この章は、後に記載されるアップグレード用の章とは異なります。この章は、OracleAS Portalの新規インストールを前提としており、その結果いくつかの手順が省略されるためです。新規インストールを完了する場合にのみこの章の指示に従ってください。
この章では、Oracle Application Server Portal 10gリリース2(10.1.4)をインストールする手順について説明します。
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注意: OracleAS Portalリリース10.1.4のインストール手順は、旧リリース(リリース10.1.2.0.2など)のOracle Application Serverのインストール手順とは異なります。Oracle Application Server Portal 10gリリース2(10.1.4)は、直接インストールできないためです。 |
Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)に同梱されているOracle Application Server PortalアップグレードCD-ROMでは、Portalリポジトリをリリース10.1.2.0.2から10.1.4にアップグレードすることのみ可能です。したがって、Oracle Application Server Portal and Wirelessインスタンスを新規インストールしてOracleAS Portalリリース10.1.4の機能を利用するには、まずOracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)をインストールし、次にPortalリポジトリをリリース10.1.4にアップグレードする必要があります。
この章には、次の各項が含まれます。
Oracle Application Serverリリース10.1.2.0.2をインストールするには、Oracle Technology Network(OTN)にあるプラットフォーム別のOracle Application Serverリリース10.1.2ドキュメント・ライブラリで、Oracle Application Serverのクイック・インストレーション・ガイドを参照してください。このガイドを参照するには、次の手順を実行します。
次のURLにアクセスします。
http://www.oracle.com/technology/documentation/appserver1012.html
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注意: OTNにある多くのページとガイドには、リリース番号として10.1.2.0.2ではなく10.1.2と表示されていますが、この違いは無視できます。 |
「Oracle Application Server 10g Release 2 (10.1.2) Release Notes, Installation, and Upgrade Documentation」というセクションの下で、現在使用中のプラットフォームに対応する箇所の「View Library」をクリックします。
表示される「Oracle Application Server Documentation Library」ページでクイック・インストレーション・ガイドを参照できます。
Oracle Application Serverのクイック・インストレーション・ガイドには、OracleASインフラストラクチャとPortal and Wireless中間層をインストールする手順が記載されています。このガイドで「Portal and WirelessまたはBusiness Intelligence and Formsの開発者トポロジのインストール(OracleASインフラストラクチャを含む)」の章を参照してください。
既存のOracleデータベースにOracle Application Serverメタデータ・リポジトリがすでにインストールされており、Portalスキーマをリリース10.1.4にアップグレードする場合は、後の第II部「アップグレード」に記載されている標準のアップグレード手順に従ってください。
Portalスキーマをリリース10.1.4にアップグレードするには、次のタスクを実行する必要があります。
リリース10.1.4に適切にアップグレードするには、アップグレード前に特定のタスクを実行する必要があります。これには、次のタスクが含まれます。
アップグレードを実行する前に、アップグレード対象のPortalスキーマを使用する各中間層に関連するすべてのプロセスを停止する必要があります。Portalスキーマを使用するすべてのOracle Application Serverインスタンスを表示するには、次の2つの方法があります。
Application Server Controlコンソールのファーム・ページを表示します。
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関連資料: Application Server Controlコンソールのファーム・ページの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』の管理ツールの概要に関する項を参照してください。 |
ファームに属する任意の中間層またはOracle Identity ManagementインスタンスのOracleホームで、次のDistributed Configuration Managementコマンドを実行します。
MID_TIER_ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl listinstances
すべての中間層プロセスを停止するには、次のタスクを実行します。
Application Server Controlコンソールの各インスタンスのホームページですべてを停止をクリックするか、各インスタンスのOracleホームで次のOracle Process Manager and Notification Server(OPMN)コマンドを実行します。
MID_TIER_ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
次のコマンドを使用して、Application Server Controlコンソールを停止します。
MID_TIER_ORACLE_HOME/bin/emctl stop iasconsole
Windowsでは、「サービス」コントロール パネルから、OPMNとその管理対象プロセス、およびApplication Server Controlコンソールを停止することも可能です。
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関連資料:
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アップグレードを実行する前に、次のプロセスが稼働していることを確認する必要があります。
PortalスキーマをホストするOracleASメタデータ・リポジトリ・データベース
OracleASメタデータ・リポジトリ・データベース用のリスナー
Portalスキーマが登録されているOracle Internet Directoryインスタンス
Oracle Identity ManagementインスタンスのApplication Server Controlコンソールにログインし、必須プロセスが稼働しており、必要なコンポーネントが適切に構成されていることを確認します。たとえば、Application Server Controlコンソールを使用して、ファーム・ページが正しく表示されることと、Oracle Internet DirectoryおよびOracleAS Single Sign-Onコンポーネントが稼働していることを確認できます。
Oracle Identity ManagementインスタンスのApplication Server Controlコンソールにログインすると、Application Serverのホームページが表示されます。このページで「ポート」をクリックすると、Oracle Application Serverインスタンスによって現在使用されているポートのリストが表示され、コンポーネントが適切に構成されているかどうかを確認できます。
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関連資料: Application Server Controlコンソールのファーム・ページの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』の管理ツールの概要に関する項を参照してください。 |
この項では、OracleAS Portalをリリース10.1.4にアップグレードする手順について説明します。Portalスキーマをアップグレードするには、次の手順を実行します。
1.2.1項「アップグレード前のタスクの実行」に記載されているタスクを実行したら、Oracle Application Server PortalアップグレードCD-ROMを使用してOracleASメタデータ・リポジトリのPortalスキーマをアップグレードします。アップグレードを実行するには、mrua.bat(Windows)またはmrua.sh(UNIX)スクリプトを実行する必要があります。
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注意: アップグレード対象のPortalスキーマをホストするコンピュータでアップグレードを実行する必要があります。 |
アップグレードを実行するには、次の手順を実行します。
Oracle Application Server PortalアップグレードCD-ROMをマウントします。
次のコマンドを必要な引数を指定して実行し(表1-1を参照)、アップグレードを開始します。
CD_ROOT/mrua/<mrua_script> -oracle_home <metadata_repository_oracle_home> -oid_host <oracle_internet_directory_host> -oid_ssl_port <oracle_internet_directory_ssl_port>
このコマンドで、<mrua_script>はmrua.shまたはmrua.batです。
アップグレードの実行例は、次のとおりです。
UNIXの場合:
mrua.sh -oracle_home /dua1/oracle10g -oid_host dserv1.acme.com -oid_ssl_port 3130
Windowsの場合:
mrua.bat -oracle_home d:\oracle10g -oid_host dserv1.acme.com -oid_ssl_port 3130
表1-1 必要なアップグレード用コマンドライン引数の概要
| 引数 | 説明 |
|---|---|
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OracleASメタデータ・リポジトリのホーム・ディレクトリ。 |
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OracleASメタデータ・リポジトリが登録されているOracle Internet Directoryをホストするコンピュータの名前。 |
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Oracle Internet Directoryのセキュアなポート。OracleASメタデータ・リポジトリをアップグレードする場合、Oracle Internet Directoryとの通信ではセキュアな接続を使用する必要がある。 |
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注意: -oid_host引数と-oid_ssl_port引数の値は、Oracle Identity Managementのホーム・ディレクトリにある次の構成ファイルに定義された対応プロパティの値に一致している必要があります。
OIDhost=dserv1.acme.com OIDsslport=3130 |
プロンプトが表示されたら、データベースのSYSユーザー・アカウントのパスワードを入力します。
データベースのPortalスキーマにアクセスし、スキーマを変更するには、SYSパスワードを指定する必要があります。
プロンプトが表示されたら、Oracle Internet Directoryのcn=orcladmin管理者パスワードを入力します。
OracleASメタデータ・リポジトリが登録されているOracle Internet Directoryに接続するには、Oracle Internet Directoryのパスワードを指定する必要があります。
必要なパスワードが指定されると、アップグレード・スクリプトは、Oracle Internet Directoryが稼働しているかどうかをチェックして次のいずれかを実行します。
Oracle Internet Directoryが停止しているか使用不可能な場合、アップグレード・スクリプトは、エラー・メッセージを表示して終了します。
Oracle Internet Directoryが稼働している場合、アップグレード・スクリプトは、ディレクトリ・サービスに接続してPortalスキーマのアップグレードに必要な追加情報を取得します。
OracleASメタデータ・リポジトリの複数のインスタンスがディレクトリに登録されている場合、アップグレード対象のOracleASメタデータ・リポジトリを選択するようプロンプトが表示されます。
一度にアップグレードできるOracleASメタデータ・リポジトリは、1つのみです。
OracleASメタデータ・リポジトリを選択するようプロンプトが表示されたら、-oracle_homeパラメータの値に対応するローカル・コンピュータ上のOracleASメタデータ・リポジトリを選択します。
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注意: アップグレード・スクリプトは、最初にアップグレード前のチェックを実行し、その後で実際のアップグレードを開始します。事前チェックの1つに失敗しても、アップグレードはその時点では終了しません。かわりに、すべての事前チェックのエラーがprecheck.logファイルにまとめて記録されます。このファイルは、METADATA_REP_ORACLE_HOME/upgrade/temp/portalディレクトリに生成されます。ログ・ファイルの最後の部分を参照し、失敗したチェックのリストを確認してください。事前チェックの失敗がなくなるまでアップグレードを繰り返し実行します。事前チェックのエラーによってアップグレードが完了しない場合、スキーマは変更されません。したがって、実行ごとにバックアップからリポジトリをリストアする必要はありません。
事前チェック・ログ・ファイルに出力されたエラーをすべて調査します。アップグレード・エラーの詳細は、付録A「OracleAS Portalのアップグレード・エラー・メッセージ」を参照してください。記載されていないエラーや、記載された処置で解決できないエラーに関しては、オラクル社カスタマ・サポート・センターに連絡してください。 |
アップグレード・スクリプトにより、アップグレード・プロセスが開始されます。アップグレードの手順が1つ実行されるたびに、アップグレードの進行状況を示す情報メッセージが画面に表示されます。
例1-1に、一般的なアップグレード・セッションの例を示します。
例1-1 アップグレード・セッションでの出力例
mrua.sh -oracle_home /dua1/oracle10g -oid_host dserv1.acme.com -oid_ssl_port 3130 Executing mrua.pl Running on UNIX OracleAS Metadata Repository Upgrade Assistant 10.1.4.0.0 Enter the password for SYS: Enter the password for cn=orcladmin: Upgrading the OracleAS Metadata Repository to release 10.1.4 Calling upgrade plugin for MRUA Component upgraded successfully MRUA Calling upgrade plugin for PORTAL Component upgraded successfully PORTAL Calling upgrade plugin for MRC Component upgraded successfully MRC SUCCESS: All OracleAS plug-ins report successful upgrade Finished mrua.pl
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注意: ここに記載されているMRUAおよびMRCプラグインは、メタデータ・リポジトリ・アップグレード・アシスタントのコンポーネントであり、Oracle Application Serverのコンポーネントではありません。リリース10.1.4へのアップグレードでは、Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)のPortalコンポーネントと必要なMRUAフレームワーク・コンポーネントのみがリリース10.1.4にアップグレードされます。 |
アップグレードが完了したら、エラーがないかどうかアップグレード・ログ・ファイルを確認します。これには、次の手順を実行します。
アップグレード・ログ・ファイルの場所に移動します。アップグレード・ログ・ファイルのデフォルト名は、upgrade.logです。このファイルは、次のディレクトリに存在します。
METADATA_REP_ORACLE_HOME/upgrade/temp/portal
アップグレードが完了前に強制終了しないかぎり、ログ・ファイルのエラーは、標準出力に送られると同時にログ・ファイルの最後にある個別セクションに記述されます。ログ・ファイルの最後にあるセクションの行番号を使用して、ファイルに記述されている以前に発生したエラーを検索できます。このログ・ファイルとは別に、エラーはupgrade.errというファイルに、警告はupgrade.wrnというファイルにまとめて記述されます。これらのファイルは、次のディレクトリにあります。
METADATA_REP_ORACLE_HOME/upgrade/temp/portal/tmp
テキスト・エディタでアップグレード・ログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルに記述されているエラーと警告を調査します。
付録A「OracleAS Portalのアップグレード・エラー・メッセージ」を参照して、対応策の記載されているエラーと警告をすべて解決します。ほとんどのエラーでは、バックアップからリポジトリをリストアして問題を解決し、再度アップグレードを実行する必要があります。
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注意: アップグレード前のチェックの実行時にエラーが発生した場合、つまり、エラーがprecheck.logファイルに記録された場合、バックアップからリポジトリをリストアする必要はありません。事前チェックの実行時には、スキーマは変更されないためです。
アップグレードの実行時にエラーが発生した場合、つまり、エラーが |
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注意: アップグレードに成功するまでは、OracleAS Portalを実行できません。アップグレードに成功すると、アップグレード・ログ・ファイル(upgrade.log)からエラーがなくなります。
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記載されていないエラーに関しては、オラクル社カスタマ・サポート・センターに連絡してください。
すべてのエラーが解決されるまでこのプロセスを繰り返します。
次の例は、成功したアップグレードのログ・ファイルの最後の部分を示しています。Upgrade completed successfullyというメッセージが存在し、エラー・メッセージは存在しないことに注意してください。
### Show errors and warnings Step started at Tue Jul 12 04:17:22 2005 ### ### WARNING: WWU-26002: Upgrade completed with the following warnings:
. . .
### Upgrade completed successfully
. . .
Upgrade Ended at Tue Jul 12 04:17:31 2005
次の例は、失敗したアップグレードのログ・ファイルの最後の数行を示しています。
例1: エラー・セクション付きの強制終了
### ERROR: WWU-01013: Upgrade terminated with the following errors: ### 1278 : EXP-00003: no storage definition found for segment(9, 10251) ### 1368 : ### ERROR: Exception Executing Script upg/common/precln/../../frwk/export.pl : . . . ### Upgrade aborted at Thu Jun 30 04:28:18 2005.
例2: エラーが検出された標準終了(各エラー行の先頭の行番号に注意)
### ### Show errors and warnings ### Upgrade step started at Fri Jul 1 03:52:56 2005 ### ### WARNING: WWU-26002: Upgrade completed with the following warnings: ### ... ### ### ERROR: WWU-01012: Upgrade completed with the following errors: ### 8503:ERROR at line 1: ### 8504 : ORA-20000: ### 8505 : ORA-06512: at "UPGR309.WWPOF", line 440 . . . Upgrade Ended at Fri Jul 1 04:28:08 2005
表1-2に、様々なログ・ファイルの場所と内容を示します。
表1-2 生成されるファイル
| ファイルの名前 | ファイルの場所 | 内容と用途 |
|---|---|---|
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アップグレードにおける事前チェック実行時に記録された情報を含む。エラーはログ・ファイルの最後にまとめて記述される。 |
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エラー、警告、詳細など、記録されたすべての情報を含む。エラーはログ・ファイルの最後にまとめて記述される。 |
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アップグレードに成功したら、アップグレードしたOracleAS Portalインスタンスを使用する各中間層を起動します。これには、次の手順を実行します。
次のコマンドを使用して、OPMNとその管理対象プロセスを起動します。
MIDDLE_TIER_ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
次のコマンドを使用して、Application Server Controlコンソールを起動します。
MIDDLE_TIER_ORACLE_HOME/bin/emctl start iasconsole
Windowsでは、「サービス」コントロール パネルから、OPMNとその管理対象プロセス、およびApplication Server Controlコンソールを起動することも可能です。
アップグレードに成功すると、アップグレードしたOracleAS Portalインスタンスにアクセスできます。
ブラウザを起動し、次の形式でURLを指定してOracleAS Portalにアクセスします。
http://<host>:<port>/portal/pls/portal
表1-3 OracleAS PortalにアクセスするためのURLパラメータ
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
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OracleAS Portalをインストールしたコンピュータ。ホスト名と完全修飾ドメイン名(
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OracleAS Portalにアクセスするためのポート番号。通常は、中間層のOracleAS Web Cacheのリスニング・ポートを指定する。 |
アップグレードの実行後、OracleAS PortalとともにOracle Application Server WirelessおよびOracle Ultra Searchを使用する場合、これらのコンポーネントを使用する前にいくつかの構成タスクを実行する必要があります。実行するタスクの詳細は、次のドキュメントを参照してください。
Oracle Ultra SearchでOracleAS Portalを構成する方法の詳細は、『Oracle Application Server Portal構成ガイド』のコンテンツ・ソースとしてのOracleAS Portalの登録に関する項を参照してください。
OracleAS WirelessでOracleAS Portalを構成する方法の詳細は、『Oracle Application Server Portal構成ガイド』のOracleAS Portalでのモバイル・サポートの構成に関する項を参照してください。