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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverのための継続的可用性
12c (12.2.1)
E70050-01
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2 サポートされているMAAアーキテクチャ

この章では、サポートされている最大可用性アーキテクチャ(MAA)マルチデータ・センター・ソリューションについて説明します。このソリューションは、複数のデータ・センター間における停止時間に対してOracle WebLogic Serverシステムを保護するための継続的可用性の提供に使用できます。また、各アーキテクチャによる継続的可用性の機能の使用方法について説明します。

サポートされているMAAソリューションには次のものがあります。

アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・アプリケーション層

次の図は、アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層を使用した、推奨される継続的可用性ソリューションを示しています。

図2-1 アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層のトポロジ

図2-1の説明が続きます
「図2-1 アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層のトポロジ」の説明

このサンプル・トポロジの主な特徴は次のとおりです。

  • 2つの異なるデータ・センター(サイト1およびサイト2)で構成された2つの異なるWebLogicドメイン。両方のサイトのドメインがアクティブです。ドメインには次のものが含まれます。

    • ドメイン内のWebLogic Server管理サーバーによって管理されている、WebLogic Serverクラスタ内の管理対象サーバー(MS1、MS2およびMS3)の集合。この例では、Active Gridlink (AG)が管理対象サーバーのプライマリ・データベースへの接続に使用されています。(汎用のDataSourceまたはMultiDataSourceも使用可能ですが、高可用性およびパフォーマンスの向上が提供されることからActive Gridlinkが推奨されます。)ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用(ZDT)によって、ローリング方式による管理対象サーバーのパッチ適用の提示が可能です。

    • ドメイン内のWebLogic Server管理サーバーによって管理されている、Coherenceクラスタ(COH1、COH2およびCOH3)。

  • グローバル・ロード・バランサ。

  • クラスタ間でのWebLogic ServerのHTTPセッション・レプリケーション。

  • 各サイトにあるOracle Traffic Director (OTD)の2つのインスタンス(1つはアクティブ、もう1つはパッシブ)。OTDはWeb層またはWebLogic Serverクラスタに対するリクエストを均衡化できます。

  • Oracle HTTP Server (OHS) Web層。(環境のタイプに基づくオプションのコンポーネント。)

  • 任意のレプリケーション・テクノロジを使用して2つのサイト間でレプリケートされる、構成データ、ローカル・バイナリ、ログなどのためのファイルストア。

  • Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのコンポーネントであり、サイトのフェイルオーバーおよびスイッチオーバーを編成するOracle Site Guard。

  • 2つの異なるデータ・センター内にある2つの別個のOracle RACデータベース・クラスタ。プライマリ・アクティブのOracle RACデータベース・クラスタはサイト1にあります。サイト2にはスタンバイ(パッシブ)読取り専用モードでOracle RACデータベース・クラスタが含まれます。クラスタにはトランザクション・ログ、JMSストアおよびアプリケーション・データが含まれる場合があります。データはOracle Active DataGuardを使用してレプリケートされます。(最高レベルの高可用性が提供されることからOracle RACデータベース・クラスタの使用が推奨されていますが、これは必須ではありません。単一データベースまたはマルチテナント・データベースも使用できます。)

このトポロジは継続的可用性の機能を次のように使用します。

  • 自動クロスドメイン・トランザクション・リカバリ - 両方のドメインがアクティブのため、「自動クロスドメイン・トランザクション・リカバリ」で説明されているとおりに、この機能の全要素を使用できます。このアーキテクチャでは、手動操作を行うことなく、自動的にトランザクションをリカバリできます。

  • WebLogicゼロ・ダウンタイム・パッチ適用 - 両方のドメインがアクティブのため、各サイトで別個に更新の公開を編成できます。「WebLogic Serverゼロ・ダウンタイム・パッチ適用」を参照してください。

  • Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ - 「Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ」で説明されているとおりに、この機能の全要素を使用できます。キャッシュされたデータは常にクラスタ間でレプリケートされます。異なるサイトにあるアプリケーションはローカル・クラスタ・インスタンスへのアクセスを保有します。

  • Coherence GoldenGate HotCache - アクティブ・データベースで行われる更新に対して、Coherenceキャッシュをリアルタイムで更新します。「Coherence GoldenGate HotCache」を参照してください。

  • Oracle Traffic Director - サーバー可用性に応じて、アプリケーション・サーバーへのトラフィック・ルーティングを調整します。各サイトで構成されたインスタンスのペア(アクティブ-アクティブまたはアクティブ-パッシブのいずれか)を保持することで、Oracle Traffic Directorで高可用性を達成できます。「Oracle Traffic Director」を参照してください。

  • Oracle Site Guard - データベースのみがこのアーキテクチャでスタンバイ・モードにあるため、Oracle Site Guardはデータベースのフェイルオーバーのみを制御します。両方のドメインがアクティブのため、これはアプリケーション・アーキテクチャ層に適用されません。詳細は、「Oracle Site Guard」を参照してください。

アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/パッシブ・アプリケーション層

次の図は、アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/パッシブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層を使用した、推奨される継続的可用性トポロジを示しています。

図2-2 アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/パッシブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層のトポロジ

図2-2の説明が続きます
「図2-2 アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/パッシブ・アプリケーション・インフラストラクチャ層のトポロジ」の説明

このトポロジの主な特徴は次のとおりです。

  • 2つの異なるデータ・センター(サイト1およびサイト2)で構成された2つの異なるWebLogicドメイン。サイト1のドメインはアクティブで、サイト2のドメインはスタンバイ(パッシブ)・モードにあります。

    すべてのアクティブ/パッシブ・ドメインのペアは対称的トポロジで構成する必要があります。これらは同等であり、同じドメイン構成(ディレクトリの名前およびパス、ポート番号、ユーザー・アカウント、ロード・バランサおよび仮想サーバー名など)と同じソフトウェア・バージョンを使用する必要があります。ホスト名(静的IPではない)は、管理対象サーバーのリスニング・アドレスの指定に使用する必要があります。

    ドメインには次のものが含まれます。

    • ドメイン内のWebLogic Server管理サーバーによって管理されている、WebLogic Serverクラスタ内の管理対象サーバー(MS1、MS2およびMS3)の集合。この例では、Active Gridlink (AG)が管理対象サーバーのプライマリ・データベースへの接続に使用されています。(汎用のDataSourceまたはMultiDataSourceも使用可能ですが、高可用性およびパフォーマンスの向上が提供されることからActive Gridlinkが推奨されます。)ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用(ZDT)によって、ローリング方式による管理対象サーバーのパッチ適用の提示が可能です。

    • ドメイン内のWebLogic Server管理サーバーによって管理されている、Coherenceクラスタ(COH1、COH2およびCOH3)。

  • グローバル・ロード・バランサ。

  • クラスタ間でのWebLogic ServerのHTTPセッション・レプリケーション。

  • 各サイトにあるOracle Traffic Director (OTD)の2つのインスタンス。OTDはWeb層またはWebLogic Serverクラスタに対するリクエストを均衡化できます。サイト1で、1つのインスタンスはアクティブで、もう1つはパッシブです。サイト2では両方ともスタンバイ状態です。サイト2がアクティブになると、そのサイト上のOTDインスタンスはリクエストのルーティングを開始します。

  • Oracle HTTP Server (OHS) Web層。(環境のタイプに基づくオプションのコンポーネント。)

  • 任意のレプリケーション・テクノロジを使用して2つのサイト間でレプリケートされる、構成データ、ローカル・バイナリ、ログなどのためのファイルストア。

  • Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのコンポーネントであり、サイトのフェイルオーバーおよびスイッチオーバーを編成するOracle Site Guard。

  • 2つの異なるデータ・センター内にある2つの別個のOracle RACデータベース・クラスタ。プライマリ・アクティブのOracle RACデータベース・クラスタはサイト1にあります。サイト2にはスタンバイ(パッシブ)読取り専用モードでOracle RACデータベース・クラスタが含まれます。クラスタにはトランザクション・ログ、JMSストアおよびアプリケーション・データが含まれる場合があります。データはOracle Active DataGuardを使用してレプリケートされます。(最高レベルの高可用性が提供されることからOracle RACデータベース・クラスタの使用が推奨されていますが、これは必須ではありません。単一データベースまたはマルチテナント・データベースも使用できます。)

このアーキテクチャは継続的可用性の機能を次のように使用します。

  • 自動クロスドメイン・トランザクション・リカバリ - サイト2のドメインがスタンバイ・モードにあるため、サイト2のドメインを最初に起動する必要があります。一度それを実行すれば、「自動クロスドメイン・トランザクション・リカバリ」で説明されているとおりにクロスドメイン・トランザクション・リカバリ機能を使用できます。

  • WebLogic Serverゼロ・ダウンタイム・パッチ適用 - このアーキテクチャでは、「WebLogic Serverゼロ・ダウンタイム・パッチ適用」で説明されているように、サイト1のアクティブ・ドメインでゼロ・ダウンタイム・パッチ適用機能を使用できます。サーバーがサイト2のスタンバイ(パッシブ)・ドメインで実行中ではないため、OPatchを使用できます。サーバーがアクティブになると、パッチを適用したOracleホームが示されます。OPatchの詳細は、『Opatchによるパッチ適用』を参照してください。

  • Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ - このアーキテクチャでは、パッシブ・サイトは読取り専用操作とオフサイト・バックアップをサポートしています。「Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ」を参照してください。

  • Coherence GoldenGate HotCache - このアーキテクチャでは、サイト1のアクティブ・データベースでの更新がリアルタイムでCoherenceキャッシュを更新し、データベース更新がサイト2にレプリケートされます。データ・レプリケーションがサイト2で発生すると、GoldenGate HotCacheはリアルタイムでキャッシュを更新します。「Coherence GoldenGate HotCache」を参照してください。

  • Oracle Traffic Director - このアーキテクチャでは、OTDがサイト2のスタンバイ(パッシブ)・ドメインでスタンバイ・モードにあります。サイト2がフェイルオーバー後にアクティブになると、(フェイルオーバーの前または後で実行されるスクリプトを使用するSiteGuardによって)スタンバイ・サイト上のOTDインスタンスがアクティブ化されて、最近起動したサーバーへのリクエストのルーティングをOTDインスタンスが開始します。

  • Oracle Site Guard - このアーキテクチャでは、サイト1に障害が発生すると、SiteGuardは何がどのような順序で発生するかを指定するスクリプトを使用して、フェイルオーバーを開始します。たとえば、WebLogic Server、Coherence、Webアプリケーション、およびその他のサイト・コンポーネントを特定の順序で起動できます。スクリプトはフェイルオーバー前またはフェイルオーバー後のいずれかで実行できます。SiteGuardはData Guard Brokerと統合してデータベースをフェイルオーバーします。「Oracle Site Guard」を参照してください。

アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・ストレッチ・クラスタ

次の図は、アクティブ/パッシブ・データベース層を使用するアクティブ/アクティブ・ストレッチ・クラスタ・アプリケーション・インフラストラクチャ層を使用した、推奨される継続的可用性ソリューションを示しています。

図2-3 アクティブ/アクティブ・ストレッチ・クラスタ・アプリケーション・インフラストラクチャ層およびアクティブ/パッシブ・データベース層のトポロジ

図2-3の説明が続きます
「図2-3 アクティブ/アクティブ・ストレッチ・クラスタ・アプリケーション・インフラストラクチャ層およびアクティブ/パッシブ・データベース層のトポロジ」の説明

このトポロジの主な特徴は次のとおりです。

  • 2つの異なるデータ・センター(サイト1およびサイト2)間まで拡張するクラスタとして構成されたWebLogic Server。クラスタ内のすべてのサーバーがアクティブです。

  • ドメインには次のものが含まれます。

    • サイト1の管理対象サーバー(MS1、MS2およびMS3)のグループと、もう1つのサイト2の管理対象サーバー(MS4、MS5およびMS6)のグループで構成される、WebLogic Serverクラスタ。管理対象サーバーはサイト1にあるWebLogic Server管理サーバーによって管理されます。この例では、Active Gridlink (AG)が管理対象サーバーのプライマリ・データベースへの接続に使用されています。(汎用のDataSourceまたはMultiDataSourceも使用可能ですが、高可用性およびパフォーマンスの向上が提供されることからActive Gridlinkが推奨されます。)ゼロ・ダウンタイム・パッチ適用(ZDT)によって、ローリング方式による管理対象サーバーのパッチ適用の提示が可能です。

    • サイト1のCoherenceインスタンス(COH1、COH2およびCOH3)のグループと、もう1つのサイト2のグループ(COH4、COH5およびCOH6)で構成されるCoherenceクラスタで、すべてサイト1のWebLogic Server管理サーバーによって管理されます。

  • グローバル・ロード・バランサ。

  • クラスタ間でのWebLogic ServerのHTTPセッション・レプリケーション。

  • 各サイトにあるOracle Traffic Director (OTD)の2つのインスタンス(1つはアクティブ、もう1つはパッシブ)。OTDはWeb層またはWebLogic Serverクラスタに対するリクエストを均衡化できます。

  • Oracle HTTP Server (OHS) Web層。(環境のタイプに基づくオプションのコンポーネント。)

  • 任意のレプリケーション・テクノロジを使用して2つのサイト間でレプリケートされる、構成データ、ローカル・バイナリ、ログなどのためのファイルストア。

  • Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのコンポーネントであり、サイトのフェイルオーバーおよびスイッチオーバーを編成するOracle Site Guard。

  • 2つの異なるデータ・センター内にある2つの別個のOracle RACデータベース・クラスタ。プライマリ・アクティブのOracle RACデータベース・クラスタはサイト1にあります。サイト2にはスタンバイ(パッシブ)読取り専用モードでOracle RACデータベース・クラスタが含まれます。クラスタにはトランザクション・ログ、JMSストアおよびアプリケーション・データが含まれる場合があります。データはOracle Active DataGuardを使用してレプリケートされます。(最高レベルの高可用性が提供されることからOracle RACデータベース・クラスタの使用が推奨されていますが、これは必須ではありません。単一データベースまたはマルチテナント・データベースも使用できます。)

このアーキテクチャは継続的可用性の機能を次のように使用します。

  • 自動クロスドメイン・トランザクション・リカバリ - サーバーのすべてが同じクラスタ内にあるため、既存のWebLogic Server高可用性機能、サーバーおよびサービス移行を使用してトランザクションをリカバリできます。

    • サーバー全体の移行では、移行可能なサーバー・インスタンスとそのすべてのサービスが、障害発生時に物理的に別のマシンに移行されます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサーバー全体の移行に関する項を参照してください。

    • サービス移行では、障害発生時にサービスがクラスタ内の別のサーバー・インスタンスに移動されます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のサービスの移行に関する項を参照してください。

  • WebLogicゼロ・ダウンタイム・パッチ適用 - クラスタ内のすべてのサーバーがアクティブのため、「WebLogic Serverゼロ・ダウンタイム・パッチ適用」で説明されているように、この機能の全要素を使用できます。

  • Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ - 「Coherenceフェデレーテッド・キャッシュ」で説明されているとおりに、この機能の全要素を使用できます。

  • Coherence GoldenGate HotCache - 「Coherence GoldenGate HotCache」で説明されているとおりに、この機能の全要素を使用できます。

  • Oracle Traffic Director - サーバー可用性に応じて、アプリケーション・サーバーへのトラフィック・ルーティングを調整します。「Oracle Traffic Director」で説明されているとおりに、この機能の全要素を使用できます。

  • Oracle Site Guard - データベースのみがこのアーキテクチャでスタンバイ・モードにあるため、Oracle Site Guardはデータベースのフェイルオーバーのみを制御します。クラスタ内のすべてのサーバーがアクティブのため、これはアプリケーション・アーキテクチャ層に適用されません。詳細は、「Oracle Site Guard」を参照してください。