従業員の社会保険データの準備

この項では、従業員社会保険データの準備の概要について説明します。

ページ名

定義名

用途

「社会保険データ管理 JPN」ページ

GPJP_SC_PYE_DATA

従業員社会保険データを入力および更新します。新規加入者の報酬月額およびその他の社会保険個人情報を入力します。このページを自動的に更新するには、標準報酬月額更新プロセスを実行します。保険者算定の場合は、手動で更新データを入力できます。

「社会保険扶養者情報 JPN」ページ

GPJP_SC_DEP_DATA

受給者の社会保険扶養者情報を管理します。

「社会保険データ管理 JPN」ページで、従業員の報酬月額およびその他の社会保険個人情報を入力または更新します。最初にシステムを設定するとき、または新しい従業員を登録するときは、この情報を手動で入力します。標準報酬月額更新プロセス (GPJP_UPD_REM) を実行すると、報酬月額が自動的に更新されます。その後で、データを編集できます。

有効日について

次のリストでは、標準報酬月額更新プロセスによって入力される随時改定および定時決定の有効日について説明します。

  • 随時改定。

    改定後の標準報酬月額および標準報酬等級の有効日は、随時改定の対象となった給与計算の月の翌月の最初の日になります。

    たとえば、5 月の給与計算の最終決定後に随時改定処理を行い、受給者が随時改定の対象となると、改定後の標準報酬月額および標準報酬等級の有効日は 6 月 1 日になります。6 月の社会保険料は、新しい等級で計算され、7 月の給与計算で受給者の給与から控除されます。

  • 定時決定。

    改定後の標準報酬月額および標準報酬等級の有効日は、9 月 1 日です。9 月の社会保険料は、新しい等級で計算され、10 月の給与計算で受給者の給与から控除されます。

複数雇用レコードに対する標準報酬月額および保険料の計算

複数の職務、つまり雇用レコードから給与を受け取る従業員の場合、法律により、標準報酬月額は、すべての雇用レコードから支給される給与を加算した額になります。標準報酬月額は、対象月の報酬月額に基づいて、随時改定処理または定時決定処理で計算します。給与に対する社会保険料は標準報酬月額に基づいて計算し、「社会保険データ管理 JPN」ページで割り当てた雇用レコード番号によって支給されている給与から控除します。

複数の雇用レコードから賞与を受け取る従業員の場合、標準賞与額は、すべての雇用レコードから支給される賞与を加算した額になります。賞与に対する社会保険料は標準賞与額に基づいて計算し、「社会保険データ管理 JPN」ページで割り当てた雇用レコード番号によって支給されている賞与から控除します。

雇用レコード番号

給与

報酬月額

標準報酬月額

健康保険料

0

300,000 円

400,000 円 (300,000 円 + 100,000 円)

410,000 円

32,000 円 (410,000 円×8%)

1

100,000 円

0

0

0

複数雇用レコードによって給与が支給される場合に、どのように社会保険料を計算するかを設定するには、次の手順に従います。

  1. 次の 5 つのユーザー定義の支給エレメントを作成します。これらのエレメントは、PeopleSoft からは配布されません。

    • 個別支給金銭報酬 (給与): このエレメントは、現金報酬総額 (給与) 累計 ER AC CASH REM SAL で累計する必要があります。

    • 個別支給現物報酬 (給与): このエレメントは、現物報酬総額 (給与) 累計 ER AC NCSH REM SAL で累計する必要があります。

    • 個別支給固定的賃金: このエレメントは、固定的賃金総額 (給与) 累計 ER AC FIX WAGE SAL で累計する必要があります。

    • 個別支給金銭報酬 (賞与): このエレメントは、現金報酬総額 (賞与) 累計 ER AC CASH REM BON で累計する必要があります。

    • 個別支給現物報酬 (賞与): このエレメントは、現物報酬総額 (賞与) 累計 ER AC NCASH REM BO で累計する必要があります。

  2. 手順 1 で設定した支給エレメントをプロセス リストおよびエレメント グループに追加します。

  3. ポジティブ入力を使用して、雇用レコード番号 1 から支給された報酬額を、雇用レコード番号 0 の対応する支給エレメントに入力します。

    雇用レコード番号 0 に対する給与計算プロセスによって、雇用レコード番号 1 と 0 の合計に対する社会保険料が計算されます。

再雇用された従業員の賞与金額に対する健康保険料の計算

受給者の社会保険事業所が変わっていない場合、雇用レコード番号にかかわらず、再雇用された従業員の健康保険料計算のための賞与金額を累計する必要があります。例:

  • 受給者 A は、2007 年 12 月 10 日に賞与 (5,000,000 円) を受け取ります。

  • 受給者 A は、2007 年 12 月 31 日に雇用終了します。

  • 受給者 A は、2008 年 1 月 1 日に「従業員情報の追加」を使用して再雇用されます。

  • 受給者 A は、2008 年 1 月 10 日に賞与 (500,000 円) を受け取ります。

この場合、2007 年 4 月から 2008 年 3 月までの賞与合計金額が 5,400,000 円を超えているので、受給者の 1 月 10 日の賞与からは、100,000 円についてのみ控除する必要があります。

「社会保険データ管理 JPN」ページ (GPJP_SC_PYE_DATA) を使用して、従業員社会保険データを入力および更新します。

新規加入者の報酬月額およびその他の社会保険個人情報を入力します。このページを自動的に更新するには、標準報酬月額更新プロセスを実行します。保険者算定の場合は、手動で更新データを入力できます。

画像: 「社会保険データ管理 JPN」ページ

次の例では、「社会保険データ管理 JPN」ページのフィールドおよびコントロールを説明します。このページのフィールドおよびコントロールの定義は後で説明します。

「社会保険データ管理 JPN」ページ

フィールドまたはコントロール

定義

有効日

このページの情報が有効になる日付を入力します。

給与計算システムとしてグローバル ペイロールを使用し始めた日付より前の日付を指定すると、グローバル ペイロールの計算にはまったく使用されない情報を入力できます。この場合、「社会保険データ管理 JPN」ページの雇用レコード番号と職務テーブルの給与計算システム フラグの整合性は検証されません。

雇用レコード (雇用レコード番号)

社会保険の控除を適用する雇用レコード番号を入力します。社会保険データは、職務テーブル上の現在の給与計算システム フラグがグローバル ペイロールである雇用レコード番号とのみ関連付けることができます。

被保険者資格取得日

従業員が社会保険事業所の被保険者資格を取得した日付を入力します。システムでは、このフィールドは使用されません。かわりに、変更理由が新規加入や再加入になっているデータの有効日が、被保険者資格取得日として使用されます。

変更理由

社会保険の被保険者資格取得/喪失ステータスの管理に使用する値を選択します。値は次のとおりです。

  1. 新規加入: 社会保険料控除の際に、被保険者資格取得日として、このデータの有効日が使用されます。その他社会保険届ファイル作成プロセスでは、資格取得届作成時に、この「変更理由」の行が取得されます。

  2. 再加入: 社会保険料控除の際に、被保険者資格取得日として、このデータの有効日が使用されます。その他社会保険届ファイル作成プロセスでは、資格取得届作成時に、この「変更理由」の行が取得されます。

  3. 資格喪失 (死亡): 被保険者資格喪失日として、このデータの有効日が使用されます。その他社会保険届ファイル作成プロセスでは、資格喪失届作成時に、この「変更理由」の行が取得されます。

  4. 資格喪失 (年齢 - 厚生年金): 被保険者資格喪失日として、このデータの有効日が使用されます (PI)。その他社会保険届ファイル作成プロセスでは、資格喪失届作成時に、この「変更理由」の行が取得されます。

  5. 資格喪失 (その他): 被保険者資格喪失日として、このデータの有効日が使用されます。その他社会保険届ファイル作成プロセスでは、資格喪失届作成時に、この「変更理由」の行が取得されます。

  6. 随時改定: この値は、受給者が随時改定の対象となったときに、標準報酬月額更新プロセスによって設定されます。

  7. 定時決定: この値は、従業員が定時決定の対象となったときに、標準報酬月額更新プロセスによって設定されます。

  8. その他: この値は、社会保険データを変更する場合に使用します。たとえば、新しい有効日付きの行を作成して、健康保険被保険者証番号や厚生年金基金加入員番号を変更できます。たとえば、受給者が産前産後休業を開始または終了するときに、この値を選択できます。

  9. 除外: 社会保険料の控除から除外されます。この値を使用すると、受給者が次の両方の条件に当てはまる場合に社会保険料の控除から除外する雇用レコードを指定できます。

    • 雇用レコード番号が月の途中で変更されている。

    • 受給者の社会保険事業所が変わっていない。

  10. 資格喪失 (年齢 - 健康保険) 受給者が 75 歳に達すると、健康保険 (HI) のみ終了します。ただし、ほとんどの場合、受給者は年齢のために厚生年金プランをすでに終了しています。

  11. 資格喪失 (障害): 受給者が 65 から 74 歳の場合、一定レベルの障害を負ったため、健康保険のみ終了します。受給者の環境および障害のレベルによっては、受給者は厚生年金によってカバーされる場合があります。

  12. 資格喪失後新規加入: 受給者が事業所を終了し、同じ日に別の事業所に加入した場合、「資格取得」 ではなくこの「変更理由」を使用します。システムは、受給者の保険料控除の資格を評価するとき、および資格喪失届を生成するとき、前の日付の行で追跡された事業所を受給者が終了したものとみなします。

  13. 育児休業後改定: 受給者が育児休業から復職したことによる報酬改定の対象になるときに選択します。この値は、標準報酬月額更新プロセスによって使用されます。

控除から除外する雇用レコードが選択されていない場合、複数の雇用レコードから社会保険料が控除されます。雇用レコードが変更される月の前の月の末日が「有効日」になっているデータを作成する必要があります。

注: 「資格喪失 (年齢 - 厚生年金)」「資格喪失 (年齢 - 健康保険)」および「資格喪失 (障害)」は、レポート用にのみ使用されます。システムは、受給者の年齢と、「健康保険を除外」チェック ボックスが選択されているかどうかに基づいて、受給者の保険料控除の資格を判定します。その他の喪失の値は、資格の評価とレポートの生成の両方に使用されます。

社会保険事業所番号

ここで選択した事業所に対して定義されている保険料率が、この従業員の保険料の計算に使用されます。

産前産後休業

従業員が育児休業中の場合、このチェック ボックスを選択します。システムは、育児休業では従業員の社会保険料を控除しません。

さらに、このチェック ボックスの選択が解除されている行をシステムが検出し、受給者のレコードにこのチェック ボックスが選択されている以前の有効日行が含まれる場合、社会保険報酬月額ロード プロセスは受給者が育児休業から復職したものと判断します。

パートタイム

従業員がパートタイム従業員の場合、このチェック ボックスを選択します。定時決定処理での報酬月額総額の計算時や、算定基礎届の作成時に、この値が使用されます。

報酬月額

「変更理由」「新規加入」「再加入」または「資格喪失後新規加入」の場合、この値が金銭報酬月額および現物報酬月額の合計額として使用されます。

標準報酬月額更新プロセスを実行すると、この値が更新されます。計算期間中に従業員の遡及支払い調整がある場合、修正平均報酬月額が入力されます。

この値を基にして、従業員の標準報酬月額および標準報酬等級が決定されます。

報酬月額 (金銭) (金銭報酬月額)

受給者の加入時の金銭報酬月額の予定額を入力します。システムは、このフィールドを使用して「報酬月額」を生成します。このフィールドは、「変更理由」「新規加入」または「再加入」のときにのみ表示されます。

報酬月額 (現物) (現物報酬月額)

受給者の加入時の現物報酬月額の予定額を入力します。システムは、このフィールドを使用して「報酬月額」を生成します。このフィールドは、「変更理由」「新規加入」または「再加入」のときにのみ表示されます。

標準報酬/等級

この有効日に対する「報酬月額」フィールドの値に基づいた標準報酬月額および標準報酬等級が表示されます。

これらの値は表示専用です。テーブルには保存されません。

注: 平均標準報酬が上限より多いか、または下限より少ない従業員の場合、このグループ ボックスにはダミーの等級が表示されます。これらのダミー等級の目的は、受給者が 1 回の随時改訂の除外対象である場合に給与計算管理者に通知することです。等級が 2 等級以上変更された従業員のみが随時改訂の対象となります。

健康保険

特に高齢者に対して使用される新しい健康保険システムが、2008 年 4 月 1 日に導入されました。この日以降、75 歳以上の受給者には健康保険が適用されません。75 歳以上の受給者がこのシステムに移行すると、従業員に対する現在の健康保険システムから除外されます。

通常、システムは支払い日での各従業員の年齢を評価し、75 歳以上の受給者を健康保険料控除から除外します。ユーザーは、これらの受給者を追跡する必要はありません。

それ以外の場合で、従業員に対する現在の健康保険から受給者を除外できる場合、受給者は新しい健康保険システムに移行する前に次の条件を両方とも満たす必要があります。

  • 受給者が 65 歳以上である。

  • 受給者に一定のレベルの障害がある。

このような受給者を追跡するには、「健康保険を除外」チェック ボックスを選択します。

介護保険

フィールドまたはコントロール

定義

特定被保険者

このチェック ボックスを選択すると、受給者の年齢に関係なく介護保険料が計算および控除されます。

除外

このチェック ボックスを選択すると、受給者の年齢に関係なく介護保険料は計算および控除されません。

厚生年金

フィールドまたはコントロール

定義

基礎年金番号

必要に応じて、従業員とその配偶者の基礎年金番号を入力します。これらの値は、資格取得届、資格喪失届および住所変更届で使用されます。

配偶者基礎年金番号

このフィールドの値は参照専用です。給与計算システムでは使用されません。

厚生年金高齢任意加入被保険者資格

従業員が 70 歳以上で、厚生年金保険負担分の給与計算控除の対象である場合、このチェック ボックスを選択します。年齢のために厚生年金保険の被保険者資格を喪失した従業員を確認するには、厚生年金 70 歳到達者レポートを使用します。

最終更新情報の更新

フィールド

手動入力

自動入力

最終更新

オンライン ユーザー

システム

更新日

現在の日付

プロセスの実行日

「社会保険扶養者情報 JPN」ページ (GPJP_SC_DEP_DATA) を使用して、受給者の社会保険扶養者情報を管理します。

画像: 「社会保険扶養者情報 JPN」ページ

次の例では、「社会保険扶養者情報 JPN」ページのフィールドおよびコントロールを説明します。このページのフィールドおよびコントロールの定義は後で説明します。

「社会保険扶養者情報 JPN」ページ

扶養者が従業員の健康保険に含まれている場合、「健康保険被扶養者」チェック ボックスを選択します。