18 Oracle GoldenGateのベスト・プラクティスの概要

Oracle MAAベスト・プラクティスを使用してOracle GoldenGateを構成し、Oracle GoldenGateデプロイメントから最高の可用性とパフォーマンスを引き出します。

Oracle GoldenGateには次のような利点があります。

  • 単方向または双方向のレプリケーションで、任意のレプリケートされたデータベースの読取りおよび更新が可能です。
  • データの移動がリアルタイムで行われ、レイテンシが低減されます。
  • レプリケートされたデータベースは、異なるハードウェア・プラットフォーム、データベース・バージョンおよび異なるデータベースまたはアプリケーション構成で実行できるため、オンライン移行が可能です。この柔軟性により、オンラインでのデータベースおよびアプリケーションのアップグレードも可能になります。
  • ソースおよびターゲットのレプリケート・データベースはオンラインであるため、停止中および計画メンテナンス・アクティビティ中に、アプリケーションの停止時間ゼロのスイッチオーバーが可能です。透過的アプリケーション・コンティニュイティなどの組込み機能を使用するのではなく、アプリケーションのスイッチオーバーをカスタマイズする必要があることに注意してください。

様々なOracle GoldenGate構成のベスト・プラクティスとMAA Platinumのベスト・プラクティスを、次の表に示します。

表18-1 Oracle GoldenGateのユースケースおよびベスト・プラクティス

ユースケース Oracle GoldenGateのベスト・プラクティス

Oracle CloudまたはExadataプラットフォームへのデータベースの移行

GoldenGateを使用した停止時間ゼロの移行(ZDM) (論理移行)

Oracle Zero Downtime Migration - 論理移行のパフォーマンス・ガイドライン

停止時間が最小またはゼロであることを必要とするデータベース移行

クロス・プラットフォームまたは異なるデータベース・バージョンが含まれるデータベース移行

Oracle GoldenGate Hub構成によるOracle Databaseの移行

ハブ構成のデータベース・サーバーからのOracle GoldenGateのデプロイ

Cloud: Oracle GoldenGate Hubの構成

オンプレミス: Oracle GoldenGate Hubの構成

Oracle RACデータベース・サーバーまたはExadataデータベース・システムへのOracle GoldenGateの直接インストールと構成

Cloud: Oracle Exadata Database ServiceでのOracle GoldenGate Microservices Architectureの構成のベスト・プラクティス

オンプレミス: Oracle Real Application Clustersを使用したOracle GoldenGate Microservices Architectureの構成のベスト・プラクティス

MAA Platinumの実装またはOracle Active Data Guardを使用したOracle RACデータベース・サーバーへのOracle GoldenGateの直接インストールと構成

Cloud: Oracle Exadata Database ServiceでのOracle GoldenGate Microservices Architectureの構成のベスト・プラクティス」および「Cloud MAA Platinum: Active Data Guardと統合されたOracle GoldenGate Microservices Architecture

オンプレミス: Oracle Real Application Clustersを使用したOracle GoldenGate Microservices Architectureの構成のベスト・プラクティス」および「オンプレミスMAA Platinum: Active Data Guardと統合されたOracle GoldenGate Microservices Architecture

Oracle GoldenGateのアプリケーション・フェイルオーバー・オプション

『Global Data Services概要および管理ガイド』、「アプリケーションの継続的な可用性の構成

Oracle GoldenGate双方向レプリケーションと自動競合検出および解決

Oracle Cloud Serviceの場合: Oracle Cloud Infrastructure GoldenGateドキュメント

オンプレミスの場合: 最新のOracle GoldenGateドキュメント

Oracle GoldenGateのドキュメント(https://docs.oracle.com/en/middleware/goldengate/core/21.1/)も参照してください

Oracle GoldenGateとサポート・テクノロジの概要

データベース間でデータをレプリケートするために必要なテクノロジは、Oracle GoldenGateと、様々な障害が発生した後に確実にレプリケーションを再開するためのサポート・テクノロジ(Oracle Grid Infrastructure Agent、ACFSまたはDBFS、GoldenGateハブなど)です。ここでは、Oracle GoldenGateとサポート・テクノロジの概要について説明します。

Oracle GoldenGate

Oracle GoldenGateは、同種システムと異種システム間で、リアルタイムのログベースの変更データの取得と配信を提供します。このテクノロジにより、コスト効率が高く影響の少ないリアルタイムのデータ統合と継続的な可用性ソリューションを構築できます。

Oracle GoldenGateはトランザクションの整合性を維持し、既存のインフラストラクチャのオーバーヘッドを最小限に抑えて、コミットされたトランザクションからデータをレプリケートします。このアーキテクチャは、1対多、多対多、カスケード、双方向など、複数のデータ・レプリケーション・トポロジをサポートしています。その幅広いユースケースには、リアルタイムのビジネス・インテリジェンス(クエリのオフロード、停止時間ゼロのアップグレードと移行、データ分散、データ同期、高可用性のためのアクティブ/アクティブ・データベース)が含まれます。

Oracle GoldenGate Microservices ArchitectureはREST対応サービスを提供します。REST対応サービスでは、HTML5 Webページ、コマンドライン・インタフェースおよびAPIを介して、リモート構成、管理および監視を提供します。

推奨されるOracle GoldenGate 21c (および、それ以降のリリース)では統合ビルド・サポートが導入されているため、単一のソフトウェア・インストールで、レプリケートされたデータの取得と複数の主要なOracle Databaseバージョン(11gリリース2から21c)への適用がサポートされます。これが可能になるのは、Oracle GoldenGateインストールに必要なOracle Databaseクライアント・ライブラリが含まれており、別途データベースORACLE_HOMEをインストールする必要がないためです。

Oracle Grid Infrastructure Agent

Oracle Grid Infrastructure Agent (XAG)は、エージェント管理インタフェースであるAGCTLを介して管理されるアプリケーション・リソースとリソース・タイプに高可用性(HA)フレームワークを提供する、Oracle Grid Infrastructureコンポーネントです。このフレームワークは、完全なアプリケーションHAのためにアプリケーションを統合するための、事前定義されたOracle Grid Infrastructureリソース構成とエージェントを含む、すぐに使用できる完全なソリューションを提供します。

Oracle Grid Infrastructure Agentは、Oracle GoldenGate、Siebel、Oracle PeopleSoft、JD Edwards、Oracle WebLogic Server、ApacheおよびMySQLアプリケーション用に事前定義されたOracle Clusterwareリソースを提供します。Oracle GoldenGateのエージェントを使用すると、ソース・データベースとターゲット・データベース、アプリケーションVIPおよびファイル・システム(ACFSまたはDBFS)マウント・ポイントへの依存性の作成が簡素化されます。エージェント・コマンドライン・ユーティリティ(AGCTL)は、Oracle GoldenGateの起動と停止に使用します。また、クラスタ内のノード間でOracle GoldenGateを再配置するために使用することもできます。

Oracle Database File System(DBFS)

Oracle DBFSを使用すると、Oracle GoldenGateファイルを格納できます。

Oracle Database File System (DBFS)は、データベースに格納されるファイルへのファイル・システム・インタフェースを作成します。DBFSはローカルのファイル・システムのように見える共有ネットワーク・ファイル・システムを提供するという点でNFSと似ています。データはデータベースに格納されるため、ファイル・システムはOracle Databaseが提供する高可用性とディザスタ・リカバリ機能をすべて継承します。

DBFSでは、サーバーはOracle Databaseです。ファイルはSecureFiles LOBとして格納されます。PL/SQLプロシージャは、作成、オープン、読取り、書込み、リスト・ディレクトリなど、ファイル・システム・アクセスのプリミティブを実装します。データベース内のファイル・システムの実装は、DBFS SecureFilesストアと呼ばれます。DBFS SecureFilesストアを使用すると、ユーザーはクライアントがマウントできるファイル・システムを作成できます。各ファイル・システムには、ファイル・システム・コンテンツが保持されるシステム専用の表があります。

Oracle Advanced Cluster File System (ACFS)

Oracle ACFSを使用すると、Oracle GoldenGateファイルを格納できます。

Oracle Advanced Cluster File System (Oracle ACFS)は、マルチプラットフォームのスケーラブルなファイル・システムであり、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)の機能を拡張して、すべてのカスタマ・ファイルをサポートするストレージ管理テクノロジです。

Oracle ACFSは、クラスタ・メンバーシップの状態遷移とリソースベースの高可用性にOracle Clusterwareを利用します。Oracle ACFSはOracle Grid Infrastructure (GI)にバンドルされているため、データベース、リソース、ボリュームおよびファイル・システムの統合され最適化された管理を可能にします。