7 制御グループについて

制御グループ(通常はcgroup)は、リソース割当てのためにプロセス(PID)を階層グループに編成できるようにするOracle Linuxカーネル機能です。たとえば、CPU時間を150:100:50の比率で割り当てる必要がある3セットのプロセスを特定した場合は、3つのcgroupsを作成し、それぞれに比率の3つの値のいずれかに対応するCPUの重みを割り当て、各cgroupに適切なプロセスを割り当てることができます。

デフォルトでは、systemdは次のものに対してcgroupを作成します:

  • ホストに設定された各systemdサービス。

    たとえば、サーバーには、NetworkManagerサービスによって所有されるプロセスをグループ化する制御グループNetworkManager.serviceと、firewalldサービスによって所有されるプロセスをグループ化する制御グループfirewalld.serviceなどがあります。

  • ホストの各ユーザー(UID)。

cgroup機能は/sys/fs/cgroupに仮想ファイル・システムとしてマウントされています。各cgroupには、/sys/fs/cgroupファイル・システム内の対応するフォルダがあります。たとえば、管理するサービスに対してsystemdによって作成されたcgroupは、次のサンプル・コード・ブロックに示すように、コマンドls -l /sys/fs/cgroup/system.slice | grep ".service"を実行して表示できます:

ls -l /sys/fs/cgroup/system.slice | grep ".service"
...root root 0 Mar 22 10:47 atd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 auditd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 chronyd.service
...root root 0 Mar 22 10:47 crond.service
...root root 0 Mar 22 10:47 dbus-broker.service
...root root 0 Mar 22 10:47 dtprobed.service
...root root 0 Mar 22 10:47 firewalld.service
...root root 0 Mar 22 10:47 httpd.service
...

また、/sys/fs/cgroup仮想ファイル・システムに独自のフォルダを作成し、システム・ニーズに応じてプロセスID (PID)を別のcgroupに割り当てることで、独自のcgroupを作成することもできます。ただし、/sys/fs/cgroupcgroupを手動で作成するかわりに、systemdを使用してcgroupを構成することをお薦めします。systemdcgroupを管理するための推奨方法については、「systemdを使用したcgroups v2の管理」を参照してください。

ノート:

systemdを使用して、cgroupを構成します。

推奨構成方法ではsystemdを使用してcgroupを管理しますが、このトピックでは、/sys/fs/cgroupファイル・システムでのcgroupフォルダの手動作成についても説明します。ただし、この対象は主に、systemdがアクセスを提供するカーネルcgroup機能のバックグラウンド知識を提供することです。

Oracle Linuxには、次の2つのタイプの制御グループがあります:

制御グループ・バージョン1 (cgroups v1)

これらのグループは、リソースごとのコントローラ階層を提供します。CPU、メモリー、I/Oなどの各リソースには、独自の制御グループ階層があります。このグループの短所は、異なるプロセス階層に属する可能性のあるグループ間でリソース使用を適切に調整することが困難なことです。

制御グループ・バージョン2 (cgroups v2)

これらのグループは、すべてのリソース・コントローラがマウントされる単一の制御グループ階層を提供します。この階層では、異なるリソース・コントローラ間でのリソース使用をより適切に調整できます。このバージョンは、柔軟性が高すぎてシステム利用者間のリソース利用の適切な調整を妨げていたcgroups v1の改良版です。

どちらのバージョンもOracle Linuxに存在します。ただし、デフォルトでは、cgroups v1機能が有効になっており、Oracle Linux 8システムにマウントされています。

両方のバージョンの制御グループの詳細は、cgroups(7)およびsysfs(5)のマニュアル・ページを参照してください。