3 OSWatcher Black Boxの使用

Oracle OSWatcher Black Box (OSWbb)は、パフォーマンス問題の診断に使用できるOSおよびネットワークのメトリックを収集してアーカイブします。OSWbbは、サーバー上でバックグラウンド・プロセスのセットとして動作し、vmstatmpstatnetstatiostattopなどのUNIXユーティリティを起動して、頻繁にデータを収集します。

OSWbbは、Oracle RAC (Real Application Clusters)およびOracle Grid Infrastructure構成では便利です。RAC-DDT (診断データ・ツール)スクリプト・ファイルには、OSWbbが含まれていますが、デフォルトではインストールされません。

OSWbbのインストール

OSWbbをインストールするには:

  1. My Oracle Support (MOS)にサインインします(https://support.oracle.com)。

  2. ドキュメントID 301137.1でリストされたリンク(https://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=301137.1)からOSWatcherをダウンロードします。

  3. OSWbbをインストールするディレクトリにファイルをコピーし、次のコマンドを実行します。

    tar xvf oswbbVERS.tar

    前のコマンドで、VERSは、OSWatcherのバージョン番号です(たとえば、OSWatcher 8.32の場合は832)。

    tarファイルを抽出すると、startOSWbb.shスクリプトなどのOSWbbに関連するすべてのディレクトリおよびファイルが含まれたoswbbというディレクトリが作成されます。

  4. NFSボリュームのiostat情報の収集を有効にするには、oswbbディレクトリにあるOSWatcher.shスクリプトを編集して、次のようにnfs_collectの値を1に設定します。

    nfs_collect=1

OSWbbの実行

OSWbbを起動するには、oswbbディレクトリからstartOSWbb.shスクリプトを実行します。

sudo ./startOSWbb.sh [frequency duration]

オプションの頻度と継続時間の引数では、OSWbbでデータを収集する秒単位の頻度と、OSWbbを実行する時間数を指定します。デフォルト値は、30秒および48時間です。次の例では、データを記録するOSWbbを60秒間隔で起動し、そのデータ記録を12時間継続します。

sudo ./startOSWbb.sh 60 12
...
Testing for discovery of OS Utilities...
VMSTAT found on your system.
IOSTAT found on your system.
MPSTAT found on your system.
IFCONFIG found on your system.
NETSTAT found on your system.
TOP found on your system.

Testing for discovery of OS CPU COUNT
oswbb is looking for the CPU COUNT on your system
CPU COUNT will be used by oswbba to automatically look for cpu problems

CPU COUNT found on your system.
CPU COUNT = 4

Discovery completed.

Starting OSWatcher Black Box v7.3.0  on date and time
With SnapshotInterval = 60
With ArchiveInterval = 12
...
Data is stored in directory: OSWbba_archive

Starting Data Collection...

oswbb heartbeat: date and time
oswbb heartbeat: date and time + 60 seconds
...

前の出力で、OSWbba_archiveは、OSWbbログ・ファイルを含むアーカイブ・ディレクトリのパスです。

OSWbbを途中で停止するには、oswbbディレクトリからstopOSWbb.shスクリプトを実行します。

sudo ./stopOSWbb.sh

OSWbbは、次の表で説明するoswbb/archiveディレクトリの下のディレクトリにデータを収集します。

ディレクトリ 説明

oswifconfig

ifconfigからの出力が含まれます。

oswiostat

iostatからの出力が含まれます。

oswmeminfo

/proc/meminfoの内容のリストが含まれます。

oswmpstat

mpstatからの出力が含まれます。

oswnetstat

netstatからの出力が含まれます。

oswprvtnet

RACのプライベート・ネットワーク・トレースを有効にしている場合、プライベート・ネットワークのステータスに関する情報が含まれます。

oswps

psからの出力が含まれます。

oswslabinfo

/proc/slabinfoの内容のリストが含まれます。

oswtop

topからの出力が含まれます。

oswvmstat

vmstatからの出力が含まれます。

OSWbbは、1時間単位のアーカイブ・ファイルにデータを格納します。このファイルには、system_name_utility_name_timestamp.datという名前が付けられます。ファイルの各エントリの先頭にはタイムスタンプが付けられます。

OSWbbアーカイブ・ファイルの分析

OSWbbアナライザ(OSWbba)を使用して、システムの速度低下、遅延およびその他のパフォーマンスの問題に関する情報を提供できます。OSWbbaを使用して、iostatnetstat、および vmstatユーティリティーから収集されたデータをグラフ化することもできます。OSWbbaの要件として、システムにJavaバージョン1.4.2以降がインストールされている必要があります。

http://www.java.comにアクセスしてLinux用のJava RPMをダウンロードするか、dnfコマンドを使用してJavaをインストールすることができます。

sudo dnf install java-1.8.0-jdk

次のように、oswbbディレクトリからOSWbbaを実行します。

sudo java -jar oswbba.jar -i OSWbba_archive

前のコマンドで、OSWbba_archiveは、OSWbbログ・ファイルを含むアーカイブ・ディレクトリのパスです。

OSWbbaを使用すると、次のタイプのパフォーマンス・グラフを表示できます。

  • プロセスの実行キュー、待機キューおよびブロック・キュー。

  • システム、ユーザーおよびアイドル・モードでの実行に費やしたCPU時間。

  • コンテキストの切替えおよび割込み。

  • 空きメモリーおよび使用可能なスワップ。

  • 1秒ごとの読取り、1秒ごとの書込み、I/Oリクエストに対するサービス時間、および指定したブロック・デバイスに対する帯域幅の使用量の割合。

OSWbbaは、レポート・ファイルに分析を保存するために使用することもできます。このファイルでは、システムの速度低下、実行キューの長さにおけるスパイク、またはメモリー不足の実例がレポートされ、考えられる原因が示され、パフォーマンスの改善方法が提示されます。

sudo java -jar oswbba.jar -i OSWbba_archive -A

OSWbbおよびOSWbbaの詳細は、https://support.oracle.comのMy Oracle Support (MOS)にあるOSWatcher Black Box User Guide(記事ID 301137.1)およびOSWatcher Black Box Analyzer User Guide(記事ID 461053.1)を参照してください。