この章では、pack
およびunpack
コマンドの目的、構文およびパラメータを説明します。
この章の内容は次のとおりです。
これらのコマンドは、ORACLE_HOME
/oracle_common/common/bin
ディレクトリにあります。
pack
は、WebLogicドメイン全体またはWebLogicドメインのサブセットのスナップショットを含むテンプレート(.jar
アーカイブ・ファイル)を作成するコマンドです。WebLogicドメインのサブセットを含むテンプレートを使用して、リモート・マシン上に管理対象サーバー・ドメインのディレクトリ階層を作成できます。
次の各項では、pack
コマンドを使用して作成するドメインおよび管理対象サーバーのテンプレートに組み込まれる、ファイルおよびディレクトリについて説明します。
次の例外を除いて、ソースWebLogicドメインのすべてのファイルとディレクトリが組み込まれます。
サーバーの起動時に作成される一時ファイル
サーバー・ディレクトリ
WebLogicドメインの作成時に自動的に作成されるセキュリティ・ディレクトリ内のファイル。DefaultAuthenticatorInit.ldiftおよびXACMLRoleMapperInit.ldift
など。
永続ファイル・ストア(ドメインに配置されている場合も含む)。JMS用に定義されたか他のファイル・システム用に定義されたかにかかわらず、ファイル・ストアは除外されます。ファイル・ストアがドメイン内に配置されている場合は、ターゲット・システム上に空のファイル・ストア・ディレクトリが作成されます。
ドメイン・ディレクトリ内のファイルに加え、外部ディレクトリに配置されたデプロイメント・プランもpack
で作成されたテンプレートに組み込まれます。これらはunpack
によって、次のドメイン内の標準の場所にコピーされます。
domain_home
/config/deployments/
deployment_name
/plan
注意: ドメイン内にすでに存在するプランは再配置されません。 |
外部ディレクトリには、Oracleホーム・ディレクトリ、ドメイン・ホーム、およびORACLE_HOME/oracle_common/common/lib/internalpaths.txtファイルで定義されている場所以外のディレクトリが含まれます。
WebLogic Server管理コンソールまたはその他のオンライン・ツールを使用して、ユーザー、グループ、ロールなどの追加のセキュリティ・データを構成した場合、そのセキュリティ・データはLDAPサーバーに格納されており、テンプレートには組み込まれません。最初にデータをエクスポートしてからターゲットWebLogicドメインにインポートする必要があります。
pack
コマンドは、オフライン・コマンドであるため、組込みLDAPデータなどのセキュリティ・プロバイダ・データをドメイン・テンプレートにエクスポートしません。unpack
を使用して新しいドメインを作成後、手動でセキュリティ・プロバイダ・データを新しいドメインに移植する必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。
必要に応じて、元のドメインの管理サーバーを起動し、元のドメインの管理コンソールにログインします。
Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのセキュリティ・プロバイダからのデータのエクスポートに関する項の説明に従い、元のドメインからデータをエクスポートします。
必要に応じて、新しいドメインの管理サーバーを起動し、新しいドメインの管理コンソールにログインします。
Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのセキュリティ・プロバイダへのデータのインポートに関する項の説明に従い、新しいドメインにデータをインポートします。
次のファイルとディレクトリは、デフォルトで組み込まれます。
次の拡張子を持つ、ルート・ディレクトリのすべてのファイル: .cmd
、.sh
、.xml
、.properties
および.ini
。
WebLogicドメインのSSL構成に定義されている、拡張子.pem
を持つファイル
config.xml
を除き、config
ディレクトリにあるすべてのファイルとサブディレクトリ
bin
ディレクトリ
lib
ディレクトリ
次のファイルとディレクトリは、デフォルトでは管理対象サーバー・テンプレートに組み込まれません。
アプリケーションと特定のアプリケーション初期化ファイル
config.xml
サーバーの起動時に作成される一時ファイル
サーバー・ディレクトリ
WebLogicドメインの作成時に自動的に作成されるセキュリティ・ディレクトリ内のファイル。DefaultAuthenticatorInit.ldift
およびXACMLRoleMapperInit.ldift
など。
ドメイン内のサーバーの特定の名前やポートが指定されているかどうかにかかわらず、あらゆるドメインのパックが可能です。その後、任意のマシン上にドメインをアンパックできますが、config.xml
ファイルで特定のマシンおよびポートを使用するように定義されているサーバーは、他のマシンでは動作しません。そのため、該当するノードおよびマシン上でサーバーを正常に起動するには、すべてのサーバーの各リモート・ノード上に同一のテンプレートをアンパックする必要があります。
ノード・マネージャの構成は、管理対象モードと非管理対象モードのどちらでも、pack
とunpack
で保持されません。アンパックされたドメインでは、ノード・マネージャ・タイプがデフォルトで常にPerDomainNodeManager
に設定されます。
元のドメインのノード・マネージャ・タイプがCustomLocationNodeManager
であった場合、ドメインをアンパックするときにunpack
コマンドで-nodeManagerType
および-nodeManagerHome
パラメータを使用して、構成を保持する必要があります。
元のドメインのノード・マネージャ・タイプがManualNodeManagerSetup
であった場合は、各リモート・マシン上にドメインをアンパックした後に、ノード・マネージャを手動で再構成する必要があります。
元のドメインでManualNodeManagerSetup
構成が使用されていた場合、ノード・マネージャの構成情報は、pack
で作成されたテンプレートから切り捨てられます。ドメインをアンパックするときには、-nodeManagerType
パラメータを使用してManualNodeManagerSetup
を指定します。ドメインのアンパック後は、ノード・マネージャを手動で構成する必要があります。
ノード・マネージャ・タイプについては、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』のデフォルトのノード・マネージャの構成に関する項を参照してください。
ノード・マネージャ資格証明はconfig.xmlに格納されており、パックされたドメインからアンパックされたドメインへコピーされます。
pack -domain=domain -template=template -template_name="template_name" [-template_author="author"] [-template_desc="description"] [-managed=true|false] [-log=log_file] [-log=log_file] [-log_priority=log_priority]
表2-1は、pack
コマンドのパラメータ一覧です。
表2-1 packコマンドのパラメータ
パラメータ | 必須/オプション | 説明 |
---|---|---|
|
必須 |
テンプレートの作成元WebLogicドメインの絶対または相対パス。 |
|
必須 |
作成されるテンプレートのフル・パスまたは相対パス。テンプレート・ファイル名には、 注: |
|
必須 |
テンプレートを表す名前。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
テンプレートの作成者の名前。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
テンプレートの説明。このパラメータの値にスペースが含まれている場合にのみ、引用符で囲む必要があります。 |
|
オプション |
リモート・マシンに管理対象サーバーを作成するためにテンプレートを使用するかどうかを指定します。デフォルトは 注意: WebLogic Server 12.1.2と同様、WLSTの |
|
オプション |
ログ・ファイルの名前。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの優先度の設定。log4j優先度文字列を使用します。 有効なlog4j優先度文字列は、 |
C:\oracle\user_projects\domains
ディレクトリに配置するmydomain
という既存のWebLogicドメインを元にテンプレートJARファイルを作成するには、次のコマンドを実行します。
pack -domain=C:\oracle\user_projects\domains\mydomain -template=C:\oracle\user_templates\mydomain.jar -template_name="My WebLogic Domain"
mydomain.jar
というテンプレートが、C:\oracle\user_templates
ディレクトリに作成されます。テンプレートの名前は、My WebLogic Domain
です。
unpack
コマンドは、リモート・マシンの管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリに使用されるフルWebLogicドメインまたはドメインのサブセットを作成します。
unpack
は、現在のインストール内容と互換性のあるテンプレートのみと併用してください。現在のインストール・バイナリが、unpack
コマンドを実行するマシンに存在している必要があります。以下のものをテンプレートとして使用できます。
現在のインストールとパッケージ化されたドメイン・テンプレート
ドメイン・テンプレート・ビルダーまたはWLSTを使用して作成されたドメイン・テンプレート
pack
コマンドを使用して作成されたドメイン・テンプレート
pack
コマンドを使用して作成された管理対象サーバー・テンプレート
ドメイン・テンプレートでunpack
コマンドを使用すると、テンプレートに定義されているアプリケーション・ファイルとリソース・ファイルすべてを含むWebLogicドメインが作成されます。また、起動スクリプトおよび特定のセキュリティ・ファイルと構成ファイルも作成されます。
注意: ソース・ドメインは、ドメイン用に定義した管理者ユーザー名と管理者パスワードの両方を持つ必要があります。そうでない場合、unpack コマンドの実行時にはエラーが表示されます。 |
管理対象サーバー・テンプレートでunpack
コマンドを使用すると、以下を含む管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリが作成されます。
WebLogicドメイン内の各管理対象サーバー用にカスタマイズされた起動スクリプト
config_bootstrap.xml
ファイル(テンプレート内のconfig.xml
に基づく)
nm_password.properties
ファイル
SerializedSystemIni.dat
ファイル
管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリのエントリは、NM_HOME
/nodemanager.domains
ファイルにも作成されます。NM_HOME
は、リモート・マシン上の製品インストールのためのノード・マネージャのホーム・ディレクトリです。このディレクトリの場所は、ノード・マネージャ・タイプによって異なります。ノード・マネージャ・タイプおよびノード・マネージャ・ホームの詳細は、表2-2を参照してください。
注意: デフォルトでは、アプリケーション・ファイルはpack コマンドを使用して作成された管理対象サーバー・テンプレートには含まれません。管理対象サーバー・テンプレートの作成元のWebLogicドメインにアプリケーションが、external_stage モードによりデプロイされた場合、unpack コマンドを使用して作成する管理対象サーバー・ドメイン・ディレクトリには、外部でステージングされたアプリケーションは一切含まれません。管理対象サーバーを起動する前に、外部でステージングされたアプリケーション・ファイルにアクセス可能であることを確認する必要があります。
詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のステージング・モードでのデプロイメント・ファイルのコピーの制御に関する項を参照してください。 |
unpack [-initialize] -template=template -domain=domain [-walletDir=directory] [-user_name=username] [-password=password] [-app_dir=application_directory] [-nodemanager_type=type] [-nodemanager_home=nodemanager_home_directory] [-java_home=java_home_directory] [-server_start_mode=dev|prod] [-overwrite_domain] [-log=log_file] [-log_priority=log_priority]
表2-2は、unpack
コマンドで使用可能なパラメータの一覧です。
表2-2 unpackコマンドのパラメータ
パラメータ | 必須/オプション | 説明 |
---|---|---|
|
オプション |
このパラメータは、Fusion Middleware製品がインストールされているWebLogicドメインにのみ適用されます。 注意: このパラメータを このパラメータが このパラメータが このパラメータが サービス表の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のサービス表の理解に関する項を参照してください。 |
|
必須 |
WebLogicドメインの作成元テンプレートのフル・パスまたは相対パスおよびファイル名。 |
|
必須 |
作成するWebLogicドメインの絶対または相対パス。 |
|
オプション |
管理ユーザーに使用する
アンパックするドメインに異なる管理者ユーザーを作成する場合:
|
|
オプション |
テンプレートに現在定義されているか、WalletDirを介したデフォルトの管理者のユーザー名。このユーザー名は、管理サーバーのブート、および管理サーバーへの接続に使用されます。デフォルトの管理者に新しいパスワードを指定した場合、パスワードは指定した値にリセットされます。 管理ユーザーがテンプレートに定義されていない場合は、 デフォルトの管理者とパスワードが現在テンプレートに定義されている場合は、 値は、カンマ、タブまたは次のリストの文字を含んではなりません: < > # | & ? ( ) { }。ユーザー名では、大文字と小文字が区別されます。 有効なパスワードは8文字以上の文字列で、大文字と小文字が区別されます。 注意: このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。 |
|
オプション |
このパラメータは現在非推奨になっています。セキュリティの向上のため、かわりに
有効なパスワードは8文字以上の文字列で、大文字と小文字が区別されます。 注意: このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。 |
|
オプション |
テンプレートに定義されているアプリケーションを格納するために使用するディレクトリのフルパス。 このパラメータは、テンプレートが個別のアプリケーション・ディレクトリをサポートしている場合にのみ使用できます。 |
|
オプション |
作成中のドメインに、ノード・マネージャ・タイプを設定します。次のいずれかのタイプを指定します。
デフォルト値は |
|
条件付き |
指定したノード・マネージャ・タイプが 指定したノード・マネージャ・タイプが |
|
オプション |
Javaホーム・ディレクトリのフルパス。設定した場合は、WebLogicドメインの管理サーバーによって使用されるデフォルトのJVMが識別されます。 このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを基にWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。 |
|
オプション |
管理サーバーの起動モード: 注意: アンパックされたドメインを本番モードで動作させる場合、このパラメータを このパラメータは、管理対象サーバー・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する場合には使用できません。
|
|
オプション |
指定したドメイン・ディレクトリがすでに存在すると、空でないと、その影響の警告は表示されません、およびディレクトリにあるファイルが自動的に上書きされます。ローカル・カスタマイズのマージまたは保持は試行されません。 注意: ドメイン生成を開始した後システム・エラーが発生した場合に、ドメイン・ディレクトリは不明な状態にあります。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの名前。 |
|
オプション |
ログ・ファイルの優先度の設定。log4j優先度文字列を使用します。 有効なlog4j優先度文字列は、 |