5.1 UCPでの接続のラベル付けの概要

多くの場合、アプリケーションは、接続プールから取得した接続を使用する前に初期化します。初期化は一様ではなく、アプリケーション・コード内でメソッド・コールを必要とする単純な状態の再初期化や、ネットワーク上でのラウンドトリップを必要とするデータベース操作などがあります。このような初期化のコストは非常に高い場合があります。

接続のラベル付けを使用すると、アプリケーションが接続に任意の名前/値のペアを付けることができます。アプリケーションは、必要なラベルが付いた接続を接続プールにリクエストできます。特定のラベルと特定の接続状態を関連付けることで、すでに初期化されている接続をプールから取得し、再初期化の時間とコストを回避できます。接続ラベリング機能は、ユーザー定義キーまたは値に意味を与えません。ユーザー定義キーおよび値の意味は、アプリケーションでのみ定義されます。

接続ラベリングの例には、ロール、NLS言語設定、トランザクション分離レベル、ストアド・プロシージャ・コール、またはリソースによる処理の実行の前に接続上で必要となるその他のコストのかかる状態の初期化があります。

接続ラベリングはアプリケーション駆動型で、2つのインタフェースを使用する必要があります。oracle.ucp.jdbc.LabelableConnectionインタフェースは、接続ラベルの適用および削除と、接続に設定されているラベルの取得に使用されます。oracle.ucp.ConnectionLabelingCallbackインタフェースは、リクエストされたラベルが付いた接続がすでに存在するかどうかを判断するラベリング・コールバックの作成に使用されます。接続が存在しない場合、このインタフェースを使用して、現行の接続を必要に応じて構成できます。これらのインタフェースのメソッドについては、この章全体を通して詳しく説明します。