CREATE ROLE

目的

CREATE ROLE文を使用すると、ロールを作成できます。ロールは、ユーザーまたは他のロールに付与できる権限の集合です。ロールを使用して、データベース権限を管理できます。ロールに権限を追加し、そのロールをユーザーに付与することができます。その後、ユーザーはロールを有効にして、そのロールによって付与された権限を行使することができます。

ロールには、そのロールに付与されたすべての権限、およびそのロールに付与された他のロールのすべての権限が含まれています。新しく作成されたロールには、ロールや権限は付与されていません。GRANT文を使用して、ロールに様々な権限を追加します。

NOT IDENTIFIEDIDENTIFIED EXTERNALLYまたはBY passwordロールを作成した場合、そのロールはADMIN OPTION付きで付与されます。ただし、ロールIDENTIFIED GLOBALLYを作成した場合、ロールは付与されません。グローバル・ロールは、ユーザーまたはロールに対して直接付与できません。グローバル・ロールを付与する場合は、エンタープライズ・ロールを介して行う必要があります。

関連項目:

前提条件

CREATE ROLEシステム権限が必要です。

CONTAINER句を指定する場合は、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)に接続している必要があります。CONTAINER = ALLを指定する場合は、現在のコンテナがルートである必要があります。CONTAINER = CURRENTを指定するには、現在のコンテナがプラガブル・データベース(PDB)である必要があります。

構文

セマンティクス

role

作成するロールの名前を指定します。名前は、「データベース・オブジェクトのネーミング規則」に指定されている要件を満たしている必要があります。データベース文字セットにマルチバイト文字がサポートされている場合でも、ロールにはシングルバイト文字を1つ以上使用することをお薦めします。ロールの名前の最大長は128バイトです。各ユーザーに対し、一度に使用可能にできるユーザー定義のロールの最大数は148です。

CDB以外では、ロール名の先頭をC##またはc##にできません。

CDBでは、ロール名の要件は次のとおりです。

  • 共通ロールの名前は、COMMON_USER_PREFIX初期化パラメータで指定された接頭辞と大/小文字を区別しないで一致する文字から始める必要があります。デフォルトでは、接頭辞はC##です。

  • ローカル・ロールの名前は、COMMON_USER_PREFIX初期化パラメータで指定された接頭辞と大/小文字を区別しないで一致する文字から始めないでくださいCOMMON_USER_PREFIXの値に関係なく、ローカル・ロールの名前の先頭にC##またはc##を使用できません。

ノート:

COMMON_USER_PREFIXの値が空の文字列である場合、共通またはローカル・ロール名に要件はありませんが、次の1つの例外があります。ローカル・ロールの名前の先頭にC##またはc##を使用できません。PDBを別のCDBに接続する場合または共通ユーザーの作成時に閉じられたPDBを開く場合、ローカルおよび共通ロールの名前が競合する可能性があるため、空の文字列を使用しないことをお薦めします。

配布メディアで提供されているSQLスクリプトには、いくつかのロールが定義されています。

関連項目:

事前定義済のロールのリストについては、「GRANT」を、ユーザーに対するロールの使用可能化および使用禁止化については、「SET ROLE」を参照してください。

NOT IDENTIFIED句

NOT IDENTIFIEDを指定すると、指定するロールがデータベースによって認可され、パスワードを入力しなくてもこのロールを使用可能にできます。

IDENTIFIED句

IDENTIFIED句を使用すると、SET ROLE文によってロールを使用可能にする前に、指定したメソッドによってユーザーが認可される必要があります。

BY password

BY password句を使用して、パスワードを持つローカル・ロールを作成できます。つまり、ロールを有効にするときに、データベースにパスワードを指定する必要があるということです。

パスワードには、NULL文字(CHR(0))と二重引用符を除いて、データベース文字セットの任意の文字を含めることができます。パスワードは構文上は識別子であり、データベース・オブジェクトのネーミング規則で指定されているとおり、二重引用符で囲む必要があります。データベースと、ロールを有効化する必要があるクライアントは、パスワードを構成するすべての文字をサポートするように構成されている必要があります。

USING package

USING package句を使用すると、保護アプリケーション・ロールを作成できます。保護アプリケーション・ロールとは、認可済パッケージを使用するアプリケーションによってのみ有効にできるロールです。schemaを指定しない場合、パッケージは自分のスキーマ内にあるとみなされます。

関連項目:

保護アプリケーション・ロールの作成については、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

EXTERNALLY

EXTERNALLYを指定すると、外部ロールを作成できます。外部ユーザーは、ロールを使用可能にする前に、オペレーティング・システムやサード・パーティ・サービスなどの外部サービスによって認可されている必要があります。

オペレーティング・システムによっては、ユーザーがオペレーティング・システムに対してパスワードを指定しないと、ロールが使用可能にできない場合もあります。

GLOBALLY

GLOBALLYを指定すると、グローバル・ロールを作成できます グローバル・ユーザーは、ログイン時にロールの使用が可能になる前に、エンタープライズ・ディレクトリ・サービスによってロールの使用を認可されている必要があります。

中央管理されているユーザーを使用している場合、GLOBALLYASとともに指定して、ディレクトリ・グループをグローバル・ロールにマップします。ディレクトリ・グループはそのドメイン名によって識別されます。

例: グローバル・ユーザーへのディレクトリ・ユーザーのマッピング

  CREATE USER scott_global IDENTIFIED GLOBALLY AS ‘cn=scott taylor,ou=sales,dc=abccorp,dc=com’;

これは実質的に、abccorp.comドメインのsales組織単位のscott taylorという名前のディレクトリ・ユーザーを、データベース・グローバル・ユーザーscott_globalに割り当てます。

CONTAINER句

CONTAINER句は、CDBに接続しているときに適用されます。ただし、デフォルト値が使用できる唯一の値であるため、CONTAINER句を指定する必要はありません。

  • 共通ロールを作成するには、ルートに接続する必要があります。ルートに接続する場合にデフォルトのCONTAINER = ALLをオプションで指定できます。

  • ローカル・ロールを作成するには、PDBに接続する必要があります。PDBに接続する場合にデフォルトのCONTAINER = CURRENTをオプションで指定できます。

ロールの作成: 例

次の文は、ロールdw_managerを作成します。

CREATE ROLE dw_manager;

この後にdw_managerロールを付与されるユーザーは、このロールに付与されているすべての権限を継承します。

次の例のように、パスワードの指定によってロールにセキュリティのレイヤーを追加できます。

CREATE ROLE dw_manager
   IDENTIFIED BY warehouse; 

この後、dw_managerロールを付与されたユーザーは、パスワードwarehouseを指定して、SET ROLE文でロールを使用可能にする必要があります。

次の文は、グローバル・ロールwarehouse_userを作成します。

CREATE ROLE warehouse_user IDENTIFIED GLOBALLY;

次の文は、同じロールを外部ロールとして作成します。

CREATE ROLE warehouse_user IDENTIFIED EXTERNALLY;

次の文は、現在のPDBにローカル・ロールrole1を作成します。この文を発行するときには、現在のコンテナがPDBである必要があります。

CREATE ROLE role1 CONTAINER = CURRENT;

次の文では、共通ロールc##role1を作成します。この文を発行するときには、現在のコンテナがルートである必要があります。

CREATE ROLE c##role1 CONTAINER = ALL;