5.1 Oracle Enterprise ManagerによるOracle Clusterwareの監視

Oracle Enterprise Managerを使用して、Oracle Clusterware環境を監視します。

クライアントのブラウザを使用してOracle Enterprise Managerにログインすると、クラスタ・データベースの「ホーム」ページが表示され、ここで、Oracle DatabaseおよびOracle Clusterware環境の両方のステータスを監視できます。Oracle Clusterwareの監視には、次の詳細が含まれます。

  • クラスタ・ターゲットに関する、Oracle Enterprise Managerのクラスタ状態モニターの現在のデータと履歴データ

  • VIPの再配置が発生した場合の通知

  • クラスタ検証ユーティリティ(CVU)により取得した情報を使用する、クラスタの各ノードのOracle Clusterwareのステータス

  • ノード・アプリケーション(nodeapps)が起動または停止した場合の通知

  • Oracle Cluster Registryに対するOracle Clusterwareのアラート・ログの問題、投票ファイルの問題(発生した場合)およびノードの排除の通知

クラスタ・データベースの「ホーム」ページは、単一インスタンスのデータベースの「ホーム」ページに似ています。ただし、クラスタ・データベースの「ホーム」ページには、Oracle Enterprise Managerにより、システムの状態と可用性が表示されます。システムの状態と可用性には、アラート・メッセージおよびジョブ・アクティビティのサマリーと、すべてのデータベースおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)インスタンスへのリンクも含まれます。たとえば、サービスがどの優先インスタンスでも実行されていない、サービス・レスポンス時間のしきい値が満たされていないなど、クラスタのサービスで発生する問題を追跡します。

Oracle Enterprise Managerの「インターコネクト」ページを使用して、Oracle Clusterware環境を監視します。「インターコネクト」ページに、次の詳細が表示されます。

  • クラスタ上のパブリック・インタフェースおよびプライベート・インタフェース

  • プライベート・インターコネクトでの全体的なスループット

  • 各ネットワーク・インタフェースの個々のスループット

  • エラー率(存在する場合)

  • インターコネクトのデータベース・インスタンスによるロード

  • 構成ミスのためデータベース・インスタンスがパブリック・インタフェースを使用している場合の通知

  • インスタンスごとのインターコネクトのスループット

前述の情報はすべて、履歴表示を含む収集としても使用できます。履歴表示は、クラスタの待機イベントに関連する問題を診断する場合など、クラスタ・キャッシュ一貫性と併用すると役立ちます。クラスタ・データベースの「ホーム」ページで、「InterConnect」タブをクリックすると、「インターコネクト」ページにアクセスします。

また、Oracle Enterprise Managerのクラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページには、データベースのパフォーマンス統計のサマリーが表示されます。統計は、グラフにあるクラスタ・データベース内のすべてのインスタンス間でロールアップされます。グラフの横のリンクを使用すると、より詳細な情報を取得したり、次のタスクを実行することができます。

  • パフォーマンスの問題の原因の特定

  • リソースを追加または再分散する必要があるかどうかの判別

  • SQL計画およびスキーマのチューニングによる最適化

  • パフォーマンスの問題の解決

クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページには、次のグラフが含まれます。

  • 「クラスタ・ホストのロード平均」グラフ: クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページの「クラスタ・ホストのロード平均」グラフには、データベース外部で発生する可能性がある問題が表示されます。このグラフには、クラスタ内で使用可能なノードについて、過去1時間のロードの最大値、平均値および最小値が表示されます。

  • 「グローバル・キャッシュ・ブロックのアクセス待機時間」グラフ: 各クラスタ・データベース・インスタンスのシステム・グローバル領域(SGA)には、独自のバッファ・キャッシュが存在します。キャッシュ・フュージョンの使用によって、Oracle RAC環境で各インスタンスのバッファ・キャッシュが論理的に結合され、論理的に結合された単一のキャッシュにデータが存在する場合と同様に、データベース・インスタンスでデータを処理できます。

  • 「平均アクティブ・セッション」グラフ: クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページの「平均アクティブ・セッション」グラフには、データベース内で発生する可能性がある問題が表示されます。「カテゴリ」は待機クラスとも呼ばれ、データベース内でCPUやディスクI/Oなどのリソースを使用している部分が表示されます。CPU時間を待機時間と比較すると、レスポンス時間のうちどれくらいの時間が、他のプロセスに保持されている可能性のあるリソースの待機ではなく有効な作業に消費されているかを確認できます。

  • 「データベース・スループット」グラフ: 「データベース・スループット」グラフは、「平均アクティブ・セッション」グラフに表示される任意のリソース競合を要約する他、ユーザーやアプリケーションのためにデータベースが実行中の作業の量を示します。「1秒当たり」ビューは、1秒当たりのログオン数に対するトランザクションの数、REDOサイズに対する物理読取りの量を示します。「1トランザクション当たり」ビューは、トランザクション当たりのREDOサイズに対する物理読取りの量を示します。「ログオン」は、データベースにログオンしているユーザー数を示します。

さらに、クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページにある「トップ・アクティビティ」ドロップダウン・メニューでは、待機イベント、サービスおよびインスタンス単位でアクティビティを表示できます。また、グラフのスライダを使用して以前の時点に移動することによって、SQL/セッションの詳細を表示できます。