Db2 z/OSへのExtractコンポーネントのインストール

Oracle GoldenGateのDb2 z/OS Extractでは、SQLオブジェクトを使用してDb2ログにアクセスして読み取ります。Oracle GoldenGate Db2 z/OSオブジェクトには、最小ハードウェア・プラットフォームとしてz10、最小オペレーティング・システム・リリースとして1.13、最小Db2リリースとして11が必要です。コンポーネントは、実行可能ロード・モジュール、SQLストアド・プロシージャおよびファンクション、およびストアド・プロシージャを介してコールされる外部プログラムで構成されます。これらのコンポーネントは次のとおりです。
  1. 外部プログラム(認可)には、次のプログラムが含まれます:

    1. oggib001 – 初期化およびユーティリティ・プログラム

    2. oggrb001 – ログ読取りプログラム機能

    3. oggmt001 – ECSAおよび64ビット・メモリーを監視するスタンドアロン・プログラム

    4. oggjt001oggib001プログラムから実行されるoggmt001起動JCLのセットアップ・プログラム
    5. oggfr001 – DBAがOracle Supportのガイダンスで使用するユーティリティ

  2. SQLストアド・プロシージャおよびファンクションには、OGGINITBおよびOGGREADB SQLを含むdemo_db2_setupb_os390.SQLが含まれます。

  3. JCLプロシージャoggtask.jcl

ノート:

これらの外部名、SQLおよびJCL名はデフォルト名であり、編集および更新できます。このプロセスについては、後続の項で説明します。

Db2 z/OS Extractのレプリケーション・プロセスは、Db2 z/OS Extractとそのメインフレーム・コンポーネントのレプリケーション・プロセスを示しています。

図3-1 Db2 z/OS Extractのレプリケーション・プロセス


Db2 z/OS Extractのレプリケーション・プロセス

次の図に示す数字1から9を使用して、プロセスが開始および実行されます。
  1. Extractは、インストール時に作成されたパラメータ・ファイルから、JCLパラメータを含むパラメータを読み取ります。

  2. Extractは起動情報をレポートし、証跡ファイルの書込みを準備します。

  3. ODBCは、Db2データベースから情報を収集し、レプリケーションを開始するために使用されます。

  4. OGGINITB SQLストアド・プロシージャは、共有メモリーの準備、およびレプリケーションに必要なその他のデータの収集を開始します。

  5. SQLストアド・プロシージャによってコールされるOGGIB001外部プログラムは、OGGJT001ジョブ設定プログラムを使用してメモリー・モニター・タスクを開始します。

  6. OGGMT001メモリー・モニター・タスクは、ECSAおよび64ビットの共有メモリーの監視を開始します。

  7. OGGREADB SQLファンクションは、外部プログラムOGGRB001をコールします。

  8. OGGRB001外部プログラムは、Db2ログ読取りプログラムを繰り返しコールして、1から多数のログ・レコード・バッファをExtractに返す結果セットを作成します。

  9. ログ・レコードの結果セットが完了すると、OGGRB001は結果セットをExtractに送信した後に終了します。

Extractは、停止または異常終了するまでステップ7から9を繰り返します。メモリー・タスクの起動に失敗すると、OGGI001プログラムがJCLエラーまたは設定の問題があったことを示すフラグを返し、Extractは独自のメモリーを管理します。メモリー・タスクが正常に開始すると、メモリー・タスクは48バイトのECSA共有メモリー内の絶えず変更するフィールドをテストします。Extractがなんらかの理由で終了すると、これらのフィールドは変更されなくなります。その時点で、メモリー・マネージャは、Extractまたはネットワークが遅い場合は待機し、メモリーを解放してから、構成された時間制限の後に停止します。

Oracle GoldenGate for Db2 z/OSのExtractに必要なコンポーネントをインストールするには:
  1. ライブラリ(PDSE)がDb2 z/OSシステムに存在し、このライブラリが承認されたライブラリ・リストに含まれていることを確認します。このライブラリはOracle GoldenGateの外部プログラム・オブジェクトが配置される場所です。
  2. APF承認のWLM環境が存在し、前述のステップのPDSEを参照していることを確認します。WLM環境のNUMTCBの値は、ストアド・プロシージャの場合、10から40にすることをお薦めします。NUMTCB値は、データベースに対して同時に実行されているExtractの最大数およびそれぞれが必要なスループットに依存します。NUMTCBの選択に柔軟性を持たせたい場合、WLMの起動JCLで指定します(ただし、作成パネルでは指定しないでください)。
  3. WLMアプリケーション環境およびストアド・プロシージャの作成のためのセキュリティを設定するには、次の手順を実行します。
    1. (オプション)ストアド・プロシージャを実行できるWLM確立アドレス空間を指定します。このステップを実行しないと、どのWLM確立アドレス空間でもストアド・プロシージャを実行できます。
    2. 特定のWLMアドレス空間にプロシージャを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。
    3. 特定のスキーマにプロシージャを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。該当するスキーマのためにCREATINオプションでGRANT文を使用します。
    4. 特定のコレクションにプロシージャのパッケージを作成するために、ユーザーへアクセス権を付与します。該当するコレクションのためにCREATEオプションでGRANT文を使用します。 
    5. アクセス権を付与してWLM環境を該当するユーザーに対してリフレッシュします。
    6. 適切なユーザーにRACF権限を追加し、WLMプロシージャがメモリー・マネージャ・ジョブを開始できるようにします。
  4. WLM起動JCLプロシージャの実行に使用するIDにRRSAFを使用する権限があることを確認します。Db2 WLMアドレス空間の1つが起動されるたびに、RRSAFを使用してDb2に接続します。Db2 11 for z/OSインストレーションおよび移行のガイドを参照してください
  5. Oracle GoldenGate for Db2 z/OSのLinuxまたはUNIXインストールには、zOSPrograms.zipというZIPファイルがあります。zOSPrograms.zipを解凍してzOSPrograms.tarにし、zOSPrograms.tarをバイナリ・モードでDb2 z/OSシステムのHFSディレクトリにコピーします。
  6. Db2 z/OSシステムでUSSまたはOMVSを使用して、ディレクトリをzOSPrograms.tarを含むディレクトリに変更します。
  7. tar -xovf zOSPrograms.tarコマンドを使用して、オブジェクトをリストアします。

    ノート:

    このコマンドでは、コピー先は、二重引用符、スラッシュ、一重引用符、承認されたPDSE名、一重引用符、二重引用符で示されています。-Xは大文字のXで、小文字のxではありません

  8. オブジェクトを承認されたPDSEにコピーします。cp –X ogg[irmj][abt][0-9]* "//'authorized_PDSE_name'"を使用します(ここでauthorized_PDSE_nameは、Oracle GoldenGateオブジェクト用のAPF承認PDSEの名前です)。このコマンドを使用して、デフォルト名のオブジェクトをインストールします。
  9. 異なる名前でスクリプトをインストールすると、システム・プロトコルに準拠したり、複数のバージョンのOracle GoldenGateを実行したりできます。異なる名前のスクリプトをインストールするには、PDSEにコピーする前に、プログラムの名前を変更するシェル・スクリプトを作成することをお薦めします。シェル・スクリプトの例は、次のコード・スニペットに示されています。
    #!/bin/bash
    # Copy new programs renaming them to version 21.12 names.
    cp oggib001 oggi2112
    cp oggrb001 oggr2112
    cp oggmt001 oggm2112
    cp oggjt001 oggj2112
    cp -X oggi2112 “//’SYS4.WLMDSNA.AUTHLOAD’”
    cp -X oggr2112 “//’SYS4.WLMDSNA.AUTHLOAD’”
    cp -X oggm2112 “//’SYS4.WLMDSNA.AUTHLOAD’”
    cp -X oggj2112 “//’SYS4.WLMDSNA.AUTHLOAD’”
    

    スクリプトは、chmod +xコマンドを使用して実行できます。このスクリプトは、新しいバージョンにコピーして再利用できます。

  10. Oracle GoldenGateがExtractオブジェクトをコールできるように、選択したSQLツールを使用してSQLプロシージャを作成する必要があります。Oracle GoldenGateストアド・プロシージャは、レプリケーションのために使用するユーザーのみに権限を付与する必要があります。

    Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内のSQLスクリプトの例には、Db2 z/OSインスタンスにストアド・プロシージャを設定するSQL文が含まれています。demo_db2_setupb_os390.sqlスクリプトはDb2 v11.1以降用です。Db2 z/OSインスタンスに接続できる任意のプラットフォームで任意のSQLツールを使用して実行できます。このスクリプトは、Extractで使用するDb2インスタンス上で実行する必要があります。リモート・インストール・ディレクトリに提供されるスクリプトはASCII形式です。同じスクリプトが、EBCDICで、Db2 z/OSシステムにあるzOSPrograms.tarからリストアされます。これは、SPUFIなどのネイティブDb2 z/OSツールを介して使用する場合に適しています。

    スクリプトを実行する前に、次の行を編集します。

    • WLM ENVIRONMENT行を変更して、Oracle GoldenGateに使用するWLM環境の正しい名前を使用します。

ノート:

oggifi0001スキーマ名はTRANLOGOPTIONS REMOTESCHEMA schemanameパラメータを使用して構成できます。プロシージャ名は構成できません。スクリプトとPDSEの各外部名は、スクリプト名とPDSEオブジェクト名が一致しているかぎり、名前を変更できます。これらの名前の変更は、新しいバージョンに移行できるプロシージャの一部であるか、Db2 z/OSで特定のネーミング・プロシージャに従う必要がある場合のプロシージャの一部です。次の表に、編集または更新する可能性のあるコンポーネントのチェック・リストを示します。

表3-3 編集可能なコンポーネントのリスト

コンポーネント 入手元 名前変更 説明

oggib001

Tarファイル

 

承認済PDSE

oggrb001

Tarファイル

 

承認済PDSE

oggmt001

Tarファイル

 

承認済PDSEおよびprocライブラリ

oggjt001

Tarファイル

 

承認済PDSEおよびExtractパラメータ

oggpr001

Tarファイル

 

プロシージャ・ライブラリおよびExtractパラメータ

proclib

MVS  

必要に応じてExtractパラメータを追加します

ステップ・ライブラリ

MVS

 

WLMおよびoggpr001プロシージャ・ライブラリ

remoteschema

   

demo_db2_setupb_os390.sqlおよびExtractパラメータ

WLM名

MVS

 

demo_db2_setupb_os390.sql

外部プログラム

   

demo_db2_setupb_os390.sql

ノート:

新しいパッチをインストールするたびに、これらのステップをすべて実行してください。