個人構造とポジション構造
PeopleSoft ヒューマン リソース管理システムは、個人を基準にする方法とポジションを基準にする方法の 2 とおりで構成および運用することができます。コントロール テーブルで情報を設定する前に、どちらの方法を採用するか決定する必要があります。選択した方法によって、システム内での情報処理方法が異なります。
相違点
個人を基準にして PeopleSoft ヒューマン リソース管理を運用する場合、職務コードを使って職務データをグループに分類します。この職務コードを使って個人データと職務データをリンクします。ポジションを基準に PeopleSoft ヒューマン リソース管理を運用する場合、EEO (雇用機会均等法) や給与調査データなどの一般的なグループ分けや職務分類には職務コードを使いますが、職務コードの中の各ポジションをそれぞれ区別し、個人とこれらのポジションをリンクするのが特徴です。
画像: 個人を基準にした HCM の運用
職務コードの場合は、主に 1 つの職務コードに対して複数の従業員、という関係になります。勤務する部門、場所、会社が異なる場合でも、多くの労働者に同じ職務コードが使われます (次の図を参照)。労働者が携わる職務は、労働者の職務レコードに入力するデータによって判別します。

画像: ポジションを基準にした HCM の運用
これに対して、通常は、1 つのポジションに対し 1 人の従業員という関係が成り立っています。ですが、1 つの職務コードに複数のポジションを設定することもできます。ポジションによって、特定の部門または勤務地における特定の職務についてさらに詳しく管理できます。たとえば、職務コード 1020 の事務アシスタントに対し、それぞれ異なるポジション番号で複数の事務アシスタントのポジションを定義し、ポジション 15 は経理部門、ポジション 16 は人事部門、ポジション 17 はマーケティング部門、ポジション 18 は生産グループとすることもできます。その後、労働者がそれらの個別のポジションに割り当てられます。この方法を次の図に示します。

ポジションを基準としてシステムを運用する場合は、さまざまなポジションの属性を定義し、これらのポジションに労働者を割り当てたりはずしたりします。そのポジションに実際に個人が割り当てられているかどうかにかかわらず、電話番号、郵送先などそのポジションに関する情報を管理します。各ポジションに特有のデータに基づいて、組織計画、採用管理、キャリア プラン、予算編成などを行うことができます。
2 つの方法を区別する理由
ページやテーブルを使っているときは、個人とポジションのどちらを基準にしても大きな違いはありません。ただし、システムによってデータが処理される方法が、どちらを基準にするかによって大きく異なります。2 つの方法のどちらを使うかによって、個人データやポジション (または職務) データを入力および管理する方法とその場所が異なります。
適切な方法を選択するには
システムの運用を個人を基準にして行うか、またはポジションを基準にして行うかを決めるには、以下の事柄を考慮する必要があります。
組織が流動的な場合、つまり労働者を大まかにグループ分けして捉え、新しい職務を頻繁に作成する傾向にある場合は、個人を基準にしてシステムを運用する方が効率的です。
この方法は、組織が絶えず拡張している場合や、新規プロジェクトが立ち上げられ、新しい職務や職務タイプを定期的に作成する必要がある場合に便利です。
組織がかなり安定している場合、つまり職務や職務内容がほぼ固定されており、既存のポジション間で労働者の配属や異動が行われる場合は、ポジションを基準にしてシステムを運用する方が効率的です。
たとえば、官公庁や病院など、実際にポジションに人を配属する前に予算に基づいてポジション計画を決めることが多い場合は、この方法が大変便利です。
組織内の部署やレベルによって効果的な方法が異なる場合は、2 つの方法を併用して PeopleSoft ヒューマン リソース管理を運用することも可能です。
たとえば、会社の一部の部門や管理職レベルではポジションを基準としたシステム運用が効率的で、その他では個人を基準としたシステム運用が効率的な場合があります。その場合、[一部をポジション管理] という設定方法を選択すれば、両方の方法が使えます。
注: どの方法を選択しても PeopleSoft の給与計算システムが影響を受けることはありません。どの方法を使う場合でも、PeopleSoft Payroll for North America または PeopleSoft グローバル ペイロールを使用できます。
年金、給与計算、および福利厚生管理のアプリケーションについて
PeopleSoft Pension Administration を使っている場合、年金受給者 (退職者、受益者、QDRO 代替受給者など) の管理には、労働者管理と同じテーブルを使います。退職者の管理は、ポジションではなく個人 (この場合は受給者) を基準にすると、各受給者に対しそれぞれポジションを設定する必要がありません。現職労働者をポジション基準で管理し、年金受給者を個人基準で管理する場合は、[一部をポジション管理] オプションを使います。
PeopleSoft グローバル ペイロールや PeopleSoft Payroll for North America を使っている場合も同様です。PeopleSoft ヒューマン リソース管理の Manage Base Benefits のビジネス プロセスまたは PeopleSoft Benefits Administration を使用している場合は、システムの一部だけまたは全体をポジションで管理するようにポジション管理のオプションを設定できます。