3 Oracle HSM 構成の復元

この章では、Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software およびファイルシステムの構成が、部分的または完全に消失したり破損したりした場合の回復プロセスについて概説します。サーバーホストで障害が発生した場合、Oracle HSM ソフトウェアとファイルシステム構成が消失することがあり、ファイルシステムのデータやメタデータが完全な状態で残っていても、構成情報が復元されるまでそれらにアクセスできません。この状況での成功は、残っているファイルやディレクトリから情報を取り出す作業者の能力と、障害に対してどれだけの準備をしてきたかに左右されます。

バックアップコピーおよび / または SAMreport からの構成の復元

Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS インストールおよび構成ガイド に記載されている推奨手順に従った場合は、次の手順を使用すると、Oracle HSM ソフトウェアおよびファイルシステムの構成を回復できます。

バックアップファイルまたは SAMreport から構成を復元する

  1. サーバーホストで障害が発生したあとに構成を復元する場合は、必要に応じて、ハードウェアの問題を解決し、オペレーティングシステムおよびソフトウェアを再インストールします。

  2. ルートファイルシステムの最新バックアップコピーが存在する場合は、ルートファイルシステムを復元し、ここで終了します。

  3. それ以外の場合は、ファイルシステムサーバーホストに root としてログインします。

    root@solaris:~# 
    
  4. 必要なファイルシステムをマウントします。バックアップ Oracle HSM 構成ファイルを格納するファイルシステム、およびデータファイルのディスクアーカイブコピーを保持するファイルシステムをマウントします。

    この例では、独立したファイルシステム zfs1 上の sam_config サブディレクトリに Oracle HSM サーバーの Solaris 構成ファイルのコピーを保持しています。そのため、マウントポイントを作成します。zfs1 をマウントします。zfs1 ファイルシステム内の最新のコピーから vfstab ファイルを復元します。必要なマウントポイントを作成します。次に、ファイルシステムをマウントします。

    root@solaris:~# cp /etc/vfstab /etc/vfstab.back
    root@solaris:~# mkdir /zfs1
    root@solaris:~# mount -F zfs /net/remote.example.com/zfs1/ /zfs1 
    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/vfstab /etc/vfstab
    root@solaris:~# mkdir /diskvols
    root@solaris:~# mkdir /diskvols/DISKVOL1
    root@solaris:~# mkdir /diskvols/DISKVOL2
    ...
    root@solaris:~# mount /diskvols/DISKVOL1
    root@solaris:~# mount /diskvols/DISKVOL2
    ...
    root@solaris:~# 
    
  5. Oracle HSM 構成ファイルのバックアップコピーがある場合は、構成が消失する前の最新日付のコピーを探します。

    この例では、独立したファイルシステム /zfs1 上の sam_config サブディレクトリに Oracle HSM 構成ファイルのコピーを保持しています。そのため、最新ファイルは簡単に見つかります。

    root@solaris:~# ls /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/
    archiver.cmd     defaults.conf    mcf              recycler.cmd     stager.cmd
    cfg_backups      diskvols.conf    mgmt_sched.conf  releaser.cmd     startup
    csn              inquiry.conf     notify.cmd       scripts          verifyd.cmd
    root@solaris:~# ls /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/scripts
    archiver.sh    log_rotate.sh  nrecycler.sh   recycler.sh    save_core.sh   sendtrap       ssi.sh
    root@solaris:~# ls /zfs1/sam_config/explorer/
    server1.20140430.1659MST.tar.gz   server1.20140114.0905MST.tar.gz
    server1.20110714.1000MST.tar.gz
    
  6. SAMreport が Oracle HSM 構成の消失前に生成された場合は、いちばん新しいものを探します。

  7. QFS ファイルシステムが現在マウントされている場合は、アンマウントします。

  8. 消失した各構成ファイルについて、使用可能なバックアップファイルを復元先サーバー上の必要な場所にコピーします。

    この例では、すべての Oracle HSM 構成ファイルおよびスクリプトをバックアップコピーから復元します (次のコマンドは 1 行で入力し、改行はバックスラッシュ文字でエスケープします)。

    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/* \
    /etc/opt/SUNWsamfs/
    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/scripts/* \
    /etc/opt/SUNWsamfs/scripts/
    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/startup/* \
    /etc/opt/SUNWsamfs/startup/
    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/cfg_backups/* \
    /etc/opt/SUNWsamfs/cfg_backups/
    root@solaris:~# cp /zfs1/sam_config/20140127/etc/opt/SUNWsamfs/csn/* \
    /etc/opt/SUNWsamfs/csn/
    
  9. 構成ファイルのバックアップコピーが存在しない場合は、使用可能な最新の SAMreport に含まれる情報を使用して再作成します。レポートから内容をコピーしてテキストエディタに貼り付け、レポートに記載されているファイルとパスに保存します。

    SAMreport ファイルには、レポートが作成された時点での Oracle HSM 構成ファイルのフルテキストが含まれています。また、ファイルが保存されていたディレクトリも一覧表示されます。

    この例では、ファイル server1.20140127.SAMreport で Oracle HSM マスター構成ファイル (mcf) の情報を検索します。cat コマンドの出力を grep コマンドおよび正規表現パターン \/etc\/opt\/SUNWsamfs\/mcf にパイプします (次のコマンドは 1 行で入力し、改行はバックスラッシュ文字でエスケープします)。

    root@solaris:~# cat /zfs1/sam_config/explorer/server1.20140127.SAMreport | \ grep \/etc\/opt\/SUNWsamfs\/mcf
    ...
    ------------------ /etc/opt/SUNWsamfs/mcf -------------------
    server1# /bin/ls -l /etc/opt/SUNWsamfs/mcf
    -rw-r--r--   1 root     root        1789 Feb  4 09:22 /etc/opt/SUNWsamfs/mcf
     
    # Equipment           Equipment  Equipment  Family     Device   Additional
    # Identifier          Ordinal    Type       Set        State    Parameters
    #-------------------  ---------  ---------  ---------  ------   -----------
    hsmfs1               100        ms         hsmfs1    on
      /dev/dsk/c1t3d0s3    101        md         hsmfs1    on
      /dev/dsk/c1t4d0s5    102        md         hsmfs1    on 
    root@solaris:~# 
    

    grep コマンドの出力をコピーして、その出力を vi エディタにペーストし、そのファイルを正しい名前と場所に保存します。

    root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/mcf
    # Equipment           Equipment  Equipment  Family     Device   Additional
    # Identifier          Ordinal    Type       Set        State    Parameters
    #-------------------  ---------  ---------  ---------  ------   -----------
    hsmfs1               100        ms         hsmfs1    on
     /dev/dsk/c1t3d0s3     101        md         hsmfs1    on
     /dev/dsk/c1t4d0s5     102        md         hsmfs1    on 
    :wq
    root@solaris:~# 
    
  10. 手順Oracle HSM 構成を保存するで保存したダンプファイルデータからライブラリカタログを復元します。各カタログに対して、コマンド build_cat catalog-dump-file catalog-file を使用します。ここでは:

    • catalog-dump-file は、dump_cat コマンドで作成したファイルのパスと名前です。

    • catalog-file は、復元されるカタログファイルのパスと名前です。

    この例では、/zfs1/sam_config/20140513/catalogs/library1cat.dump ファイル内のデータを使用して、library1 のカタログを再構築します。

    root@solaris:~# build_cat /zfs1/sam_config/20140513/catalogs/library1cat.dump \ /var/opt/SUNWsamfs/catalog/library1cat  
    
  11. ハードウェア障害のあと、システムを回復するには、第4章 ファイルシステムの回復に進みます。

  12. 誤って削除または編集した 1 つ以上の構成ファイルを置き換える場合で、ハードウェアまたはファイルシステムの変更が発生していない場合は、sam-fsd コマンドを実行し、構成ファイルにエラーがないか確認します。

    sam-fsd は、Oracle HSM 構成ファイルを読み取る初期化コマンドです。エラーを検出すると停止します。

    root@solaris:~# sam-fsd
    
  13. sam-fsd コマンドによって mcf ファイルでエラーが見つかった場合は、ファイルを編集してエラーを修正し、前の手順の説明に従って再確認します。

    次の例では、sam-fsd によって、デバイスに関して何らかの問題があることが指摘されています。

    root@solaris:~# sam-fsd
    Problem in mcf file /etc/opt/SUNWsamfs/mcf for filesystem hsmfs1
    sam-fsd: Problem with file system devices.
    root@solaris:~# 
    
  14. sam-fsd コマンドを実行してエラーが検出されない場合は、構成ファイルは正しい状態です。次の手順に進みます。

    この例は、エラーのない出力の一部です。

    root@solaris:~# sam-fsd
    Trace file controls:
    sam-amld      /var/opt/SUNWsamfs/trace/sam-amld
                  cust err fatal ipc misc proc date
                  size    10M  age 0
    sam-archiverd /var/opt/SUNWsamfs/trace/sam-archiverd
                  cust err fatal ipc misc proc date module
                  size    10M  age 0
    sam-catserverd /var/opt/SUNWsamfs/trace/sam-catserverd
                  cust err fatal ipc misc proc date module
                  size    10M  age 0
    ...
    Would start sam-archiverd()
    Would start sam-stagealld()
    Would start sam-stagerd()
    Would start sam-amld()
    root@solaris:~# 
    
  15. mcf ファイルを読み取り、適宜再構成を実行するよう、Oracle HSM ソフトウェアに指示します。コマンド samd config を使用します。

    root@solaris:~# samd config
    Configuring SAM-FS
    root@solaris:~# 
    
  16. samd config コマンドで mcf ファイルにエラーが報告された場合は、そのエラーを修正します。次に、前のステップを繰り返します。

  17. 影響を受けたファイルシステムを再マウントします。

  18. ファイルシステムの操作をモニタリングします。

バックアップ情報がない状態での構成の復元

バックアップファイルまたは SAMreport がない場合は、使用可能な情報を使用して構成を再構築します。次に、新しい構成に進みます。手順については、{ent: SAMIC} を参照してください。