目次 前 次 PDF


CORBAクライアント・アプリケーションの開発概念

CORBAクライアント・アプリケーションの開発概念
この章では、Oracle Tuxedo製品のCORBA環境でサポートされるクライアント・アプリケーションのタイプと、CORBAクライアント・アプリケーションの開発前に理解しておく必要がある概念について説明します。
注意:
サード・パーティのCORBA Java ORBのテクニカル・サポートは、各ベンダーによって提供されます。Oracle Tuxedoでは、サード・パーティのCORBA Java ORBに関する技術的なサポートやマニュアルは提供していません。
このトピックには次の項が含まれます:
クライアント・アプリケーションの概要
Oracle Tuxedoソフトウェアは、以下のタイプのクライアント・アプリケーションをサポートしています。
このタイプのクライアント・アプリケーションは、C++環境オブジェクトを使用してOracle Tuxedoドメイン内のCORBAオブジェクトにアクセスし、CORBA C++ Object Request Broker (ORB)を使用してCORBAオブジェクトへのリクエストを処理します。CORBA C++クライアント・アプリケーションをビルドするには、Oracle Tuxedo開発コマンドを使用します。CORBA C++クライアント・アプリケーションでは、Object-by-ValueおよびCORBA Interoperable Naming Service (INS)がサポートされるようになりました。
注意:
サポートされるソフトウェアの具体的なバージョンは、『Oracle Tuxedoシステムのインストール』を参照してください。
OMG IDL
どのような分散アプリケーションでも、クライアント/サーバー・アプリケーションは通信を行うための基本的な情報を必要とします。たとえば、CORBAクライアント・アプリケーションは、リクエストできる操作とその引数を知る必要があります。
使用可能なクライアント・アプリケーションへのCORBAインタフェースを記述するには、Object Management Group (OMG) Interface Definition Language (IDL)を使用します。OMG IDLで記述されるインタフェース定義によって、CORBAインタフェースが完全に定義され、各操作の引数がすべて指定されます。OMG IDLは純粋な宣言型の言語です。これは、OMG IDLに実装の詳細が含まれていないことを意味します。OMG IDLで指定される操作は、CORBAバインドを提供する任意の言語で記述し、呼び出すことができます。サポートされる言語には、C++およびJavaが含まれます。
一般に、アプリケーション設計者が使用可能なCORBAインタフェースと操作用のOMG IDLファイルをプログラマに提供し、プログラマがクライアント・アプリケーションを開発します。
OMG IDLからC++へのマッピング
Oracle Tuxedoソフトウェアは、『The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.3』に準拠しています。OMG IDLからC++へのマッピングの詳細は、「The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.3」を参照してください。
OMG IDLとJavaのマッピング
Oracle Tuxedoソフトウェアは、『The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.2』に準拠しています。OMG IDLとJavaのマッピングの詳細は、「The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.2」を参照してください。
OMG IDLとCOMのマッピング
Oracle Tuxedoソフトウェアは、『The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.3』に定義されているOMG IDLとCOMのマッピングに準拠しています。OMG IDLとCOMのマッピングの詳細は、「The Common Object Request Broker:Architecture and Specification, Version 2.3」を参照してください。
静的起動と動的起動
Oracle Tuxedo製品のCORBA ORBでは、静的と動的の2つのタイプのクライアント/サーバー起動がサポートされます。いずれの場合も、CORBAクライアント・アプリケーションでは、CORBAオブジェクトの参照へのアクセスを取得し、リクエストを満たす操作を呼び出すことで、リクエストを実行します。CORBAサーバー・アプリケーションでは、静的起動と動的起動を区別できません。
静的起動を使用する場合、CORBAクライアント・アプリケーションはクライアント・スタブ上で直接操作を呼び出します。静的起動は、最も簡単かつ一般的なタイプの起動です。スタブはIDLコンパイラによって生成されます。静的起動は、呼び出す必要がある操作の詳細をコンパイル時に認識し、起動の同期的性質内で処理できるアプリケーションで推奨されます。図1-1に、静的起動を示します。
図1-1 静的起動
動的起動は、より複雑です。ただし、動的起動を使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションはコンパイル時にCORBAオブジェクトのインタフェースを認識しなくてもCORBAオブジェクトの操作を呼び出すことができます。図1-2に、動的起動を示します。
図1-2 動的起動
動的起動を使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションは、インタフェース・リポジトリに格納されているCORBAオブジェクト・インタフェース用の操作リクエストを動的にビルドできます。CORBAサーバー・アプリケーションでは、動的起動リクエストを受け取って処理するために、特別な設計を必要としません。通常、動的起動はCORBAクライアント・アプリケーションで遅延同期通信が必要なときに使用されるか、または対話の性質が未定義の場合に動的クライアント・アプリケーションによって使用されます。動的起動の使用の詳細は、「動的起動インタフェースの使い方」を参照してください。
クライアント・スタブ
クライアント・スタブは、CORBAオブジェクトが実行できる操作へのプログラミング・インタフェースを提供します。クライアント・スタブは、CORBAオブジェクトのローカル・プロキシです。クライアント・スタブは、CORBAオブジェクトのオブジェクト参照で同期起動を実行するためのメカニズムを提供します。CORBAクライアント・アプリケーションは、特別なコードを必要とせずにCORBAオブジェクトまたはその引数を処理できます。CORBAクライアント・アプリケーションは、スタブをローカル・オブジェクトとして取り扱います。
CORBAクライアント・アプリケーションは、使用するインタフェースごとにスタブを持つ必要があります。idlコマンド(またはJava ORB製品の同等コマンド)を使用すると、CORBAインタフェースのOMG IDL定義からクライアント・スタブを生成できます。このコマンドにより、C++やJavaなどのプログラミング言語からクライアント・スタブを使用する場合に必要なすべてのものが定義されたスタブ・ファイルとヘッダー・ファイルが生成されます。このため、CORBAクライアント・アプリケーション内からメソッドを呼び出すだけで、CORBAオブジェクトの操作をリクエストできます。
インタフェース・リポジトリ
インタフェース・リポジトリには、CORBAオブジェクトのインタフェースと操作の定義が含まれています。インタフェース・リポジトリに格納されている情報は、OMG IDLファイルで定義されている情報と同等ですが、この情報には実行時にプログラムでアクセスできます。CORBAクライアント・アプリケーションは、次の理由でインタフェース・リポジトリを使用します。
静的起動を使用するCORBAクライアント・アプリケーションは、実行時にインタフェース・リポジトリにアクセスしません。CORBAオブジェクトのインタフェースに関する情報は、クライアント・スタブに含まれています。
インタフェース・リポジトリを管理するには、以下のOracle Tuxedo開発コマンドを使用します。
idl2irコマンドを使用すると、インタフェース・リポジトリにCORBAインタフェースを追加できます。インタフェース・リポジトリが存在しない場合は、このコマンドでインタフェース・リポジトリを作成できます。また、インタフェース・リポジトリ内のCORBAインタフェースを更新できます。
ir2idlコマンドを使用すると、インタフェース・リポジトリの内容からOMG IDLファイルを作成できます。
irdelコマンドを使用すると、インタフェース・リポジトリからCORBAインタフェースを削除できます。
インタフェース・リポジトリの開発コマンドの詳細は、『Oracle Tuxedoコマンド・リファレンス』を参照してください。
ドメイン
ドメインは、オブジェクトおよびサービスを管理エンティティとしてグループ化する方法です。Oracle Tuxedoドメインには、1つ以上のIIOPリスナー/ハンドラがあり、名前によって識別されます。異なるBootstrapオブジェクトを使用することで、1つのCORBAクライアント・アプリケーションが複数のOracle Tuxedoドメインに接続できます。Oracle Tuxedoドメインごとに、CORBAクライアント・アプリケーションはそのOracle Tuxedoドメイン内で提供されるサービス(トランザクション、セキュリティ、ネーミング、イベントなど)に対応するオブジェクトを取得できます。Oracle Tuxedoドメインで使用可能なBootstrapオブジェクトおよびCORBAサービスの詳細は、「環境オブジェクト」を参照してください。
注意:
図1-3に、Oracle Tuxedoドメインの機能を示します。
図1-3 Oracle Tuxedoドメインの機能
環境オブジェクト
Oracle Tuxedoソフトウェアには、CORBAクライアント・アプリケーションとOracle Tuxedoドメイン内のCORBAサーバー・アプリケーション間の通信を設定し、そのドメインで提供されるCORBAサービスへのアクセスを提供する環境オブジェクト・セットが用意されています。Oracle Tuxedoソフトウェアに用意されている環境オブジェクトは次のとおりです。
このオブジェクトは、CORBAクライアント・アプリケーションとOracle Tuxedoドメイン間の通信を確立します。また、Oracle Tuxedoドメイン内の他の環境オブジェクトのオブジェクト参照も取得します。
注意:
サード・パーティ・クライアントORBでは、CORBA Interoperable Naming Service (INS)を使用してOracle Tuxedoドメイン内のサービスにアクセスすることもできます。詳細は、『CORBAプログラミング・リファレンス』のCORBA Bootstrapオブジェクト・プログラミング・リファレンスに関する項を参照してください。
このCORBAオブジェクトは、ファクトリを検索します。このファクトリは、CORBAオブジェクトのオブジェクト参照を作成できます。
このCORBAオブジェクトには、使用可能なすべてのCORBAインタフェースのインタフェース定義と、CORBAインタフェースへのオブジェクト参照を作成するためのファクトリが含まれています。
このOracle固有のオブジェクトは、CORBAクライアント・アプリケーションが適切なセキュリティ資格証明を使用してOracle Tuxedoドメインにログインするために使用されます。Oracle Tuxedoソフトウェアは、CORBAサービス・セキュリティ・サービスの実装を提供します。
このOracle固有のオブジェクトは、CORBAクライアント・アプリケーションがトランザクションに参加できるようにします。TransactionCurrentオブジェクトは、CORBAサービスのオブジェクト・トランザクション・サービス(OTS)の実装を提供します。
このCORBAオブジェクトを使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションはCosNotificationサービス内のイベント・チャネル・ファクトリ(CosNotifyChannelAdmin::EventChannelFactory)の参照を取得できます。EventChannelFactoryは、通知サービス・チャネルの検索に使用されます。
また、Tobj_SimpleEventsServiceオブジェクトも用意されています。このOracle固有のオブジェクトを使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションはOracle固有のイベント・インタフェースの参照を取得できます。このイベント・インタフェースは、CosNotificationサービスで定義される標準の構造化されたイベントを受け渡しますが、APIは簡単に使用できるよう簡素化されています。
このCORBAオブジェクトを使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションはネームスペースを使用してオブジェクト参照を解決できます。Oracle Tuxedoソフトウェアは、CORBAサービス・ネーム・サービスの実装を提供します。
Oracle Tuxedoソフトウェアには、以下のプログラミング環境用の環境オブジェクトが用意されています。
Bootstrapオブジェクト
CORBAクライアント・アプリケーションでは、IIOPリスナー/ハンドラのアドレスを定義するBootstrapオブジェクトが作成されます。IIOPリスナー/ハンドラは、Oracle Tuxedoドメインおよびドメインによって提供されるCORBAサービスへのアクセス・ポイントです。IIOPリスナー/ハンドラのリストは、パラメータとして提供されるか、TOBJADDR環境変数またはJavaプロパティを介して提供されます。1つのIIOPリスナー/ハンドラは、次のように指定されます。
//host:port
例: //myserver:4000
Bootstrapオブジェクトがインスタンス化されると、resolve_initial_referencesメソッドが呼び出され、文字列IDが受け渡されて使用可能なオブジェクトの参照が取得されます。文字列IDの有効値は、FactoryFinder、Interface Repository、SecurityCurrent、TransactionCurrent、NotificationService、TObj_SimpleEventsService、およびNameServiceです。
図1-4に、Oracle TuxedoドメインでのBootstrapオブジェクトの機能を示します。
図1-4 Bootstrapオブジェクトの機能
サード・パーティ・クライアントORBでは、CORBA Interoperable Naming Service (INS)メカニズムを使用して、Oracle Tuxedoドメインおよびそのサービスへのアクセスを取得することもできます。Interoperable Naming Serviceを使用すると、サード・パーティ・クライアントORBは、自身のresolve_initial_references()関数を使用してOracle Tuxedoドメインによって提供されるCORBAサービスにアクセスし、標準OMG IDLから生成されたスタブを使用してドメインから返されたインスタンスを処理できます。Interoperable Naming Serviceの使い方については、『CORBAプログラミング・リファレンス』を参照してください。
ファクトリとFactoryFinderオブジェクト
CORBAクライアント・アプリケーションは、CORBAオブジェクトのオブジェクト参照をファクトリから取得します。ファクトリは、別のCORBAオブジェクトのオブジェクト参照を返し、自身をFactoryFinderオブジェクトに登録する任意のCORBAオブジェクトです。
CORBAクライアント・アプリケーションがCORBAオブジェクトを使用するには、そのCORBAオブジェクトへのオブジェクト参照を作成するファクトリを検索する必要があります。Oracle Tuxedoソフトウェアは、この目的でFactoryFinderオブジェクトを提供します。CORBAクライアント・アプリケーションで使用可能なファクトリは、起動時にCORBAサーバー・アプリケーションによってFactoryFinderオブジェクトに登録されたファクトリです。
CORBAクライアント・アプリケーションは、次の一連のステップを使用してCORBAオブジェクトの参照を取得します。
1.
Bootstrapオブジェクトが作成されると、resolve_initial_referencesメソッドが呼び出され、FactoryFinderオブジェクトの参照が取得されます。
2.
3.
図1-5に、CORBAクライアント・アプリケーションとFactoryFinderオブジェクトの対話を示します。
図1-5 クライアント・アプリケーションによるFactoryFinderオブジェクトの使用
FactoryFinderオブジェクトの命名規則とOracle Tuxedo拡張
CORBAクライアント・アプリケーションで使用可能なファクトリは、起動時にCORBAサーバー・アプリケーションによってFactoryFinderオブジェクトに登録されたファクトリです。ファクトリは、次のフィールドで構成されるキーを使用して登録されます。
Oracle Tuxedoソフトウェアによって使用されるFactoryFinderオブジェクトは、CORBAサービス・ライフサイクル・サービスで定義されます。Oracle Tuxedoソフトウェアは、COS::LifeCycle::FactoryFinderインタフェースの拡張を実装します。これにより、クライアント・アプリケーションはFactoryFinderオブジェクトを使用してより簡単にファクトリを検索できるようになります。
CORBAサービス・ライフサイクル・サービスは、CORBAサービス・ネーミング・サービスに定義された名前を使用して、COS::LifeCycle::FactoryFinderインタフェースを介してファクトリを検索するよう指定しています。これらの名前は一連のNameComponent構造で構成され、この構造はIDフィールドとkindフィールドで構成されています。
CORBA名を使用したファクトリの検索は、クライアント・アプリケーションにとっては面倒です。数多くの呼出しを行って適切な名前構造をビルドし、CORBAネーム・サービス名を構築してCOS::LifeCycle::FactoryFinderインタフェースのfind_factoriesメソッドに渡す必要があるからです。また、メソッドは複数のファクトリを返す場合があるため、クライアント・アプリケーションは適切なファクトリの選択と不要なオブジェクト参照の破棄を行う必要があります。
FactoryFinderオブジェクトは、単純なメソッド呼出しによってインタフェースを拡張することで、CORBAクライアント・アプリケーションがファクトリをより簡単に検索できるよう設計されています。
拡張の目的は、CORBAクライアント・アプリケーションに対して以下の簡素化を提供することです。
最も単純なアプリケーション設計は、CORBAクライアント・アプリケーションでTobj::FactoryFinder::find_one_factory_by_idメソッドを使用することで達成できます。このメソッドは、入力としてファクトリID用の単純な文字列を受け付け、1つのファクトリをCORBAクライアント・アプリケーションに返します。CORBAクライアント・アプリケーションは、名前コンポーネントを操作し、多くのファクトリから選択する必要がなくなります。
Tobj::FactoryFinder::find_one_factory_by_idメソッドを使用するには、アプリケーション設計者はCORBAクライアント・アプリケーションが特定のCORBAオブジェクト・インタフェース用のファクトリを簡単に検索するために使用できるファクトリの命名規則を定義する必要があります。このネーミング・ルールでは、特定のタイプのCORBAオブジェクト・インタフェースのオブジェクト参照を提供するファクトリの複数のニーモニック型が定義されるのが理想的です。ファクトリは、これらの規則を使用して登録されます。たとえば、Studentオブジェクトのオブジェクト参照を返すファクトリであれば、StudentFactoryと呼ばれます。FactoryFinderオブジェクトへのファクトリの登録については、『CORBAサーバー・アプリケーションの作成』を参照してください。
OMG IDLファイルでファクトリの実際のインタフェースIDを使用するか、OMG IDLファイルでファクトリIDを定数として指定することをお薦めします。この手法を使用することで、CORBAクライアント・アプリケーションとCORBAサーバー・アプリケーション間の命名の一貫性が保証されます。
インタフェース・リポジトリ・オブジェクト
InterfaceRepositoryオブジェクトは、Oracle Tuxedoドメインのインタフェース・リポジトリに関する情報を返します。InterfaceRepositoryオブジェクトは、インタフェース・リポジトリのCORBA定義に基づいています。これは、『Common Request Broker Architecture and Specification Version 2.2』で定義されている適切なCORBAインタフェース・セットを提供します。
動的起動インタフェース(DII)を使用するCORBAクライアント・アプリケーションは、インタフェース・リポジトリにプログラムでアクセスする必要があります。インタフェース・リポジトリにアクセスするための正確な手順は、CORBAクライアント・アプリケーションが特定のCORBAインタフェースに関する情報を検索するのか、またはあるインタフェースを見つけるためにインタフェース・リポジトリを参照するのかによって異なります。どちらの場合でも、CORBAクライアント・アプリケーションはインタフェース・リポジトリへの読込みのみを行うことができ、書込みは行うことができません。
DIIを使用するCORBAクライアント・アプリケーションがOracle Tuxedoドメインのインタフェース・リポジトリを参照するには、CORBAクライアント・アプリケーションがあらかじめそのドメインのInterfaceRepositoryオブジェクトのオブジェクト参照を取得しておく必要があります。DIIを使用するCORBAクライアント・アプリケーションは、Bootstrapオブジェクトを使用してオブジェクト参照を取得します。
DIIを使用するCORBAクライアント・アプリケーションでInterfaceRepositoryオブジェクトを使用する方法の詳細は、「動的起動インタフェースの使い方」を参照してください。InterfaceRepositoryオブジェクトの詳細は、『CORBAプログラミング・リファレンス』を参照してください。
SecurityCurrentオブジェクト
CORBA C++クライアント・アプリケーションは、セキュリティを使用してOracle Tuxedoドメインの認証を受けます。認証とは、クライアント・アプリケーションのIDを検証するプロセスです。正確なログオン情報を入力することによって、クライアント・アプリケーションはOracle Tuxedoドメインの認証を受けます。Oracle Tuxedoソフトウェアは、CORBAサービス・セキュリティ・サービスで定義された認証を使用し、使い勝手をよくするための拡張を提供します。
CORBAクライアント・アプリケーションは、SecurityCurrentオブジェクトを使用してOracle Tuxedoドメインにログオンし、セキュリティ資格証明をドメインに渡します。SecurityCurrentオブジェクトは、CORBAサービス・セキュリティ・サービスのOracle Tuxedo実装です。Oracle Tuxedo製品のCORBAセキュリティ・モデルは認証に基づいています。
SecurityCurrentオブジェクトを使用することによって、ドメインの適切なセキュリティ・レベルを指定します。次の認証レベルが提供されます。
認証はまったく必要ありません。ただし、CORBAクライアント・アプリケーションは認証を受け、ユーザー名とクライアント・アプリケーション名を指定することができます。パスワードは不要です。
CORBAクライアントはOracle Tuxedoドメインの認証を受け、ユーザー名、クライアント・アプリケーション名、およびアプリケーション・パスワードを指定する必要があります。
CORBAクライアント・アプリケーションは、TOBJ_SYSAUTH情報に加えてアプリケーション固有の情報も提供する必要があります。デフォルトのOracle Tuxedo認証サービスがアプリケーション構成で使用される場合、CORBAクライアント・アプリケーションはユーザー・パスワードを指定する必要があります。それ以外の場合、CORBAクライアント・アプリケーションはそのアプリケーションのカスタム認証サービスによって解釈される認証データを指定します。
注意:
CORBAクライアント・アプリケーションが認証を受けず、セキュリティ・レベルがTOBJ_NOAUTHの場合、Oracle TuxedoドメインのIIOPリスナー/ハンドラはそのIIOPリスナー/ハンドラに送信されるユーザー名とクライアント・アプリケーション名にCORBAクライアント・アプリケーションを登録します。
Oracle Tuxedoソフトウェアでは、SecurityCurrentオブジェクトのプロパティとしてPrincipalAuthenticatorとCredentialsだけがサポートされます。
クライアント・アプリケーションでのSecurityCurrentオブジェクトの使い方の詳細は、『CORBAアプリケーションにおけるセキュリティの使用』を参照してください。SecurityLevel1::Current インタフェースとSecurityLevel2::Currentインタフェースについては、『CORBAプログラミング・リファレンス』を参照してください。
TransactionCurrentオブジェクト
TransactionCurrentオブジェクトは、CORBAサービスのオブジェクト・トランザクション・サービスのOracle Tuxedoの実装です。TransactionCurrentオブジェクトは、CORBAクライアント・アプリケーションとCORBAサーバー・アプリケーション間の現行セッションのトランザクション・コンテキストを維持します。TransactionCurrentオブジェクトを使用すると、CORBAクライアント・アプリケーションは、トランザクションの開始と終了や、トランザクションのステータスの取得などのトランザクション操作を実行できます。
トランザクションは、インタフェース単位で使用されます。アプリケーション設計者は、設計時にCORBAアプリケーション内のどのインタフェースでトランザクションを処理するかを決定します。次に、各インタフェースのトランザクション・ポリシーを実装構成ファイル(ICF)に定義します。トランザクション・ポリシーは以下のとおりです。
インタフェースはトランザクションに関与しません。このインタフェース用に作成されるオブジェクトは、トランザクションに関与できません。Oracle Tuxedoソフトウェアは、このポリシーが設定されているインタフェースがトランザクションに関与した場合に例外(INVALID_TRANSACTION)を生成します。
インタフェースはトランザクションに関与できます。リクエストがトランザクションに関係する場合、オブジェクトはトランザクションに関与できます。
インタフェースは常にトランザクションの一部である必要があります。インタフェースがトランザクションの一部ではない場合、トランザクションはTPフレームワークによって自動的に開始されます。
インタフェースはトランザクションに関与しません。インタフェースはトランザクションの一部になることができますが、UBBCONFIGファイルでこのインタフェースに対して指定されたAUTOTRANポリシーが無視されます。
CORBAクライアント・アプリケーションでのTransactionCurrentオブジェクトの使い方の詳細は、『CORBAトランザクションの使用』を参照してください。TransactionCurrentオブジェクトについては、『CORBAプログラミング・リファレンス』を参照してください
NotificationServiceオブジェクトとTobj_SimpleEventsServiceオブジェクト
NotificationServiceオブジェクトとTobj_SimpleEventsServiceオブジェクトは、CORBAイベント・サービスへのアクセスを提供します。Oracle Tuxedo製品のCORBA環境のイベント・サービスは、ATMI環境のEventBrokerのイベント・サービスとほぼ同じ機能を提供します。ただし、CORBAイベント・サービスは、プログラミング・モデルと、CORBAプログラマにとって自然なインタフェースを提供します。
イベント・サービスは、イベント・ポスト・メッセージを受信し、それらをフィルタして、サブスクライバに配布します。ポスト元は、関心のあるイベントがいつ発生したかを検出し、それをイベント・サービスに報告(ポスト)するCORBAアプリケーションです。サブスクライバは、関心のあるイベントがポストされたときに実行される通知アクションをリクエストするCORBAアプリケーションです。
CORBAイベント・サービスは、以下の2種類のインタフェース・セットを提供します。
NotificationServiceオブジェクトは、CORBAベースの通知サービス・インタフェース(CosNotificationサービス・インタフェース)の最小限のサブセットを提供します。
Tobj_SimpleEventsServiceオブジェクトは、使いやすいように設計されたOracle固有のインタフェースを提供します。
どちらのインタフェース・セットも、CORBA通知サービス仕様で定義される標準の構造化されたイベントを渡します。この2つのインタフェース・セットは、相互に互換性があります。このため、NotificationServiceインタフェースを使用してポストされたイベントをTobj_SimpleEventsServiceインタフェースでサブスクライブでき、その逆も可能です。
NotificationServerオブジェクトとTobj_SimpleEventsServiceオブジェクトの使い方の詳細は、『CORBA通知サービスの使用』を参照してください。
NameServiceオブジェクト
NameServiceオブジェクトは、CORBAネーム・サービスへのアクセスを提供します。CORBAネーム・サービスを使用すると、CORBAサーバー・アプリケーションは論理名を使用してオブジェクト参照を通知できます。CORBAクライアント・アプリケーションは、CORBAネーム・サービスに名前のルックアップを依頼することによってオブジェクトを検索できます。
CORBAネーム・サービスは、以下の機能を提供します。
CORBAクライアント・アプリケーションでのNameServiceオブジェクトの使い方の詳細は、『CORBAネーム・サービスの使用』を参照してください。

Copyright ©1994, 2017,Oracle and/or its affiliates. All rights reserved