3 新機能および変更点
この項では、Oracle Linux 7.6 (aarch64)の新機能および変更点について説明します。Oracle Linux 7の最初のリリースの新機能と変更点の詳細は、Oracle Linux 7: リリース・ノートfor Oracle Linux 7を参照してください。Armアーキテクチャ・プラットフォームは、Oracle Linux 7のOracle Linux 7: リリース・ノートfor Oracle Linux 7.5 (aarch64)リリースでサポートされるようになりました。ここで説明する変更点は、その最初のリリースで提供されているリリース・ノートに記載された変更点の後に発生した変更です。
クラスタリング
この更新には、次のクラスタリング機能、バグ修正および拡張機能が含まれています。クラスタリング・テクノロジおよびサポートの制限の詳細は、Oracle Linux 7: 管理者ガイドを参照してください。
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Pacemakerでsystemdのpath、mountおよびtimerユニット・ファイルのサポートを開始
以前のリリースのPacemakerではsystemdの
service
およびsocket
ユニット・ファイルがサポートされていましたが、他のユニットは失敗していました。Pacemakerで、systemdのpath
、mount
およびtimer
ユニットも管理できるようになりました。 -
Pacemaker LVMリソース・エージェントを更新
ホスト間で共有ストレージをより適切に管理するために、LVMリソース・エージェントに新しい機能および更新が適用されました。特に、新しい
LVM-activate
リソース・エージェントは、クラスタ全体でのLVM管理の処理を支援し、実装に応じてclvmd
またはlvmlockd
を使用するように構成できます。新しい
LVM-activate
リソース・エージェントで使用可能なオプションは次のとおりです。-
tagging
。既存のlvm
リソース・エージェントで提供されるtagging
に相当します。 -
clvmd
。既存のlvm
リソース・エージェントでclvmd
を使用する場合と同じです。 -
system ID
。tagging
を使用するかわりに、ボリューム・グループ・フェイルオーバーにシステムIDを使用する新しいオプション。 -
lvmlockd
。clvmd
を使用するかわりに、ボリューム・グループ共有にlvmlockd
およびdlm
を使用する新しいオプション。
既存の
lvm
リソース・エージェントにも、volume_group_check_only
パラメータを受け入れるようにパッチが適用されています。このパラメータは、タグ付けされたボリュームのタイムアウトを回避するために、監視をボリューム・グループのみに制限するように設定できます。このパラメータは、タイムアウトの問題が発生している場合にのみ、lvm
リソース・エージェントで使用する必要があります。このパラメータは、LVM-activate
リソース・エージェントで使用しないでください。 -
MySQL Communityパッケージ
MySQL Community 8.0.11パッケージは、Unbreakable Linux Network (ULN)およびOracle Linux yumサーバー上のArmで使用できます。
MySQL Communityパッケージは、ULNから直接インストールすることも、適切なチャネルまたはリポジトリを有効にしてOracle Linux yumサーバーからインストールすることもできます。たとえば、Oracle Linux yumサーバー上のol7_MySQL80
リポジトリを有効にして、次のようにMySQL Community 8.0パッケージをインストールします。
sudo yum-config-manager --enable ol7_MySQL80
ULNでチャネルを有効にするには、ULN Webインタフェースを使用して、システムを適切なチャネルにサブスクライブします。
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ULNユーザー名とパスワードを使用してhttps://linux.oracle.comにログインします。
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「システム」タブの登録されたマシンのリストで、システムの名前が付いているリンクをクリックします。
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「システム詳細」ページで、「サブスクリプションの管理」をクリックします。
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「システム・サマリー」ページで、利用できるチャネルのリストから必要なチャネルを選択し、右矢印をクリックしてサブスクライブ済チャネルのリストに移動します。
システムを
ol7_aarch64_MySQL80_community
チャネルにサブスクライブします。 -
「サブスクリプションの保存」をクリックします。
ノート:
ArmのサポートはMySQL Community 8.0.11に制限されています。MySQL Communityの以前のリリースのチャネルは、aarch64では使用できません。
DTrace
DTraceはArmプラットフォームで有効になっており、DTraceコードのポートはUEK R5で使用できます。詳細は、Unbreakable Enterprise Kernel: リリース・ノートfor Unbreakable Enterprise Kernelリリース5 (4.14.35-1818)を参照してください。
Oracle Linux 7.6 (aarch64)でDTraceを完全に有効にするために、dtrace-utils
パッケージのDTraceユーザースペース・コードもすべて、64ビットArmプラットフォームで実行するように移植されています
開発者ツールチェーン
Oracle Linux 7.6 (aarch64)リリースには、64ビットArmプラットフォーム用のコードを作成し、提供されたカーネルに対してモジュールをコンパイルするための堅牢な開発者ツールセットを提供するツールチェーンが含まれています。これには、UEK R5のaarch64バージョンの構築に使用されるgcc
コンパイラのバージョン7.3が含まれます。
開発者ツールは、提供されているISOの/addons/Oscl
ディレクトリ・リポジトリにあるソフトウェア・コレクションとしてリリースされています。yumコマンドを使用して、oracle-armtoolset-1
ソフトウェア・コレクションをインストールできます。
sudo yum install scl-utils oracle-armtoolset-1
oracle-armtoolset-1
ソフトウェア・コレクションをインストールしたら、次のコマンドを実行して有効にできます。
sudo scl enable oracle-armtoolset-1 bash
oracle-armtoolset-1
ソフトウェア・コレクションは、Oracle Linuxのソフトウェア・コレクション・ライブラリに加えてリリースされており、aarch64プラットフォームでのみ使用できます。
ノート:
ソースからカーネル・モジュールを構築する必要がある場合は、oracle-armtoolset-1
ソフトウェア・コレクションが必要です。
ネットワーク
この更新には、次のネットワーク機能、バグ修正および拡張機能が含まれています。
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/etc/sysconfig/networkで使用可能なIFDOWN_ON_SHUTDOWNオプション
/etc/sysconfig/network
でネットワークを構成するときに使用する新しいオプションが提供されました。IFDOWN_ON_SHUTDOWN
オプションをno
またはfalse
に設定すると、システムを停止するときにすべてのネットワーク・インタフェースが無効になるのを防ぐことができます。このパラメータがデフォルト値のtrue
に設定されている場合、システムの停止中にネットワーク・インタフェースが無効になります。このオプションは、ファイル・システムが正常にアンマウントされる前にネットワークが停止した場合に、NFSなどのネットワークベースのファイル・システムを使用するマウント・ポイントが失効しないようにする場合に役立ちます。
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結合ドライバのネットワーク・スクリプト・エラー・メッセージの詳細
/etc/sysconfig/network-scripts
を使用してインタフェースを管理する場合、結合ドライバのインストールの失敗に関連するエラー・メッセージがより詳細になりました。
仮想化
この更新には、次の仮想化機能、バグ修正および拡張機能が含まれています。
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QEMUゲスト・エージェントの診断の強化
新しいQEMUゲスト・エージェント・コマンドが追加され、仮想デスクトップおよびサーバー管理デーモンの要件に沿って診断機能が改善されました。これらには、
qemu-get-host-name
、qemu-get-users
、qemu-get-osinfo
およびqemu-get-timezone
コマンドの追加が含まれます。
テクノロジ・プレビュー
UEK R5を使用する場合の現在テクノロジ・プレビューが行われている機能は、Unbreakable Enterprise Kernel: リリース・ノートfor Unbreakable Enterprise Kernelリリース5 (4.14.35-1818)に示されています。
この項では、サポートされていないがテクノロジ・プレビュー中の使用可能なArmアーキテクチャおよびOracle Linux 7.6 (aarch64)に固有のアイテムについて説明します。
Oracleは、Raspberry Pi™ 3 Model B+ハードウェアで使用するOracle Linux 7.6 (aarch64)のディスク・イメージを提供しています。このディスク・イメージは開発者専用のテクノロジ・プレビューとして提供されており、ディスク・イメージまたはハードウェアのサポートは提供されていません。開発者は、Oracle Linux for Armコミュニティ・フォーラム(https://community.oracle.com/community/technology_network_community/server_%26_storage_systems/linux/oracle-linux-for-arm)で相互にサポートすることをお薦めします
Linuxコンテナ(LXC)はテクノロジ・プレビューとして提供されており、機能が制限されることがあります。