5.2.6 インストール時に作成されるオペレーティング・システム・グループ

Oracle Grid InfrastructureまたはOracle RACをインストールするとき、次の表に示すユーザー・グループが存在しない場合は、これらのグループが作成されます。

表5-1 インストール時に作成されるオペレーティング・システム・グループ

オペレーティング・システム・グループ名 データベース権限 説明

ORA_ASMADMIN

Oracle ASM管理用のSYSASMシステム権限

Oracle ASMインスタンス用のOSASMグループ。

このグループおよびSYSASMシステム権限を使用すると、SYSDBAデータベース管理権限とOracle ASMストレージ管理権限を分けることができます。OSASMグループのメンバーは、SYSASM権限を使用した接続が認可され、Oracle ASMへの完全なアクセス(Oracle ASMインスタンスが管理するすべてのディスク・グループへの管理アクセスなど)が可能です。

ORA_ASMDBA

Oracle ASMインスタンスのSYSDBAシステム権限

Oracle ASMインスタンス用のOSDBAグループ。

このグループは、Oracle ASMに接続するためのアクセス権をデータベースに付与します。インストール時には、Oracleインストール・ユーザーがこのグループのメンバーとして構成されます。Oracle Databaseを作成した後、このグループにはこれらのデータベース・ホームのOracleホーム・ユーザーが含まれます。

ORA_ASMOPER

Oracle ASM用のSYSOPERシステム権限

Oracle ASMインスタンス用のOSOPERグループ。

このグループのメンバーにはOracle ASMインスタンスに対するSYSOPERシステム権限が付与されます。この権限により、ディスク・グループの起動、停止、マウント、マウント解除、チェックなどの操作を実行できるようになります。このグループには、OSASMグループの権限のサブセットがあります。

ORA_HOMENAME_OPERグループと同様、インストール後はこのグループにメンバーが含まれませんが、インストールの完了後にユーザーをこのグループに手動で追加できます。

ORA_GRIDHM_DBA

Oracle Grid Infrastructure管理リポジトリ・データベース用のSYSDBAシステム権限

このグループのメンバーには、Oracle Grid Infrastructure管理リポジトリ・データベースを管理するためのSYSDBAシステム権限が付与されます。GRIDHMは、Oracle Grid Infrastructureホームの名前です。

デフォルトのホーム名はOraGrid12Home1であるため、デフォルトのグループ名はORA_OraGrid12Home1_DBAとなります。

ORA_GRIDHM_OPER

Oracle Grid Infrastructure管理リポジトリ・データベース用のSYSOPERシステム権限

このグループのメンバーには、Oracle Grid Infrastructure管理リポジトリ・データベースを管理するためのSYSOPERシステム権限が付与されます。GRIDHMは、Oracle Grid Infrastructureホームの名前です。

デフォルトのGridホーム名であるOraGrid12Home1を使用する場合、デフォルトのオペレーティング・システムグループ名はORA_OraGrid12Home1_OPERとなります

ORA_DBA

サーバー上のすべてのOracle Databaseインストール用のSYSDBAシステム権限

Windowsオペレーティング・システム用の特殊なOSDBAグループ。

このグループのメンバーには、サーバーにインストールされたすべてのOracle DatabaseのSYSDBAシステム権限が付与されます。

ORA_OPER

サーバーにインストールされたすべてのOracle Database用のSYSOPERシステム権限

Windowsオペレーティング・システム用の特殊なOSOPERグループ。

このグループのメンバーには、サーバーにインストールされたすべてのOracle DatabaseのSYSOPERシステム権限が付与されます。インストール後はこのグループにメンバーが含まれませんが、インストールの完了後にユーザーをこのグループに手動で追加できます。

ORA_HOMENAME_DBA

名前がHOMENAMEのOracleホームから実行される、すべてのデータベース・インスタンス用のSYSDBAシステム権限

HOMENAMEという名前を持つOracleホームに専用のOSDBAグループ。

このグループのメンバーは、オペレーティング・システム認証を使用して、特定のOracleホームから実行される任意のデータベースのSYSDBAシステム権限を取得できます。インストール時にOracleホーム・ユーザーを指定した場合、そのユーザーはこのグループにインストール中に追加されます。

ORA_HOMENAME_OPER

名前がHOMENAMEのOracleホームから実行される、すべてのデータベース・インスタンス用のSYSOPERシステム権限

HOMENAMEという名前を持つOracleホーム用のOSDBAグループ。

このグループのメンバーは、オペレーティング・システム認証を使用して、特定のOracleホームから実行される任意のデータベースのSYSOPERシステム権限を取得できます。インストール後はこのグループにメンバーが含まれませんが、インストールの完了後にユーザーをこのグループに手動で追加できます。

ORA_HOMENAME_SYSBACKUP

名前がHOMENAMEのOracleホームから実行される、すべてのデータベース・インスタンス用のSYSBACKUPシステム権限

HOMENAMEという名前を持つOracleホームに専用のOSBACKUPDBAグループ。

このグループのメンバーには、指定したOracleホーム・ディレクトリから実行されたすべてのデータベース・インスタンスで、データベースのバックアップおよびリカバリ・タスクを実行するために必要な権限が付与されます。

ORA_HOMENAME_SYSDG

名前がHOMENAMEのOracleホームから実行される、すべてのデータベース・インスタンス用のSYSDGシステム権限

HOMENAMEという名前を持つOracleホームに専用のOSDGDBAグループ。

このグループのメンバーには、指定したOracleホーム・ディレクトリから実行されたすべてのデータベース・インスタンスで、Data Guard管理タスクを実行するために必要な権限が付与されます。

ORA_HOMENAME_SYSKM

名前がHOMENAMEのOracleホームから実行される、すべてのデータベース・インスタンス用のSYSKMシステム権限

HOMENAMEという名前を持つOracleホームに専用のOSKMDBAグループ。

このグループのメンバーには、指定したOracleホーム・ディレクトリから実行されたすべてのデータベース・インスタンスで、暗号化鍵管理タスクを実行するために必要な権限が付与されます。

ORA_CRS_USERS

なし

このグループのメンバーには、Grid InfrastructureのOracleベース・ディレクトリに対するファイル・システム権限に必要な権限が付与されます。

OSUSERタイプのCRSウォレットを構成すると、crsctl add walletコマンドを使用するユーザーはこのグループに自動的に追加されます。このプロセスによって、CRSはこのグループに追加されたユーザーとしてユーザー定義のリソースを開始できます。

ユーザーのウォレットへの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイ』を参照してください。

ORA_RAC

サーバー上のすべてのOracle Databaseインストール用のSYSRAC権限

Windowsオペレーティング・システム用のOSRACDBAグループ。このグループのメンバーには、サーバーにインストールされたすべてのOracle DatabaseのSYSRAC権限があります。

ORA_CLIENT_LISTENERS

なし

このグループは、クライアント・ホームのリスナー用のサービス固有のSIDを使用して作成されます。

ORA_HOMENAME_SVCSIDS

なし

このグループは、DBクライアント・ホームのすべてのサービス用のサービス固有のSIDを使用して作成されます。

ORA_GRID_LISTENERS

なし

このグループは、システムのすべてのグリッド・ホーム・リスナー用のサービス固有のSIDを使用して作成されます。

ORA_INSTALL

なし

このグループは、システムのすべてのOracleホームのOracleホーム・ユーザーを使用して作成されます。

すべての仮想アカウントベース・ホームのデータベースおよびリスナーの仮想アカウントがこのグループに追加されます。

インストール時には、gridconfig.batスクリプトによって、クラスタの各ノードにサービスおよびグループが作成されます。インストールされたファイルおよび権限はOracleインストール・ユーザーが所有し、これらには管理者権限が必要となります。

Oracleでは、Oracle製品を適切に操作できるように、インストール時にこの表に示すグループが作成および移入されます。これらのデータベース権限を他のWindowsユーザーに割り当てるために、これらのグループに他のユーザーを手動で追加できます。

ORA_DBAグループのメンバーは、オペレーティング・システム権限を使用して、サーバーにインストールされたすべてのOracle Databaseを管理できます。ORA_HOMENAME_DBA (HOMENAMEは特定のOracleインストールの名前)のメンバーは、オペレーティング・システム認証を使用して、そのOracleホームから実行されたデータベースのみを管理できます。