非CDBアーキテクチャのOracle Databaseの手動アップグレード
この手順では、非CDBアーキテクチャのOracle Databaseをアップグレードするためのステップを示します。
注意:
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降では、非CDBアーキテクチャは非推奨です。今後のリリースでサポートが終了する可能性があります。
この手順を使用する前に、次のステップを実行してください。
-
Oracle Databaseソフトウェアをインストールします
-
新しいOracleホームを準備します。
-
アップグレード前情報ツールの実行
ステップ:
-
アップグレード前情報ツールをまだ実行していない場合、実行します。次に進む前に、アップグレード前情報ツールの出力を確認して、出力に記載されているすべての問題を修正します。
たとえば、LinuxまたはUnixシステムでは、次のように入力します。
$ORACLE_HOME/jdk/bin/java -jar /opt/oracle/product/18.0.0/rdbms/admin/preupgrade.jar FILE TEXT
-
適切なバックアップ計画が準備されていることを確認します。
-
新しいOracleホームをまだ準備していない場合、準備します。
-
(条件付き) Oracle RAC環境の場合のみ、次のコマンドを入力して、CLUSTER_DATABASEの初期化パラメータ値をFALSEに設定します。
ALTER SYSTEM SET CLUSTER_DATABASE=FALSE SCOPE=SPFILE;
-
データベースを停止します。次に例を示します。
SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
-
ご使用のオペレーティング・システムがWindowsの場合、次のステップを実行します。
-
アップグレードするデータベースのOracleサービス
OracleServiceSID
を停止します(SID
はインスタンスの名前です)。たとえば、SID
がORCL
の場合、コマンド・プロンプトで次のように入力します。C:\> NET STOP OracleServiceORCL
-
コマンド・プロンプトで、
ORADIM
を使用してOracleサービスを削除します。ORADIM
の構文およびコマンドの完全なリストは、ご使用のプラットフォームのガイドを参照してください。たとえば、
SID
がORCL
の場合、次のコマンドを入力します。C:\> ORADIM -DELETE -SID ORCL
-
コマンド・プロンプトで新しいOracle Databaseリリースの
ORADIM
コマンドを使用して、新しいリリースのOracle Databaseのサービスを作成します。次の構文を使用します(
SID
はデータベースSID、PASSWORD
はシステム・パスワード、USERS
は最大ユーザー数に設定する値、ORACLE_HOME
はOracleホームです)。C:\> ORADIM -NEW -SID SID -SYSPWD PASSWORD -MAXUSERS USERS -STARTMODE AUTO -PFILE ORACLE_HOME\DATABASE\INITSID.ORA
ほとんどのOracle Databaseサービスは、Oracleソフトウェア・インストール所有者の権限を使用してシステムにログオンします。サービスは、このユーザーの権限を使用して実行されます。
ORADIM
コマンドによって、このユーザー・アカウントのパスワードの入力を求められます。ORADIM
を使用して、他のオプションを指定できます。次の例で、
SID
がORCL
、password
(SYSPWD
)がTWxy5791
、ユーザーの最大数(MAXUSERS
)が10、およびOracleホーム・パスがC:\ORACLE\PRODUCT\18.0.0\DB
の場合、次のコマンドを入力します。C:\> ORADIM -NEW -SID ORCL -SYSPWD TWxy5791 -MAXUSERS 10 -STARTMODE AUTO -PFILE C:\ORACLE\PRODUCT\18.0.0\DB\DATABASE\INITORCL.ORA
ORADIM
によって、ORACLE_HOME\database
ディレクトリにログが書き込まれます。注意:
Oracleホームのユーザー・アカウントを使用してOracleホームを所有する場合、ORADIMコマンドによって、そのユーザーの名前とパスワードを求められます。
-
-
ご使用のオペレーティング・システムがLinuxまたはUNIXの場合は、次の内容を確認します。
-
ORACLE_SID
が正しく設定されていること。 -
oratab
ファイルが新しいOracleホームを指していること -
次の環境変数が新しいOracle Databaseディレクトリを指していること
-
ORACLE_HOME
-
PATH
-
-
クライアントで
$ORACLE_HOME
環境変数を設定するために使用するどのスクリプトも、新しいOracleホームを指している必要があります。
注意:
Oracle Real Application Clustersデータベースをアップグレードする場合、Oracle Real Application Clustersデータベースでインスタンスが構成されているすべてのOracle Grid Infrastructureノードでこれらのチェックを実行してください。
-
-
新しいOracle DatabaseリリースのOracleインストール所有者としてシステムにログインします。
-
新しいOracleホーム・ディレクトリのadminディレクトリから、新しいOracleホームのSQL*Plusを起動します。
次に例を示します。
$ cd $ORACLE_HOME/rdbms/admin $ pwd /u01/app/oracle/product/18.0.0/dbhome_1/rdbms/admin $ sqlplus
-
SPFILE.ORAまたはINIT.ORAファイルを古いOracleホームから新しいOracleホームにコピーします。
-
SYSDBA権限を持つアカウントを使用して、アップグレードするデータベースに接続します。
SQL> connect / as sysdba
-
アップグレード・モードで非CDB Oracle Databaseを起動します。
SQL> startup upgrade
サポートが終了した初期化パラメータを示すエラーが表示された場合は、そのサポートが終了した初期化パラメータを記録し、アップグレードを継続します。次回、データベースを停止したときに、そのサポートが終了した初期化パラメータを削除します。
注意:
UPGRADE
モードでデータベースを起動すると、以前のOracle Databaseリリースに基づいてデータベースがオープンされます。また、AS SYSDBA
セッションへのログインの制限、システム・トリガーの無効化、およびアップグレードの環境を準備するその他の操作も実行されます。 -
SQL*Plusを終了します。
次に例を示します。
SQL> EXIT
-
アップグレードに必要なアップグレード・オプションを使用して、パラレル・アップグレード・ユーティリティ(
catctl.pl
)スクリプトを実行します。パラレル・アップグレード・ユーティリティは、
Oracle_home/bin
にあるdbupgrade
シェル・コマンドを使用すると、コマンドライン・シェル・コマンドとして実行できます。Oracle_home/bin
を含むようにPATH環境変数を設定した場合、コマンドラインから直接コマンドを実行できます。次に例を示します。$ dbupgrade -d /u01/app/oracle/12.2.0/dbhome_1
注意:
-
パラレル・アップグレード・ユーティリティ・コマンドを実行する際に、
-d
オプションを使用してターゲットOracleホームのファイルパスを指定します。-l
オプションを使用して、スプール・ログ・ファイルに使用するディレクトリを指定します。
-
-
アップグレードに成功すると、データベースは停止します。インスタンスを再起動して、通常の操作用にシステム・パラメータを再初期化します。次に例を示します。
SQL> STARTUP
データベースが停止した後のこの再起動では、すべてのキャッシュがフラッシュされ、バッファが消去されて、その他のハウスキーピング・アクティビティが実行されます。これらの操作は、アップグレードしたOracle Databaseソフトウェアの整合性と一貫性を保証するための重要な最終ステップです。
注意:
データベースを起動したときに、サポートが終了した初期化パラメータがリストされているメッセージが表示された場合は、再起動の前にサポートが終了した初期化パラメータをパラメータ・ファイルから削除します。ファイルを編集してパラメータを削除するために、必要に応じて
SPFILE
をPFILE
に変換します。 -
catcon.pl
を実行してutlrp.sql
を起動し、残りのすべての無効なオブジェクトを再コンパイルします。次に例を示します。
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl catcon.pl -n 1 -e -b utlrp -d '''.''' utlrp.sql
-b utlrp
を使用してコマンドを実行しているため、ログ・ファイルutlrp0.log
はスクリプトが実行されるときに生成されます。ログ・ファイルには再コンパイルの結果が含まれています。 -
postupgrade_fixups.sql
を実行します。次に例を示します。SQL> @postupgrade_fixups.sql
注意:
スクリプトを別の場所に配置するように指定しなかった場合、デフォルトのパス
Oracle_base/cfgtoollogs/SID/preupgrade
(Oracle_base
はOracleベース・ホームのパス、SID
は一意のデータベース名)にあります。 -
utlu122s.sql
を実行します。スクリプトは、すべての問題が修正されたことを検証します。次に例を示します。
SQL> @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/utllu122s.sql
スクリプトを実行すると、アップグレードの結果を示すログ・ファイル
utlu122s0.log
が生成されます。upg_summary.log
でアップグレード・レポートを確認することもできますデータベースの状態に関する情報を確認するには、アップグレードの完了後、いつでも必要な回数だけ
utlu122s.sql
を実行します。utlu122s.sql
スクリプトがエラーを返したり、ステータスがVALID
ではないコンポーネントを表示した場合や、コンポーネントに対してリストされたバージョンが最新のリリースではない場合、このガイドのトラブルシューティングに関する項を参照してください。 -
DBMS_DST
PL/SQLパッケージを使用してタイムゾーン・ファイルをアップグレードし、タイムゾーン・データファイルを最新の状態にします。アップグレード後にタイムゾーン・データ・ファイルを調整することもできます。 -
SQL*Plusを終了します
次に例を示します。
SQL> EXIT
-
(条件付き) Oracle Real Application Clustersデータベースをアップグレードする場合、次のコマンド構文を使用して、Oracle Clusterwareのデータベース構成をアップグレードします。
srvctl upgrade database -db db-unique-name -oraclehome oraclehome
この構文の例では、
db-unique-name
は(インスタンス名ではなく)データベース名であり、oraclehome
はデータベースがアップグレードされるOracleホームの場所です。SRVCTL
ユーティリティでは、以前のリリースで使用されていた短いコマンドライン・インタフェース(CLI)オプションに加えて、GNUスタイルの長いオプションもサポートされます。 -
(条件付き) Oracle RAC環境の場合のみ、すべてのノードをアップグレードした後に、次のコマンドを入力してCLUSTER_DATABASEの初期化パラメータ値をTRUEに設定し、データベースを起動します(
db_unique_name
はOracle RACデータベースの名前)。ALTER SYSTEM SET CLUSTER_DATABASE=TRUE SCOPE=SPFILE; srvctl start database -db db_unique_name
これで、データベースがアップグレードされました。アップグレード後の手順を完了する準備が整いました。
注意:
古いOracleソフトウェアを保持している場合、古いソフトウェアを使用してアップグレードしたデータベースを起動しないでください。必ず新しいOracle Databaseホームで起動コマンドを使用してOracle Databaseを起動します。
古いOracle環境を削除する前に、その環境のデータファイルをすべて新しいOracle Database環境に再配置してください。
関連項目:
データファイルの再配置の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください
親トピック: Oracle Databaseのアップグレード