変換フレームワークについて
サービス オペレーション送信側アプリケーションで使用されるメッセージ構造は、サービス オペレーション受信側アプリケーションのメッセージ構造と異なることがあります。この場合、ターゲット アプリケーションで受信されるようにするには、メッセージを変換する必要があります。HCM 変換フレームワークでは、定義ロジックを使用してメッセージが変換されます。ユーザーが設定した情報を使用し、変換フレームワークにより正しい変換ロジックが適用され、ターゲット アプリケーションの要件に準拠するメッセージが生成されます。
HCM 変換フレームワークを使用すると、PeopleSoft アプリケーション間においても、Oracle、SAP、Siebel などのサードパーティのアプリケーションとの間においても、シームレスな統合が可能になります。変換マップには変換スキーマが関連付けられているため、スキーマを検索して修正することにより、外部の変更に迅速に対応できます。
変換マップ レジストリは、変換マップから構成されます。変換マップでは、ターゲット アプリケーションとソース アプリケーションの両方のメッセージについて、メッセージ プロパティを定義します。変換スキーマは、各変換マップごとに作成します。変換スキーマとは、2 つのアプリケーション間のメッセージ構造のマッピングを定義する XML ドキュメントです。
メッセージがアプリケーションで正常に受信されるよう、変換する必要がある場合は、インテグレーション ブローカーのリレーションシップ コンポーネント (IB_RELATIONSHIP) でメッセージに変換プログラムを割り当てる必要があります。
変換フレームワークでは、6 つの変換プログラムがサポートされています。
HTMF_TR_IA: インバウンド非同期通信
HTMF_TR_IS: インバウンド同期通信
HMTF_TR_ISR: インバウンド同期レスポンス
HTMF_TR_OA: アウトバウンド非同期通信
HTMF_TR_OS: アウトバウンド同期通信
HMTF_ TR_OSR: アウトバウンド同期レスポンス
トランザクションのタイプに基づいて適切な変換プログラムを選択して、メッセージに関連付けます。
変換する必要のあるメッセージがアプリケーションからパブリッシュされると、PeopleSoft インテグレーション ブローカーによってメッセージに関連付けられた変換プログラムが起動されます。変換プログラムによって、ターゲット メッセージに対応する変換マップが決定され、XML 変換言語である XSLT を使用して変換スキーマがメッセージ データに適用されます。変換スキーマでは、ターゲット アプリケーションの要件に合わせて、メタデータまたはメッセージ データそのものを修正できます。変換されたメッセージ データは、PeopleSoft インテグレーション ブローカーによって、ターゲット アプリケーションに構造的に準拠する XML ドキュメントに再パッケージされます。この後、インテグレーション ブローカーによって、このメッセージを受信アプリケーションに送信できます。
画像: 変換フレームワークを使用したデータ変換
次の図は、HCM 変換フレームワークを使用したデータ変換における、1 つのアプリケーションから別のアプリケーションへのデータの流れを示しています。

『PeopleTools: PeopleSoft Integration Broker』の「Applying Filtering, Transformation and Translation」を参照してください。
変換スキーマを作成する前に、アプリケーション データをパッケージするために PeopleSoft インテグレーション ブローカーで使用される XML ドキュメントの基本フォーマットについて理解しておくことをお勧めします。
<?xml version="1.0"?> <PeopleSoftMessageName> <FieldTypes> <RecordName1 class="R"> <fieldname1 type="CHAR"/> <fieldname2 type="NUMBER"/> ... </RecordName1> <RecordName2 class="R"> <fieldname1 type="CHAR"/> <fieldname2 type="NUMBER"/> ... </RecordName2> ... </FieldTypes> <MsgData> <Transaction> <RecordName1 class="R"> <fieldname1>Fieldvalue</<fieldname1> <fieldname2>Fieldvalue</<fieldname2> ... <RecordName1> <RecordName2 class="R"> <fieldname1 type="CHAR"/> <fieldname2 type="NUMBER"/> ... </RecordName2> <PSCAMA class="R"> <AUDIT_ACTN>ActionCode</AUDIT_ACTN> </PSCAMA> ... </Transaction> ... </MsgData> </PeopleSoftMessageName>
このフォーマットは、ターゲット アプリケーションへ送信されるために、XML ドキュメントにパッケージされます。変換フレームワークでサポートされている変換プログラムのうちの 1 つをメッセージに関連付けておくと、この変換プログラムによって適切な変換マップが指定され、メッセージに変換スキーマが適用されて、メッセージ構造が修正されます。メッセージは修正された形式で XML ドキュメントに再パッケージされ、送信されます。
注: 変換プログラムは、変換フレームワークによってサポートされている必要があります。サポートされたプログラムのみ、変換マップと連動して処理できます。変換フレームワークとは無関係に、設定済みのアプリケーション エンジンまたは XSLT 変換プログラムも関係定義の一部として追加できます。
変換プログラムでは、標準メッセージ構造の以下のエレメントを修正できます。
フィールドまたはコントロール |
定義 |
---|---|
PeopleSoftMessageName |
アプリケーション デザイナを使用して PeopleSoft に定義されたメッセージの名称。 変換プログラムにより、メッセージ名を変更できます。 |
FieldTypes |
レコードとそのフィールドのメタデータ。 変換プログラムにより、ターゲット アプリケーションで必要なフィールドを選択して、その名称を変更できます。 |
Transaction |
レコードとそのフィールドのデータが含まれ、階層に構成されたもの。各レベルのレコード タグには、そのレコードのフィールドが含まれます。 変換プログラムにより、ターゲット サービス オペレーションで必要な 1 つまたは複数のレコード サブセットとそのフィールドを選択するか、またはフィールドのサブセットを 1 つだけ選択して、その名称を変更できます。 |
PSCAM (PeopleSoft 共通アプリケーション メッセージ属性) |
トランザクション全体に関する情報を提供する、トランザクション内の最後のレコード。PSCAMA レコードには、全てのメッセージで共通するフィールドが含まれます。<PSCAMA> タグは、メッセージのトランザクション セクションの各レベルの各行について繰り返されます。送信者は PSCAMA フィールドを設定して、メッセージ言語や行のトランザクション タイプなど、メッセージに関する基本情報を指定できます。 変換プログラムにより、この構造がターゲット メッセージ構造にコピーされます。 |