2 ホストシステムの構成

インストールおよび構成に進む前に、Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software 用にホストオペレーティングシステムを構成します。この章では、次のトピックの概要について説明します。

Oracle HSM 用の Oracle Solaris の構成

Oracle HSM software および QFS ファイルシステムで使用するように Solaris ホストを構成するには、次のタスクを実行します。

最新オペレーティングシステムの更新のインストール

可能なかぎり、常に Solaris オペレーティングシステムに対応した最新のパッチおよび更新をインストールします。Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software リリース 6.1 で使用可能な最新機能を使用する必要がある場合は、すべての Solaris ホスト上に Oracle Solaris 11 オペレーティングシステムソフトウェアをインストールする必要があります。ソフトウェアで使用するために推奨される最小のオペレーティングシステムリリースに関する詳細は、リリースノートおよび support.oracle.com を参照してください。

選択したバージョンの Solaris のインストール手順および更新手順については、対応するお客様向けドキュメントライブラリのインストールと管理のドキュメント、Oracle Technical Network (OTN)、および support.oracle.com のナレッジベースを参照してください。Image Packaging System (IPS) をはじめて使用する場合は、次の OTN 記事が特に役立つことがあります。

予測したファイルシステム入出力に合わせた Solaris システムおよびドライバパラメータの調整

システム全体のエンドツーエンド入出力 (I/O) のパフォーマンスは、オペレーティングシステム、ドライバ、ファイルシステム、およびアプリケーションによって、不要に断片化および再キャッシュする必要のない単位でデータが転送されるときに最大になります。そのため、使用中のアプリケーションおよびファイルシステムで予測される最大のデータ転送に対応するように Solaris を設定してください。次のように進めます。

  1. Oracle HSM ファイルシステムホストに root としてログインします。

    root@solaris:~# 
    
  2. /etc/system ファイルのバックアップコピーを作成してから、テキストエディタで /etc/system を開きます。

    次の例では、vi エディタを使用します。

    root@solaris:~# cp /etc/system /etc/system.backup
    root@solaris:~# vi /etc/system
    *ident  "%Z%%M% %I%     %E% SMI" /* SVR4 1.5 */
    * SYSTEM SPECIFICATION FILE
    ...
    
  3. /etc/system ファイルで、maxphys (単一の単位としてドライバが処理できる最大の物理入出力要求のサイズ) を、使用中のアプリケーションおよびファイルシステムで行われる最大のデータ転送と等しい値に設定します。set maxphys = 0xvalue 形式の 1 行を入力します。ここで value は、バイト数を表す 16 進数です。その後、ファイルを保存してエディタを閉じます。

    maxphys を上回る要求は、ドライバによって maxphys のサイズのフラグメントに分割されます。デフォルト値は、オペレーティングシステムのリリースによって異なることがありますが、通常は 128K バイト前後です。この例では、maxphys0x800000 (8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。

    root@solaris:~# vi /etc/system
    *ident  "%Z%%M% %I%     %E% SMI" /* SVR4 1.5 */
    * SYSTEM SPECIFICATION FILE
    ...
    set maxphys = 0x800000
    :wq
    root@solaris:~# 
    
  4. テキストエディタで /kernel/drv/sd.conf ファイルを開きます。

    この例では、vi エディタを使用します。

    root@solaris:~# vi /kernel/drv/sd.conf
    # Copyright (c) 1991, 2010, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
    name="sd" class="scsi" target=0 lun=0;
    name="sd" class="scsi" target=1 lun=0;
    ...
    # Associate the driver with devid resolution.
    ddi-devid-registrant=1;
    
  5. /kernel/drv/sd.conf ファイルで、sd_max_xfer_size (SCSI ディスク (sd) ドライバで処理可能な最大のデータ転送サイズ) を maxphys に設定されている値に設定します。sd_max_xfer_size=0xvalue; 形式の 1 行を入力します。ここで value は、バイト数を表す 16 進数です。ファイルを保存して、エディタを閉じます。

    デフォルトは 0x100000 (1048576 バイトまたは 1M バイト) です。この例では、コメントを追加し、sd_max_xfer_size0x800000 (8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。

    ...
    # Associate the driver with devid resolution.
    ddi-devid-registrant=1;
    # Set SCSI disk maximum transfer size
    sd_max_xfer_size=0x800000;
    :wq
    root@solaris:~# 
    
  6. テキストエディタで /kernel/drv/ssd.conf ファイルを開きます。

    次の例では、vi エディタを使用します。

    root@solaris:~# vi /kernel/drv/ssd.conf
    # Copyright 2009 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
    # Use is subject to license terms.
    name="ssd" parent="sf" target=0;
    name="ssd" parent="fp" target=0;
    ...
    name="ssd" parent="ifp" target=127;
    
  7. /kernel/drv/ssd.conf ファイルで、ssd_max_xfer_size (ファイバチャネルディスク (ssd) ドライバで処理可能な最大のデータ転送サイズ) を maxphys に設定されている値に設定します。ssd_max_xfer_size=0xvalue; 形式の 1 行を入力します。ここで value は、バイト数を表す 16 進数です。その後、ファイルを保存してエディタを閉じます。

    デフォルトは 0x100000 (1048576 バイトまたは 1M バイト) です。この例では、コメントを追加し、ssd_max_xfer_size0x800000 (8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。

    ...
    name="ssd" parent="ifp" target=127;
    # Set Fibre Channel disk maximum transfer size
    ssd_max_xfer_size=0x800000;
    :wq
    root@solaris:~# 
    
  8. システムを再起動します。コマンド init 6 を使用します。

    root@solaris:~# init 6
    
  9. 追加の Solaris ホストを含めるソリューションを準備する場合、すべての Solaris ホストが構成されるまで、Oracle HSM 用の Oracle Solaris の構成で指定されているタスクを繰り返します。

  10. 1 つ以上の Linux クライアントを含めるソリューションを準備する場合、Oracle HSM クライアント用の Linux の構成に移動します。

  11. それ以外の場合、ストレージホストおよびデバイスの構成に進みます。

Oracle HSM クライアント用の Linux の構成

Oracle HSM クライアントソフトウェアをインストールする前に、次のように Linux オペレーティングシステムを準備する必要があります。

互換性のないオペレーティングシステム機能の無効化

  1. Oracle HSM クライアントホストに root としてログインします。

    [root@linux ~]# 
    
  2. SELinux (Secure Linux) がインストールされている場合は、それを無効にします。テキストエディタでファイル /etc/selinux/config を開き、SELINUX フラグを disabled に設定し、ファイルを保存し、エディタを閉じて、リブートします。

    Oracle HSM では、Oracle Linux および Red Hat Enterprise Linux 上でデフォルトで有効になっている SELinux がサポートされていません。この例では、vi エディタでファイルを開きます。

    [root@linux ~]# vi /etc/selinux/config
    # This file controls the state of SELinux on the system.
    ...
    #SELINUX=enforcing
    #SELINUX=permissive
    SELINUX=disabled
    SELINUXTYPE=targeted
    :wq
    [root@linux ~]# reboot
    
  3. AppArmor がインストールされている場合は、使用中の Linux ディストリビューションに対応したドキュメントで推奨される手順を使用して無効にします。

    AppArmor は、SELinux の代替として使用されることがありますが、Oracle HSM では AppArmor がサポートされていません。

  4. 次に、必要なカーネル開発およびユーティリティーパッケージをインストールします

必要なカーネル開発およびユーティリティーパッケージのインストール

Oracle HSM クライアントソフトウェアをインストールする前に、いくつかの指定したユーティリティーパッケージとともに、Linux カーネル開発パッケージをインストールする必要があります。必要なパッケージを特定してインストールするには、次の手順を使用します。

  1. Linux クライアントホストに root としてログインします。

    この例では、クライアントは Oracle Linux 上でホストされています。

    [root@linux ~]# 
    
  2. クライアント上にインストールされているカーネルバージョンを特定します。コマンド uname -r を使用します。

    この例では、カーネルバージョンは 2.6.9-89.0.0.0.1.EL です。

    [root@linux ~]# uname -r
    2.6.9-89.0.0.0.1.EL
    [root@linux ~]# 
    
  3. カーネル開発キット kernel-devel-kernel-version をインストールします。ここで kernel-version は、前のステップで特定したバージョン文字列です。

    Oracle HSM クライアントをインストールするには、このパッケージに含まれる Module.symvers が必要です。この例では、パラメータ -y install を付けて Oracle Linux コマンド yum を使用します (-y を付けると、すべてのプロンプトに自動的に「はい」で回答します)。

    [root@linux ~]# yum -y install \ kernel-devel-2.6.9-89.0.0.0.1.EL.i686.rpm
    [root@linux ~]# 
    
  4. Korn シェル ksh がインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 ksh を検索します。コマンドで出力が返されず、ksh がインストールされていないことを示します。そのため、コマンド yum install ksh を使用してインストールします。

    [root@linux ~]# rpm -qa | grep ksh
    [root@linux ~]# 
    [root@linux ~]# yum install ksh
    ...
    --> Running transaction check
    ---> Package ksh-20100621-19.e16.x86_64 set to be installed
     
    ===============================================================================
    Package            Arch          Version                  Repository      Size
    ===============================================================================
    Installing:
     ksh               i686          2.6.9-89.0.0.0.1.EL       updates        506 k
    ...
    Installed:
      ksh-2.6.9-89.0.0.0.1.EL.i686
    Complete!
    [root@linux ~]# 
    
  5. cpio ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 cpio を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、cpio ユーティリティーがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep cpio
    cpio-2.10-10.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  6. find ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 findutils を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、findutils パッケージがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep findutils
    findutils-4.4.2-6.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  7. gcc コンパイラがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 gcc を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、gcc コンパイラがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep gcc
    gcc-4.4.7-3.e16.x86_64
    libgcc-4.4.7-3.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  8. make ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 make を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、make ユーティリティーがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep make
    make-4.4.7-3.e16.x86_64
    libmake-3.81.20.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  9. binutils パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    Oracle HSM インストールソフトウェアで Linux カーネルを構築する必要がある場合は、このパッケージに含まれる nm ユーティリティーが必要です。この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 nm を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、nm ユーティリティーがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep nm
    binutils-2.20.51.0.2-5.34.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  10. rpmbuild パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 rpmbuild を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、rpmbuild パッケージがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep rpmbuild
    rpm-build-4.8.0-37.el6.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  11. rpm パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。

    Oracle HSM インストールソフトウェアで Linux カーネルを構築する必要がある場合は、このパッケージに含まれる rpm2cpio ユーティリティーが必要です。この例では、Oracle Linux コマンド rpm -qa の出力を grep コマンドにパイプして、文字列 rpm を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、ユーティリティーがインストールされていることを示します。

    [root@linux ~]#  rpm -qa | grep rpm
    rpm-4.8.0-27.e16.x86_64
    rpm-libs-4.8.0-27.e16.x86_64
    rpm-python-4.8.0-27.e16.x86_64
    [root@linux ~]# 
    
  12. 追加の Linux クライアントを含めるソリューションを準備する場合、すべての Linux クライアントが構成されるまで、Oracle HSM クライアント用の Linux の構成で指定されているタスクを繰り返します。

  13. 次に、ストレージホストおよびデバイスの構成に進みます。