異動シミュレーションについて
日本の会社では、定期的に組織構造が変更されます。そのため、構造の変更に伴って従業員が新たな役職や部門に異動します。この変更は定期異動 (teiki ido). と呼ばれます。ビジネス環境が急速に変化する中で、組織変更や定期異動は日本のビジネスにおいて不可欠な役割を果たしており、短い周期で行われています。
日本では、ローテーションは従業員の能力開発に不可欠な要素だと考えられています。人事部門は、意図的に一部の従業員を一定期間内に複数の部門に異動させます。この慣行は、会社内の複数の職務に精通したゼネラリストを育成することを目的としています。また、従業員はより多くの経験を積み、会社をより広い視野から捕らえることができます。多くの場合、1 つの部門での滞留期間が、ローテーションする従業員の選択条件となります。異動可能と識別された従業員は、異動候補者と呼ばれます。
日本の多くの会社では、部門人事と本社人事から成る、分割された人事組織構造を採用しています。本社人事とは、規模の大きな会社や会社グループの本社にある人事部門です。部門人事とは、ビジネス ユニット内や事業部内の人事部門です。部門人事は、本社人事 (および各ビジネス ユニット、子会社などの総括管理者) の監督下にあります。
部門人事は、事業部内レベルでの組織方針と従業員配置の変更などを立案し、実施します。部門人事は、作業を終了すると、本社人事に報告をします。本社人事は、会社の方針に基づいて部門間の異動と配置の調整を行います。
玉突き (Tamatsuki) 配置
玉突き (tamatsuki) という語は、"玉" (tama) と "突く" (tsuku) を組み合わせたもので、ビリヤードを意味します。玉突き (Tamatsuki) 配置は、新設されたポストに従業員を配置するときに始まります。既存のポストが空席になり、補充が必要になります。
注: ポストは、部門内の役職 (yakushoku) に相当します。ポジション管理機能で管理される "ポジション" とは異なります。
組織の再編成時には、通常は同じ職務レベルでの玉突き (Tamatsuki) 配置が実施されます。玉突き (Tamatsuki ) 配置は、従業員が異動を要求した場合にも行われることがあります。同じ職務レベルを超えて、より高い役職への配置も行われます。これによって一連の玉突き配置が開始されます。
画像: 玉突き (Tamatsuki) 配置の例
たとえば、浅野氏が新設されたポスト (人事部部長) に配置されると、浅野氏の前職のポストが空席になります。1 人の従業員が 1 つのポストから別のポストに異動し、既存のポストが空席になる結果、連鎖的に他の従業員が同じレベルの類似するポストに配置されます。千葉氏が浅野氏の前職のポストに配置され、遠藤氏が千葉氏の前職のポストに配置され、遠藤氏の前職のポストは廃止されます。
この玉突き (tamatsuki) 配置の例を次の図に示します。

注: この機能では、ビジネス ユニット間の異動はサポートされません。これはビジネス ユニットによってテーブル セットが異なる可能性があるためです。