Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理 12c (12.2.1) E70015-01 |
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この章では、WebLogic ServerでOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を使用するための要件および構成タスクについて説明します。
Oracle WebLogic Serverは、Oracle RACを強力にサポートしており、これにより、データベース・アクセス時間が最小化され、その一方で、接続パフォーマンスと可用性の両方を最大化する高度なプール管理機能への透過的アクセスが可能になります。
この章には次の項が含まれます:
Oracle RACとWebLogic Serverはどちらも複雑なシステムです。これらを同時に使用するには、それぞれのシステムで特定の構成が必要なだけでなく、ソフトウェアと共有ストレージ・ソリューションのクラスタ化も必要になります。このドキュメントでは、高度な必須の構成について説明します。Oracle RACの構成、クラスタリング・ソフトウェア、オペレーティング・システム、およびストレージ・ソリューションの詳細は、それぞれのベンダーのドキュメントを参照してください。
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は高可用性ソリューションに追加できるソフトウェア・コンポーネントであり、複数のマシンを使用しているユーザーは単一のデータベースにアクセス可能になり、さらにパフォーマンスの向上も実現できます。Oracle RACは、2台以上のクラスタ化マシンで実行しており、クラスタ・テクノロジを使用して共有ストレージ・デバイスにアクセスする2つ以上のOracleデータベース・インスタンスで構成されています。このアーキテクチャをサポートするには、データベース・インスタンスをホストするマシンを高速相互接続でリンクして、クラスタを形成します。インターコネクトは、クラスタのノード間の通信手段として使用される物理ネットワークです。クラスタ機能は、オペレーティング・システムまたは互換性のあるサードパーティのクラスタリング・ソフトウェアが提供しています。
Oracle RACインストールは単一の標準Oracleデータベースのような外観であり、同じツールと手法でメンテナンスが行われます。クラスタ内のすべてのノードは同じデータベースに対してトランザクションを実行し、Oracle RACは共有データへの各ノードのアクセスを調整して一貫性を維持し、整合性を確保します。クラスタへのノードの追加は簡単であり、ノードを追加する際にデータをパーティション化する必要がありません。つまり、Oracle RACのノード、ストレージ、またはその両方を追加することによって、使用率と需要の増加に伴うデータベース層のスケーラビリティを水平に設定できます。
Oracle RACによってWebLogic Serverを使用するには、Oracle RACのノードごとに次のソフトウェアをインストールする必要があります。
Oracle RACのサポートに必要なオペレーティング・システムのパッチ。詳細は、Oracleのリリース・ノートを参照してください。
Oracleデータベース管理システム。『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。
オペレーティング・システム用のクラスタリング・ソフトウェア。サポートされるクラスタリング・ソフトウェアとクラスタ構成については、Oracleドキュメントを参照してください。
Oracle自動ストレージ管理(ASM)などの共有ストレージ・ソフトウェア。クラスタリング・ソフトウェアの中にはファイル・ストレージ・ソリューションが組み込まれているものがあり、その場合は共有ストレージ・ソフトウェアを追加する必要がありません。
注意: 最新のWebLogic Serverハードウェア・プラットフォームとオペレーティング・システムのサポート、およびWebLogic Serverの各種バージョンとサービス・パックによりサポートされるOracle RACバージョンについては、『Oracle WebLogic Serverの新機能』 12.2.1のサポートされる構成に関する項を参照してください。Oracle RACソフトウェアの実行に必要なハードウェア要件およびソフトウェア要件については、Oracleドキュメントを参照してください。 |
WebLogic ServerでOracle RACを使用するには、WebLogic JDBCデータ・ソースでOracle JDBC Thinドライバ11g以上を使用してデータベース接続を作成する必要があります。
標準的なWebLogic Server/Oracle RACシステムには、WebLogic Serverクラスタ、Oracle RACクラスタ、および共有ストレージ用のハードウェアが組み込まれています。
WebLogic Serverクラスタの構成方法は多数あり、様々なハードウェア・オプションも使用できます。WebLogic Serverクラスタの構成の詳細は、『Oracle WebLogic Serverのクラスタ管理』を参照してください。
WebLogic ServerでOracle RACを使用する場合、WebLogicドメインがOracle RACインスタンスと対話でき、適切に実行されるようにするために、WebLogicドメインを構成する必要があります。次の各項では、構成オプションと要件について説明します。
次の選択肢を考慮します。
Active GridLink (AGL)データ・ソースの使用。『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。AGLは、Oracle RACインスタンスの自動追加および削除をサポートしています。ノードがダウンし、アップするとき、接続の失敗および成功を待機することなく、自動的に処理が行われます。第6章「Active GridLinkデータ・ソースの使用方法」を参照してください。
グローバル・トランザクション(XA)使用時に複数のOracle RACインスタンスに接続するために、トランザクション対応WebLogic JDBCマルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。このマルチ・データ・ソースは、フェイルオーバーおよびロード・バランシングをサポートしています。詳細は、「グローバル・トランザクションを使用したマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。
XA不使用時に複数のOracle RACインスタンスに接続するために、(トランザクション非対応の)マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。フェイルオーバーおよびロード・バランシングをサポートする標準マルチ・データ・ソース構成を使用します。詳細は、「グローバル・トランザクションを使用しないマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。
WebLogicでは、Oracle Data Guardとマルチ・データ・ソースおよびAGLとの併用をサポートしています。
プライマリおよびスタンバイの単一インスタンスとマルチ・データ・ソースを併用する場合、アルゴリズム・タイプをFAILOVER
に設定する必要があります。プライマリのインスタンスに障害が発生した場合、プライマリの接続は失敗し、スタンバイで接続が作成されます。
次の表は、特定のアプリケーションにどの構成が適切か判別するのに役立ちます。
表16-1 Oracle RACを使用するための構成の選択
ロード・バランシングが必要ですか | フェイルオーバーが必要ですか | グローバル・トランザクション(XA)が必要ですか | Oracle RACサービスの使用 | 参照先 |
---|---|---|---|---|
はい |
はい |
はい |
はい |
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はい |
はい |
はい |
いいえ |
グローバル・トランザクションを使用したマルチ・データ・ソースの使用 |
はい |
はい |
はい |
はい |
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はい |
はい |
いいえ |
はい |
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はい |
はい |
いいえ |
いいえ |
グローバル・トランザクションを使用しないマルチ・データ・ソースの使用 |
プライマリおよびスタンバイのOracle RACクラスタとマルチ・データ・ソースを併用する場合、インスタンスごとにデータ・ソースを作成する必要があります。SCANが唯一の構成済ネットワークであるため、それを使用する必要がある場合、各データ・ソースが唯一のインスタンスにマップされるように、インスタンスごとにINSTANCE_NAME
を指定する必要もあります。アルゴリズム・タイプは、Load BALANCEに設定する必要があります。最初は、サービスはプライマリ・クラスタのインスタンスでのみ使用できます。そのため、ロード・バランシング・アルゴリズムは、すべてのプライマリ・インスタンスとすべてのセカンダリ・インスタンスから同等の接続を取得しようと試みます。スタンバイ・インスタンスに対する接続が失敗すると、それらのデータ・ソースは中断されます。マルチ・データ・ソースのテスト頻度の間隔は、可用性を高頻度でテストできるように、デフォルトの120秒から約5秒に短縮する必要があります。プライマリが停止すると、プライマリのサービスは停止され、バックアップに移動されます。マルチ・データ・ソースは、プライマリ・インスタンスで接続の障害を認識し、それらを中断します。マルチ・データ・ソースは、バックアップ・インスタンスで接続を取得し、それらのデータ・ソースで作業を再開します。
アプリケーションでJDBC 4.0 Connection.isValid APIを使用して接続の実行可能性を検証できます。
AGLデータ・ソースまたはマルチ・データ・ソースでOracle RACを使用する場合、トランザクションを調整するために、データベース・サービス上の分散トランザクション処理(DTP)属性を使用しないでください。このオプションによって、サービスが常に1つのOracle RACインスタンス上のみで実行されることが保証されます。単一のインスタンスへのトランザクション・アフィニティは、WebLogic ServerによってAGLまたはマルチ・データ・ソースに対して自動的に管理されます。DTPではサービス用のすべてのトランザクションが単一のOracle RACインスタンスに制限されるのとは対照的に、これによってOracle RACクラスタ全体が分散トランザクションで使用可能になります。