インストールおよび構成に進む前に、Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software 用にホストオペレーティングシステムを構成します。この章では、次のトピックの概要について説明します。
Oracle HSM software および QFS ファイルシステムで使用するように Solaris ホストを構成するには、次のタスクを実行します。
可能なかぎり、常に Solaris オペレーティングシステムに対応した最新のパッチおよび更新をインストールします。Oracle Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software リリース 6.1 で使用可能な最新機能を使用する必要がある場合は、すべての Solaris ホスト上に Oracle Solaris 11 オペレーティングシステムソフトウェアをインストールする必要があります。ソフトウェアで使用するために推奨される最小のオペレーティングシステムリリースに関する詳細は、リリースノートおよび support.oracle.com
を参照してください。
選択したバージョンの Solaris のインストール手順および更新手順については、対応するお客様向けドキュメントライブラリのインストールと管理のドキュメント、Oracle Technical Network (OTN)、および support.oracle.com
のナレッジベースを参照してください。Image Packaging System (IPS) をはじめて使用する場合は、次の OTN 記事が特に役立つことがあります。
「Introducing the Basics of Image Packaging System (IPS) on Oracle Solaris 11」(Glynn Foster 著、2011 年 11 月)
「How to Update Oracle Solaris 11 Systems From Oracle Support Repositories」(Glynn Foster 著、2012 年 3 月)
「More Tips for Updating Your Oracle Solaris 11 System from the Oracle Support Repository」(Peter Dennis 著、2012 年 5 月)。
システム全体のエンドツーエンド入出力 (I/O) のパフォーマンスは、オペレーティングシステム、ドライバ、ファイルシステム、およびアプリケーションによって、不要に断片化および再キャッシュする必要のない単位でデータが転送されるときに最大になります。そのため、使用中のアプリケーションおよびファイルシステムで予測される最大のデータ転送に対応するように Solaris を設定してください。次のように進めます。
Oracle HSM ファイルシステムホストに root
としてログインします。
root@solaris:~#
/etc/system
ファイルのバックアップコピーを作成してから、テキストエディタで /etc/system
を開きます。
次の例では、vi
エディタを使用します。
root@solaris:~# cp /etc/system /etc/system.backup root@solaris:~# vi /etc/system *ident "%Z%%M% %I% %E% SMI" /* SVR4 1.5 */ * SYSTEM SPECIFICATION FILE ...
/etc/system
ファイルで、maxphys
(単一の単位としてドライバが処理できる最大の物理入出力要求のサイズ) を、使用中のアプリケーションおよびファイルシステムで行われる最大のデータ転送と等しい値に設定します。set maxphys = 0x
value
形式の 1 行を入力します。ここで value
は、バイト数を表す 16 進数です。その後、ファイルを保存してエディタを閉じます。
maxphys
を上回る要求は、ドライバによって maxphys
のサイズのフラグメントに分割されます。デフォルト値は、オペレーティングシステムのリリースによって異なることがありますが、通常は 128K バイト前後です。この例では、maxphys
を 0x800000
(8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。
root@solaris:~# vi /etc/system *ident "%Z%%M% %I% %E% SMI" /* SVR4 1.5 */ * SYSTEM SPECIFICATION FILE ... set maxphys = 0x800000 :wq root@solaris:~#
テキストエディタで /kernel/drv/sd.conf
ファイルを開きます。
この例では、vi
エディタを使用します。
root@solaris:~# vi /kernel/drv/sd.conf
# Copyright (c) 1991, 2010, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
name="sd" class="scsi" target=0 lun=0;
name="sd" class="scsi" target=1 lun=0;
...
# Associate the driver with devid resolution.
ddi-devid-registrant=1;
/kernel/drv/sd.conf
ファイルで、sd_max_xfer_size
(SCSI ディスク (sd
) ドライバで処理可能な最大のデータ転送サイズ) を maxphys
に設定されている値に設定します。sd_max_xfer_size=0x
value
;
形式の 1 行を入力します。ここで value
は、バイト数を表す 16 進数です。ファイルを保存して、エディタを閉じます。
デフォルトは 0x100000
(1048576 バイトまたは 1M バイト) です。この例では、コメントを追加し、sd_max_xfer_size
を 0x800000
(8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。
... # Associate the driver with devid resolution. ddi-devid-registrant=1; # Set SCSI disk maximum transfer size sd_max_xfer_size=0x800000; :wq root@solaris:~#
テキストエディタで /kernel/drv/ssd.conf
ファイルを開きます。
次の例では、vi
エディタを使用します。
root@solaris:~# vi /kernel/drv/ssd.conf
# Copyright 2009 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
name="ssd" parent="sf" target=0;
name="ssd" parent="fp" target=0;
...
name="ssd" parent="ifp" target=127;
/kernel/drv/ssd.conf
ファイルで、ssd_max_xfer_size
(ファイバチャネルディスク (ssd
) ドライバで処理可能な最大のデータ転送サイズ) を maxphys
に設定されている値に設定します。ssd_max_xfer_size=0x
value
;
形式の 1 行を入力します。ここで value
は、バイト数を表す 16 進数です。その後、ファイルを保存してエディタを閉じます。
デフォルトは 0x100000
(1048576 バイトまたは 1M バイト) です。この例では、コメントを追加し、ssd_max_xfer_size
を 0x800000
(8,388,608 バイトまたは 8M バイト) に設定します。
... name="ssd" parent="ifp" target=127; # Set Fibre Channel disk maximum transfer size ssd_max_xfer_size=0x800000; :wq root@solaris:~#
システムを再起動します。コマンド init 6
を使用します。
root@solaris:~# init 6
追加の Solaris ホストを含めるソリューションを準備する場合、すべての Solaris ホストが構成されるまで、Oracle HSM 用の Oracle Solaris の構成で指定されているタスクを繰り返します。
1 つ以上の Linux クライアントを含めるソリューションを準備する場合、Oracle HSM クライアント用の Linux の構成に移動します。
それ以外の場合、ストレージホストおよびデバイスの構成に進みます。
Oracle HSM クライアントソフトウェアをインストールする前に、次のように Linux オペレーティングシステムを準備する必要があります。
Oracle HSM クライアントホストに root
としてログインします。
[root@linux ~]#
SELinux (Secure Linux) がインストールされている場合は、それを無効にします。テキストエディタでファイル /etc/selinux/config
を開き、SELINUX
フラグを disabled
に設定し、ファイルを保存し、エディタを閉じて、リブートします。
Oracle HSM では、Oracle Linux および Red Hat Enterprise Linux 上でデフォルトで有効になっている SELinux がサポートされていません。この例では、vi
エディタでファイルを開きます。
[root@linux ~]# vi /etc/selinux/config # This file controls the state of SELinux on the system. ... #SELINUX=enforcing #SELINUX=permissive SELINUX=disabled SELINUXTYPE=targeted :wq [root@linux ~]# reboot
AppArmor がインストールされている場合は、使用中の Linux ディストリビューションに対応したドキュメントで推奨される手順を使用して無効にします。
AppArmor は、SELinux の代替として使用されることがありますが、Oracle HSM では AppArmor がサポートされていません。
Oracle HSM クライアントソフトウェアをインストールする前に、いくつかの指定したユーティリティーパッケージとともに、Linux カーネル開発パッケージをインストールする必要があります。必要なパッケージを特定してインストールするには、次の手順を使用します。
Linux クライアントホストに root
としてログインします。
この例では、クライアントは Oracle Linux 上でホストされています。
[root@linux ~]#
クライアント上にインストールされているカーネルバージョンを特定します。コマンド uname
-r
を使用します。
この例では、カーネルバージョンは 2.6.9-89.0.0.0.1.EL
です。
[root@linux ~]# uname -r 2.6.9-89.0.0.0.1.EL [root@linux ~]#
カーネル開発キット kernel-devel-
kernel-version
をインストールします。ここで kernel-version
は、前のステップで特定したバージョン文字列です。
Oracle HSM クライアントをインストールするには、このパッケージに含まれる Module.symvers
が必要です。この例では、パラメータ -y
install
を付けて Oracle Linux コマンド yum
を使用します (-y
を付けると、すべてのプロンプトに自動的に「はい」で回答します)。
[root@linux ~]# yum -y install \ kernel-devel-2.6.9-89.0.0.0.1.EL.i686.rpm [root@linux ~]#
Korn シェル ksh
がインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 ksh
を検索します。コマンドで出力が返されず、ksh
がインストールされていないことを示します。そのため、コマンド yum
install
ksh
を使用してインストールします。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep ksh [root@linux ~]# [root@linux ~]# yum install ksh ... --> Running transaction check ---> Package ksh-20100621-19.e16.x86_64 set to be installed =============================================================================== Package Arch Version Repository Size =============================================================================== Installing: ksh i686 2.6.9-89.0.0.0.1.EL updates 506 k ... Installed: ksh-2.6.9-89.0.0.0.1.EL.i686 Complete! [root@linux ~]#
cpio
ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 cpio
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、cpio
ユーティリティーがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep cpio cpio-2.10-10.e16.x86_64 [root@linux ~]#
find
ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 findutils
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、findutils
パッケージがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep findutils findutils-4.4.2-6.e16.x86_64 [root@linux ~]#
gcc
コンパイラがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 gcc
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、gcc
コンパイラがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep gcc gcc-4.4.7-3.e16.x86_64 libgcc-4.4.7-3.e16.x86_64 [root@linux ~]#
make
ユーティリティーがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 make
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、make
ユーティリティーがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep make make-4.4.7-3.e16.x86_64 libmake-3.81.20.e16.x86_64 [root@linux ~]#
binutils
パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
Oracle HSM インストールソフトウェアで Linux カーネルを構築する必要がある場合は、このパッケージに含まれる nm
ユーティリティーが必要です。この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 nm
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、nm
ユーティリティーがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep nm binutils-2.20.51.0.2-5.34.e16.x86_64 [root@linux ~]#
rpmbuild
パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 rpmbuild
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、rpmbuild
パッケージがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep rpmbuild rpm-build-4.8.0-37.el6.x86_64 [root@linux ~]#
rpm
パッケージがインストールされているかどうかを確認します。インストールされていない場合は、インストールします。
Oracle HSM インストールソフトウェアで Linux カーネルを構築する必要がある場合は、このパッケージに含まれる rpm2cpio
ユーティリティーが必要です。この例では、Oracle Linux コマンド rpm
-qa
の出力を grep
コマンドにパイプして、文字列 rpm
を検索します。コマンドでバージョン情報が返され、ユーティリティーがインストールされていることを示します。
[root@linux ~]# rpm -qa | grep rpm rpm-4.8.0-27.e16.x86_64 rpm-libs-4.8.0-27.e16.x86_64 rpm-python-4.8.0-27.e16.x86_64 [root@linux ~]#
追加の Linux クライアントを含めるソリューションを準備する場合、すべての Linux クライアントが構成されるまで、Oracle HSM クライアント用の Linux の構成で指定されているタスクを繰り返します。
次に、ストレージホストおよびデバイスの構成に進みます。