3 OSWatcher Black Boxの使用

警告:

Oracle Linux 7は現在拡張サポート中です。詳細は、Oracle Linux拡張サポートおよびOracleオープン・ソース・サポート・ポリシーを参照してください。

アプリケーションとデータをできるだけ早くOracle Linux 8またはOracle Linux 9に移行します。

この章では、Oracle OSWatcher Black Box (OSWbb)をインストールして、Oracle Linuxシステムに関するオペレーティング・システムおよびネットワーク・パフォーマンスのメトリックを収集するように構成する方法について説明します。

OSWbbについて

OSWbbでは、オペレーティング・システムおよびネットワークについてパフォーマンス問題の診断に使用できるメトリックを収集してアーカイブします。OSWbbは、サーバー上でバックグラウンド・プロセスのセットとして動作し、vmstatmpstatnetstatiostattopなどのUNIXユーティリティを起動して定期的にデータを収集します。

OSWbbは、Oracle RAC (Real Application Clusters)およびOracle Grid Infrastructure構成では特に便利です。RAC-DDT (診断データ・ツール)スクリプト・ファイルには、OSWbbが含まれていますが、デフォルトではインストールされません。

OSWbbのインストール

OSWbbをインストールするには:

  1. My Oracle Support (MOS)にログインします(https://support.oracle.com)。

  2. ドキュメントID 301137.1でリストされたリンク(https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=301137.1)からOSWatcherをダウンロードします。

  3. OSWbbをインストールするディレクトリにファイルをコピーし、次のコマンドを実行します。

    sudo tar xvf oswbbVERS.tar

    VERSは、OSWatcherのバージョン番号です(たとえば、OSWatcher 7.30の場合は730)。

    tarファイルを抽出すると、startOSWbb.shスクリプトなどのOSWbbに関連するすべてのディレクトリおよびファイルが含まれたoswbbというディレクトリが作成されます。

  4. NFSボリュームのiostat情報の収集を有効にするには、oswbbディレクトリのOSWatcher.shスクリプトを編集して、nfs_collectの値を1に設定します。

    nfs_collect=1

OSWbbの実行

OSWbbを起動するには、oswbbディレクトリからstartOSWbb.shスクリプトを実行します。

sudo ./startOSWbb.sh [frequency
                  duration]

オプションの頻度と継続時間の引数では、OSWbbでデータを収集する秒単位の頻度と、OSWbbを実行する時間数を指定します。デフォルト値は、30秒および48時間です。次の例では、データを記録するOSWbbを60秒間隔で起動し、そのデータ記録を12時間継続します。

sudo ./startOSWbb.sh 60 12
...
Testing for discovery of OS Utilities...
VMSTAT found on your system.
IOSTAT found on your system.
MPSTAT found on your system.
IFCONFIG found on your system.
NETSTAT found on your system.
TOP found on your system.

Testing for discovery of OS CPU COUNT
oswbb is looking for the CPU COUNT on your system
CPU COUNT will be used by oswbba to automatically look for cpu problems

CPU COUNT found on your system.
CPU COUNT = 4

Discovery completed.

Starting OSWatcher Black Box v7.3.0  on date and time
With SnapshotInterval = 60
With ArchiveInterval = 12
...
Data is stored in directory: OSWbba_archive

Starting Data Collection...

oswbb heartbeat: date and time
oswbb heartbeat: date and time + 60 seconds
...

OSWbba_archiveは、OSWbbログ・ファイルを含むアーカイブ・ディレクトリのパスです。

OSWbbを途中で停止するには、oswbbディレクトリからstopOSWbb.shスクリプトを実行します。

sudo ./stopOSWbb.sh

OSWbbは、oswbb/archiveディレクトリ以下の次のディレクトリにデータを収集します。

ディレクトリ 説明

oswifconfig

ifconfigからの出力が含まれます。

oswiostat

iostatからの出力が含まれます。

oswmeminfo

/proc/meminfoの内容のリストが含まれます。

oswmpstat

mpstatからの出力が含まれます。

oswnetstat

netstatからの出力が含まれます。

oswprvtnet

RACのプライベート・ネットワーク・トレースを有効にしている場合、プライベート・ネットワークのステータスに関する情報が含まれます。

oswps

psからの出力が含まれます。

oswslabinfo

/proc/slabinfoの内容のリストが含まれます。

oswtop

topからの出力が含まれます。

oswvmstat

vmstatからの出力が含まれます。

OSWbbは、1時間ごとのアーカイブ・ファイルにデータを格納します。このファイルには、system_name_command_name_timestamp.datという名前が付けられます。ファイルの各エントリの先頭にはタイムスタンプが付けられます。

OSWbbアーカイブ・ファイルの分析

リリースv4.0.0からは、OSWbbアナライザ(OSWbba)を使用して、システムの速度低下やハングなどのパフォーマンス問題に関する情報を提供し、iostatnetstatおよびvmstatから収集したデータをグラフ化できます。OSWbbaの要件として、システムにJavaバージョン1.4.2以降がインストールされている必要があります。yumを使用してJavaをインストールできます。また、http://www.java.comからLinux用のJava RPMをダウンロードできます。

次のコマンドを使用して、oswbbディレクトリからOSWbbaを実行します。

sudo java -jar oswbba.jar -i OSWbba_archive
               

OSWbba_archiveは、OSWbbログ・ファイルを含むアーカイブ・ディレクトリのパスです。

OSWbbaを使用すると、次のタイプのパフォーマンス・グラフを表示できます。

  • プロセスの実行キュー、待機キューおよびブロック・キュー。

  • システム、ユーザーおよびアイドル・モードでの実行に費やしたCPU時間。

  • コンテキストの切替えおよび割込み。

  • 空きメモリーおよび使用可能なスワップ。

  • 1秒当たりの読取り、1秒当たりの書込み、I/Oリクエストに対するサービス時間、および指定したブロック・デバイスに対する帯域幅の使用量の割合。

OSWbbaは、レポート・ファイルに分析を保存するために使用することもできます。このファイルでは、システムの速度低下、実行キューの長さにおけるスパイク、またはメモリー不足の実例がレポートされ、考えられる原因が示され、パフォーマンスの改善方法が提示されます。

sudo java -jar oswbba.jar -i OSWbba_archive -A

OSWbbおよびOSWbbaの詳細は、https://support.oracle.comのMy Oracle Support (MOS)から入手できる『OSWatcher Black Box User Guide』(記事ID 301137.1)および『OSWatcher Black Box Analyzer User Guide』(記事ID 461053.1)を参照してください。