1.1 Oracleオブジェクトの概要

Oracleオブジェクト型は、データベース内のオブジェクトとして実社会のエンティティ(顧客や発注書など)をモデル化できるようにするユーザー定義型です。

新しいオブジェクト型は、任意の組込みデータベース型、作成済のオブジェクト型、オブジェクト参照およびコレクション型から作成できます。オブジェクト・データ型は、イメージ、音声および動画などの複雑なデータを扱うことができます。Oracle Databaseでは、ユーザー定義のメタデータが、SQL、PL/SQL、Javaおよび他の言語で使用できるスキーマに格納されます。

VARRAYやネストした表などのオブジェクト型および関連オブジェクト指向機能は、データベース内のデータを編成し、アクセスするための高度な手段となります。オブジェクト層の下では、データは従来どおり列や表に格納されますが、このデータは、データに意味を持たせる実社会のエンティティとして扱うことができます。データベースへ問い合せる場合は、列と表に置き換えて考える必要はなく、顧客や発注書など、作成したエンティティを選択するだけです。

従来どおり、データの大部分を相関的に扱いながら、オブジェクト指向機能を利用する方向に進むことも、すべてオブジェクト指向アプローチを使用することもできます。

オブジェクト型は、ユーザー定義型またはADTとも呼ばれます。『Oracle Database PL/SQL言語リファレンス』では、通常ADTといいます。