6 WebLogic Serverでのアプリケーション開発

WebLogic Serverは、Java Platform, Enterprise Edition (Java EE)バージョン7.0の技術を実装しています。Java EEは、Javaプログラミング言語に基づいた複数層のエンタープライズ・アプリケーションを開発するための標準プラットフォームです。

この章の内容は次のとおりです。

WebLogic ServerとJava EEプラットフォーム

Java EEを使用すると、Javaエンタープライズ・アプリケーションの開発がこれまでになく簡単、また迅速に行えます。Java EEプラットフォームの目的は、開発時間の短縮、アプリケーションの複雑さの低減、アプリケーションのパフォーマンス改善と同時に、開発者に強力なAPIのセットを提供することです。Java EEを構成する技術は、いくつかのソフトウェア・ベンダーによって共同開発されました。Java EE 7アプリケーション開発に関する情報は、Java EE 7チュートリアル(http://docs.oracle.com/javaee/7/tutorial)を参照してください。

Java EEプログラミング・モデルの重要な点は、メタデータ・アノテーションが導入されたことです。アノテーションを使用すると、コンテナ内でのアプリケーション・コンポーネントの動作、依存関係インジェクションのリクエスト方法などをJavaクラス自体の中で指定でき、アプリケーションの開発プロセスを簡略化できます。アノテーションは、エンタープライズ・アプリケーションの以前のバージョン(Java EE 1.4以前)で必要とされたデプロイメント記述子に代わるものです。

その焦点は、開発を容易にすることであり、Java EE 5から始まりJava EE 7でも引き継がれています。記述する必要があるコードが少なくなりました。定型コードの多くは削除され、可能なかぎりデフォルト値が使用され、アノテーションを広範に使用することによって、デプロイメント記述子の必要性が低減されています。

  • EJB 3.2では、プログラミングおよびパッケージ化モデルの変更が簡素化されています。前のバージョンのJavaインタフェースを使用する必要がなくなり、プレーンな従来型Javaオブジェクトに注釈付けし、EJBコンポーネントとして使用できるようになりました。EJBモジュールをWebアプリケーションの内部に直接配置できるようになり、簡素化はさらに進みました。これにより、WebコンポーネントおよびEJBコンポーネントを格納するアーカイブを作成して、それらをEARファイルに結合する必要がなくなりました。

  • Java EE 7では、簡略化されたWebサービスがサポートされるとともに、最新のWebサービスAPIが含まれており、サービス指向アーキテクチャ(SOA)には理想的な実装プラットフォームとなっています。

  • JavaServer Faces (JSF)技術とJSP Standard Tag Library (JSTL)によって、Webアプリケーションが簡単に構築できるようになっています。Java EE 7では、AJAXなど、Web 2.0向けのアプリケーション構築のために豊富なシン・クライアント技術がサポートされています。

WebLogic Server Java EEアプリケーションは、標準化され、モジュール化されたコンポーネントに基づいています。WebLogic Serverでは、これらのモジュール用にあらゆるサービスが用意され、細かなアプリケーションの動作を、プログラミングを必要とせずに自動的に処理します。Java EEでは、モジュールの動作およびパッケージ化が汎用的で移植性の高い方法で定義されているため、モジュールを実際にアプリケーション・サーバーにデプロイするときまでランタイム構成を先送りできます。

Java EEには、Webアプリケーション、EJBモジュール、Webサービス、エンタープライズ・アプリケーション、クライアント・アプリケーション、およびコネクタのデプロイメント仕様が含まれています。Java EEでは、どのようにアプリケーションをターゲット・サーバーにデプロイするかは指定されておらず、標準のモジュールまたはアプリケーションをパッケージ化する方法のみが指定されています。この仕様では、モジュールのタイプごとに必要なファイルとそれらのディレクトリ構造上の格納場所が定義されています。

Javaはプラットフォームに依存しないので、任意のプラットフォームでコードの編集とコンパイルを行い、別のプラットフォームで稼働する開発用WebLogic Serverでアプリケーションをテストできます。たとえば、WebLogic ServerアプリケーションをWindowsまたはLinuxが動作しているPCで開発する場合、そのアプリケーションが最終的にどこにデプロイされるかを考慮する必要はありません。

詳細は、http://www.oracle.com/technetwork/java/javaee/tech/index-jsp-142185.htmlのJava EE仕様を参照してください。

Java EEアプリケーションとモジュールの概要

実行時、Java EEアプリケーションはモジュールの一種です。WebLogic Server Java EEアプリケーションは、WebLogic Server上で動作する次のモジュールまたはアプリケーションのいずれかを含みます。
  • Webアプリケーション・モジュール - HTMLページ、サーブレット、JavaServer Pages、および関連ファイル。Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発Webアプリケーション・モジュールを参照してください。

  • Enterprise JavaBeans (EJB)モジュール - エンティティBean、セッションBean、およびメッセージドリブンBean。Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発Enterprise JavaBeanモジュールを参照してください。

  • コネクタ・モジュール-リソース・アダプタ。Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発コネクタ・モジュールを参照してください。

  • エンタープライズ・アプリケーション - アプリケーションにパッケージ化されたWebアプリケーション・モジュール、EJBモジュール、リソース・アダプタ、およびWebサービス。Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発エンタープライズ・アプリケーションを参照してください。

  • Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発WebLogic Webサービスを参照してください。

WebLogicアプリケーションには、次のWebLogic固有のモジュールを含めることもできます。

WebLogic Serverでのアプリケーション開発のためのロードマップ

WebLogic Serverのドキュメント・セットには、WebLogic Server上のJava EEアプリケーションの開発方法の理解に役立つ、いくつかの入門的なトピック、手順的なトピック、リファレンス的なトピックがサンプルとともに含まれています。

表6-1 WebLogic Serverでのアプリケーション開発のためのロードマップ

主要なタスク サブタスクと追加情報

アプリケーション開発についてもっとよく知る

開発環境の設定

アプリケーションの設計

アプリケーションの構築

開発ツールの使用

本番環境へのアプリケーションの移行

アプリケーション・サンプル

Java EE APIプログラミング・ガイド

JavadocおよびAPIリファレンス

一般的なリファレンス