6 インメモリー・オブジェクトの管理の自動化
自動データ最適化(ADO)および自動インメモリーを使用してIM列ストア内のオブジェクトを動的に管理できます。
ADOは、ブロックとセグメントのデータ・アクセス・パターンを追跡するヒート・マップを使用します。ADOおよびヒート・マップは、情報ライフサイクル管理(ILM)の一部であり、作成からアーカイブまたは削除までのデータを管理する一連のプロセスおよびポリシーです。この章は、ILM、ADOおよびヒート・マップをよく理解していることが前提となっています。
この章のトピックは、次のとおりです:
関連項目:
ILM、ADOおよびヒート・マップの概要は、Oracle Database VLDBおよびパーティショニング・ガイドを参照
6.1 IM列ストアに対するADOの有効化
自動データ最適化(ADO)では、ILM計画を実装するために、ポリシーが作成され、それらのポリシーに基づいてアクションが自動化されます。
この項では、次の項目について説明します。
6.1.1 ADOポリシーとIM列ストアについて
ADOは、ADOポリシーを使用してIM列ストアを管理します。セグメント・レベルでINMEMORY
句を使用することによってのみ、ADOポリシーを作成できます。
データベースでは、ADOポリシーは、オブジェクトの属性のように扱われます。ADOポリシーは、インスタンス・レベルではなくデータベース・レベルとなります。Oracle Databaseでは、Database In-Memoryのために次のタイプのADOポリシーがサポートされています。
-
INMEMORY
ポリシーこのポリシーは、オブジェクトを
INMEMORY
属性でマークし、それらをIM列ストアへの移入のために有効にします。表レベルで設定すると、INMEMORY
属性は内部パーティションにのみ適用されます。そのため、ハイブリッド・パーティション表の外部パーティションはポリシーによって管理されません。 -
再圧縮ポリシー
このポリシーは、
INMEMORY
オブジェクトに対する圧縮レベルを変更します。 -
NO INMEMORY
ポリシーこのポリシーは、オブジェクトをIM列ストアから削除し、その
INMEMORY
属性を削除します。
Oracle Databaseでは、次の条件をサポートして、ポリシーを適用する時期を決定します。
-
オブジェクトが変更されてからの指定日数
DBA_HEAT_MAP_SEGMENT
ビュー内の列SEGMENT_WRITE_TIME
からこの値を取得します。 -
オブジェクトがアクセスされてからの指定日数
この値は、
DBA_HEAT_MAP_SEGMENT
ビューの列SEGMENT_WRITE_TIME
、FULL_SCAN
およびLOOKUP_SCAN
内の大きいほうの値となります。 -
オブジェクトが作成されてからの指定日数
DBA_OBJECTS
内のCREATED
列からこの値を取得します。 -
ブール値を返すユーザー定義関数
関連項目:
-
DBA_HEAT_MAP_SEGMENT
ビューについて学習するには、『Oracle Databaseリファレンス』を参照 -
INMEMORY
句について学習するには、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照
6.1.2 ADOとIM列ストアの目的
ADOは、IM列ストアを新しいデータ層として管理します。
ポリシーを作成して、IM列ストアからオブジェクトがあまり頻繁にアクセスされない場合にはそのオブジェクトを除去し、オブジェクトが頻繁にアクセスされる場合にはそのオブジェクトを移入することで、問合せのパフォーマンスを向上することができます。ADOでは、ヒート・マップ統計を使用してIM列ストアが管理されます。
INMEMORYポリシーの目的
多くのデータベースでは、セグメントは、作成後に大幅に変更されます。パフォーマンスを最大限に高めるには、ADOで、書込みアクティビティがおさまったときに、これらのセグメントをIM列ストアに移入します。たとえば、パーティションを表に毎日追加する場合は、作成翌日にsales_2016_d100
パーティションを移入するポリシーを作成できます。
ALTER TABLE sales MODIFY PARTITION sales_2016_d100
ILM ADD POLICY SET INMEMORY MEMCOMPRESS FOR QUERY
PRIORITY HIGH
AFTER 1 DAYS OF CREATION
同様に、作成の2か月後に表に対する書込みアクティビティがおさまることが判明しており、この時間条件が満たされたときにこのオブジェクトを移入する必要があるとします。
ALTER TABLE 2016_ski_sales
ILM ADD POLICY SET INMEMORY MEMCOMPRESS FOR QUERY
PRIORITY CRITICAL
AFTER 60 DAYS OF CREATION
前述のポリシーでは、2016_ski_sales
表のすべての既存および新規パーティションにポリシーを継承させます。セグメントがポリシーの対象となると、データベースにより、すべてのパーティションが、指定されたINMEMORY
句で個別にマークされます。セグメントにすでにINMEMORY
ポリシーがある場合、データベースでは新しいポリシーは無視されます。
再圧縮ポリシーの目的
アクセス・パターンに基づいてIM列ストア内のデータを圧縮する必要がある場合があります。たとえば、セグメントに対するDMLアクティビティが終了した2日後に、セグメントをDML圧縮から問合せ圧縮に変更する必要があるとします。
ALTER TABLE lineorders
ILM ADD POLICY MODIFY INMEMORY MEMCOMPRESS FOR QUERY HIGH
AFTER 2 DAYS OF NO MODIFICATION
オブジェクトがIM列ストアに移入されていない場合、このポリシーでは、圧縮属性のみが変更されます。オブジェクトがIM列ストアに移入されている場合は、ADOにより、新しい圧縮レベルを使用してオブジェクトが再移入されます。セグメントにまだINMEMORY
属性がない場合、データベースでは、ポリシーは無視されます。
NO INMEMORYポリシーの目的
IM列ストア内の領域を最適化するために、NO INMEMORY
ポリシーを使用して非アクティブなセグメントを除去できます。このポリシーは、不定期の問合せによる非アクティブなセグメントの移入を防止するためにも役立ちます。たとえば、特定のsalesパーティションに関するレポートが年内に頻繁に実行されるが、通常は毎週ではない場合に、このパーティションを、アクセスがなくなってから1週間後に除去する必要があるとします。
ALTER TABLE sales MODIFY PARTITION sales_2015_q1
ILM ADD POLICY NO INMEMORY AFTER 7 DAYS OF NO ACCESS;
1998年用のsales表に問い合せることがほとんどない場合に、アクセスがなくなった翌日に除去する必要があるとします。
ALTER TABLE sales_1998
ILM ADD POLICY NO INMEMORY AFTER 1 DAYS OF NO ACCESS;
除去されたセグメントの問合せがブロックされることはありません。データベースでは、常に、従来のバッファ・キャッシュ・メカニズムを使用してデータにアクセスできます。
6.1.3 ADOはどのように列データと連携するか
ADOの視点からは、IM列ストアは別の記憶域層となります。
6.1.3.1 ヒート・マップはどのように機能するか
有効になっている場合は、ヒート・マップにより、自動的にデータ・アクセス・パターンが検出されます。ADOでは、ヒート・マップ・データを使用して、ユーザーが定義したポリシーがデータベース・レベルで実装されます。
ヒート・マップでは、自動的に、行レベルおよびセグメント・レベルで使用情報が追跡されます。行レベルでは、ヒート・マップにより、データ変更回数が追跡されてから、これらの回数がブロック・レベルに集計されます。セグメント・レベルでは、ヒート・マップにより、変更、表の全体スキャンおよび索引参照の回数が追跡されます。
IM列ストアが有効になっている場合は、ヒート・マップにより、列データに対するアクセス・パターンが追跡されます。たとえば、sales
表がホットであるのに対し、locations
表がコールドだとします。ADOアルゴリズムは、行ベースのデータに対してと同じ方法で列データに対して機能します。
データベースでは、定期的にヒート・マップ・データがデータ・ディクショナリに書き込まれます。データベースにより、ヒート・マップ・データがデータ・ディクショナリ・ビューで公開されます。たとえば、インメモリー・オブジェクトに対する読取り回数と書込み回数を取得するには、ALL_HEAT_MAP_SEGMENT
ビューを問い合せます。
関連項目:
-
ヒート・マップについてさらに学習するには、『Oracle Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド』を参照
-
ALL_HEAT_MAP_SEGMENT
ビューについて学習するには、『Oracle Databaseリファレンス』を参照
6.1.3.2 ポリシー評価はどのように機能するか
IM列ストア・ポリシーのポリシー評価では、他のADOポリシーの評価と同じインフラストラクチャが使用されます。データベースでは、メンテナンス・ウィンドウの間に自動的にポリシーが評価および実行されます。
データベースでは、データ・ディクショナリに格納されているヒート・マップ統計を使用してポリシーが評価されます。INMEMORY
属性の設定は、大部分はメタデータ操作となります。そのため、パフォーマンスへの影響は最小限となります。
ADOでは、ジョブ・スケジューラを使用して移入が実行されます。インメモリー・コーディネータ・プロセス(IMCO)により、移入が実行されます。
関連トピック
6.1.4 ADOとIM列ストアの制御
HEAT_MAP
初期化パラメータを使用してヒート・マップを有効にします。SQLおよびPL/SQLインタフェースを使用してADOを制御します。
DDL文のILM句
インメモリー・ポリシーの作成には新しいSQL文は必要ありませんが、ILM句には新しいオプションがあります。次の表では、ADOとIM列ストアのためのSQLオプションを説明します。
ノート:
INMEMORY
属性は、ハイブリッド・パーティション表の内部パーティションにのみ適用されます。
表6-1 ADOとIM列ストアのためのILM句
句 | 説明 | 例 |
---|---|---|
SET INMEMORY |
オブジェクトに対してINMEMORY 属性を設定します。
|
|
MODIFY INMEMORY |
オブジェクトに対する圧縮レベルを変更します。 |
|
NO INMEMORY |
オブジェクトに対してNO INMEMORY 属性を設定します。
|
|
関連項目:
CREATE TABLE
のilm_policy_clauseについてさらに学習するには、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照
初期化パラメータ
次の表では、ADOとIM列ストアに関連する初期化パラメータを説明します。
表6-2 ADOとIM列ストアのための初期化パラメータ
初期化パラメータ | 説明 |
---|---|
COMPATIBLE |
互換性を維持する必要があるデータベースのリリースを指定します。ADOでIM列ストアを管理する場合は、このパラメータを12.2.0 以上に設定します。
|
HEAT_MAP |
ヒート・マップ機能とADO機能を両方とも有効にします。ADOでIM列ストアを管理する場合は、このパラメータをON に設定します。
|
INMEMORY_SIZE |
IM列ストアを有効にします。このパラメータは、ゼロ以外の値に設定する必要があります。 |
PL/SQLパッケージ
次の表では、ADOとIM列ストアに関連するPL/SQLパッケージを説明します。
表6-3 ADOとIM列ストアのためのPL/SQLパッケージ
パッケージ | 説明 |
---|---|
DBMS_HEAT_MAP |
表領域、セグメント、オブジェクト、エクステントおよびブロック・レベルでの詳細なヒート・マップ・データを表示します。 |
DBMS_ILM |
ADOポリシーを使用してILM計画を実装します。 |
DBMS_ILM_ADMIN |
ADOポリシーの実行をカスタマイズします。 |
関連項目:
DBMS_HEAT_MAP
パッケージ、DBMS_ILM
パッケージおよびDBMS_ILM_ADMIN
パッケージについてさらに学習するには、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照
V$およびデータ・ディクショナリ・ビュー
次の表では、ADOとIM列ストアに関連するビューを説明します。
表6-4 ADOとIM列ストアのためのビュー
ビュー | 説明 |
---|---|
DBA_HEAT_MAP_SEG_HISTOGRAM |
ユーザーが参照できるすべてのセグメントのセグメント・アクセス情報を表示します。 |
DBA_HEAT_MAP_SEGMENT |
ユーザーが参照できるすべてのセグメントの最新のセグメント・アクセス時刻を表示します。 |
DBA_HEATMAP_TOP_OBJECTS |
デフォルトでは、オブジェクトの上位10000個についてヒート・マップ情報を示します。 |
DBA_HEATMAP_TOP_TABLESPACES |
上位10000個の表領域についてヒート・マップ情報を示します。 |
DBA_ILMDATAMOVEMENTPOLICIES |
データベース内のADOポリシーのデータ移動関連属性固有の情報を表示します。action_type 列では、IM列ストアに関連するポリシーを説明します。使用可能な値は、COMPRESSION 、STORAGE 、EVICT およびANNOTATE です。
|
V$HEAT_MAP_SEGMENT |
リアルタイムのセグメント・アクセス情報を表示します。 |
関連項目:
ビューについてさらに学習するには、『Oracle Databaseリファレンス』を参照
6.1.5 IM列ストアのためのADOポリシーの作成
ADOポリシーを使用することで、ヒート・マップ統計に基づいた、オブジェクトに対するINMEMORY
句の設定、変更または削除が可能です。
ALTER TABLE
文でILM ADD POLICY
句を指定し、その後に、次のいずれかの副句を指定します。
-
SET INMEMORY ... SEGMENT
このオプションは、DMLアクティビティがおさまっているときのみセグメントを
INMEMORY
属性でマークする必要がある場合に役立ちます。 -
MODIFY INMEMORY ... MEMCOMPRESS ... SEGMENT
圧縮されていないデータまたは
MEMCOMPRESS FOR DML
レベルでのデータの格納は、それが頻繁に変更されるときに適しています。別の圧縮レベルは、問合せに適しています。セグメントに対するアクティビティの大部分が書込みから読取りに推移した場合は、MODIFY
句を使用して異なる圧縮方法を適用できます。 -
NO INMEMORY ... SEGMENT
このオプションは、セグメントへのアクセスが時間とともに減少する(コールドになる)場合や、ランダム・アクセスの結果としてこのセグメントの移入を防ぐために役立ちます。
前提条件
ADO IM列ストア・ポリシーを使用する前に、次の前提条件を満たしている必要があります。
-
INMEMORY_SIZE
初期化パラメータにゼロ以外の値を設定し、データベースを再起動することにより、データベースのIM列ストアを有効化します。 -
HEAT_MAP
初期化パラメータをON
に設定する必要があります。ヒート・マップは、セグメント・レベルのデータ・アクセス・トラッキングおよびセグメントおよび行レベルのデータ変更トラッキングを提供します。
-
COMPATIBLE
初期化パラメータは12.2.0
以上に設定されている必要があります。
ADOポリシーを作成するには:
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、必要な権限を持つユーザーとしてデータベースにログインします。
-
ALTER TABLE
文をILM ADD POLICY ... INMEMORY
句とともに使用します。
例6-1 除去ポリシーの作成
この例では、3日間アクセスされなかったoe.order_items
表がIM列ストアから除去されるよう指定するポリシーを作成します。ADO IM列ストア・ポリシーは、セグメント・レベルのポリシーである必要があります。
ALTER TABLE oe.order_items ILM ADD POLICY
NO INMEMORY SEGMENT
AFTER 3 DAYS OF NO ACCESS;
例6-2 DBMS_ILMの使用によるILMポリシーの実行
ポリシーを手動で評価および実行することもできます。したがって、オブジェクトを圧縮および階層化する必要がある時期をプログラムで決定できます。次の例では、sh.sales
のためのADOタスクを手動で実行します。
DECLARE
v_executonid NUMBER;
BEGIN
DBMS_ILM.EXECUTE_ILM ( owner => 'SH',
object_name => 'SALES',
execution_mode => DBMS_ILM.ILM_EXECUTION_OFFLINE,
task_id => v_executionid);
END;
/
関連項目:
-
CREATE TABLE
の構文およびセマンティクスについては、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照 -
DBMS_ILM
パッケージについてさらに学習するには、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照
6.2 自動インメモリーの構成
自動インメモリーは、アクセス・トラッキングと列統計を使用して、IM列ストア内のオブジェクトを管理します。
IM列ストアがいっぱいで、より頻繁にアクセスされる他のセグメントがIM列ストア内の移入による利益を得られる場合、IM列ストアは非アクティブなセグメントを除去します。ただし、IM列ストアがすべてのINMEMORY
セグメントを保持するように構成されている場合、自動インメモリーは何も行いません。
ノート:
INMEMORY_FORCE
初期化パラメータにBASE_LEVEL
が設定されている場合は、INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
が設定されていても自動インメモリーは無効になります。表の圧縮レベルがAUTO
の場合でも、自動インメモリー・バックグラウンド操作は実行されません。
この章のトピックは、次のとおりです:
6.2.1 自動インメモリーの目的
作業データ・セットが常に移入されるように、自動インメモリーは自動的にコールド(アクセス頻度の低い)セグメントを除去します。
IM列ストアは、それが削除または移動された場合、INMEMORY
オプションが削除された場合、またはIM ADOポリシーが適用された場合にのみ、移入されたセグメントを削除します。メモリー不足は、INMEMORY
データ・セットのサイズがIM列ストアの使用可能メモリーを超過し、移入された一部のセグメントが非アクティブになったときに発生します。最適パフォーマンスを得るために、IM列ストアは、最も頻繁に問合せされるセグメント(作業データ・セットとも呼ばれます)を含む必要があります。
通常、作業データ・セットは多くのアプリケーションで時間とともに変化します。したがって、最適化には、定期的な監視とDBAによる手動介入が必要です。これにより、IMストア要素を除去したり、ADO IMポリシーを作成できます。どちらのタスクでもワークロードをよく理解する必要があります。
コールド・セグメントを自動的に除去することで、自動インメモリーには次の利点があります。
-
パフォーマンスの向上
コールド・セグメントの除去によりメモリー不足を緩和することで、自動インメモリーでは作業データ・セットがIM列ストア内に存在しているという理由でワークロードのパフォーマンスが向上します。
-
管理が容易
コールド・セグメントの除去によりメモリー不足を緩和するためのIM列ストアの管理には、かなりのユーザー介入が必要です。自動インメモリーが、ユーザーの介入を最小限に抑えてこれらの問題に対処します。
6.2.2 自動インメモリーはどのように機能するか
データ除去の単位は、INMEMORY
セグメントです。
INMEMORY
セグメントは、優先度がNONE
の場合にのみ除去の対象となります。基本的なプロセスは次のとおりです。
-
移入ジョブが失敗します。これは、IM列ストアの領域がすべて使用されたことを意味します。
-
データベースは、対象となる移入されたセグメントの内部統計を使用して、除去するオブジェクトのセットを定義します。統計はヒート・マップで使用されるものと似ていますが、ヒート・マップを有効にする必要はありません。
-
セット内の各セグメントについて、データベースはセグメントに対してADOポリシーが有効かどうかをチェックします。
-
有効なポリシーでセグメントが移入されたままになっている必要がある場合、ADOポリシーは自動インメモリーをオーバーライドします。データベースは何も行いません。
-
どのポリシーも除去を妨げていない場合、自動インメモリーはセグメントを除去するタスクを送信します。
-
-
Wnnnプロセスは、前述のチェックを通過するセグメントをすべて除去し、IM列ストア内の領域を解放します。
INMEMORY
属性は、除去されたセグメントに保持されます。
たとえば、夜間のバッチ・ジョブがsales
パーティション(優先度NONE
)をロードした後、移入をトリガーするパーティションに問い合せます。IM列ストアはほぼ最大容量になっているため、パーティションの行の半分のみが移入されます。新しいパーティションを完全に移入できないと、自動インメモリーがトリガーされ、コールド・セグメントが除去されます。新しいパーティションに対する後続のオンデマンド移入ジョブによって、新しいsales
パーティションが完全に移入されます。
関連項目:
6.2.3 自動インメモリーのユーザー・インタフェース
初期化パラメータINMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
を使用して、自動インメモリーを有効または無効にします。
初期化パラメータ
システム・レベルの初期化パラメータINMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
は、次の値を指定できます。
-
OFF
(デフォルト)このオプションは、自動インメモリーを無効にし、IM列ストアをOracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)の動作に戻します。
-
LOW
メモリー不足の場合、データベースはIM列ストアからコールド・セグメントを除去します。
-
MEDIUM
このレベルには、メモリー不足のために移入されなかったホット・セグメントが最初に投入されることを保証する追加の最適化が含まれます。
ノート:
自動インメモリーでは、HEAT_MAP
初期化パラメータを有効にする必要はありません。
IM列ストアに収まるように作業データ・セットに十分なメモリーをプロビジョニングすることをお薦めします。追加の自動インメモリー共有プール要件のサイズを設定するための経験則として、SGAメモリーのINMEMORY
セグメントの数に5KBを掛けます。たとえば、10,000個のセグメントにINMEMORY
属性がある場合は、自動インメモリー用に50MBの共有プールを確保します。
関連項目:
INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
についてさらに学習するには、Oracle Databaseリファレンスを参照
DBMS_INMEMORY_ADMIN
DBMS_INMEMORY_ADMIN
パッケージを使用して、自動インメモリーが統計を考慮する時間枠を制御します。たとえば、自動インメモリーが過去1か月または過去1週間のみを考慮するように指定できます。
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
プロシージャを使用して、AIM_STATWINDOW_DAYS
定数を設定します。たとえば、スライディング統計ウィンドウを7日間に設定するには、次のプログラムを実行します。
EXEC DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER ( DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_STATWINDOW_DAYS, 7 );
AIM_STATWINDOW_DAYS
のデフォルト値は31
日です。
対応するDBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER
プロシージャは、AIM_STATWINDOW_DAYS
の現在の設定を取得します。
関連項目:
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
およびDBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER
についてさらに学習するには、Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンスを参照
V$ VIEWS
V$IM_ADOTASKS
およびDBA_INMEMORY_AIMTASKS
ビューは、自動インメモリー・タスクによる決定を追跡できます。V$IM_ADOTASKDETAILS
およびDBA_INMEMORY_AIMTASKDETAILS
ビューには、タスクに関連する詳細が記述されています。
関連項目:
V$IM_ADOTASKS
についてさらに学習するには、Oracle Databaseリファレンスを参照
6.2.4 自動インメモリーの制御
INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
初期化パラメータを使用して、自動インメモリーを制御します。
デフォルトでは、自動インメモリーはOFF
に設定されています。INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
をMEDIUM
またはLOW
のいずれかに設定して有効にします。
前提条件
このパラメータをALTER SYSTEM
で設定するには、ALTER SYSTEM
権限を持っている必要があります。
INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
設定を変更するには、次のようにします。
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、必要な権限を持つユーザーとしてデータベースにログインします。
-
ALTER SYSTEM
文を使用してINMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
を指定します。次の例では、自動インメモリーを無効にします。
ALTER SYSTEM SET
INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
= 'OFF' SCOPE=BOTH;
関連項目:
INMEMORY_AUTOMATIC_LEVEL
についてさらに学習するには、Oracle Databaseリファレンスを参照
6.2.5 自動インメモリーの時間間隔の設定
DBMS_INMEMORY_ADMIN
パッケージを使用して、使用状況統計が自動インメモリーによってチェックされる時間間隔を設定します。
デフォルトでは、自動インメモリーは過去31日間の使用状況統計をチェックします。DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
にAIM_STATWINDOW_DAYS
パラメータを指定して、現在の設定を変更できます。
前提条件
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
およびDBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER
プロシージャを実行するには、管理者権限が必要です。
前提
間隔を7日間に設定するとします。
自動インメモリー間隔の設定を変更するには、次のようにします。
-
SQL*PlusまたはSQL Developerで、管理者権限を持つユーザーとしてデータベースにログインします。
-
必要に応じて、
aim_statwindow_days
パラメータの現在の設定を確認します。次の例では、
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER
プロシージャをコールします。VARIABLE b_interval NUMBER BEGIN DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER( DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_STATWINDOW_DAYS, :b_interval); END; / PRINT b_interval B_INTERVAL ----------------------------- 31
-
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
プロシージャを使用してaim_statwindow_days
設定を変更します。次のコードは、設定を7日間に変更します。
BEGIN DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER( DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_STATWINDOW_DAYS, 7); END; /
関連項目:
DBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_SET_PARAMETER
およびDBMS_INMEMORY_ADMIN.AIM_GET_PARAMETER
プロシージャについてさらに学習するには、Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンスを参照