでは、Oracle Web Tierがローカル・ディスクにインストールされると想定しています。Oracle Web Tierのバイナリ(およびORACLE_INSTANCE)を共有ディスクにインストールすることもできます。その場合は、共有ディスクがアプリケーション層に使用されるものとは別になっている必要があります。


  • マウント元: 共有記憶域のインストールでは、少なくとも半分のノードで一方のインストールを使用し、もう半分で他方のインストールを使用できるように、ノードではVOL1VOL2を互換的にマウントします。

    WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジでは、WEBHOST1は、VOL1をマウントし、WEBHOST2はVOL2をマウントします。使用可能なボリュームが1つのみの場合は、ノードは共有記憶域において、考えられる2つのディレクトリを互換的にマウントします。たとえば、WEBHOST1ではORACLE_BASE/product/fmw1、WEBHOST2ではORACLE_BASE/product/fmw2をそれぞれ共有記憶域の場所として使用します。

WL_HOME:

推奨ディレクトリ: MW_HOME/wlserver_10.3

ORACLE_HOME:

推奨ディレクトリ

  • MW_HOME/wc (WebCenter PortalのOracleホーム)

  • MW_HOME/soa (SOA SuiteのOracleホーム)

  • MW_HOME/wcc (Oracle WebCenter ContentのOracleホーム)

ORACLE_COMMON_HOME:

推奨ディレクトリ: MW_HOME/oracle_common

ORACLE_INSTANCE (OHSインスタンス):

推奨ディレクトリ: ORACLE_BASE/admin/instance_name

  • 共有ディスクを使用する場合、マシンのマウント・ポイントは次のとおりです。

    ORACLE_BASE/admin/instance_name
    

    マウント先:

    ORACLE_BASE/admin/instance_name (VOL1)
    

    注意:

    (VOL1)はオプションです。(VOL2)も使用できます。

4.3.5 ディレクトリ構造と構成

この項では、推奨されるディレクトリ構造および共有記憶域の理解に役立つダイアグラムを示します。

図4-1は、このディレクトリ構造を示した図です。

図4-1 ディレクトリ構造

図4-1の説明が続きます
「図4-1 ディレクトリ構造」の説明

図4-1のディレクトリ構造には、oracle_commonjrockitなど、その他の必要な内部ディレクトリは示されていません。

表4-1は、図において様々な色で識別されている要素の意味に関する説明が記載されています。

表4-1 ディレクトリ構造の要素

要素 説明

管理サーバー要素(緑色)


管理サーバーのドメイン・ディレクトリ、アプリケーション、デプロイメント・プラン、ファイル・アダプタ制御ディレクトリ、JMSとTXのログ、およびMW_HOME全体は共有記憶域上に配置されます。

管理対象サーバー要素(青色)


管理対象サーバー・ドメインのディレクトリは、ローカル・ディスクまたは共有ディレクトリに配置できます。また、管理対象サーバー・ドメインのディレクトリを複数のノード上で共有する場合、ノード間で同じ共有ディスクの場所をマウントする必要があります。Web層のinstance_nameディレクトリは、ローカル・ディスクまたは共有ディスクに配置できます。

固定名の要素(赤色)


固定名です。

インストール依存名(白色)


インストール依存名です。


図4-2は、WebCenter Portal用に複数のボリュームを持つ共有記憶域の構成例を示しています。この例では、SOAHOST1とSOAHOST2を示しています。さらに、WCPHOST1とWCPHOST2上の管理対象サーバーのディレクトリが、VOL1とVOL2に示されています。

図4-2 共有記憶域の構成例

図4-2の説明が続きます
「図4-2 共有記憶域の構成例」の説明

表4-2は、ドメインのディレクトリ構造をまとめたものです。この表の各項目は、次のとおりです。

  • WLS_WCPは、WC_Spaces、WC_Portlet、WC_Utilities、WC_CollaborationのすべてのWebCenter Portal管理対象サーバーです。

  • WLS_WCCは、WebCenter Content管理対象サーバーです。

  • WLS_IBRは、Inbound Refinery管理対象サーバーです。

表4-2 共有記憶域の内容

サーバー データのタイプ 共有記憶域のボリューム ディレクトリ ファイル

WLS_SOA1

Txログ

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs

トランザクション・ディレクトリは共通(WebLogic Serverにより決定)ですが、ファイルは別々です。

WLS_SOA2

Txログ

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs

トランザクション・ディレクトリは共通(WebLogic Serverにより決定)ですが、ファイルは別々です。

WLS_SOA1

JMSストア

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/jms

トランザクション・ディレクトリは共通(WebLogic Serverにより決定)ですが、ファイルは別々です。たとえば、SOAJMSStore1やUMSJMSStore1などです。

WLS_SOA2

JMSストア

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/jms

トランザクション・ディレクトリは共通(WebLogic Serverにより決定)ですが、ファイルは別々です。たとえば、SOAJMSStore2やUMSJMSStore2などです。

WLS_SOA1

WLSインストール

VOL1

MW_HOME

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_SOA2

WLSインストール

VOL2

MW_HOME

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP1

WLSインストール

VOL1

MW_HOME

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP2

WLSインストール

VOL2

MW_HOME

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_SOA1

SOAインストール

VOL1

MW_HOME/soa

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_SOA2

SOAインストール

VOL2

MW_HOME/soa

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP1

WebCenter Portalインストール

VOL1

MW_HOME/wc

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP2

WebCenter Portalインストール

VOL2

MW_HOME/wc

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCC1

WebCenter Contentインストール

VOL1

MW_HOME/wcc

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCC2

WebCenter Contentインストール

VOL2

MW_HOME/wcc

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_SOA1

ドメイン構成

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/aserver/domain_name

管理サーバーを実行している1つのサーバーのみで使用されます。

WLS_SOA1

ドメイン構成

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_SOA2

ドメイン構成

VOL2

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP1

ドメイン構成

VOL1

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCP2

ドメイン構成

VOL2

ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name

各ボリューム内で個別のファイル(ただし、両方のサーバーからは同じディレクトリ構造に見えます)

WLS_WCC1

Webファイルおよびボールト・ファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name/cs/vault

個別ボリューム上のvaultファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。

WLS_WCC1

Webファイルおよびボールト・ファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name/cs/weblayout

個別ボリューム上のweblayoutファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。

WLS_WCC2

Webファイルおよびボールト・ファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name/cs/vault

個別ボリューム上のvaultファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。

WLS_WCC2

Webファイルおよびボールト・ファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name/cs/weblayout

個別ボリューム上のweblayoutファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。

WLS_IBR1

Inbound Refineryファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/ibr_servers_name/ibr1

個別ボリューム上のInbound Refineryファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。

WLS_IBR2

Inbound Refineryファイル

VOL3

ORACLE_BASE/admin/domain_name/ibr_servers_name/ibr2

個別ボリューム上のInbound Refineryファイルのディレクトリで、ロックが無効になっています。



注意:

VOL3は、NFSのロック無効化ボリュームとしてマウントされます。詳細は、第4.4項「共有記憶域の構成」を参照してください。

4.4 共有記憶域の構成

SOAHOST1、SOAHOST2、WCPHOST1、WCPHOST2が2つの別々のボリュームのバイナリ・インストール用に同じ場所を参照できるように、次のコマンドを使用して、共有記憶域の場所を作成しマウントします。


注意:

共有記憶域のファイル・システムの作成に使用されるユーザーIDは、これらのファイルに対する読取り、書込みおよび実行権限を持ちます。オペレーティング・システム・グループにおける他のユーザーは、ファイルの読取りや実行は可能ですが、書込み権限はありません。インストールと構成の権限に関する詳細は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』のインストールと構成の権限とユーザーの理解に関する項を参照してください。

コマンドでnasfilerは共有記憶域ファイラです。

SOAHOST1とWCPHOST1から:

mount nasfiler:/vol/vol1/ORACLE_BASE/product/fmw ORACLE_BASE/product/fmw -t nfs

SOAHOST2とWCPHOST2から:

mount nasfiler:/vol/vol2/ORACLE_BASE/product/fmw ORACLE_BASE/product/fmw -t nfs

注意:

利用できるボリュームが1つのみの場合、共有記憶域で別々のディレクトリを2つ使用して、それらをSOAサーバーの同じディレクトリにマウントすることで、バイナリの冗長性を実現できます。

SOAHOST1から:

mount nasfiler:/vol/vol1/ORACLE_BASE/product/fmw1 ORACLE_BASE/product/fmw -t nfs

SOAHOST2から:

mount nasfiler:/vol/vol1/ORACLE_BASE/product/fmw2 ORACLE_BASE/product/fmw -t nfs

次のコマンドは、異なるノード間においてSOAトランザクション・ログを共有する方法を示します。

mount nasfiler:/vol/vol1/ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs
ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs -t nfs

mount nasfiler:/vol/vol1/ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs
ORACLE_BASE/admin/domain_name/soa_cluster_name/tlogs -t nfs

WCPHOST1とWCPHOST2から:

次のコマンドは、異なるノード間においてWebCenter ContentファイルおよびInbound Refineryファイルを共有する方法を示します。

mount nasfiler:/vol/vol3/ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name
ORACLE_BASE/admin/domain_name/wcc_cluster_name -t nfs -o rw,bg,hard,vers=3,nolock,noac

mount nasfiler:/vol/vol3/ORACLE_BASE/admin/domain_name/ibr_servers_name/
ORACLE_BASE/admin/domain_name/ibr_servers_name -t nfs -o rw,bg,hard,vers=3,nolock,noac

WCPHOST2でも同様に実行します。


注意:

  • WebCenter Contenは独自のロックを管理し、デフォルトのロック機能がWebCenter Contentのロック管理を妨げることがあるため、ここではnolockオプションをお薦めします。

  • noacオプションは、異なるマシンから同じファイルに頻繁にアクセスされるファイル・システムにもお薦めします。


共有ストレージの構成の検証

構成した共有記憶域にテスト・ファイルを作成し、新しくマウントしたディレクトリでファイルの読取りおよび書込みができることを確認します。

例:

$ cd newly mounted directory
$ touch testfile

所有者と権限が正しいことを確認します。

$ ls -l testfile

ファイルを削除します。

$ rm testfile

注意:

共有記憶域にはNASやSANなどのデバイスを使用できます。次は、NASデバイスの記憶域をSOAHOST1から作成する例を示しています。オプションは、具体的な記憶域デバイスに応じて異なる場合があります。
mount nasfiler:/vol/vol1/fmw11shared ORACLE_BASE/wls -t nfs -o rw,bg,hard,nointr,tcp,vers=3,timeo=300,rsize=32768, wsize=32768

使用する環境に適切なオプションについては、ストレージ・ベンダーとマシン管理者と相談してください。