承認プロセスについて
日常業務として行うタスクの多くは、複数のステップで構成される大きなプロセスの一部であり、複数の人がそのタスクに携わっています。ワークフローという用語は、このプロセスを表しています。このプロセスには、休暇リクエストの承認などが含まれる場合があります。このようなマルチユーザー プロセスを容易にすることを目的として、PeopleSoft ではワークフロー通知を自動的に起動して、作業待機プロセスの次の承認者への通知を行います。
承認フレームワークは、承認プロセスの作成、実行および管理機能を備えたエンジンです。このエンジンは、アプリケーション コンポーネント設定と組み合わせて一連のデータベース オブジェクトを使用し、ワークフローを用いて承認を処理する方法を決定します。
承認フレームワークは、HCM および他の製品ファミリー内の複数の PeopleSoft アプリケーションで共有されている共通コンポーネントです。このエンジンは幅広く使用されているため、このエンジンに関するドキュメンテーションはさまざまな場所で提供されています。
- 『承認フレームワーク』では、承認フレームワークの設定について詳しく説明しています。 - これは、承認ワークフローに関する主要な資料です。 
- 『アプリケーションの基礎』では、HCM 製品ラインに固有の承認フレームワークの設定手順および詳細について説明しています。 
- アプリケーション固有の HCM ドキュメンテーションでは、特定のビジネス プロセスに関連する承認ワークフローの詳細を示すことで、上記の内容全てについてさらに詳しく説明しています。 
導入の前に全ての適切な情報ソースに目を通して、それぞれの情報がどのように関連するかを完全に理解するようにしてください。
PeopleSoft 休暇管理では、休暇管理プロセス ID を提供しています。1 つの承認プロセス ID に複数の承認定義 ID を追加できます。複数の承認シナリオをリンクすることができます。自己承認されるものもあれば、1 つの承認プロセス ID に対する 1 つまたは複数のユーザー リストに含まれる承認者によって 1 レベル、2 レベル、またはそれ以上の承認レベルを必要とするものもあります。この機能を使用すると、承認シナリオを簡素化して、複数の承認プロセス ID に対する管理を軽減することができます。
セルフサービスおよび延長休暇リクエストの承認
セルフサービスおよび延長休暇リクエストに以下のシステム提供の承認定義 ID を使用します。
- AbsenceMgmtByDeptManager 
- AbsenceMgmtByPosMgmt 
- AbsenceMgmtByPosnDeptMgr 
- AbsenceMgmtByPosnSupervisor 
- AbsenceMgmtBySupervisorId 
- AbsenceBySupervisorMulti 
休暇欠勤イベントの作成者がリクエストを送信すると、「休暇取得エレメント別のセルフ サービス休暇欠勤ルールの定義」 (PeopleSoft 休暇管理) で定義された管理ルールに基づいて、承認が使用されているかどうかが確認されます。承認の必要がない場合は、休暇欠勤ページの [承認プロセス ID] フィールドと [承認定義 ID] フィールドは空白のままになります。また、独自の承認定義 ID を設定して、休暇欠勤イベントを自動的に自己承認することもできます。これらのフィールドに値が入力されている場合は、承認プロセスが開始されます。
承認プロセスの最初の手順では、トランザクションの最初の承認者を特定します。この承認者は、承認プロセス定義に基づきます。承認者が特定されると、承認待ちの休暇があることを示す通知が送信されます。承認者は以下を行うことができます。
- 休暇の承認。承認プロセスの次の承認者が指定されている場合は、その承認者に通知が送信されます。 
- 休暇の却下。承認プロセスが終了します。休暇の作成者は、休暇が却下されたことを示す通知を受信します。 
- 休暇の差戻し。休暇の作成者は、休暇に留意が必要であることを示す通知を受信します。 - 注: 差戻しは、休暇が承認パスの最初の承認者を通過するまでに、承認者に有効なアクションです。いったん 2 番目以降の承認者が休暇を差し戻すと、最初の承認者は休暇を差し戻すのではなく、却下する必要があります。休暇を却下する場合は、最初の承認者はコメント フィールドに常に理由を入力することをお勧めします。 
最初の承認者を特定できない場合、承認プロセスは 2 番目の手順に進みます。
以降の承認プロセスの手順では (複数の承認レベルが定義されている場合)、休暇の次の承認者が指定されている場合は、その承認者を特定します。次の承認者が特定されると、承認を必要とする休暇があることを示す通知がその承認者に送信されます。次の承認者は以下を行うことができます。
- 休暇の承認。承認対象の休暇欠勤イベントのステータスが更新され、承認プロセスが終了します。 
- 休暇の却下。承認プロセスが終了します。休暇欠勤イベントの作成者は、休暇欠勤イベントが却下されたことを示す通知を受信します。 
- 休暇の差戻し。休暇欠勤イベントに関連付けられている最初の承認者に通知が送信され、休暇欠勤に留意が必要であることが通知されます。 - どの承認手順の条件も満たさない場合は、承認管理者に通知が送信され、留意が必要な休暇欠勤イベントがあることが通知されます。 
画像: 休暇リクエストの承認プロセスの流れ
次の図は、承認プロセスの流れを示しています。

注: 提供されている承認プロセスの中で、2 つの承認レベルを持つのは、承認プロセス ID が AbsenceManagement であるもののみです。その他の承認プロセスの承認レベルは 1 つです。提供されている承認プロセスが組織のニーズに合わない場合は、独自の承認プロセス ID を作成するか、社内ポリシーにより良好に適合する承認定義 ID にステップを追加することができます。
管理者が入力した休暇の承認
「休暇欠勤イベントの入力、管理、および承認」 (PeopleSoft 休暇管理) を使用して管理者が入力した承認に、以下のシステム提供の承認定義 ID が使用されます。
- AbsenceMgmtByDeptManager 
- AbsenceMgmtByPosMgmt 
- AbsenceMgmtByPosnDeptMgr 
- AbsenceMgmtByPosnSupervisor 
- AbsenceMgmtBySupervisorId 
- AbsenceBySupervisorMulti 
- Administrator-AutoApprove 
- Administrator_RouteTo 
管理者は、休暇リクエストの送信時に次の 4 つの送信オプションのいずれか 1 つを選択します。
- [自動承認]: このオプションでは、Administrator-AutoApprove 承認定義を使用して、送信された休暇リクエストが自動的に承認されます。 
- ユーザー ID への転送: このオプションでは、Administrator_RouteTo 承認定義を使用して、送信された休暇リクエストが特定の承認者に転送されます。 
- [ロールへの転送]: このオプションでは、Administrator_RouteTo 承認定義を使用して、送信された休暇リクエストが特定のロールに転送されます。 
- [休暇付与名デフォルトを使用]: このオプションでは、「休暇取得エレメント別のセルフ サービス休暇欠勤ルールの定義」 (PeopleSoft 休暇管理) で休暇取得に対して定義された承認ルールおよび承認定義に基づいて、送信された休暇リクエストが転送されます。 
PeopleSoft では、休暇管理の承認トランザクションの設定に使用する以下のイベントおよび電子メール通知テンプレートを提供しています。
| イベント | テンプレート名 | 
|---|---|
| 最終承認時 | GP_ABS_SS_APPR | 
| 差戻し | GP_ABS_SS_WRK | 
| 最終却下時 | GP_ABS_SS_DNY | 
| エラー時 | GP_ABS_SS_ERR | 
| プロセス起動時 | GP_ABS_SS_SUB | 
| 承認に回すとき | GP_ABS_SS_APPR_READY | 
| 終了時 | GP_ABS_SS_WRK | 
注: 以上のテンプレートが提供されています。修正が必要な場合は、『アプリケーションの基礎』を参照してください。提供されているイベントを修正することはできません。これを修正すると、休暇欠勤セルフ サービス アプリケーションが正しく機能しなくなります。承認フレームワーク、PeopleCode および休暇欠勤セルフサービスについて十分に理解している場合は、この設定を修正してもかまいません。
承認プロセスは、ステージ、パス、ステップ、ユーザー リスト、および条件から構成されています。
- ステージ - ステージとは、承認プロセスにおいて特定の順番で実行する高レベルのアクションです。ステージは、1 つ以上のパスから構成されます。 - AbsenceMgmtByDeptManager、AbsenceMgmtByPosMgmt、AbsenceMgmtByPosnDeptMgr、AbsenceMgmtByPosnSupervisor、AbsenceMgmtBySupervisorId および AbsenceBySupervisorMulti では、1 つのステージを使用します。 
- 条件 - 条件では、承認プロセスで使用するルールを定義し、ステージやステップの実行の有無を指定します。 
- パス - パスは、ステップの順番です。 - AbsenceMgmtByDeptManager、AbsenceMgmtByPosMgmt、AbsenceMgmtByPosnDeptMgr、AbsenceMgmtByPosnSupervisor、AbsenceMgmtBySupervisorId および AbsenceBySupervisorMulti では、1 つのパスを使用します。 
- ステップ - ステップは、休暇欠勤イベントの承認や評価を担当する 1 人以上のユーザーを表しています。パス内のステップは、ステップごとの個別の条件で順番に実行されます。ステップを実行するかどうかは、ステップごとに指定します。 
- ユーザー リスト - ユーザー リストでは、休暇欠勤イベント時にアクションを実行するユーザーを指定します。ユーザー リストは、ロール、SQL 定義、クエリー、またはアプリケーション クラスになります。 - AbsenceManagement では、AbsenceBySupervisorId ユーザー リストを使用します。 - Absence Mgmt ByDeptManager では、AbsenceByDeptManager ユーザー リストを使用します。 - Absence Mgmt ByPosMgmt では、AbsenceByPosMgmt ユーザー リストを使用します。 - Absence Mgmt By PosnDeptMgr では、AbsenceByPosnDeptMgr ユーザー リストを使用します。 - Absence Mgmt ByPosnSupervisor では、AbsenceByPosnSupervisor ユーザー リストを使用します。 - Absence Mgmt BySupervisorid では、AbsenceBySupervisorId ユーザー リストを使用します。 - Administrator-AutoApprove では、AM-AutoApprove ユーザー リストを使用します。 - Administrator_RouteTo では、AM_Admin_RouteTo ユーザー リストを使用します。 - 「承認のためのユーザーの定義」 (アプリケーションの基礎) を参照してください。 
注: 承認プロセスを定義するには、プロセス定義の設定 (PTAF_PRCS) とトランザクション登録 (PTAF_TXN) コンポーネントを使用します。