この章では、Oracle GoldenGate for MySQLを初めてインストールする場合の手順について説明します。内容は次のとおりです。
次の手順は、Oracle GoldenGateを初めてインストールする場合に実行します。また、Oracle GoldenGateの新規バージョンのベース・リリースをダウンロードする場合のものでもあります。
それ以降のパッチをダウンロードしてベース・リリースにインストールするには、次の場所でMy Oracle Supportの「パッチと更新版」タブにアクセスします。
Oracle GoldenGateをあるバージョンから別のバージョンにアップグレードするには、『Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateのアップグレードfor Windows and UNIX』のアップグレード手順に従ってください。
Oracle GoldenGateをインストールすると、処理の実行および管理に必要なすべてのコンポーネントが(ドライバやライブラリなどの他のベンダー製の必要なコンポーネントを除いて)インストールされ、また、Oracle GoldenGateユーティリティがインストールされます。
Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの入手方法の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の製品の配布の理解と入手に関する項を参照してください。
Oracle WebLogic Server and Coherenceソフトウェアを開発または評価用にダウンロードするには、Oracle Technology Network (OTN)で次の場所を参照してください。
Oracle Fusion Middleware製品の検索やダウンロードの詳細は、OTNでOracle Fusion Middlewareダウンロード、インストール、構成のREADMEファイルを参照してください。
Oracle GoldenGateを入手するには、次の手順に従います。
Oracle Technology Networkに移動します。
Oracle GoldenGate 12c (12.2.0.1)リリースを探して、使用中のシステムにZIPファイルをダウンロードします。
Oracle GoldenGateは共有ライブラリを使用します。UNIXシステム上にOracle GoldenGateをインストールする場合は、GGSCIまたは他のOracle GoldenGateプロセスを実行する前に次のことを行う必要があります。
Oracle GoldenGateプログラムを、UNIXシステム上のOracle GoldenGateインストール・ディレクトリの外側から実行している場合は、次のことを行います。
(オプション) Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリをPATH
環境変数に追加します。
(必須)Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリを共有ライブラリの環境変数に追加します。
たとえば、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリが/users/ogg
である場合、次の表の2番目のコマンドでは、これらの変数が設定されている必要があります。
コマンド | 環境変数にGGライブラリが必要であるか |
---|---|
$ users/ogg > ./ggsci |
いいえ |
$ users > ./ogg/ggsci |
はい |
Kornシェルで変数を設定する方法
PATH=installation_directory
:$PATH export PATHshared_libraries_variable
=absolute_path_of_installation_directory
:$shared_libraries_variable
exportshared_libraries_variable
Bourneシェルで変数を設定する方法
export PATH=installation_directory:$PATH exportshared_libraries_variable
=absolute_path_of_installation_directory:$shared_libraries_variable
Cシェルで変数を設定する方法
setenv PATH installation_directory:$PATH setenv shared_libraries_variable absolute_path_of_installation_directory:$shared_libraries_variable
ここでshared_libraries_variable
は次のいずれかです。
表2-1 プラットフォームごとのUNIX/Linuxライブラリ・パス変数
プラットフォーム脚注 1 | 環境変数 |
---|---|
IBM AIX IBM z/OS |
|
HP-UX |
|
Sun Solaris Linux |
|
脚注 1 Oracle GoldenGateでは、特定のプラットフォームでご使用のデータベースがサポートされていない場合があります。
脚注 2 32ビットのOracleデータベースが存在する64ビット環境の場合、Oracle GoldenGateでは32ビットのOracleライブラリが含まれるようにLD_LIBRARY_PATH
を設定する必要があります。
注意: Oracle GoldenGateプロセスに必要なライブラリを表示するには、プロセスを開始する前にldd process シェル・コマンドを使用します。このコマンドでは、欠落しているライブラリに関するエラー・メッセージも表示されます。 |
この項では、Oracle GoldenGateをクラスタ環境にインストールする場合のインストール要件について説明します。Oracle GoldenGateは、フェイルオーバーを自動化する機能を持つクラスタ管理ソリューションと組み合せて使用できます。
最低でも、なんらかのOracle GoldenGateオブジェクトを共有記憶域にインストールする必要があります。クラスタのどのノードからも独立していて、すべてのノードから使用可能なクラスタ対応の共有記憶域を選択します。
ベスト・プラクティスは、Oracle GoldenGate全体を共有記憶域にインストールすることです。これによって、パラメータ・ファイルを変更せずにどのノードからもOracle GoldenGateプロセスを起動できます。アクティブ・ノードに障害が発生した場合、インストール・ディレクトリに保持されている処理のチェックポイントを使用して、別のノードでプロセスをただちに起動できます。
共有記憶域ではなく、各ノードにOracle GoldenGateバイナリとファイルをインストールする場合、次の条件を満たす必要があります。
Oracle GoldenGateインストールの場所が、すべてのノードで同じパスである必要があります。
最低でも次のディレクトリを共有記憶域にインストールし、Oracle GoldenGateのリカバリ要件をサポートします。UNIXまたはLinuxでは、各ノードのインストール・ディレクトリからのシンボリック・リンクを作成できます。
dirchk
dirdat
これらのディレクトリは、インストール時にCREATE SUBDIRS
を発行して作成されるディレクトリの一部です。
dirprm
ディレクトリのパラメータ・ファイルは、共有ドライブに配置されていない場合、すべてのノードで同一である必要があります。ノードごとに異なる環境設定を解決するために、ローカルManagerプロセスから継承するか、ノード固有のOracle GoldenGateマクロ・ファイルを参照するよう環境設定を設定できます。このシナリオを実現するのは難しいため、パラメータ・ファイルを共有ドライブに格納することで内在する問題を回避できます。
Oracle GoldenGateのインストール後、2.8項「クラスタへのOracle GoldenGateの統合」も参照してください。
次の手順に従って、LinuxまたはUNIXシステムまたはクラスタ内の適切な場所にOracle用のOracle GoldenGateをインストールします。詳細は、2.4項「クラスタ内でのOracle GoldenGateのインストールの準備」を参照してください。この手順では、Oracle GoldenGateインストール・ファイルを展開し、作業用のサブディレクトリを作成します。
Oracle GoldenGateのmediapack.zip
ファイルを、Oracle GoldenGateをインストールするシステムおよびディレクトリに解凍します。
コマンド・シェルを実行します。
ディレクトリを新しいOracle GoldenGateディレクトリに変更します。
Oracle GoldenGateディレクトリからGGSCIプログラムを実行します。
GGSCI
GGSCIで次のコマンドを発行して、Oracle GoldenGate作業ディレクトリを作成します。
CREATE SUBDIRS
次のコマンドを発行してGGSCIを終了します。
EXIT
次の手順に従って、Windowsシステムまたはクラスタ内の適切な場所にOracle用のOracle GoldenGateをインストールします。詳細は、2.4項「クラスタ内にOracle GoldenGateをインストールする準備」を参照してください。
WindowsでOracle GoldenGateをインストールするには、次の手順が必要です。
2.6.1項「Oracle GoldenGateファイルのインストール」
2.6.3項「WindowsサービスとしてのManagerのインストール」
次の手順では、Oracle GoldenGateのインストール・ディレクトリにインストール・ファイルを展開し、作業ディレクトリを作成します。
(Windowsクラスタ)クラスタ内のいずれかのノードにログインします。
(Windowsクラスタ)Oracle GoldenGateのインストール場所のドライブを選択します。このドライブは、データベース・インスタンスが含まれる同じクラスタ・グループ内のリソースである必要があります。
(Windowsクラスタ)このクラスタ・グループが、ログインしているクラスタ・ノードによって所有されていることを確認します。
次の手順に従って、Oracle GoldenGateをインストールします。
WinZipまたは同等の圧縮製品を使用して、ダウンロードしたファイルを解凍します。
Oracle GoldenGateをインストールするドライブ内のフォルダに、バイナリ・モードでファイルを移動します。パスが引用符で囲まれている場合でも、名前に空白が含まれているフォルダにはOracle GoldenGateをインストールしないでください。例:
C:\"Oracle GoldenGate"
は有効ではありません。
C:\Oracle_GoldenGate
は有効です。
Oracle GoldenGateフォルダからGGSCIプログラムを実行します。
GGSCIで次のコマンドを発行して、Oracle GoldenGate作業ディレクトリを作成します。
CREATE SUBDIRS
次のコマンドを発行してGGSCIを終了します。
EXIT
次のいずれかに該当する場合は、Managerプロセスにカスタム名を指定する必要があります。
デフォルトのGGSMGR
以外の名前をManagerに使用します。
複数のManagerプロセスがWindowsサービスとしてこのシステムで実行されています。システム上の各Managerの名前を一意にする必要があります。先に進む前に、すべてのローカルManagerサービスの名前を確認します。
ManagerプログラムがあるディレクトリからGGSCIを実行します。
次のコマンドを発行します。
EDIT PARAMS ./GLOBALS
注意: GLOBALS ファイルはOracle GoldenGateインストール・ファイルのルートにあるため、このコマンドの./ の部分を使用する必要があります。 |
ファイルに次の行を追加します。name
は、Managerサービスの1語で構成される名前です。
MGRSERVNAME
name
ファイルを保存します。ファイルはGLOBALS
という名前で自動的に保存されますが、ファイル拡張子は付きません。このファイルは移動しないでください。Windowsサービスのインストール時とデータ処理時に使用されます。
デフォルトでは、Managerはサービスとしてインストールされず、ローカルまたはドメイン・アカウントで実行できます。ただし、この方法で実行した場合は、ユーザーがログアウトするとManagerは停止します。Managerをサービスとしてインストールすれば、ユーザー接続と無関係にManagerを操作でき、手動で起動するように構成することも、システム起動時に起動するように構成することもできます。
WindowsクラスタではManagerをサービスとしてインストールする必要がありますが、それ以外ではオプションです。
(推奨)システム管理者としてログオンします。
「スタート」、「ファイル名を指定して実行」をクリックし、「ファイル名を指定して実行」
ダイアログ・ボックスでcmdと入力します。
サービスとしてインストールするManagerプログラムを含むディレクトリから、次の構文でinstall
プログラムを実行します。
install option
[...]
説明: option
は次のいずれかです。
表2-2 INSTALL
オプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Oracle GoldenGateのイベントをWindowsのイベント・マネージャに追加します。 |
|
サービスはシステム・ブート時に起動するようにインストールされます(「 |
|
|
|
|
|
Managerを実行するドメイン・ユーザー・アカウントを指定します。 デフォルトでは、Managerサービスはローカル・システム・アカウントを使用するようにインストールされます。 |
|
|
脚注 1 ユーザー・アカウントは、Windowsコントロール パネルのサービス・アプレットからプロパティ・アクションを選択することで変更できます。
Windowsのユーザー・アカウント制御(UAC)が有効になっている場合、コンピュータへのプログラムのアクセスを許可または拒否するよう要求されます。「許可」を選択すると、install
プログラムを実行できます。これにより、管理者権限で実行されているローカル・システム・アカウントでManagerサービスがインストールされます。サービスとしてインストールされたManagerを実行している場合、これ以降UACプロンプトが表示されることはありません。
注意: Managerがサービスとしてインストールされていない場合、ManagerをGGSCIコマンド・プロンプトから起動する際、Managerの権限の強化を確認するUACプロンプトがOracle GoldenGateユーザーに表示されます。他のOracle GoldenGateプログラムの実行でもプロンプトが表示されます。 |
Oracle GoldenGateでは11.2.1.0.4以上のバージョンのMySQLクラスタがサポートされており、MySQL Cluster 7.1.15およびMySQL 5.1.xで動作保証されています。次の手順は、MySQLクラスタに対して動作するためのOracle GoldenGateの設定方法を示しています。
次のMySQLドキュメント『Installing MySQL Cluster on Linux』の説明に従って、MySQL Clusterをインストールします。
http://dev.mysql.com/doc/refman/5.1/en/mysql-cluster-install-linux.html
注意: Oracle GoldenGateではMySQL Cluster/NDBストレージ・モードのみがサポートされるようになりました。したがって、次の設定が構成ファイル(つまり、my.cnf )で必要となります。
default-storage-engine=ndbcluster MySQLデータベースおよび表を作成した後、ステータスをチェックして正しいエンジンとデータ型が使用されていることを確認できます。次に例を示します。 show table status where Name='te'; |
Oracle GoldenGateをMySQL Clusterに対して使用するには、NDB-LOG-UPDATE-AS-WRITE
およびNDB-LOG-UPDATED-ONLY
の各パラメータをそれぞれのMySQLデータベース構成ファイル(my.cnf
/my.ini
)内か、mysqld
コマンドを使用して無効にする必要があります。Extractは、たとえば次のような、無効にされたオプションがすでに有効な時点に配置されている必要があります。
mysqld --default-file=/rdbms/mysql/myssqlcluster/my_cluster/conf/my.cnf -uroot --datadir=/rdbms/mysql/myssqlcluster/my_cluster/mysqld_data--ndbcluster --ndb-log-update-as-write=0 --ndb-log-updated-only=0 --default-storage-engine=ndbcluster --max_allowed_packet=1G
MySQL用の--ndb-log-updated-only
オプションは次の操作を実行します。
行を完全に記録します。
更新されている列データのみを記録します。つまり、値が実際に変更されたかどうかに関係なく、値が設定されている列データです。これはデフォルトの動作です。行全体を記録する必要がある場合は、--ndb-log-updated-only
を0またはOFF
に設定すると可能になります。
--ndb-log-update-as-write
オプションは、変更されたデータをUPDATE
操作として記録します。
2.5項「LinuxおよびUNIXへのOracle GoldenGateのインストール」の手順に従ってOracle GoldenGateをインストールします。 クラスタ環境をサポートするには、すべてのクラスタ・ノードからアクセスできる共有ファイル・システム上にOracle GoldenGateをインストールします。
Oracle GoldenGateをクラスタにインストールした場合、次の手順を実行してOracle GoldenGateをクラスタ・ソリューション内に統合します。
次に示すのは一般的な適用手順のため、特定のクラスタ・システムには適用されない場合があります。
Oracle GoldenGateのクラスタへの統合時には次の要件を満たす必要があります。
Oracle GoldenGate Managerプロセス(Managerのみ)を、他のアプリケーションと同様にクラスタ管理対象リソースとして登録します。Managerは、他のすべてのプロセスを管理する親プロセスであるため、Managerのみがクラスタ管理ソフトウェアを起動および停止するOracle GoldenGateプロセスです。
クラスタで仮想IPアドレスを使用する場合、Managerプロセス用に使用可能な固定IPアドレスを取得する必要があります。VIPは、パブリック・サブネット上の使用可能なIPアドレスである必要があり、DHCPを介して決定されません。Extractデータ・ポンプのパラメータ・ファイルで、リモートManagerのVIPをRMTHOST
パラメータの入力値として指定します。Managerにアクセスする他のOracle GoldenGate製品もVIPを使用する必要があります。
クラスタ内のすべてのノードでシステム・クロックが同期していることを確認します。クロックはExtractが実行されるシステムのクロックと同期している必要があります。Oracle GoldenGateでは、ローカル・システムの時間とコミットのタイムスタンプを比較して、重大な決定をします。システム・クロックの同期については、システム管理者に問い合せてください。
Managerを構成する際、AUTOSTART
およびAUTORESTART
パラメータを追加して、Managerでレプリケーション・プロセスを自動的に起動するようにします。必要に応じて、Oracle GoldenGateユーザー・インタフェース内からExtract、Replicatおよび他のOracle GoldenGateプロセスを制御できます。
1つのノードのみで共有ドライブをマウントします。これによって、他のノードでプロセスが起動されなくなります。すべてのノードで同じマウント・ポイントを使用します。
Oracle GoldenGateを環境に合せて適切に構成します。
Oracle GoldenGateをWindowsクラスタにインストールした場合は、次の手順に従ってOracle GoldenGateをクラスタ・リソースとして設定し、すべてのノード上にManagerサービスを正しく設定します。
クラスタ・アドミニストレータで、Oracle GoldenGateの接続先のデータベース・インスタンスを含むグループにManagerプロセスを追加します。
Oracle GoldenGateが稼働するすべてのノードが、リソースの実行可能な所有者として選択されていることを確認します。
Manager Windowsサービスに次の依存関係(「サービス」コントロール・パネルから構成可能)があることを確認します。
データベース・リソース
Oracle GoldenGateディレクトリが含まれているディスク・リソース
データベース・トランザクション・ログ・ファイルを含むディスク・リソース
データベースのトランザクション・ログ・バックアップ・ファイルを含むディスク・リソース