今日のIT環境は、多数のコンポーネントのセットで構成されています。これらのITコンポーネントのサポートに必要な時間を可能なかぎり短くし、コンポーネントのメンテナンスに関連するヒューマン・エラーを排除する必要があります。Enterprise Manager Grid Controlのジョブ・システムを使用すれば、定型的な管理タスクを自動化し、環境内のコンポーネントを同期化して、コンポーネントをより効率よく管理できます。
次の項では、ジョブ・システムを使用する際に役立つ情報を提供します。
ジョブは、よく実行されるタスクを自動化するために定義する作業のスケジュール可能な単位です。ジョブは、名前、説明、所有者、パラメータ、ターゲット、およびスケジュールによって定義されます。ジョブはステップで構成されています。Enterprise Managerのジョブ・システムは、バックアップ、クローニング、パッチ適用など多くの管理タスクの自動化をサポートし、ユーザーが独自のカスタムOSとSQLスクリプトを使用して独自のジョブを作成できるようにします。ジョブ・システムの利点の1つは、ジョブをスケジュールして、すぐに開始したり、後の日時で開始したりできることです。また、ジョブを1回のみ実行することも、特定の間隔(毎月3回など)で実行することもできます。ジョブの結果は、ターゲットのホームページに表示されます。
マルチタスク・ジョブを使用すれと、1つ以上の個別のタスクで構成される複雑なジョブを作成できます。マルチタスク・ジョブは、同じタイプまたは異なるタイプのターゲットに対して実行できるので、同じタイプまたは異なるタイプの1つ以上のターゲットに対する自動操作を実行できます。
Lindaは、自分の環境に対して様々な管理ジョブを設定し、後のステージで実行するようにスケジュールできます。スケジュールするジョブの1つは、一部のデータベースのバックアップです。これには、リスナーやデータベースの停止などの、他のタスクが関係します。このためには、マルチタスク・ジョブを使用できます。
ジョブは、「ジョブ・アクティビティ」ページ、「ジョブ・ライブラリ」ページ、またはEnterprise Managerの他のページから定義できます。すべてのジョブの稼働と実行は「ジョブ・アクティビティ」ページに表示でき、すべてのライブラリ・ジョブは「ジョブ・ライブラリ」ページに表示できます。
ここでは、データベースのバックアップ・ジョブを定義する方法について説明します。
バックアップ・ジョブを定義するには、次のようにします。
Grid Controlコンソールで「ジョブ」タブをクリックします。
「ジョブの作成」一覧で「マルチタスク」を選択し、「実行」をクリックします。
「一般」ページで、タスクの名前を指定し、「ターゲット」フィールドで「異なるタスクに対して別のターゲット」を選択します。
このマルチタスク・ジョブで作成するタスクごとに、ターゲットのタイプを指定し、個別のターゲットまたはグループを選択できます。選択したグループに異なるタイプのターゲットが含まれている場合、タスクは該当するターゲットに対してのみ実行されます。たとえば、リスナー停止ジョブ・タイプは、グループに他のタイプのターゲットが含まれている場合であっても、リスナー・ターゲットに対してのみ実行されます。
「タスク」サブタブをクリックします。
このページでは、「追加」をクリックして複数のタスクを追加できます。たとえば、データベースをバックアップするジョブを作成するには、次のようにマルチタスク・ジョブを利用できます。
OSコマンド・タイプのタスクを使用して、リスナーを停止するタスクを作成します。ターゲット・タイプとしてはリスナーを指定し、パラメータとして次のコマンドを指定します。
%OracleHome%/bin/lsnrctl stop
データベース停止タイプのタスクを使用して、データベースを停止するためのタスクを作成します。
RMANスクリプト・タイプのタスクを使用して、データベースをバックアップするためのタスクを作成します。「条件」として「成功時」を選択し、「依存先」のタスクとして「データベース停止」を選択することで、このタスクと前に追加したタスクの間の依存関係を設定できます。使用するRMANスクリプトは次のようになります。
backup device type disk tag '%TAG' database include current controlfile;
データベース起動タイプのタスクを使用して、データベースを起動するためのタスクを作成します。
OSコマンド・タイプのタスクを使用して、リスナーを起動するタスクを作成します。ターゲット・タイプとしてはリスナーを指定し、パラメータとして次のコマンドを指定します。
%OracleHome%/bin/lsnrctl start
マルチタスク・ジョブの作成ウィザードの「タスク」ページには、作成したすべてのタスクの一覧が表示されます。
「スケジュール」をクリックして、マルチタスク・ジョブを実行するスケジュールを指定します。
「アクセス」をクリックして、他の管理者がこのジョブにアクセスするのを許可します。
「ライブラリに保存」をクリックして、ジョブをライブラリに保存します。
後でこのジョブを選択して、編集または発行できます。
特定のデータベースに対するバックアップ・ジョブなど、ジョブの実行は、通常、1つのターゲットと関連付けられています。ホストの比較など、複数のターゲットに対して実行するものもあります。RefreshFromMetaLinkジョブなど、実行にはターゲットがないものもあります。多くのターゲットに対してジョブを発行する場合、各ターゲットに対するジョブの各実行のステータスを検査するのは大変なことです。ジョブ・システムを使用すれば、ジョブ実行を表示することで、これらの答えを簡単に得ることができます。ジョブ実行は、スケジュールされた特定の日付に実行したジョブにおけるすべてのジョブ実行の合計です。
作成、編集、類似作成、削除といった標準的なジョブ操作をサポートするだけでなく、ジョブ・システムでは、ジョブの中断と再開や、失敗した実行の再試行も可能です。たとえば、必要なリソースを使用できなかった場合や、ジョブを延期する必要がある場合には、ジョブの中断が必要になる場合があります。ジョブを中断すると、ジョブを再開するまでは、スケジュールされた実行は行われません。失敗した実行を分析するときは、新しいジョブを作成するのではなく、問題の原因を判別した後で失敗した実行を再試行できると便利です。
ジョブを発行すると、すべてのターゲットに対するすべてのジョブ実行のステータスが自動的にロールアップされて、Grid Controlコンソールのホームページや「ジョブ・アクティビティ」ページで確認できるようになります。数百または数千のシステムに対して実行するジョブを検査していて、失敗したジョブの実行を判別する簡単な手段が必要な場合は、この情報が特に重要です。
ここでは、発行したジョブを分析および監視する方法について説明します。
ジョブを監視するには、次のようにします。
Grid Controlコンソールで「ジョブ」タブをクリックします。
「ジョブ・アクティビティ」ページが表示されます。デフォルトでは、アクティブなジョブの一覧が表示されます。ジョブの選択、結果の表示、類似した別のジョブの作成、ライブラリへのコピーなどを行うことができます。ジョブの編集、中断、再開、停止または削除を行うこともできます。ジョブをクリックしてジョブのホームページに移動し、詳細を参照することもできます。
ジョブの一覧を絞り込むには、検索基準を指定して、「実行」をクリックします。
名前または条件を指定してジョブを検索できます。実行または稼働を選択して表示することもできます。所有者、ジョブ・タイプ、ターゲット・タイプなどの拡張検索オプションを指定することもできます。
検査するジョブをクリックします。
「ジョブ実行」ページが開き、様々なターゲットに対する実行の詳細が表示されます。「ジョブ・アクティビティ」ページと同じように、このページからも様々な操作を実行できます。
失敗した実行を選択して「一時停止」をクリックし、実行を検査できるようにします。
失敗した実行をクリックして詳細を表示します。
識別できる問題を処置して、「再試行」をクリックします。
同じようにして、実行しようとしたすべてのターゲットでジョブの実行が成功したことを確認できます。
Oracle by Example(OBE)には、このマニュアルに関するシリーズがあります。
ジョブの作成のOBEでは、注釈付きのスクリーン・ショットを使用してこの章のタスクを説明します。
http://www.oracle.com/technology/obe/obe10gEMR2/Quick_Start/jobs/creating_jobs.htm