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Oracle Enterprise Manager Grid Controlクイック・スタート・ガイド
10gリリース2(10.2)
B31252-01
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8 プロビジョニング

システム管理者は、新しいソフトウェアのインストールと構成に多くの時間を費やしています。Enterprise Manager Grid Controlの自動化されたプロビジョニングおよびクローニング・ツールは、新しいシステムのデプロイにかかる時間と費用を大幅に削減し、最小限のコスト増加でシステムを拡張できます。クローニングを使用すると、完全にパッチを適用したテスト済のOracleホームを複数のホストに伝播し、データベース・インスタンスをクローニングして重要なデータベースのバックアップを作成し、既存のReal Application Clusters(RAC)のOracleホームをクローニングして新しい単一ノードのRACを作成することができます。プロビジョニング・ツールを使用すると、管理者は、事前構成された認証済の基本イメージを中央のソフトウェア・ライブラリに格納し、そこから、完全に構成されたLinuxシステムをベア・メタルにデプロイするか、ゴールド・イメージのデプロイメントを標準化することができます。これらの新しいシステムは、目的のソフトウェア構成でデプロイできます。プロビジョニング・アプリケーションは、企業内のマシンに対するイメージのプロビジョニングを容易にします。ユーザー・インタフェース、ビジネス・ロジックおよびプロビジョニング・リポジトリを提供し、サーバー・ファームやデータ・センターなどのコンピュータ・グリッド内の任意のハードウェア・サーバーにオペレーティング(OS)、Oracleソフトウェア、他のサード・パーティ・ソフトウェアをインストールするプロセスを自動化するのに役立ちます。ハードウェア・サーバーは、非常に限られたバージョンのオペレーティング・システム、Oracleソフトウェアおよびその他のサード・パーティ・ソフトウェアを含む、事前にパッケージおよび構成されたバンドルの管理セットを使用してプロビジョニングされます。

この章では、プロビジョニングに関する次の内容について説明します。

8.1 パッチ適用

最新で最もセキュアなIT環境を保持するために手動でソフトウェア・パッチを適用すると、1日がかりの仕事になります。Enterprise Manager Grid Controlのデプロイメント管理ツールを使用すると、企業のコンポーネントに使用できるパッチを素早く探し、適用されていないものや重要なものを判別して、数クリックでコンポーネントを最新のパッチ・レベルにすることができます。

充実したパッチ適用アプリケーションは、エンドツーエンドのパッチ適用ソリューションを提供し、広範な製品パッチと顧客環境に対してシームレスに動作します。パッチ適用アプリケーションは、ClusterwareとRACおよびOracle Application ServerとOracle Collaboration Suiteを含むOracleデータベースに対するパッチのデプロイメントを自動化します。

Oracle MetaLinkパッチ・リポジトリに対する直接リンクを使用して、クリティカル・パッチ機能は、ユーザーの特定のシステムで稼働しているOracleソフトウェアに対してリリースされているクリティカルなパッチを識別し、ユーザーの環境に該当するパッチのみを管理者に通知します。パッチが識別されると、Grid Controlはそれをダウンロードして複数のターゲットに自動的にデプロイできます。

Oracle MetaLink Webサイトからパッチをダウンロードすることもできます。

http://metalink.oracle.com

8.1.1 シナリオ: パッチ適用

Lindaは、Oracleホームを実行しているホスト・サーバーから環境内の新しいターゲット・サーバーに対するイメージを作成する必要があります。イメージを作成する前に、ホスト・サーバー上の稼働中のデータベースにパッチを適用して目的のレベルにします。

8.1.2 パッチの適用

Enterprise Managerを使用すると、Oracleのパッチおよびパッチ・セットのステージングおよび適用が簡単になります。パッチの適用は、Oracleホームにステージングされたパッチをホストにインストールする処理です。Enterprise Managerを使用すると、Oracle管理エージェントが稼働している任意のホストにパッチをステージングして適用できます。Enterprise Managerは、Oracle MetaLink Webサイトからダウンロードしてホスト上のディレクトリにコピーすることで、Oracleパッチをステージングします。

また、Enterprise Managerを使用すると、すでにステージングされているパッチからパッチを適用することもできます。さらに、パッチ適用操作のカスタマイズも支援し、実行するパッチ適用前スクリプトまたはパッチ適用後スクリプトを指定できるようにします。

Oracleホームに必要なパッチを選択して適用する方法について説明します。

パッチを適用するには、次のようにします。

  1. 「デプロイ」をクリックします。

    Oracleホームに適用できるクリティカル・パッチ・アドバイザの数を示している上部のリンクに注目します。

  2. 「クリティカル・パッチ・アドバイザ」リンクをクリックします。

    「クリティカル・パッチ・アドバイザ」ページが表示されます。アドバイザ、影響を受けるホームおよびOracleホームに適用できるパッチの一覧があります。

    「Oracleホーム用クリティカル・パッチ・アドバイザ」ページ
  3. 「影響を受けるホーム」サブタブをクリックして、デフォルト・イメージを作成しようとしているOracleホームが影響を受けるかどうかを確認します。

  4. ホストを選択して「処置の表示」をクリックします。

    選択したホームに対するアドバイザと処置が表示され、ホームに適用する必要のあるパッチが示されます。

  5. ホーム上のデータベースに適用可能なパッチがあるかどうかを確認するには、データベース・インスタンスのホームページに移動します。

  6. 「メンテナンス」をクリックし、次に「パッチの適用」をクリックします。

    パッチ・ウィザードが表示され、適用できるパッチの一覧が示されます。

  7. 適用するパッチを選択します。

    適切なパッチを選択しているかどうかをチェックするには、このページの関連ボタンをクリックして詳細または関連するReadmeを参照します。

  8. パッチを適用する対象ターゲットを指定します。

  9. 選択したターゲットの資格証明を指定します。

    パッチ・ウィザードは、この資格証明を使用してOracleホームまたは選択したホストのステージング・ディレクトリにパッチをステージングします。

  10. パッチのステージングのみ行うのか、ステージングと適用の両方を行うのかを指定します。

  11. パッチ適用ジョブをすぐに実行するのか、後で実行するのかを指定します。

    後で実行する場合は、日付、時間、タイムゾーンなどの詳細を指定します。

  12. 指定内容を確認して「終了」をクリックしてパッチ適用ジョブを発行します。

このようにして、データベースにパッチを適用し、デフォルト・イメージに組み込める状態にすることができます。

8.2 クローニング

Enterprise Manager Grid Controlが提供する強力なクローニング・ツールは、企業のデプロイメント管理を簡単にします。クローニングは、時間を節約し、コストのかかる構成とデプロイの支出を削減し、ITインフラストラクチャ・コンポーネントに対する信頼性を高めます。

8.2.1 シナリオ: クローニング

Lindaは、Oracleクラスタ・ホームをクローニングし、これを拡張して新しいクローン・ホームに含めます。

8.2.2 拡張するためのOracleクラスタ・ホームのクローニング

ほとんどのOracle製品のインストール済Oracleホームは、そのままの状態でクローニングすることができ、クローニング操作を実行するためにサポート・ファイルを追加する必要はありません。ただし、Database 9.2.0.nホームまたはApplication Server 9.0.4.nホームをクローニングする場合は、クローニング操作を開始する前に、プラットフォーム固有の適切なクローニング・サポート・ファイルで、Grid Controlにパッチを適用する必要があります。Grid Controlのパッケージには、これらの製品に対するクローニング・サポート・ファイルが収められていますが、常にOracle MetaLinkで最新バージョンを確認することをお薦めします。

Enterprise Managerを使用すると、同様に構成されるOracle Clusterware 10.2インスタンスをソース・インスタンスにデプロイできます。この機能の利点について説明します。

Oracleクラスタ・ホームをクローニングするには、次のようにします。

  1. 「デプロイ」ページで、「Oracleホームのクローニング」をクリックします。

    Oracleホームのクローニング・ウィザードが表示され、すべての製品に対するすべての既存のクローニング可能なOracleホームが一覧表示されます。

    データベースのクローニング・ウィザード
  2. クローニングするOracleホームを選択します。インストール済のOracleホームまたはソフトウェア・ライブラリのパッケージです。RAC(バージョン10.1または10.2)またはOracleクラスタウェア(バージョン10.2)のOracleホームである必要があります。

  3. 選択したOracleホームをクラスタとして処理するかどうかを指定します。インストール済のOracleホームを選択した場合は、クローニング操作から除外する作業ディレクトリおよびファイルも指定します。

  4. 新しいクラスタを作成しないで、クラスタ・ホームをクローニングしてクラスタを拡張するよう指定するためのオプションを選択します。「宛先ノードの指定」表で、パブリック・ノード名、プライベート・ノード名、および対象ノードまたは対象ホストごとの仮想IPを指定します。Oracleホームの場所と名前は、必ずソースと同じにしてください。

  5. 対象Oracleホーム情報および対象ホストの資格証明を指定します。資格証明は、必ず有効でホストごとに同一にしてください。

  6. クローニング操作の前後で実行するスクリプトまたはコマンドを指定します。クローニング操作をカスタマイズする場合は、このページを空白にしてください。前に指定したホスト資格証明が対象ホストでsudo権限を持っている場合は、sudo権限でスクリプトを実行するよう選択できます。ルート・スクリプトがこのジョブで実行されない場合は、クローニング操作用に手動で実行し完了する必要があります。

  7. すぐに、または後のある時点で実行するためにジョブをスケジュールします。

  8. 選択した内容を確認し、「終了」をクリックします。

    Oracle Enterprise Managerジョブが発行されてOracleクラスタ・ホームがクローニングされます。

8.3 イメージ

イメージは、デプロイ可能な独立した単位を作成するために一緒にパッケージされたソフトウェア・コンポーネント、ディレクティブおよびその他の付随物の管理セットと考えることができます。ソフトウェア・コンポーネントには、オペレーティング・システム・ソフトウェア、Oracleソフトウェアおよびその他のサード・パーティ・ソフトウェア・アプリケーションが含まれます。ソフトウェア・コンポーネントは、Oracleソフトウェア・ライブラリ内に個別に保持され、プロビジョニングされる完全なソフトウェア構成を指定するために、必要に応じて他のコンポーネントと結合される主な構成要素を表します。ディレクティブは、プロビジョニングのために使用される実行可能な命令のセットです。すべてのイメージは、ステージング、インストール前およびインストール後のディレクティブに対する参照を含む必要があります。

8.3.1 シナリオ: イメージ

Lindaは、環境に新しいサーバーをプロビジョニングするために使用できる、Oracleホームのイメージを作成する必要があります。

8.3.2 デフォルト・イメージの作成

デフォルト・イメージは、特殊なタイプのイメージであり、OMSサーバーと通信できるよう、OSとエンタープライズ管理エージェントをベアメタル・コンピュータにインストールするために必要なオペレーティング・システム・インストーラ・ファイルの最小セットで構成されています。

後で新しいマシンのプロビジョニングに使用できるゴールド・イメージを作成する方法について説明します。

デフォルト・イメージを作成するには、次のようにします。

  1. 「デプロイ」ページの「プロビジョニング」ページで、「イメージ」をクリックします。

  2. 「イメージの作成」をクリックします。

    イメージの作成ウィザードが表示されます。

    イメージの作成ウィザード
  3. イメージのタイプとして「デフォルト・イメージ」を選択し、他の詳細を指定します。

  4. OSの情報やRPMリポジトリを使用する参照インストール・ホスト・サーバーなどの詳細を指定して、イメージを構成します。

  5. 事前定義されているプロパティの変更または削除、あるいは新しいプロパティの追加を行うことで、イメージのインスタンスをカスタマイズします。

  6. デフォルト・イメージに対するディレクティブは自動的に作成されます。これらのディレクティブを変更するか、新しいディレクティブを追加します。

  7. 選択した内容を確認し、「終了」をクリックします。

    デフォルト・イメージを作成するためのEnterprise Managerジョブが発行されます。

環境内の他のサーバーを設定するために、このようにして作成されたデフォルト・イメージまたはゴールド・イメージを使用できます。

8.4 プロビジョニング

デフォルト・イメージを作成したら、ネットワーク経由でブートする新しいコンピュータに、インストール用にデフォルト・イメージをステージングできます。デフォルト・イメージをステージングするときは、IPアドレスを記述する必要があります。これにより、指定した範囲内で起動するすべてのコンピュータが、このデフォルト・イメージを使用してインストールを行います。

プロビジョニング・アプリケーションを使用すると、ステージング・サーバー、ブート・サーバー、RPMリポジトリ、デフォルト・イメージ、ソフトウェア・ライブラリおよびネットワーク構成を追加できます。また、デフォルト・イメージをステージング・サーバーにステージングして、インストールできる状態に保つこともできます。新しいコンピュータを接続し、ネットワーク経由でブートすると、ブート・サーバーはデフォルト・イメージをインストールするようコンピュータに指示します。

プロビジョニングの詳細は、次のURLのホワイト・ペーパーを参照してください。

http://www.oracle.com/technology/products/oem/index.html

8.5 デプロイメント・プロシージャ・マネージャ

多重化ソフトウェアは非常に複雑で、単一のシステムとしても機能する多数のマシンにインストールされた同様のコンポーネントで構成されています。システムをまとめてアップグレードすることは特に大変です。システム内のワークフローを考慮する必要があります。デプロイメント・プロシージャ・マネージャは、複数のホームで実行可能なタスクを自動化、統合および追跡するためのフレームワークを提供することでこの要件に対応します。

デプロイメント・プロシージャ・マネージャを使用すると、Grid Controlコンソールからプロビジョニング、パッチ適用、アップグレードなどの複雑なソフトウェア・ライフ・サイクル管理アクティビティを実行できます。複数のOracleホームで実行可能なタスクを自動化、統合および追跡するためのフレームワークを提供します。デプロイメント・プロシージャ・マネージャにより、個々のインストーラ、アップグレード・アシスタント、カスタム・スクリプトおよびユーティリティが統合されて、単一のコンソールからシステム全体をアップグレードできます。

特定のライフ・サイクル管理アクティビティのために実行する必要があるすべてのタスクのワークフローは、デプロイメント・プロシージャにカプセル化されます。デプロイメント・プロシージャは一連の階層型プロビジョニング・ステップで、各ステップには一連の他のステップが含まれている場合があります。特定のアプリケーションおよびプロシージャを作成できるフレームワークを提供します。

Oracle提供の標準プロシージャをカスタマイズおよび調整できます。デプロイメント・プロシージャ・マネージャは、バージョン10.2.0.2以上のエージェントで管理されるターゲット上で動作します。

8.6 プロビジョニング: Oracle By Exampleシリーズ

Oracle by Example(OBE)には、このマニュアルに関するシリーズがあります。

プロビジョニングのOBEでは、注釈付きのスクリーン・ショットを使用してこの章のタスクを説明します。

http://www.oracle.com/technology/obe/obe10gEMR2/Quick_Start/provisioning/provisioning.htm