この章では、第2章「Oracle Database Applianceのインストールとデプロイメントの準備」の説明に従ってOracle Database Applianceへの接続を確立した後で、Oracleソフトウェアをデプロイするタスクのチェックリストを提供します。Oracle Database Applianceソフトウェアのデプロイを完了するには、ベア・メタル・インストールの場合は約1時間、仮想化プラットフォーム・デプロイメントの場合は約3時間が必要です。仮想化デプロイメントでは、実行する手順が多く、仮想ドメインの構成で一部の処理に時間がかかるため、所要時間が長くなります。
この章では、タスク別に適用の対象(ベア・メタル・プラットフォーム、仮想化プラットフォーム、またはすべてのプラットフォーム)を明示しています。ご使用のプラットフォームでのデプロイメントに指定されているタスクのみを実行してください。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・デプロイメントではタスク1、3、4および5を、Oracle Database Applianceベア・メタル・デプロイメントではタスク2、4および5を実行します。
この章の最後で説明しているように、クリーンアップ・スクリプトを実行すれば、失敗したデプロイメントを再実行したり、新しいデプロイメントを実行してベア・メタルから仮想化プラットフォームへ、または仮想化からベア・メタル・プラットフォームへ変換できます。
注意: Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームからベア・メタル・デプロイメントに変換する予定の場合、まず、互換性のあるイメージがインストールされていることをMy Oracle Supportで確認します。 |
関連項目: デプロイ・プロセスの概要は『Oracle Database Applianceセットアップ・ポスター』を参照 |
デプロイ・タスクは表示順に実行する必要があります。ただし、ベア・メタル・デプロイメントに必要のないタスクもあれば、仮想化プラットフォーム・デプロイメントで不要のステップもあります。ご使用のデプロイメント・タイプでは実行する必要がないタスクの場合は、必要な次のタスクに進んでください。
Oracle Database Applianceに仮想化プラットフォーム・イメージがあるかどうかを確かめるには、パスワードwelcome1
を使用してroot
アカウントでログインし、コマンドoakcli show env_hw
を入力します。出力結果に値VM-Dom0
とハードウェアの、モデルが表示される場合は、次の項の説明に従ってOracle Database Appliance仮想プラットフォームのデプロイメントを進めることができます。このコマンドによって必要な出力が生成されない場合、またはエラーが発生する場合は、Oracle Database Appliance仮想化プラットフォーム・イメージをインストールする必要があります。
注意: Oracle Database Appliance仮想化イメージをインストールする手順は、My Oracle Supportのノート1520579.1(https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1520579.1 )を参照してください。 |
仮想化イメージのインストール後、「初期ネットワーク接続の構成」で説明されているように、初期ネットワークの再構成が必要になる場合があります。
他のソフトウェアをデプロイする前に、Oracle Database Applianceにエンドユーザー・バンドルをインストールする必要があります。このためには、次の手順に従って適切なパッチ・ファイルを外部クライアントにダウンロードしてから、そのパッチをコピーしてインストールする必要があります。
外部クライアント・マシンから、My Oracle Supportにログオンし、次のURLにあるノート888888.1にアクセスします。
https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=888888.1
最新リリース・セクションで、"エンド・ユーザー・バンドル(GI+RDBMS)"と表示されたパッチへのリンクを探します。
リンクをクリックし、最新のOracle Database Applianceエンドユーザー・バンドル・パッチをクライアント・システム(デスクトップまたはラップトップ)にダウンロードします。
セキュア・コピー・コマンド(scp
)を使用して、Oracle Database Appliance上の場所(たとえば、/tmp
ディレクトリ)にエンドユーザー・バンドル・パッチをコピーします。これを行うには、エンドユーザー・バンドル・パッチをダウンロードしたクライアント上のフォルダに移動して、次のようにコマンドを入力します(ここでは、Oracle Database Applianceリリース2.10のファイルを使用)。
scp p12978712_210000_Linux-x86-64.zip root@oda_host:/tmp
この例では、ホスト名をoda_host
として静的なIPアドレスを設定してあり、oakcli configure firstnet
コマンドでそのアドレスを使用してOracle Database Applianceを構成してあることを前提としています。コマンドoakcli configure firstnet
の構文と使用方法の詳細は『Oracle Database Appliance管理およびリファレンス・ガイド』の第4章を参照してください。
または、Oracle Database Appliance上でアクセスを許可するUSBストレージ・デバイスにエンドユーザー・バンドル・パッチを格納します。その場合は、USBストレージ・デバイス上でエンドユーザー・バンドル・イメージが格納されている場所へ移動します。
注意: USBドライブは、FAT32、ext3またはext4としてフォーマットしてください。NTFSファイル・フォーマットはサポートされていません。 |
コマンド構文oakcli unpack -package /
directory_path
/
package_name
を使用して、Oracle Database Applianceソフトウェアを解凍します。directory_path
はエンドユーザー・バンドルのパッチ・ファイルが置かれているパスです。
たとえば、Oracle Database Applianceリリース2.10用エンドユーザー・バンドルのパッチ・ファイルが/tmp
にあった場合、次のコマンドを実行してp12978712_210000_Linux-x86-64.zipを解凍します。
# oakcli unpack -package /tmp/p12978712_210000_Linux-x86-64.zip
oakcli unpack
コマンドによってバンドル・パッチが解凍され、展開されたファイルがデプロイメントに必要な場所に配置されます。
他のソフトウェアをデプロイする前に、Oracle Database ApplianceにODA_BASEテンプレートをインストールする必要があります。このためには、次の手順に従って適切なODA_BASEテンプレートを外部クライアントにダウンロードしてから、そのテンプレートをOracle Database Applianceにコピーする必要があります。
外部クライアント・マシンから、My Oracle Supportにログオンし、次の場所にあるノート888888.1にアクセスします。
https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=888888.1
リンクをクリックし、最新のOracle Database ApplianceのODA_BASEテンプレートを外部クライアントにダウンロードします。
scp
コマンドを使用して、ODA_BASEテンプレートを外部クライアントからノード0のDom0にコピーします。ターゲットの場所に、/scp
ディレクトリまたは/OVS
ディレクトリを使用します。
または、ODA_BASEテンプレートをUSBストレージ・デバイスに格納し、USBデバイスがOracle Database Applianceに表示された後で、このテンプレートをコピーすることができます。
注意: USBドライブは、FAT32、ext3またはext4としてフォーマットしてください。NTFSファイル・フォーマットはサポートされていません。 |
Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのノード0で、Dom0にroot
としてログインし、Dom0の/OVS
ディレクトリにODA_BASEテンプレートを(ない場合は)コピーします。Dom0にログインした状態のままで、このタスクの残りの手順を完了してください。
コマンドoakcli deploy oda_base
を使用し、プロンプトに応答してODA_BASEをデプロイします。このコマンドでは、ODA_BASEを自動的に両方のノードにデプロイします。ODA_BASEテンプレートが/OVS
ディレクトリにある場合、デプロイメント・ダイアログは次の例のように表示されます(Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのハードウェア・プラットフォームごとに、使用可能なCPUコア数などの値は異なります)。
# oakcli deploy oda_base Enter the template location: /OVS/templateBuild-2012-12-22-12-05.tar.gz Core Licensing Options: 1. 2 CPU Cores 2. 4 CPU Cores 3. 6 CPU Cores 4. 8 CPU Cores 5. 10 CPU Cores 6. 12 CPU Cores 7. 14 CPU Cores 8. 16 CPU Cores 9. 24 CPU Cores 10. 36 CPU Cores Selection [1 : 6] : 3 ODA base domain memory in GB (min 16, max 244)(Current Memory 150G)[default 192] : 32
また、oakcli deploy oda_base
コマンドでは、1つ以上の仮想ローカル・エリア・ネットワーク(VLAN)をODA_BASEに割り当てることもできます。VLANをデプロイするには、次の例(一部)に示すように、追加のVLANネットワークに関するプロンプトが表示されたらy
と応答し、デプロイするVLANがなくなったらn
と応答します。
Additional vlan networks to be assigned to oda_base ? (y/n) : y Select the network to assign [Test00,Test01,Test02,Test03]: Test00 Additional vlan networks to be assigned to oda_base ? (y/n) : y Select the network to assign [Test00,Test01,Test02,Test03]: Test01 Additional vlan networks to be assigned to oda_base ? (y/n) : n
関連項目: Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのVLANの詳細は、『Oracle Database Appliance管理およびリファレンス・ガイド』を参照してください。 |
このコマンドが完了したら、show oda_base
コマンドを実行して、ODA_BASEのデプロイメントが有効であることを確認します。出力内容を調べて、ODA_BASEが次の例に示すように構成されていることを確認します。
# oakcli show oda_base ODA base domain ODA base CPU cores :2 ODA base domain memory :16 ODA base template :/tmp/oda_base_2.10.tar.gz ODA base vlans :['priv1', 'net1', 'net2', 'net3', 'net4', 'db_mgmt'] ODA base current status :Running
ヒント: 新しいODA_BASEデプロイメントに問題があり、クリーンアップと起動が必要なときは、次のコマンドをノード0のDom0から実行します。/opt/oracle/oak/tools/cleanOdabase.py このコマンドにより、新規のデプロイメントを試行できるように、ODA_BASEが削除されます。 |
Oracle Database Appliance X3-2、Oracle Database Appliance X4-2またはOracle Database Appliance X5-2をデプロイする場合は、デプロイメントを進める前に、ストレージの配線をチェックすることをお薦めします。このチェックを実行するには、ユーザー名にroot
、パスワードにwelcome1
を使用してノード0のODA_BASEに接続します。接続したら、次のコマンドを実行します。
# oakcli validate -c storagetopology
2つのノードとストレージ・シェルフとの配線ケーブルが正しいソケットに接続されていない場合、このコマンドを実行するとエラーが表示されます。
Oracle Database Applianceのノード0にroot
ユーザー(デフォルト・パスワードを使用)としてログインします。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでデプロイしている場合は、VNCを使用して、「Hostname」にdom0
を、「Port」に5900
を指定してODA_BASEに接続する必要があります。
「Oracle Appliance Managerデプロイメント計画の作成」で説明されているように、オフラインで作成した構成ファイルからデプロイする場合、前のタスクのステップ4でパッチのコピーに使用したscp
コマンドと同様のコマンドを使用して、構成ファイルをOracle Database Applianceにコピーします。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでデプロイしている場合は、別のscp
コマンドを使用し、ファイルを内部IPアドレス192.168.16.27に送信して、Dom0からODA_BASEにファイルをコピーする必要があります。構成ファイルは便宜上/tmp
ディレクトリに保存するか、今後の使用に備えてより永続的な場所に保存します。
コマンドstartx
を実行して、Oracle Appliance ManagerコンフィギュレータのためにX Window Systemを準備します。
注意: oakcli deploy を実行してもOracle Appliance Managerコンフィギュレータで「Welcome」ウィンドウが開かない場合は、端末のウィンドウでDISPLAY変数を設定します。 |
Oracle Database Applianceをデプロイするには、構成ファイルが必要です。スタンドアロンのOracle Appliance Managerコンフィギュレータで以前に作成したファイルを使用するか、今回新しいファイルを作成します。Oracle Database Applianceで以前に作成および保存済の構成ファイルを使用することもできます。
既存の構成ファイルを使用してデプロイメントを開始するには、次のようにコマンドを入力します(必要に応じて、ご使用のファイルの名前とディレクトリ・パスで置換します)。
# oakcli deploy -conf /tmp/onecommand.param
注意: 以前のリリースのOracle Appliance Managerコンフィギュレータ用に作成された構成ファイルは使用しないでください。最新の構成ファイルがない場合は、次のステップで説明されているように、リアルタイム構成およびデプロイメントを完了します。 |
すぐに構成とデプロイメントを開始するには、次のコマンドを入力します。
# oakcli deploy
Oracle Appliance Managerコンフィギュレータの画面で設定を行います(「Oracle Appliance Managerデプロイメント計画の作成」を参照)。コンフィギュレータの「Summary」ページで「Install」オプションを選択して、デプロイを完了します。
デプロイメントが両方のノードで完了すると、「Oracle Database Appliance Deployment successful.」
というメッセージが表示されます。