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複数雇用レコード

1 つの雇用データで同時に複数の職務を兼任している労働者についての処理をするには、PeopleSoft のヒューマン リソース管理、Benefits Administration、Payroll for North America、および Pension Administration 内で、特別な機能が必要となります。組織内で 1 人の従業員が複数の職務を兼任できるようにするためには、以下の処理が必要です。

次の各トピックでは、以下の項目について説明します。

複数雇用レコードを使用しなくても、複数の雇用レコード番号を持つ場合があります。

以下の場合は、複数雇用レコードを使用しません。

  • 非従業員と従業員の雇用データがある。

    2 つの雇用データに、それぞれ固有の雇用レコード番号によって識別される職務レコードがある。

  • 主要職務と臨時職務があり、主要職務を一時停止している。

以下の場合は、複数雇用レコードを使用します。

  • 非従業員または従業員のアクティブな雇用データが複数ある。

  • 主要職務と追加配属があり、主要職務を一時停止していない。

注: 複数雇用レコードの処理は、関係者の職務レコードには適用されません。

複数雇用レコードの例として、次のような種類があります。

複数雇用レコードの種類

説明

兼任職務 (別個の雇用データ)

  • 複数の正規雇用関係を追跡管理します。

  • 各雇用データは完全に別個であり、一方の雇用が終了しても他方の雇用データに影響はありません。2 つの雇用レコード間に関連付けはありません。

  • 各雇用データは、異動区分 HIR (採用)、非従業員の場合は異動区分 ADD (非従業員の追加) で作成されます。

  • 各雇用データは、正規契約または臨時契約にすることが可能です。

  • 各雇用データは、固有の給与計算と給与データを持ちます。支給は、"一方"、"両方"、"なし" が可能です。

  • 福利厚生レコード番号を使用して、福利厚生データを結合できます。

  • PeopleSoft のマッチング処理には、両方の雇用レコード番号を使用できます。

  • 両方の雇用レコードがアクティブです。

追加職務

  • 追加職務 (追加雇用レコード) は、正規職務 (雇用データ) に関連付けられます。新規の雇用レコードは、既存の雇用レコードに関連付けられます。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) は、異動区分 ADL (追加職務) で作成されます。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) がアクティブになるのは、主雇用レコードがアクティブ (アクティブ、休職、休職 (有給)、停職、短期休暇) の場合だけです。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) は、主雇用レコードが終了すると自動的に終了します。新規の雇用レコードがアクティブになるのは、既存の雇用レコードがアクティブな期間のみです。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) は、主雇用レコードのステータスがアクティブな期間中であれば終了と再開が可能です。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) の雇用形態タイプは、主雇用レコードと同じにする必要があります。

  • 追加職務 (追加雇用レコード) は、必要に応じて別の新規の雇用データに移管できます (元の雇用データへの関連履歴は失われます)。

  • PeopleSoft のマッチング処理には、両方の雇用レコードを使用できます。

  • 支給は、"一方"、"両方"、"なし" が可能です。

  • 両方の雇用レコードを同時にアクティブにできます。

海外赴任

  • 従業員の本国での (正規) 職務を維持したまま、臨時職務を追跡管理します。

  • 車両、扶養家族、学校、住居、旅費の詳細、副収入および控除を追跡管理する追加情報が提供されます。

  • 追加職務 (赴任先の職務) は、本国の職務に関連付けられます。新規の雇用レコードは、既存の雇用レコードに関連付けられます。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) は、異動区分 ASG (赴任) で作成されます。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) がアクティブになるのは、本国の主雇用レコードがアクティブな場合のみです。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) は、本国の主雇用レコードが終了すると自動的に終了します。既存の雇用レコードが終了すると、同じ日付で赴任先の雇用レコードも終了します。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) は、主雇用レコードのステータスがアクティブな期間中であれば終了と再開が可能です。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) は、雇用形態が従業員の場合にのみ使用できます。

  • 赴任先の職務 (追加雇用レコード) は別の新規の雇用データに移管できますが、海外赴任管理の実際の雇用レコード内を除き、本国の元の雇用データとの関連履歴は失われます。

  • 赴任先の職務は、固有の給与データを持ちません。

  • マッチングには両方の雇用レコードを使用できます。

  • 両方の雇用レコードがアクティブです。

臨時職務

  • 従業員の正規職務を維持したまま、臨時職務を追跡管理できます。

  • 元の雇用レコードのデータは臨時職務の雇用レコードにコピーされ、元の雇用レコードのステータスは一時停止になります。一時停止中の職務の雇用レコードに対して、ポジションの現職者更新などの変更を加えることは可能ですが、給与計算を実行することはできません。支給は臨時職務の雇用レコードに対してのみ行われます。

  • 臨時職務の雇用レコードのデータは、元の雇用レコードにロードされます。

  • 臨時職務が終了すると、一時停止していたデータが元の雇用レコードにコピーされ、有効日が最新の日付に更新されます (コピーされるのは最新の有効日の行のみで、給与の一括変更などの変更履歴は、一時停止していた雇用レコードに保持されます)。

  • 既存の雇用レコードのデータは、臨時職務の期間中は一時停止します。

次の表は、複数雇用レコードの種類、および既存の職務と兼任職務の関係について示しています。

新規の職務タイプ

両方の職務がアクティブ

主要職務 (本国の職務) をアクティブにする必要あり

両方の職務に対して支給可能

職務履歴

職務ステータスの自動プロセス

キャリア マッチング プロセスに両方の職務を利用可

新規雇用レコード (雇用データ)

はい

該当せず

はい

個別

いいえ

はい

追加職務

はい

はい

はい

個別

主要職務 (主雇用レコード) が終了すると、追加職務 (追加雇用レコード) が終了

はい

海外赴任

はい

はい

本国のみ

個別

本国の職務 (主雇用レコード) が終了すると、赴任先の職務 (追加雇用レコード) が終了。

はい

臨時職務

はい

いいえ - 臨時職務のみ

臨時職務のみ

臨時職務のデータは職務履歴で取得

臨時職務 (追加雇用レコード) が終了すると、一時停止していた職務 (主雇用レコード) が自動的に再開。

いいえ

複数雇用レコード」を参照してください。

例: 複数雇用レコードを持つ個人の場合

画像: Jan Smith の 1996 年 5 月 1 日から 2000 年 2 月 1 日までの職務レコード

1999 年 2 月 1 日に Jan Smith の非従業員としての雇用形態が開始された時点で、Jan Smith には複数雇用レコードがありません。彼女には、従業員と非従業員のアクティブな職務レコードがあり、システムではそれぞれの雇用レコード番号で区別しています。

2000 年 2 月 1 日に彼女が非従業員として子会社でコンサルティングの職務を 1 年間担当した後、管理者は、その職務を正規の職務にすることを決定しました。そのためには、元の職務レコードとは別に従業員の職務レコードを新しく作成する必要があります。現在は、Jan Smith には複数雇用レコードがあります。

次の図は、2000 年 2 月 1 日の変更後の Jan Smith の雇用形態と職務レコードを示しています。既存の従業員情報と非従業員情報の横に、2 番目の従業員情報が追加されています。2 番目の従業員情報は、固有の雇用レコード番号とイベント履歴を持ちます。

Jan Smith の 1996 年 5 月 1 日から 2000 年 2 月 1 日までの職務レコード

労働者が複数の職務を兼任している場合、各職務に職務データ レコードを設定する必要があります。職務を追加入力する際には、以下の 2 つの事柄について決定する必要があります。

  • レポート作成時、労働者の複数の職務のうち、どの職務を主雇用レコードとするか。

    主雇用レコードの指定は必須ではありませんが、法定書類提出時に必要な正確な差別撤廃措置統計やその他のデータを確実に管理するために指定する場合があります。

  • 1 つの福利厚生プログラムを労働者の複数の職務に対して共有させるか、または別の福利厚生プログラムをそれぞれ設定するか。

    職務と福利厚生プログラムの組合せについては、自由に選択できます。

また、PeopleSoft ヒューマン リソース管理では、労働者の既存の職務の処理方法と同じ方法で追加職務が処理されます。

複数の兼任兵役ランクの管理

PeopleSoft では、人事・労務管理の職務データで複数の兼任職務の雇用レコードを追跡管理できます。軍隊組織では、1 人の軍人が兼任職務を持つ場合に複数の兼任ランクが維持管理されます。この機能では、以下の例の 1 つまたは各例を組み合わせることにより、組織で複数の職務とランクを追跡管理できます。

  • 兼任職務 (新規の雇用データ) - 複数の雇用データは独立しており、相互に関連付けられません。

    たとえば、1 人の職員が 2 つの部局で職務を担当している場合、それぞれの部局で個別のポジションを持つことになります。これは職員のポジションでは一般的です。

  • 追加職務 - 新規の雇用レコードは、既存の雇用レコードに関連付けられます。追加職務 (追加雇用レコード) がアクティブになるのは、主雇用レコードがアクティブな場合のみです。

    たとえば、洋上哨戒機の乗務員が同部隊内で安全士官も兼任する場合がこれに該当します。この場合、この軍人は同じ部隊で 2 つの職務を持つことになり、これは "副次任務" と呼ばれます。

  • 臨時職務 - 従業員の正規職務を維持したまま、臨時職務を追跡管理します。正規職務のデータは臨時職務にコピーされ、正規職務のステータスが一時停止になります。臨時職務が終了すると、一時停止していた雇用レコードが再開され、臨時職務の開始前の状態になります。

    たとえば、軍人が特定の任務や訓練のために原隊を離れ、終了後に原隊の任務に復帰する場合がこれに該当します。

PeopleSoft ヒューマン リソース管理の基本福利厚生ビジネス プロセスにおける複数雇用レコードの使用については、以下のような事項を考慮します。

  • どの職務を労働者の主要職務、つまり主雇用レコードの職務とするか。

  • どの職務を福利厚生資格の対象職務とするか。また、どのような評価方法で決定するか。

  • どの職務を控除や拠出金の計算に使用するか。

  • 控除や拠出金をどのように計算するか。

  • いつ控除を差し引くか。また、いつクレジットを適用するか。

福利厚生の主雇用レコードの指定

労働者の福利厚生資格を 1 つの職務の雇用レコードに基づいて指定する場合があります。この場合の基となる雇用レコードを主雇用レコードといいます (PeopleSoft ヒューマン リソース管理のレポート用の主雇用レコードとは異なります)。主雇用レコードを使用して、福利厚生に対する給与計算控除が特定の職務に関連付けられることもあります。労働者に対して指定した福利厚生レコード番号 (職務のグループ) には、主雇用レコードとして指定された職務が 1 つ含まれています。

ある個人に職務レコードが作成されると、設定したルールに基づいてその職務に主雇用レコードとしてフラグが付けられます。このフラグは主雇用レコード フラグ ページ (BN_PRIJOBS_MAINT) に保存されます。ある個人に対して別の職務データ レコードを作成するときには、設定されたルールに従ってこのフラグがオンになったり、オフになったりします。

たとえば、大学の教授、大学の学部長、および病院の医師を兼任する従業員の主雇用レコード フラグ ページは次のようになります。

職務名

雇用レコード番号

福利厚生レコード番号

主雇用レコード

教授

0

0

オン

学部長

1

0

オフ

医師

2

1

オフ

主雇用レコードのフラグは以下の目的で使用されます。

  • 控除を差し引く時期の決定。

  • 参照先として使用される勤務開始日と雇用終了日を持つ職務の識別。

労働者の主雇用レコードを指定する際は、有効日が使用されます。この指定は、データ保守用のページからいつでも変更することができます。通常、兼任職務を新しく割り当てたり、既存の職務を終了したりすると、労働者の主雇用レコードの指定に影響します。そのため、これらの異動区分がシステムに入力された際に主雇用レコードを新たに指定し直すルールを定義できます。

その他の異動区分 (常勤からパートタイムへの職務異動など) が選択された場合については、確認のためワークリストへの入力データが PeopleSoft ワークフローに従って福利厚生管理に送信されるよう指定することもできます。

福利厚生資格決定のための職務のグループ化

労働者が複数の職務を兼任している場合、その兼任職務の組合せによって、受給資格を得ることができる福利厚生が異なってくる場合があります。逆に、ある特定の職務を持っているというだけで、ある特定の福利厚生の受給資格が得られることもあります。

複数の職務を兼任する場合には、福利厚生レコード番号という概念が役立ちます。労働者に複数の福利厚生 (または複数の福利厚生プログラム) の資格がある場合には、グループ化された 1 つまたは複数の職務ごとに、労働者をこれらの福利厚生に登録します。福利厚生資格を決定し、登録するために福利厚生レコード番号というしくみを使用して兼任職務をグループ化します。

福利厚生への全ての登録は特定の福利厚生レコード番号で識別されます。

兼任職務の最大数

1 人の労働者には、全ての福利厚生レコード番号で最大 50 件の職務を兼任させることができます。PeopleSoft Payroll for North America では 1 つの給与小切手につき 50 個の福利厚生レコード番号しか処理できません。

福利厚生控除額の計算

資格決定に使用したのと同じグループ化の方法を、控除額の計算にも利用できます。職務をグループ化して、労働者の給与に基づいた控除額を計算することができます。通常、このようなグループ化には、労働者の給与や給与レートに基づいた、生命/傷害保険プランの補償額や関連する保険料の計算が伴います。以下に基づいて補償額と控除額を計算します。

  • 主雇用レコードの給与。

  • 職務グループの給与合計。

福利厚生レコードに主雇用レコードを指定する際には、この福利厚生レコードに関連付けられた全ての福利厚生控除がこの雇用レコードにリンクされます。福利厚生控除は、リンクされた主雇用レコードに対する給与からのみ差し引かれます。このため、グループ内の個々の職務の給与が異なる周期で支給されたり、別々の給与小切手で支給される場合でも、適切な周期で控除が差し引かれるようになります。

全ての福利厚生レコード番号の職務の給与を 1 つにまとめる場合、各福利厚生レコード番号に割り当てられた福利厚生控除額は、それぞれ別々の明細行に印刷されます。

法定拠出限度額の適用

貯蓄プランの拠出金に法定限度額を適用する場合、拠出額が制限されているプランに関連する職務だけでなく、当該労働者が兼任する複数の職務に対する支給額と控除額も、全てその対象と見なされます。

遡及控除および賦課給与調整処理では、特定期間の控除額が再評価されます。福利厚生と一般控除の登録、職務経歴、および主雇用レコードの割当など、データベースの最新のデータを使用して控除額が再計算され、前に計算され差し引かれた控除額と比較されます。

控除額の計算では、主雇用レコード インジケータが重要な役割を果たします。既に確定されている支給期間に影響を与える変更が主雇用レコードに対して行われた場合、その変更に支給周期の変更が含まれていると、この期間に対して前に計算されたものとは異なる控除額が算出されることがあります。遡及控除および賦課給与調整処理中には、調整期間の主雇用レコードの履歴に対する控除額は計算されません。

対総額比率による控除限度

計算ルールは、福利厚生控除に適用される対総額比率の限度を使用して設定することができます。さらに、給与レート テーブルで、この対総額比率の限度適用の対象となる控除部分を指定することができます。つまり、異なる福利厚生レコード番号を持つ複数職務からの支給を 1 つの給与小切手にまとめることができるようになったので、計算される支給総額が、複数職務を 1 つの給与小切手にまとめなかった場合と異なる場合があります。

対総額比率の限度を控除額に適用する場合には、限度比率の適用対象となっている控除を持つ福利厚生レコード番号の職務の支給総額が使用されるのではなく、給与小切手にある支給総額が使用されます。このため、計算された控除額が、以前の計算方法 (複数職務を 1 つの給与小切手にまとめなかった計算方法) で計算された控除額と異なる場合があります。

複数雇用レコードによる PeopleSoft Benefits Administration への主な影響として、福利厚生資格とイベント トリガへの影響が挙げられます。考慮すべき事項は以下の 2 つです。

  • どの職務を福利厚生資格の対象職務とするか。また、どのような評価方法で決定するか。

  • ある職務に影響する変更を行う場合、どのような方法で他の職務への影響を確認するか。

複数雇用レコードによる資格の決定

資格ルール テーブルを使用して、福利厚生プログラムまたはオプションへの登録に対して労働者が組織のルールを満たしているかどうかが決定されます。資格ルール テーブルは、以下の 3 つの主なコンポーネントから構成されています。

  • 資格条件。

  • グループ方法。

  • 評価方法。

各コンポーネントは、資格ルール テーブル内の資格フィールドに関連付けられています。資格条件フィールドでは、資格の有無を決定するデータの値が定義されます。[グループ方法][アクティブな職務のみを検討] の各フィールドと、主雇用レコード テーブルにある [主雇用レコード] および [資格に含む] の各チェック ボックスの状態を全て参照して、評価対象の職務を決定します。最後に、評価方法コンポーネントで、職務グループに対する評価方法が指定されます。

複数雇用レコードを使用する際には、グループ方法を指定します。以下のグループ方法の値により、従業員に資格がある福利厚生の評価がシステムで行われるときに、どの職務を評価の対象にするのかを指定できます。

フィールドまたはコントロール

定義

全てのフラグ付職務

主雇用レコードで [資格に含む] が選択されている全ての職務がグループ化されます。全ての福利厚生レコード番号に対して選択されます。

福利厚生レコード フラグ付職務

当該イベントの福利厚生レコード番号内で選択されていて、主雇用レコードで [資格に含む] が選択されている全ての職務がグループ化されます。

福利厚生レコードの主雇用レコード

当該イベントの福利厚生レコード番号内の主雇用レコードのみが対象となります。

どの職務をグループ化の対象にするかを決定する際には、資格ルール テーブルの [アクティブな職務のみを検討] チェック ボックスも確認されます。このチェック ボックスがオンになっている場合、グループ方法に [全てのフラグ付職務] または [福利厚生レコード フラグ付職務] が選択されていて、Empl_Status (従業員ステータス) が A、L、P、W、S のアクティブな職務のみが対象となります。

資格ルール テーブルには、他に評価方法というコンポーネントがあります。以下の評価方法の値により、グループ方法で選択された職務を資格条件と照らし合わせて従業員が資格ルールに適合しているかをどのように評価するかについて管理できます。

フィールドまたはコントロール

定義

グループ内の一部

グループで少なくとも 1 つの職務がルールに適合する必要がある場合。

グループ内の全て

グループの全ての職務がルールに適合する必要がある場合。

合計

グループの全ての職務の資格フィールドのデータ値を合計した結果がルールに適合する必要がある場合。

福利厚生レコード番号 0 を対象にし、FTE (常勤換算) ファイルの資格ルールが次のとおりであるイベントを処理する場合、職務を 3 つ持っている従業員の資格の例を次の表に示します。

  • FTE の下限が 1 であること。

  • グループ方法[全てのフラグ付職務] であること。

  • [アクティブな職務のみを検討] チェック ボックスがオンになっていること。

職務

雇用レコード番号

福利厚生レコード番号

主雇用レコード

資格に含む

控除に含む

FTE

教授

0

0

はい

はい

はい

.50

学部長

1

0

いいえ

はい

はい

.25

医師

2

1

はい

はい

はい

.25

全ての職務がアクティブであるため、グループはこれらの職務全てから構成されます。これらの職務についての FTE を加算すると 1.0 になるため、この従業員は資格ルールに適合しています。

グループ方法が全てのフラグ付福利厚生レコードであるとします。Empl_Rcd (雇用レコード) が 0 と 1 の職務が評価されます。評価対象となっているこれらの職務の FTE の合計は 0.75 になるため、資格条件を満たしていません。

福利厚生クレジットと主雇用レコード

PeopleSoft Benefits Administration では、福利厚生のクレジットは、福利厚生レコード番号に該当する雇用レコード番号の追加支給データのテーブルに転記されます。福利厚生レコードの主雇用レコードに対する支給が現在計算中の給与小切手によって支払われる場合に限り、給与計算の間に福利厚生の控除データがロードされます。同様に、福利厚生クレジットの追加支給のロード中には、特定の福利厚生レコードに対する雇用レコード番号に転記されたクレジットのみが、福利厚生レコードの主雇用レコードのペイシートにロードされます。

つまり、給与計算では、特定の職務の処理の実行中に、その職務のデータが関連する福利厚生レコード番号の主雇用レコードであるかどうかが決定されるということになります。主雇用レコードであった場合、たとえば、追加支給理由 = BAS (当該福利厚生レコードに割り当てられている全ての Empl_Rcd に対して適用) のような福利厚生クレジットの値を持つ追加支給データが検索されます。

検索されたデータは全て給与小切手にロードされます。これが主雇用レコードのデータでない場合は、給与小切手に福利厚生クレジットは追加されません。この結果、控除額は二重に差し引かれず、福利厚生のクレジットは対応する控除額と同じ給与小切手に表示されることになります。

複数雇用レコードによるイベントのトリガ

主雇用レコードを使用すると、特定の福利厚生レコード番号に対するイベントの処理が実行されます。イベントの処理を実行するには、福利厚生システム フラグを BA (Benefits Administration) に設定しておく必要があります。主雇用レコードによって、この処理スケジュールに対する会社コードと福利厚生グループ ID のデータが指定されます。

以下の 3 つの主なイベント カテゴリがあります。

  • 従業員データを直接変更する際にトリガされるイベント。

  • BAS アクティビティ ページで手動で挿入されたイベント。

  • 時間経過イベント。

労働者の主雇用レコードの指定、[資格に含む] フラグ、または [控除に含む] フラグに影響を与えるような変更が労働者の職務データに加えられると、トリガの新規タイプである複数雇用トリガに対する入力データが BAS アクティビティ テーブルに自動的に作成されます。これらのトリガは MJC (複数雇用レコードの変更) という Bas_Action コードによって作成され、特定のイベント クラスがこの Bas_Action コードに設定されていない場合には、その他のイベントに変換されます。主雇用レコード テーブルを変更した結果として作成されるイベントは、その他のイベント (MSC) として処理されます。

これらのトリガ タイプには、全ての福利厚生レコードで福利厚生資格に影響を及ぼすものもあります。たとえば、(TP) トリガ (Pers_Data_Effdt) は、労働者の住所を変更すると作成されます。労働者の住所は、特定の職務 (または福利厚生レコード) に関連付けられていないため、住所の変更がその労働者の福利厚生レコード全ての福利厚生資格に影響する可能性があります。労働者の年齢の変更は、特定の職務に限られたものではありません。この種の変更は、労働者の福利厚生レコード全てに影響を及ぼす可能性があるため、これらのトリガのいずれかが処理されるときに、その労働者の各福利厚生レコードにそれぞれイベントが自動作成されます。時間経過イベントの処理結果として作成される時間経過イベント発生日 (PB) トリガも同様です。

元のトリガによって、各福利厚生レコードにつき 1 つ新規トリガが自動作成されます。自動作成されたトリガを BAS アクティビティ テーブルで参照することはできません。これは、通常これらのトリガが、作成されたときと同じイベント メンテナンス実行時に処理されるためです。自動作成されたトリガには新しいイベントがそれぞれ作成され、各イベントのイベント クラスは、元のトリガと同じになります。

その他の自動作成されたトリガは、設定されたオプションの結果として作成されます。資格ルールには、複数の福利厚生レコードを含むグループ方法を指定できるため、別のタイプのトリガを作成するデータ変更が他の福利厚生レコードに影響を及ぼす場合もあります。

たとえば、例に挙げた従業員 (教授/学部長/医師) の職務を 1 つ常勤からパートタイムに変更するとします。3 つの職務を兼任しているため、福利厚生レコードが複数存在します。常勤/パートタイム インジケータを変更した結果、自動的に職務トリガ (TJ) が BAS アクティビティ テーブルに作成されます。このトリガには、変更した職務の雇用レコードとそれに対応する福利厚生レコードが含まれます。全てのフラグ付職務というグループ方法を使用する資格ルールがある場合、つまりいずれかの福利厚生レコードの職務からこの福利厚生レコードの資格情報が提供される場合には、これらのトリガも自動作成する必要があります。このトリガの自動作成をアクティブにする前に、その影響についてよく考えてください。アクティブにした場合、システムの管理および処理に多少のオーバーヘッドが発生します。複数の福利厚生レコードにかかわる資格ルールがある場合には、複数雇用レコード オプション ページの [全ての福利厚生レコードへのアクティビティ トリガの自動作成] グループ ボックスの [職務トリガ]、[時間経過サービス トリガ]、[複数雇用レコード トリガ] の各チェック ボックスをオンにする必要があります。システムにそのような資格ルールが定義されていない場合は、各トリガ タイプに対する自動作成機能をオフにしても問題ありません。

時間経過イベントと複数雇用レコード

勤務情報に基づき決定される資格の場合、その基準は主雇用レコードの勤務開始日になります。特定の福利厚生レコード以外の職務をまとめてグループ化できるため、勤務開始日を基に決定された資格は、特定の福利厚生レコード番号であるかどうかに関係なく主雇用レコードまたはその他の職務のいずれかで設定されます。このため、時間経過による勤務評価を満たす時間経過イベントの処理中に見つかった各職務に対して、それぞれ BAS アクティビティ トリガが作成されます。これらのトリガを PS トリガと呼びます。

再処理イベントのフラグ

このバージョンでは、再処理する必要のあるイベントがより確実に自動識別されるようになっています。以前のバージョンでは、Bas_Activity のトリガが処理されるときに再処理のためのフラグがイベントに付けられ、資格決定のために後で職務データ行または Pers_Data_Effdt 行を使用するイベントが存在しました。以前のバージョンでは、資格決定のための情報として使用されていた職務データ行は 1 つのみでした。このため、主雇用レコードではない職務データ行で標準勤務時間が変更され、標準勤務時間の合計が資格決定に使用されるイベントでは、既存のイベントに再処理の必要がある可能性があることが検出できませんでした。このバージョンのフラグ機能では、トリガで指定された職務データ行が使用された可能性のある従業員のイベント全てを検索し、フラグを付けるようにしました。職務データ行が実際に資格決定の目的で使用されたかどうかの確認はできませんが、再処理の必要なイベントにフラグが付けられないというリスクは回避されています。

複数雇用レコード機能を使用すると、以下の点で PeopleSoft Payroll for North America に影響します。

  • 第 1 支給グループ

    労働者が複数の支給グループの職務を兼任している場合、控除を支給から差し引く時期や、控除の上書きを適用する時期を管理する第 1 支給グループを指定できます。以下に説明する一括支給機能をアクティブにした場合、労働者の第 1 支給グループは、統合されたペイシートが作成される際に支給グループとして使用されます。

  • 一括支給

    PeopleSoft Payroll for North America で複数雇用レコードの一括支給機能をアクティブにすると、同じ会社内で支給グループが異なる複数の職務を兼任する労働者に対して、給料の一括支給ができます。ペイシート計算処理中に、労働者の第 1 支給グループに対して統合されたペイシートが作成されます。このペイシートには、期間終了日、小切手発行日、FLSA 期間 (該当する場合)、および給与計算サイクル (定期/不定期) が同一の全職務についての公正労働基準法 (FLSA) 計算額、税額、福利厚生額、および一般控除額が全て含まれます。職務に関連付けられている給与計算実行 ID および支給周期は、別々でもかまいません。

  • 控除の限度

    一般控除および福利厚生控除の限度は、職務ごとに異なってもかまいません。PeopleSoft Payroll for North America では、控除を差し引くときに職務の現在目標残高が自動的に調整されます。

  • 組合費

    組合費は、対応する組合コードが割り当てられている職務について支給される場合にのみ、支給額から差し引かれます。

  • FLSA 超過勤務ルール

    PeopleSoft Payroll for North America では、控除対象外の労働者に対する FLSA 超過勤務ルールに完全に準拠しています。控除対象外の労働者が、同一組織内で他の控除対象または控除対象外の職務を兼任している場合でも、正しい超過勤務時間が自動的に計算されます。

PeopleSoft Pension Administration では複数兼任職務の使用がサポートされているため、年金給付額の計算に使用される情報の多くを雇用レコード番号 0 だけに限っていません。

複数雇用レコードと資格決定処理

資格決定処理によって、常に 2 つの主な結果が出されます。

  • 労働者に福利厚生年金の受給資格があるかどうかの確認。

  • 有資格期間と無資格期間を表すタイム ライン。

このような結果は、労働者が 1 つの職務のみに就いている場合、その雇用レコードの履歴を調べれば簡単にわかります。労働者が複数職務を兼任している場合は、全ての職務に基づいてプランの資格が決定されます。複数職務のいずれかに資格がある場合には、労働者には特定期間の間、資格があると見なされます。

複数雇用レコードと主雇用レコード

労働者の持つ全てのレコードが検索され、以下のカテゴリ順で最初に一致したレコードが選択されて、主雇用レコードとして割り当てられます。

  1. 上書き

  2. 補償対象のアクティブ

  3. 補償対象の非アクティブ

  4. アクティブ

  5. 非アクティブ

同一カテゴリで複数のレコードが見つかった場合は、そのカテゴリ内で番号が最も小さいレコードが選択されます。

自動的に検出された主雇用レコードをそのまま使用することも、それを上書きして主雇用レコードとする雇用レコードを独自に定義することもできます。上書きは、どの異動区分によって職務がアクティブまたは非アクティブになるかの定義を設定するか、または主雇用レコードの上書き用ページを使用して主雇用レコードとして特定のレコードを指定することによって実行できます。