この章では、Enterprise Manager Cloud Control 13cからOracle Private Cloud Appliance (PCA)を検出する手順について説明します。
この項の内容は次のとおりです。
Enterprise ManagerでOracle PCAを検出するには、まずPCAを準備し、管理エージェントをインストールする必要があります。次の手順を実行して、Oracle PCAを適切に構成します。
PCA Rackの両方の管理ノードで、oracle
ユーザーのパスワードを既知のパスワードに変更します。
# passwd oracle
VIPとEnterprise ManagerパブリックIPが、両方の管理ノードの/etc/hosts
ファイルにあることを確認します。
YOUR.VIP vip-host1.example.com vca1-vip-vip YOUR.EMIP em-host1.example.com em01
アクティブ管理ノードで、共有NFSディレクトリにエージェント・ディレクトリを作成します。
# mkdir /nfs/shared_storage/oemagent # chown oracle !$ # chgrp dba !$
次のコマンドを実行して、ファイアウォールでEnterprise Managerエージェント・ポートを開きます。ステップ5でエージェントをプッシュするときも、必ず同じポートを選択してください。
# iptables -A INPUT -m state --state NEW -m tcp -p tcp --dport <agent_port> -j ACCEPT # service iptables save # service iptables restart
注意: デフォルトでは、Enterprise Managerのエージェント・ポート3872が、PCAソフトウェアによってあらかじめ設定されています。エージェントのプッシュに、このデフォルトEnterprise Managerエージェント・ポート3872を使用する場合、この手順は不要です。 |
OMSから管理エージェントをプッシュします。Enterprise Manager Cloud Controlで、次の操作を実行します。
「設定」メニューから、「ターゲットの追加」、「ターゲットの手動追加」の順に選択します。
「ターゲットの手動追加」ページの「ホスト・ターゲットの追加」エリアで、「ホストにエージェントをインストール」をクリックします。ホストの追加ウィザードが開きます。
ホストとプラットフォームを追加します。このページで「追加」をクリックして、「手動」を選択します。「ホスト」フィールドにホスト名(完全修飾)を入力します。この名前は、エージェントをデプロイするPCAラックの完全修飾仮想IPホスト名である必要があります。「プラットフォーム」ドロップダウン・メニューから、「Linux x86-64」を選択します。図2-1に例を示します。
注意: ターゲット・ホストのプラットフォームは、自動検出から受け取ったヒントとOMSホストのプラットフォームを含む要因の組合せに基づいてデフォルトが決まります。ただし、デフォルトは提案であり、次のステップに進む前に必ずプラットフォーム詳細をチェックしてください。プラットフォーム名に「エージェント・ソフトウェア使用不可」と追加されている場合は、Enterprise Managerの自己更新機能を使用して、そのプラットフォーム用のソフトウェアをダウンロードしてください。 |
「次」をクリックします。
「インストールの詳細」ページ(図2-2)で、次の情報を入力します。
インストールのベース・ディレクトリ: /nfs/shared_storage/oemagent
インスタンス・ディレクトリ: /nfs/shared_storage/oemagent/agent_inst
(この値は、「インストールのベース・ディレクトリ」に基づいて自動的に決定されます)
名前付き資格証明: <agent_username>
資格証明を追加するのが初めての場合は、追加アイコン( )が表示されます。エージェント・ユーザーの資格証明(
oracle
とそのパスワードなど)の入力を求めるダイアログ・ボックスで、このアイコンをクリックします。
上のステップ1でパスワードを設定したoracle
の名前付き資格証明を作成します。
作成した資格証明と、すでにEnterprise Managerに追加されている他の資格証明を選択できるようになります。Enterprise Managerの既存インストールの場合、ユーザーはすでにOracle PCAの検出に必要な資格証明を選択できるようになっている可能性があります。
権限委任設定: デフォルトのままにします。デフォルトでは、このフィールドは/usr/bin/sudo -u %RUNAS% %COMMAND%
となっています。
ポート: デフォルトでは、このフィールドは3872
です。
インストール前スクリプト: このフィールドは空白のままにします。
インストール後スクリプト: このフィールドは空白のままにします。
追加パラメータ: このフィールドは空白のままにします。
フィールドの設定がすべて済んだら、「次」をクリックします。
「確認」ページで、ホスト情報の詳細を確認します。「エージェントのデプロイ」をクリックします。
エラーが発生した場合は、リンク(両方の管理ノード)を作成します。
# /nfs/shared_storage/oemagent to /u01/oemagent # chown oracle /u01/oemagent # chgrp dba /u01/oemagent
ステップ5を再実行し、インストール・ベース・ディレクトリを、修正された権限を持つリンクに設定します。
インストールのベース・ディレクトリ: /u01/oemagent
アクティブ・ノードで、権限エージェント・スクリプトを実行します。
# cd /u01/oemagent -or- cd /nfs/shared_storage/oemagent #./agent_13.1.0.0.0/root.sh # /u01/app/oraInventory/orainstRoot.sh
アクティブ管理ノードで、エージェント・ユーザー(oracle
など)に対して次のコマンドを実行し、emdプロパティAgentListenOnAllNICs
をfalseに設定します。
<Agent_BASE_DIR>/agent_inst/bin/emctl setproperty agent -name "AgentListenOnAllNICs" -value "false"
次のエージェント・インストール・ファイルをパッシブ管理ノードにコピーします(この例では、ovcamn06r1
がパッシブです)。
# scp /etc/init.d/gcstartup root@ovcamn06r1:/etc/init.d/ # rsync -og /etc/oragchomelist root@ovcamn06r1:/etc/oragchomelist # rsync -rog /u01/app/oraInventory/ root@ovcamn06r1:/u01/app/oraInventory/
アクティブ管理ノードで、gc rc.d
リンクをすべて削除します(起動時にエージェントを起動しない)。
# for x in `find /etc/rc.*/rc* | grep gcstart`; do rm $x; done
アクティブ管理ノードで、起動スクリプトからroot
として、またはエージェントのemctl
コマンドからoracle
として、Enterprise Managerエージェントを再起動します。
# /etc/init.d/gcstartup stop # /etc/init.d/gcstartup start
または
% /nfs/shared_storage/oemagent/agent_inst/bin/emctl stop agent % /nfs/shared_storage/oemagent/agent_inst/bin/emctl stop agent
次に示す手順は、Enterprise Manager Cloud ControlでOracle Private Cloud Appliance (PCA)ターゲットを検出するための前提条件および指示です。
「設定」メニューから「ターゲットの追加」、「ターゲットの手動追加」の順に選択します(図2-3)。
「ターゲットの手動追加」ページ(図2-4)で、「ガイド付きプロセスを使用したターゲットの追加」をクリックします。
「ガイド付きプロセスを使用した追加」ウィンドウで、「プライベート・クラウド・アプライアンス」を選択します。「追加」をクリックして(図2-5)、検出ウィザードを開始します。
「検出入力」ページ(図2-6)で、「モニタリング・エージェント」にホストの場所を入力する必要があります。
「検索」アイコンをクリックすると、「検出エージェントの選択」ウィンドウがポップアップ表示されます。
使用可能リストからURLを選択します。URLを選択すると、「検出入力」ページの「管理エージェント」に必要な情報が自動的に入力されます。
「次」をクリックします。
「検出の前提条件」ページ(図2-8)で、一連のチェックが自動的に実行されます。エラーが返される場合は、解決してから続行してください。
注意: 前提条件チェックを再度実行するには、「リロード」をクリックします。 |
「次」をクリックします。
確認のポップアップ・ウィンドウ(図2-9)が表示され、検出されたターゲットの数が示されます。
「閉じる」をクリックして続行します。
「検出されたターゲット」ページ(図2-10)で、検出されたPCAラックに含めるターゲットを選択します。デフォルトでは、使用可能なターゲットがすべて選択されています。
「次」をクリックします。
「モニタリング資格証明」ページで、Oracle PCAラックのコンポーネントごとに資格証明を設定する必要があります。資格証明が設定されていないコンポーネントは、ステータス・フラグが赤くなっています。
コンポーネント・タイプごとに、「編集」アイコンをクリックします。「モニタリング資格証明」ポップアップ(図2-11)で、Oracle PCAラックの各コンポーネントのユーザー名とパスワードを入力します。
注意: インフィニバンド・スイッチの場合は、「コミュニティ文字列」必須フィールド入力に「public」と入力します。 |
資格証明の編集ダイアログですべてに同じ資格証明を使用を選択すると、同じタイプのすべてのターゲットに同じ資格証明を使用できます。図2-12は、「モニタリング資格証明」ページですべての資格証明が設定されている例です。
「次」をクリックします。
「システム・レビュー」ページで「ターゲットの昇格」をクリックし、Oracle PCAラックのすべてのコンポーネントを昇格させます。いずれかのコンポーネントで昇格プロセスが失敗した場合は、「戻る」をクリックしてそのコンポーネントの入力を更新します。ポップアップ・ウィンドウが開き、進行状況が示されます。完了したら(図2-13)、「閉じる」をクリックします。
図2-14は、すべてのコンポーネントで昇格が完了したところの例です。
「閉じる」をクリックします。
Oracle PCAのアップグレード後にEnterprise Managerエージェントをリカバリするには、次の手順を実行します。
oraInventory
エージェントを、NFS共有の場所にバックアップします。
# cd /u01/app # tar -cvf EMagent_oraInventory.tar oraInventory # cp EMagent_oraInventory.tar /nfs/shared_storage
Oracle PCAラックの更新後に、NFS共有場所からoraInventory
エージェントをコピーし、前のoraInventory
の場所でそのtarファイルを展開します。
# cp /nfs/shared_storage/EMagent_oraInventory.tar /u01/app # tar -xvf EMagent_oraInventory.tar
両方の管理ノードで、「Oracle PCAへの管理エージェントのインストール」で作成したのと同じパスワードを、oracle
にも使用します。
# passwd oracle
アクティブ管理ノードで、権限エージェント・スクリプトを実行します。
# cd /u01/oemagent
または
# cd /nfs/shared_storage/oemagent #./agent_13.1.0.0.0/root.sh # /u01/app/oraInventory/orainstRoot.sh
アクティブ管理ノードで、gc rc.d
リンクをすべて削除します(つまり、起動時にエージェントを起動しない)。
# for x in `find /etc/rc.*/rc* | grep gcstart`; do rm $x; done
次のエージェント・インストール・ファイルをパッシブ管理ノードにコピーします(この例では、ovcamn06r1
がパッシブです)。
# scp /etc/init.d/gcstartup root@ovcamn06r1:/etc/init.d/ # rsync -og /etc/oragchomelist root@ovcamn06r1:/etc/oragchomelist # rsync -rog /u01/app/oraInventory/ root@ovcamn06r1:/u01/app/oraInventory
エージェントのプッシュ中に選択した番号(「Oracle PCAへの管理エージェントのインストール」を参照。デフォルトは3872)のEnterprise Managerエージェント・ポートを、両方(アクティブとパッシブ)の管理ノードのファイアウォール設定に追加します。
# iptables -A INPUT -m state --state NEW -m tcp -p tcp --dport <agent_port> -j ACCEPT # service iptables save # service iptables start
注意: デフォルトでは、Enterprise Managerのエージェント・ポート3872が、PCAソフトウェアによってあらかじめ設定されています。エージェントのプッシュに、このデフォルトEnterprise Managerエージェント・ポート3872を使用する場合、この手順は不要です。 |
アクティブ管理ノードで、起動スクリプトからroot
として、またはエージェントのemctl
コマンドからoracle
として、Enterprise Managerエージェントを再起動します。
# /etc/init.d/gcstartup stop # /etc/init.d/gcstartup start
または
% /nfs/shared_storage/oemagent/agent_inst/bin/emctl stop agent % /nfs/shared_storage/oemagent/agent_inst/bin/emctl stop agent
Enterprise ManagerモニタリングからOracle Private Cloud Appliance (PCA)ターゲットを削除するには、次の手順を実行します。
注意: Enterprise ManagerモニタリングからOracle PCAターゲットを削除すると、モニタリングからすべてのPCAコンポーネントも同様に削除されます(たとえば、コンピュート・ノード、管理ノード、インフィニバンド・スイッチ、イーサネットおよびFabric Interconnectスイッチ、ストレージ・サーバーなど)。 |
「ターゲット」メニューから、「プライベート・クラウド・アプライアンス」項目を選択します(図2-15)。
次に、「ターゲット」ページで「プライベート・クラウド・アプライアンス」項目を選択し、「削除」をクリックします。
あるいは、PCAターゲット・ホームページからターゲットを削除することもできます。「プライベート・クラウド・アプライアンス」メニューをクリックし、「ターゲット設定」、「ターゲットの削除」の順に選択します(図2-16)。
確認ポップアップ・ウィンドウが表示されます(図2-17)。
「はい」をクリックして続行します。
PCAターゲットが削除されると、「すべてのターゲット」ページがリロードされます。PCAターゲットとそのコンポーネントすべてが削除されたという確認メッセージが表示されます(図2-18)。