Oracleスタンドアロン・クラスタのインストール

Oracleスタンドアロン・クラスタ用にOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールするには、この手順を実行します。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、インストール・メディアがOracle Grid Infrastructureインストーラのzipファイルに置き換えられています。このzipファイルをターゲット・ホームのパスに解凍した後、インストール・ウィザードを実行します。

インストール中に、求められている操作やインストール時に指定する必要がある入力内容について疑問がある場合にはいつでも、インストーラ・ウィンドウの「ヘルプ」ボタンをクリックします。

インストールを開始する前に、ネットワーク情報、記憶域情報およびオペレーティング・システムのユーザーとグループを使用できるようにして、rootスクリプトを実行する準備を行う必要があります。

最初のノードでクラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアを所有する(grid)ユーザーとして、クラスタ用のOracle Grid Infrastructureをインストールします。インストール中、インストーラはセキュア・シェル(SSH)を使用してバイナリ・ファイルをこのノードから他のノードにコピーすることに注意してください。インストールの際に、クラスタ・ノード情報ウィンドウで、クラスタのノードを指定するときに「SSH接続」をクリックすると、インストーラにより指定されたノード間のSSH接続が構成されます。

ノート:

これらのインストール手順では、システムにOracleソフトウェアがまったくインストールされていないことを前提としています。Oracle ASMLIBがインストール済である場合、Oracle ASMLIBをアンインストールしてからでないとOracle ASMフィルタ・ドライバ(Oracle ASMFD)をインストールできません。Oracle ASMにより使用されるディスクの管理に、Oracle ASMFDのかわりにOracle ASMLIBを使用できます。

次の手順を使用して、Oracleスタンドアロン・クラスタ用のOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールします。

  1. gridユーザーとして、Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、そのファイルをGridホームに展開します。次に例を示します。
    mkdir -p /u01/app/18.0.0/grid
    chown grid:oinstall /u01/app/18.0.0/grid
    cd /u01/app/18.0.0/grid
    unzip -q download_location/grid.zip

    grid.zipはOracle Grid Infrastructureイメージのzipファイルの名前です。

    ノート:

    • このzipイメージ・ソフトウェアは、Gridホームを配置するディレクトリに展開する必要があります。

    • Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、ローカル・ノードにのみコピーします。インストール中に、ソフトウェアはクラスタの他のすべてのノードにコピーおよびインストールされます。

  2. 共有ディスクをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するように構成します。
    1. rootユーザーとしてログインし、環境変数ORACLE_HOMEをGridホームの場所に設定します。

      Cシェルの場合:

      su root
      setenv ORACLE_HOME /u01/app/18.0.0/grid
      

      bashシェルの場合:

      su root
      export ORACLE_HOME=/u01/app/18.0.0/grid
      
    2. Oracle ASMコマンドライン・ツール(ASMCMD)を使用して、ディスク・デバイスをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するようにプロビジョニングします。
      # cd /u01/app/18.0.0/grid/bin
      # ./asmcmd afd_label DATA1 /dev/sdb --init
      # ./asmcmd afd_label DATA2 /dev/sdc --init
      # ./asmcmd afd_label DATA3 /dev/sdd --init
    3. デバイスがOracle ASMFDとともに使用するようにマークされていることを確認します。
      # ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdb
      # ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdc
      # ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdd
  3. gridユーザーとしてログインし、次のコマンドを実行して、Oracle Grid Infrastructureインストーラを起動します。
    /u01/app/18.0.0/grid/gridSetup.sh
    インストーラが起動し、構成オプションの選択ウィンドウが表示されます。
  4. 「新規クラスタ用のOracle Grid Infrastructureの構成」オプションを選択して、「次へ」をクリックします。
    「クラスタ構成の選択」ウィンドウが表示されます。
  5. 「Oracleスタンドアロン・クラスタの構成」を選択し、「次へ」をクリックします。
    「拡張クラスタとして構成」オプションを選択して、Oracle RACクラスタを、それぞれに独自のストレージを備えた、2つまたはそれ以上の別個のサイトにまたがるように拡張します。
    グリッド・プラグ・アンド・プレイ情報ウィンドウが表示されます。
  6. クラスタ名およびSCAN名フィールドに、エンタープライズ・ネットワーク全体で一意のクラスタおよびクラスタ・スキャンの名前を入力します。

    このマニュアルで説明されているとおりに、GNSが対応するサブドメインに対する名前解決リクエストを、GNSの仮想IPアドレスに送信するようドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を構成している場合は、GNSの構成を選択できます。

    クラスタ・メンバー・ノードのパブリックおよびVIPネットワーク・アドレスには、構成しているクラスタの種類に応じて必要な情報を指定します。

    • GNSを介して構成および解決されるDHCPアドレスによる自動クラスタ構成を使用する場合、指定する必要があるのはDNSで構成されているGNS VIP名のみです。

    • DNSで構成および解決される固定IPアドレスによる手動クラスタ構成を使用する場合は、クラスタのSCAN名、各クラスタ・メンバー・ノードのパブリック名およびVIP名を指定します。たとえば、ノード名の共通の接頭辞を元にした名前を選択できます。クラスタ名はmyclusterに、クラスタSCAN名はmycluster-scanにできます。

    「次へ」をクリックします。
    「クラスタ・ノード情報」ウィンドウが表示されます。
  7. クラスタ・ノードの表の「パブリック・ホスト名」列に、node1.example.comなどのローカル・ノードが表示されます。

    次に、ノードIPアドレスに関する追加情報を示します。

    • ローカル・ノードの場合のみ、OUIによってパブリックおよびVIPフィールドが自動的に書き込まれます。システムでベンダーのクラスタウェアが使用されている場合は、OUIにより追加のフィールドが書き込まれることがあります。

    • ホスト名および仮想ホスト名は、ドメイン修飾されません。インストール中にアドレス・フィールドにドメインを入力すると、そのドメインは、OUIによってアドレスから削除されます。

    • プライベートIPアドレス用にプライベートとして指定したインタフェースは、パブリック・インタフェースとしてアクセスできないようにする必要があります。キャッシュ・フュージョンにパブリック・インタフェースを使用すると、パフォーマンスの問題が発生する可能性があります。

    • パブリック・ノード名の入力には、各ノードのプライマリ・ホスト名を使用します。この名前は、/bin/hostnameコマンドによって表示される名前です。

    1. 「追加」をクリックして、他のノードをクラスタに追加します。
    2. 2番目のノードのパブリック名(node2)および仮想IP名(node2-vip)を入力して、「OK」をクリックします。すべてのクラスタ・ノードに対して仮想IP (VIP)ホスト名を指定するか、何も指定しないようにします。
      クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ります。クラスタ・ノードの表にすべてのノードが表示されます。両方のノードで、ロール列がHUBに設定されていることを確認します。リーフ・ノードを追加するには、GNSを構成する必要があります。
    3. すべてのノードが選択されていることを確認して、ウィンドウ下部にある「SSH接続」ボタンをクリックします。
      ウィンドウの下部パネルに、「SSH接続」情報が表示されます。
    4. Oracleソフトウェア所有者(grid)に対するオペレーティング・システムのユーザー名およびパスワードを入力します。ノード間のSSH接続が構成されている場合は、「ユーザー・ホームに存在するプライベートおよびパブリック・キーを再使用します」オプションを選択します。「設定」をクリックします。
      ノード間のSSH接続の構成に数分かかる可能性があること示すメッセージ・ウィンドウが表示されます。しばらくすると、クラスタ・ノード間にパスワード不要のSSH接続が確立したことを示す別のメッセージ・ウィンドウが表示されます。「OK」をクリックして続行します。
    5. クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ったら、「次へ」をクリックして続行します。
    ネットワーク・インタフェースの使用方法の指定ウィンドウが表示されます。
  8. 表示される各ネットワーク・インタフェースの使用方法を選択します。
    各インタフェースに正しいインタフェース・タイプが関連付けられていることを確認します。Oracle Clusterwareで使用しないネットワーク・インタフェースがある場合、ネットワーク・インタフェース・タイプを「使用しない」に設定します。たとえば、2つのネットワーク・インタフェースのみがある場合、パブリック・インタフェースの「用途」値を「パブリック」に設定し、プライベート・ネットワーク・インタフェースの「用途」値を「ASMおよびプライベート」に設定します。
    「次へ」をクリックします。記憶域オプション情報ウィンドウが表示されます。
  9. Oracle ASM記憶域構成オプションを選択します。
    1. 「ブロック・デバイスを使用したASMの構成」ウィンドウを選択した場合、「ASMディスク・グループのNFSの場所を指定してください」ウィンドウでOracle ASMディスク・グループのNFSマウント・ポイントを、そしてオプションで、GIMRディスク・グループを指定します。
    2. 「NASでのASMの構成」を選択し、「次へ」をクリックします。「グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ・オプション」ウィンドウが表示されます。
  10. グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリを別個のOracle ASMディスク・グループに保存するかどうかを選択し、「次へ」を選択します。
    ASMディスク・グループの作成ウィンドウが表示されます。
  11. Oracle ASMディスク・グループの名前および仕様を指定してください。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、ディスク・グループの名前を入力します(たとえば、DATA)。
    2. このディスク・グループの冗長レベルを選択します。「標準」が推奨オプションです。
    3. 「ディスクの追加」セクションで、このディスク・グループに追加するディスクを選択します。

      「ディスクの追加」セクションには、ステップ2でラベル付けしたディスクが表示されます。ディスクが表示されない場合、検出パスの変更ボタンをクリックして、たとえば/dev/sd*のように、ディスクのパスおよびパターン・マッチを指定します。

      インストール中、Oracle ASMFDディスクまたはOracle ASMLIBディスクとしてラベル付けされたディスクは、デフォルト検出文字列の使用時に候補ディスクとして示されます。ただし、MEMBERというヘッダー・ステータスのディスクは、候補ディスクではありません。

    4. Oracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)を使用してOracle ASMディスク・デバイスを管理する場合、オプション「Oracle ASMフィルタ・ドライバの構成」を選択します。
      Linuxシステムにインストールする場合で、かつOracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)を使用してOracle ASMディスク・デバイスを管理する場合、Oracle Grid Infrastructureのインストールを開始する前にOracle ASMライブラリ・ドライバ(Oracle ASMLIB)を削除する必要があります。
    ディスク・グループの情報を入力し終わったら、「次へ」をクリックします。
  12. GIMRに異なるディスク・グループを使用するよう選択した場合、「グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ・オプション」ウィンドウが表示されます。GIMRディスク・グループの名前および仕様を指定してください。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、ディスク・グループの名前を入力します(たとえば、DATA)。
    2. このディスク・グループの冗長レベルを選択します。「標準」が推奨オプションです。
    3. 「ディスクの追加」セクションで、このディスク・グループに追加するディスクを選択します。
    ディスク・グループの情報を入力し終わったら、「次へ」をクリックします。
    ASMパスワードの指定ウィンドウが表示されます。
  13. Oracle ASM SYSおよびASMSNMPアカウントに同じパスワードを選択するか、または各アカウントに異なるパスワードを指定して、「次へ」をクリックします。
    障害の分離のサポート・ウィンドウが表示されます。
  14. オプション「Intelligent Platform Management Interface (IPMI)を使用しない」を選択し、「次へ」をクリックします。
    管理オプションの指定ウィンドウが表示されます。
  15. エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされている場合、オプション「Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録」を選択し、EM構成情報を指定します。エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされていない場合は、「次へ」をクリックして続行します。
    「権限のあるオペレーティング・システム・グループ」ウィンドウが表示されます。
  16. Oracle ASM管理用のデフォルトのオペレーティング・システム・グループ名を受け入れ、「次へ」をクリックします。
    インストール先の指定ウィンドウが表示されます。
  17. Oracle Grid InfrastructureインストールのOracleベースに使用するディレクトリを指定し、「次へ」をクリックします。OracleベースのディレクトリはOracleホームのディレクトリとは別である必要があります。
    ステップ1で指示されたとおりにOracle Gridホーム・ディレクトリにOracle Grid Infrastructureインストール・ファイルをコピーしている場合、Oracleベース・ディレクトリのデフォルトの場所が/u01/app/gridとして表示されます。
    このコンピュータにOracleソフトウェアを一度もインストールしたことがない場合は、インベントリの作成ウィンドウが表示されます。
  18. 必要に応じて、インベントリ・ディレクトリのパスを変更します。その後、「次へ」をクリックします。
    このマニュアルの例と同じディレクトリ名を使用している場合は、値は/u01/app/oraInventoryとなります。oraInventoryディレクトリのグループ名は、oinstallとなります。
    「rootスクリプトの実行構成」ウィンドウが表示されます。
  19. 「構成スクリプトを自動的に実行」するオプションを選択します。rootユーザーまたはsudoアカウントの資格証明を入力し、「次へ」をクリックします。
    その他の方法として、インストール・プロセスの最後にインストーラで求められたときに、rootユーザーとしてスクリプトを手動で実行できます。
    「前提条件チェックの実行」ウィンドウが表示されます。
  20. ステータスが「失敗」のチェックがあり「修正可能」ではない場合は、この問題を手動で修正する必要があります。問題を修正した後、「再チェック」ボタンをクリックしてインストーラで要件を再確認し、ステータスを更新できます。すべてのチェックのステータスが「成功」になるまで必要な回数繰り返します。「次へ」をクリックします。

    「サマリー」ウィンドウが表示されます。

  21. サマリー・ウィンドウの内容を確認して「インストール」をクリックします。
    進捗インジケータが表示され、インストール・プロセスを監視できます。
  22. rootスクリプトの自動化を構成しなかった場合は、「構成スクリプトの実行」ウィンドウで指定された適切なスクリプトをrootユーザーとして実行する必要があります。すべてのスクリプトを実行するまで、「OK」はクリックしないでください。そのスクリプトをすべてのノードで、表示された順序で指示どおりに実行します。

    たとえば、Oracle Linux上では次のステップを実行します(この例では、説明をわかりやすくするために、プロンプトの現在のユーザー、ノードおよびディレクトリを示しています)。

    1. node1gridユーザーとして端末ウィンドウを開き、次のコマンドを入力します。

      [grid@node1 grid]$ cd /u01/app/oraInventory
      [grid@node1 oraInventory]$ su
      
    2. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをnode1で実行します。

      [root@node1 oraInventory]# ./orainstRoot.sh
      
    3. node1orainstRoot.shスクリプトが終了した後、別の端末ウィンドウを開き、gridユーザーとして次のコマンドを入力します。

      [grid@node1 grid]$ ssh node2
      [grid@node2 grid]$ cd /u01/app/oraInventory
      [grid@node2 oraInventory]$ su
      
    4. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをnode2で実行します。

      [root@node2 oraInventory]#./orainstRoot.sh
      
    5. node2orainstRoot.shスクリプトが終了した後、このステップのパートaで開いた端末ウィンドウに移動します。node1rootユーザーとして次のコマンドを入力し、2番目のスクリプトであるroot.shを実行します。

      [root@node1 oraInventory]# cd /u01/app/18.0.0/grid
      [root@node1 grid]# ./root.sh
      

      プロンプトに対して[Enter]キーを押してデフォルト値のままにします。

      ノート:

      最初のノードでroot.shスクリプトを実行し、完了するまで待機する必要があります。スクリプトを実行した最後のノードを除いて、他のすべてのノードでroot.shスクリプトを同時に実行できます。最後のノードでは、最初のノードと同様に、root.shスクリプトを個別に実行する必要があります。

    6. node1root.shスクリプトが終了した後、このステップのパートcで開いた端末ウィンドウに移動します。node2rootユーザーとして、次のコマンドを入力します。

      [root@node2 oraInventory]#cd /u01/app/18.0.0/grid
      [root@node2 grid]#./root.sh
      

      root.shスクリプトが終了した後、orainstRoot.shおよびroot.shスクリプトの実行を求められたOracle Universal Installerのウィンドウに戻ります。「OK」をクリックします。

      ソフトウェア・インストールの監視ウィンドウが表示されます。

  23. 「終了」ウィンドウが表示されるまで、インストールの監視を続けます。次に、「閉じる」をクリックし、インストール・プロセスを完了してインストーラを終了します。

警告:

インストールの完了後、Oracleソフトウェアがサーバーで動作している間は、/tmp/.oracleまたは/var/tmp/.oracleディレクトリ、またはそれらのディレクトにあるファイルを手動またはcronジョブの実行によって削除しないでください。これらのファイルを削除すると、Oracleソフトウェアが断続的に停止する場合があります。Oracle Clusterwareのインストールが失敗し、次のエラーが表示されることがあります。

CRS-0184: CRSデーモンと通信できません。

Oracle Grid Infrastructureのインストールが完了した後、高可用性のためにOracle Databaseをクラスタ・ノード上にインストールするか、またはOracle RACをインストールできます。

関連項目:

Oracle Databaseのインストールの詳細は、ご使用のプラットフォーム用の『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド』または『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』