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Oracle® Fusion Middleware Oracle Traffic Directorの管理
12c (12.2.1)
E70065-01
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D Oracle Fusion Middleware T2P Utility for Oracle Traffic Director

この付録は、Oracle Fusion Middleware T2P utility for Oracle Traffic Directorについて説明し、次の項が含まれています。

D.1 概要

Oracle Fusion Middleware T2Pユーティリティにより、Oracle Fusion Middleware環境をテストから本番(T2P)に、本番環境に固有のカスタマイズとともに移動できます。この付録では、Oracle Traffic Director環境を移動するためのサポートについて説明します。

Oracle Traffic Directorインストールを移動することで、それをしない場合に、ある環境で実行したすべてのカスタマイズと構成変更を、もう一度別の環境に適用するために必要となる作業を最小限に抑えることができます。テスト環境で、Oracle Traffic Directorのインストール、構成、カスタマイズおよび検証ができます。システムが安定し、必要に応じて機能するようになったら、本番環境を作成しますが、このとき、テスト環境に取り込んだすべての変更内容を再実行するかわりに、サーバーとその構成のコピーをテスト環境から移行することで本番環境を作成できます。既存の本番環境がある場合は、カスタマイズなど、テスト環境のすべての変更内容を本番環境に移動できます。

テスト環境から本番環境へのOracle Traffic Directorインストールの移動では、本番環境がテスト環境と同じオペレーティング・システム上で動作することを前提としています。また、オペレーティング・システムのアーキテクチャが両方の環境で同じである必要があります。たとえば、両方の環境で64ビットのオペレーティング・システムを実行している必要があります。

Fusion Middlewareのテストから本番への詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』テスト環境から本番環境への移動に関する項を参照してください。

D.2 T2Pプロセスの概要

Oracle Fusion Middleware環境のT2Pの移動は、大きくは次の2つの手順から構成されます。

本番システムへのバイナリの移動。

本番システムへの構成の移動。

コンポーネントの移動先の構成は、構成のコピー・フェーズで生成される移動計画と呼ばれるドキュメントを使用して、T2Pの移動の間にカスタマイズできます。

D.3 要件

移動先ホストの要件は次のとおりです。

  • T2Pスクリプトを実行するため、移動先ホストにJDKが存在する必要があります。

  • バイナリ/構成のコピー・フェーズ中に作成されたアーカイブにアクセスできる必要があります。

D.4 T2Pユーティリティの使用方法

次の例は、T2Pユーティリティからコマンドを実行する方法を示しています。

D.4.1 バイナリのコピー(Oracleホーム)

ファイル、ライブラリおよび構成のすべてが含まれるOracleホームのアーカイブを作成するには、copyBinary.shを実行します。バイナリのコピー操作の後で、生成されるjarファイルを本番システムにコピーする必要があります。

次にコマンドの例を示します。

例D-1 バイナリのコピー・コマンド

./copyBinary.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/mw.jar -sourceOracleHomeLoc /scratch/installers/colocated_otd

D.4.2 構成のコピー

ドメイン構成(Oracle Traffic Director用に拡張済)のアーカイブを作成するには、copyConfig.shを実行します。このコマンドは、ドメイン・ホームに存在するすべてのOTD構成をイントロスペクトします。具体的には、OTD構成ファイルのserver.xmlをイントロスペクトし、server.xmlからhttp-listenertcp-listenerorigin-server-poolfailover-groupなどの要素を抽出します。移動計画を編集することで、これらの要素の値をカスタマイズできます。構成のコピー操作の後で、生成されるjarファイルを本番システムにコピーする必要があります

次にコマンドの例を示します。

例D-2 コロケートOTD用の構成のコピー・コマンド

./copyConfig.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/otd.jar -sourceDomainLoc /scratch/installers/otd_domain -sourceOracleHomeLoc /scratch/installers/colocated_otd -domainHostName abc1234.example.com -domainPortNum 7010 -domainAdminUserName weblogic -domainAdminPasswordFile /scratch/password.txt

注意:

付録D「構成のコピー」を行うときは、WLS管理サーバーが実行されていることを確認してください。

例D-3 スタンドアロンOTD用の構成のコピー・コマンド

./copyConfig.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/otd.jar -sourceDomainLoc /scratch/installers/otd_domain -sourceOracleHomeLoc /scratch/installers/colocated_otd

D.4.3 構成の編集

構成を編集するには、移動計画を抽出する必要があり、extractMovePlan.shを実行します。移動計画のカスタマイズの詳細は、「Oracle Traffic Directorの移動計画の抽出およびカスタマイズ」を参照してください。

次にコマンドの例を示します。

例D-4 移動計画の抽出コマンド

./extractMovePlan.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/otd.jar -planDirLoc /scratch/moveplan/

D.4.4 バイナリの貼付け(Oracleホーム)

移動先でバイナリを再作成するには、pasteBinary.shを実行します。次にコマンドの例を示します。

例D-5 バイナリの貼付けコマンド

./pasteBinary.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/mw.jar -targetOracleHomeLoc /scratch/installers/cloned_colocated_otd/

D.4.5 構成の貼付け

移動先で構成を再作成するには、pasteConfig.shを実行します。このコマンドは、カスタマイズされた移動計画からカスタムの値を抽出し、移動計画で指定された値で構成を更新して、構成を保存します。

次にコマンドの例を示します。

例D-6 コロケートOTD用の構成の貼付けコマンド

./pasteConfig.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/otdc.jar -movePlanLocation /scratch/moveplan/moveplan.xml -targetDomainLoc /scratch/installers/cloned_domain -targetOracleHomeLoc /scratch/installers/cloned_colocated_otd/ -domainAdminPasswordFile /scratch/password.txt

例D-7 スタンドアロンOTD用の構成の貼付けコマンド

./pasteConfig.sh -javaHome ./oracle_common/jdk/jre -archiveLoc /tmp/otdc.jar -movePlanLocation /scratch/moveplan/moveplan.xml -targetDomainLoc /scratch/installers/cloned_domain -targetOracleHomeLoc /scratch/installers/cloned_colocated_otd

Oracle Traffic Directorを移動するための追加手順:

  • 証明書の再構成: 証明書は、otd_setHttpListenerSslProperties/otd_setTcpListenerSslProperties/otd_setVirtualServerSslPropertiesまたはotd_setOriginServerPoolSslPropertiesを使用して再構成できます。

  • OAMの再構成: OTDインスタンス内にWebゲートが構成されており、異なるOAMインスタンスを使用するため、ターゲット環境でOAMを再構成する必要があるというユースケースでは、pasteConfigを行った後で、手動で処理する必要があります。


注意:

ターゲット環境で、OTDインスタンスで構成されているすべてのパスがアクセス可能で、適切なファイル・アクセス権があることを確認してください。たとえば、サーバー・ログ・ファイルのパスです。

WLSTの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください

D.5 Oracle Traffic Directorの移動計画の抽出およびカスタマイズ

Oracle Traffic Directorのserver.xmlには、移動計画を使用してカスタマイズできるいくつかの要素があります。このような要素を次に示します。

表D-1 Oracle Traffic Directorのカスタマイズ要素

要素 編集可能プロパティ

http-listener

ip、portおよびserver-name

tcp-listener

ipおよびport

failover-group

virtual-ip

origin-server-pool

origin-servers


また、ドメインの次のプロパティを変更する必要があります。

  • ターゲット・ドメイン用の新しいスキーマを作成し、移動計画内のスキーマ接頭辞を更新します(ドメインが完全なJRFである場合にのみ有効)。

  • ノード・マネージャ要素のPassword fileを更新します。そのデフォルト値である</value><value>/scratch/T2P/password.txt</value>に変更します。指定するパスワード・ファイルはファイル・システム上に存在している必要があります。

Oracle Traffic Directorの移動計画の例を次に示します。

<movableComponent>
  <componentType>OTD</componentType>
  <componentName>test</componentName>
  <Description>otd component</Description>
  <moveDescriptor>
    <configGroup>
      <type>http-listeners</type>
      <configProperty id="http-listener-1">
        <configProperty>
          <name>Ip</name>
          <value>*</value>
          <itemMetadata>
            <dataType>INTEGER</dataType>
            <scope>READ_WRITE</scope>
          </itemMetadata>
        </configProperty>
        <configProperty>
          <name>Port</name>           
          <value>7011</value>
          <itemMetadata>
            <dataType>INTEGER</dataType>
            <scope>READ_WRITE</scope>
          </itemMetadata>
        </configProperty>
        <configProperty>
          <name>ServerName</name>
          <value>abc1234.example.com</value>
          <itemMetadata>
            <dataType>STRING</dataType>
            <scope>READ_WRITE</scope>
          </itemMetadata>
        </configProperty>
      </configProperty>     
    </configGroup>
    <configGroup>
      <type>tcp-listeners</type>
    </configGroup>
    <configGroup>
      <type>origin-server-pool</type>
      <configProperty id="origin-server-pool-1">
        <configProperty id="origin-server-1">
          <name>origin-server-1</name>
          <value>abc1234.example.com:7010</value>
          <itemMetadata>
            <dataType>STRING</dataType>
            <scope>READ_WRITE</scope>
          </itemMetadata>
        </configProperty>
        <configProperty id="origin-server-2">
          <name>origin-server-2</name>
          <value>abc1234.example.com:7015</value>
          <itemMetadata>
            <dataType>STRING</dataType>
            <scope>READ_WRITE</scope>
          </itemMetadata>
        </configProperty>
      </configProperty>
    </configGroup>
    <configGroup>
      <type>failover</type>
      <configProperty id="failover-group-1">
        <name>virtual-ip</name>
        <value>10.100.10.1</value>
        <itemMetadata>
          <dataType>STRING</dataType>
          <scope>READ_WRITE</scope>
        </itemMetadata>
      </configProperty>
    </configGroup>
  </moveDescriptor>
</movableComponent>
</movableComponent>

D.6 ロギング

T2Pユーティリティにより、コピーおよび貼付けフェーズのログがJavaのtempディレクトリに置かれます(たとえば、/tmp/CLONE<Date Time>.log)。失敗やエラーは、別のCLONE<Date Time>.errorファイルにError MessageCauseおよびActionという形式で記録されます。コマンドライン引数の-logDirLocを使用して、ログ用に別の場所を指定できます。