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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server 10.3.6 JDBCデータ・ソースの構成と管理
11gリリース1 (10.3.6)
B60997-14
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11 WebLogic ServerでのOracle RACの使用

この章では、WebLogic Server 10.3.6でOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を使用するための要件および構成タスクについて説明します。

Oracle WebLogic Server 10.3.6は、Oracle Database 11gのOracle Real Application Clusters (RAC)機能を強力にサポートしており、これにより、データベース・アクセス時間が最小化され、その一方で、接続パフォーマンスと可用性の両方を最大化する高度なプール管理機能への透過的アクセスが可能になります。

この章には次の項が含まれます:

Oracle RACとWebLogic Serverはどちらも複雑なシステムです。これらを同時に使用するには、それぞれのシステムで特定の構成が必要なだけでなく、ソフトウェアと共有ストレージ・ソリューションのクラスタ化も必要になります。このドキュメントでは、高度な必須の構成について説明します。Oracle RACの構成、クラスタリング・ソフトウェア、オペレーティング・システム、およびストレージ・ソリューションの詳細は、それぞれのベンダーのドキュメントを参照してください。

Oracle Real Application Clustersの概要

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は高可用性ソリューションに追加できるソフトウェア・コンポーネントであり、複数のマシンを使用しているユーザーは単一のデータベースにアクセス可能になり、さらにパフォーマンスの向上も実現できます。Oracle RACは、2台以上のクラスタ化マシンで実行しており、クラスタ・テクノロジを使用して共有ストレージ・デバイスにアクセスする2つ以上のOracleデータベース・インスタンスで構成されています。このアーキテクチャをサポートするために、これらのデータベース・インスタンスをホストするマシンが高速のインターコネクトによってリンクされてクラスタを構成します。インターコネクトは、クラスタのノード間の通信手段として使用される物理ネットワークです。クラスタ機能は、オペレーティング・システムまたは互換性のあるサードパーティのクラスタリング・ソフトウェアが提供しています。

Oracle RACインストールは単一の標準Oracleデータベースのような外観であり、同じツールと手法でメンテナンスが行われます。クラスタ内のすべてのノードは同じデータベースに対してトランザクションを実行し、Oracle RACは共有データへの各ノードのアクセスを調整して一貫性を維持し、整合性を確保します。クラスタへのノードの追加は簡単であり、ノードを追加する際にデータをパーティション化する必要がありません。つまり、Oracle RACのノード、ストレージ、またはその両方を追加することによって、使用率と需要の増加に伴うデータベース層のスケーラビリティを水平に設定できます。

ソフトウェア要件

Oracle RACによってWebLogic Serverを使用するには、Oracle RACのノードごとに次のソフトウェアをインストールする必要があります。

  • Oracle RACのサポートに必要なオペレーティング・システムのパッチ。詳細は、Oracleのリリース・ノートを参照してください。

  • Oracle 11gデータベース管理システム『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。

  • オペレーティング・システム用のクラスタリング・ソフトウェア。サポートされるクラスタリング・ソフトウェアとクラスタ構成については、Oracleドキュメントを参照してください。

  • Veritas Cluster File Systemなどの共有ストレージ・ソフトウェア。クラスタリング・ソフトウェアの中にはファイル・ストレージ・ソリューションが組み込まれているものがあり、その場合は共有ストレージ・ソフトウェアを追加する必要がありません。


    注意:

    最新のWebLogic Serverハードウェア・プラットフォームとオペレーティング・システムのサポート、およびWebLogic Serverの各種バージョンとサービス・パックによりサポートされるOracle RACバージョンについては、『Oracle WebLogic Serverの新機能』のサポートされる構成に関する項を参照してください。Oracle RACソフトウェアの実行に必要なハードウェア要件およびソフトウェア要件については、Oracleドキュメントを参照してください。

JDBCドライバ要件

WebLogic ServerでOracle RACを使用するには、WebLogic JDBCデータ・ソースでOracle JDBC Thinドライバ11gを使用してデータベース接続を作成する必要があります。

ハードウェア要件

標準的なWebLogic Server/Oracle RACシステムには、WebLogic Serverクラスタ、Oracle RACクラスタ、および共有ストレージ用のハードウェアが組み込まれています。

WebLogic Serverクラスタ

WebLogic Serverクラスタの構成方法は多数あり、様々なハードウェア・オプションも使用できます。WebLogic Serverクラスタの構成の詳細は、Oracle WebLogic Serverのクラスタの使用に関する項を参照してください。

Oracle RACクラスタ

Oracle RACの最新のハードウェア要件については、Oracle RACドキュメントを参照してください。ただし、Oracle RACをWebLogic Serverで使用するには、Oracle RACインスタンスを強力な、本番品質のハードウェア上で実行する必要があります。Oracle RAC構成によって、合理的に予想されるアプリケーション・ロード要件に適したデータベース処理パフォーマンスが生成される必要があります。データベース応答に異常な遅延が生じると、データベース・フェイルオーバー・シナリオの際に予想外の動作が発生する可能性があります。

共有ストレージ

Oracle RAC構成では、すべてのデータ・ファイル、制御ファイル、パラメータ・ファイルは、すべてのOracle RACインスタンスで使用するために共有されます。次のいずれかのアーキテクチャを使用しているHAストレージ・ソリューションをお薦めします。

  • 直接アタッチ・ストレージ(DAS): デュアル・ポート・ディスク・アレイまたはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)など

  • ネットワーク接続ストレージ

サポートされるストレージ・ソリューションの詳細リストは、Oracleドキュメントを参照してください。

WebLogic ServerでOracle RACを使用するための構成オプション

WebLogic ServerでOracle RACを使用する場合、WebLogicドメインがOracle RACインスタンスと対話でき、適切に実行されるようにするために、WebLogicドメインを構成する必要があります。次の各項では、構成オプションと要件について説明します。

Oracle RACを使用するためのWebLogic Server構成の選択

次の選択肢を考慮します。

  • GridLinkデータ・ソースの使用。『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。

  • グローバル・トランザクション(XA)使用時に複数のOracle RACインスタンスに接続するために、トランザクション対応WebLogic JDBCマルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。このマルチ・データ・ソースは、フェイルオーバーおよびロード・バランシングをサポートしています。詳細は、「グローバル・トランザクションを使用したマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

  • XA不使用時に複数のOracle RAC 11gインスタンスに接続するために、(トランザクション非対応の)マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。フェイルオーバーおよびロード・バランシングをサポートする標準マルチ・データ・ソース構成を使用します。詳細は、「グローバル・トランザクションを使用しないマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。

次の表は、特定のアプリケーションにどの構成が適切か判別するのに役立ちます。

表11-1 Oracle RACを使用するための構成の選択

ロード・バランシングが必要ですか フェイルオーバーが必要ですか グローバル・トランザクション(XA)が必要ですか Oracle RACサービスの使用 参照先

はい

はい

はい

はい

GridLinkデータ・ソースの使用


はい

はい

はい

いいえ

グローバル・トランザクションを使用したマルチ・データ・ソースの使用


はい

はい

はい

はい

Oracle RACノード上のサービスへの接続の構成


はい

はい

いいえ

はい

Oracle RACノード上のサービスへの接続の構成


はい

はい

いいえ

いいえ

グローバル・トランザクションを使用しないマルチ・データ・ソースの使用



WebLogicでは、Oracle Data Guardとマルチ・データ・ソースおよびAGLとの併用をサポートしています。マルチ・データ・ソースと併用する場合は、次の制限事項があります。

  • フェイルオーバー・ポリシーのみがサポートされています。

  • プライマリ・データ・センターでは1つのRACインスタンスのみが許可されています。マルチ・データ・ソースのメンバーである単一の汎用データ・ソースが、プライマリ・データ・センター用に構成されます。SCANを使用する場合は、INSTANCE_NAMEも指定する必要があります。

  • 各スタンバイ・インスタンスに対して、マルチ・データ・ソースのメンバーである汎用データ・ソースを構成する必要があります。SCANを使用する場合は、各インスタンスに対してINSTANCE_NAMEも指定する必要があります。マルチ・データ・ソースのメンバーは、RACクラスタにおいて複数のインスタンスを表すことはできません。

WebLogic ServerでOracle RACを使用する場合の接続の検証

アプリケーションでJDBC 4.0 Connection.isValid APIを使用して接続の実行可能性を検証できます。


注意:

WebLogic Serverは、oracle.ucp.jdbc.ValidConnection.isValidまたはoracle.ucp.jdbc.ValidConnection.setInvalidはサポートしていません。

WebLogic ServerでOracle RACを使用する場合の追加考慮事項

AGLデータ・ソースまたはマルチ・データ・ソースでOracle RACを使用する場合、トランザクションを調整するために、データベース・サービス上の分散トランザクション処理(DTP)属性を使用しないでください。このオプションによって、サービスが常に1つのRACインスタンス上のみで実行されることが保証されます。単一のインスタンスへのトランザクション・アフィニティは、WebLogic ServerによってAGLまたはマルチ・データ・ソースに対して自動的に管理されます。DTPではサービス用のすべてのトランザクションが単一のRACインスタンスに制限されるのとは対照的に、これによってRACクラスタ全体が分散トランザクションで使用可能になります。