Oracle Application Server Personalization(OracleAS Personalization)管理UIとは、REファームとREの管理、予測モデル・パッケージのスケジュールと配布、レポートの生成、およびその他のOracleAS Personalization管理を行うためにOracleAS Personalization管理者が使用する、ブラウザベースのユーザー・インタフェースです。
この章では、管理UIの概要とUIを使用してリコメンデーションを取得する方法について説明します。
OracleAS Personalization管理UIを表示するには、ブラウザのURLフィールドに次のように入力します。
http://<hostname>:<port>/OP/Admin/
<hostname>はOracle Application Serverがインストールされているシステムの名前、<port>はOracleAS Personalization管理UIページに割り当てられたポート番号です。
URLは大文字と小文字を区別することに注意してください。
管理UIで使用できるWebページは次のとおりです。
MORスキーマのユーザー名とパスワードを入力します(有効なユーザー名とパスワードは、OracleAS Personalizationのインストール時に設定されています。ユーザー名とパスワードがわからない場合は、OracleAS Personalizationのインストール担当者に問い合せてください)。
有効なユーザー名とパスワードを入力した後、「ログイン」ボタンをクリックすると、OracleAS Personalization管理のホームページが表示されます。
「ホーム」ページでは、ユーザーを歓迎し、製品について簡単に説明します。 左側には、新規ファームの作成、パッケージの作成、ビルドのスケジュールなどの一般的な作業へのリンクがあります。これらのリンクは、作業を実行する順序に従って表示されます。右側には、最新イベント(ビルド、配布、レポート)のステータスの概要が表示されます。
これらのページを参照して、その構造や内容を理解しておいてください。タブをクリックすると、様々なページを表示できます。タブは、「ホーム」、「ファーム」、「パッケージ」、「スケジュール」、「レポート」および「ログ」です。 これらのタブ・ページには、OracleAS Personalizationの管理作業がまとめられています。
「ファーム」ページには、現在のリコメンデーション・エンジン・ファームの一覧があります。「ファーム」ページでは、リコメンデーション・エンジン・ファームの作成、削除および全般的な管理を行います。
「ファーム」ページによって、ファームに追加するリコメンデーション・エンジンにアクセスできるようになります。ファームにリコメンデーション・エンジンを追加することは、REのデータベース接続の詳細を指定することを意味します。これらの詳細は、データベースのインストール時に設定されています。
REには、MTRへの接続が必要です。既存のMTR接続がない場合は、作成して、名前を付けます。この場合、データベースのインストールおよび構成時に設定した情報も必要です。
「パッケージ」ページでは、現在のパッケージの一覧が表示されます。このページでは、パッケージの作成、削除および管理を行います。
OracleAS Personalizationパッケージには、予測モデルの作成に必要な情報がすべて格納されています。つまり、パッケージの全般的な設定、MTRへの接続に関する情報、パッケージのビルドに関する指定済の設定(モデルの作成に関する設定を含む)などです。
|
注意: パッケージには、ビルド・スケジュール情報は含まれていません。 この情報はMOR内にあります。 |
パッケージを作成するには、「パッケージの作成」をクリックします。パッケージの作成手順を示す次の3ページのうち、最初のページが表示されます。
最初のページの「パッケージの作成」では、パッケージの名前および説明の入力と、MTR接続を名前で指定するよう求められます。 MTR接続がない場合は、作成するよう要求されます。
2ページ目の「ビルド設定の指定」では、次のビルド設定を指定するよう求められます。
リコメンデーション・パフォーマンス: 精度と速度とのバランスのことです。つまり、リコメンデーションの精度の向上とリコメンデーションに要する時間の短縮とを適度に調整します。
新規製品: OracleAS Personalizationで、新規製品に対してプロキシを使用するかどうかを指定します。このオプションを使用するには、MTRにプロキシ情報が格納されている必要があります。
使用するタイムスタンプ付きセッション・データの選択: 任意の日付のデータを使用します(日付がないデータも含みます)。過去x日間または指定した日付間のローリング・ウィンドウです。
3ページ目の「設定の確認」では、指定した設定の要約が表示され、内容を確認できます。また、「設定の確認」ページには、パッケージのビルド・スケジュールに直接移動するオプションもあります。
「スケジュール」タブをクリックすると、ビルド、配布およびレポートの3種類のイベントのスケジュールが表示されます。「スケジュール」タブでは、デフォルトで「ビルド・スケジュール」ページ(次の項を参照)が開きます。
このページでは、パッケージのビルド・スケジュール(つまり予測モデルの作成など、リコメンデーションの作成に必要な情報)の作成、編集、削除および全般的な管理を行います。
新しいビルド・スケジュールを作成するには、「ビルド・スケジュールの作成」をクリックします。「ビルド・スケジュールの作成」ページには、次のオプションがあります。
できるだけ早くパッケージをビルドする。
指定した日時および指定した頻度でパッケージをビルドする。パッケージがビルドされると、配布に備えてMORに格納されます。
また、このページには、パッケージの配布スケジュール(次の項を参照)に直接移動するオプションもあります。
このページでは、配布スケジュールの作成、編集、削除および全般的な管理を行います。
パッケージの配布とは、特定のREファームのすべてのREにパッケージをコピーすることです。同じパッケージを持つ複数のREでロードを共有できます。
新しい配布スケジュールを作成するには、「配布スケジュールの作成」をクリックします。「配布スケジュールの作成」ページには、次のオプションがあります。
パッケージがビルドされるたびに配布する。
できるだけ早くパッケージを配布する。
指定した日時および指定した頻度でパッケージを配布する。
このページでは、レポート・スケジュールの作成と管理を行います。
レポートのスケジュールを作成するには、「レポート・スケジュールの作成」をクリックします。
「レポート・スケジュールの作成」ページには、次のオプションがあります。
一般設定: REファーム、レポート・タイプ、通知の受信者の電子メール・アドレスおよび注釈(任意)を指定します。
データ選択: 任意の日付のデータを使用します。過去x日間または指定した日付間のローリング・ウィンドウです。
スケジュール: できるだけ早くレポートを実行するか、または指定した日時および指定した頻度で実行されるようにスケジュールします。
「レポート・スケジュールの作成」ページでは、次のことも実行できます。
レポート・スケジュールの詳細を更新または参照するには、「編集」アイコンをクリックします。
スケジュールされたレポートを削除するには、該当するレポートを選択し、「削除」をクリックします。
スケジュールされた実行中のレポートを停止するには、該当するレポートを選択し、「停止」をクリックします。
注意: 実行中または取消中に、スケジュールされたレポートを編集または削除することはできません。編集または削除が可能なのは、レポートがアイドル状態の場合のみです。
このページでは、レポートを表示します。レポートには、次の3種類があります。
購入セッション・レポート: ユーザーが指定した期間におけるセッションの合計数、購入が1回以上あったセッション数、およびセッションの合計に対する購入セッションの割合をレポートします。
セッションの合計数には、匿名ユーザーのセッションと顧客のセッションの両方が含まれます。購入があったセッションは顧客のセッションのみです。
リコメンデーションの有効性レポート: ユーザーが指定した期間における、システムによって行われたリコメンデーション・リクエストの数、1回のリコメンデーション・リクエストでクリックされたリコメンデーション・アイテムの数、および1回のリコメンデーション・リクエストで購入されたリコメンデーション・アイテムの数をレポートします。
このレポートでは、「クリック数」および「購入数」の列にクリックされたすべてのアイテムおよび購入されたすべてのアイテムが入ります。アイテムがリコメンデーションの一部であるかどうかは関係ありません。
アイテム別リコメンデーションの有効性レポート: 指定された期間における、アイテムのリコメンデーション回数、クリック回数および購入回数をレポートします。
「製品ID」列のエントリのフォーマットは次のとおりです。
<製品タイプ> : <製品ID>
|
注意: レポートを生成するには、MTR表のMTR_SESSIONおよびMTR_RECOMMENDATION_DETAILにデータが移入されている必要があります。 |
リコメンデーションのリクエストまたはデータの収集を行うJavaプログラムを実行するには、パッケージを配布しておく必要があります。
つまり、リコメンデーションを取得する前に、次のことを行う必要があります。
リコメンデーション・エンジン・ファームを作成します。
1つ以上のREをファームに追加します。
最小限必要なデータをMTR表に移入します。 このためには、インストール時にロードするデモ・データを使用します。
ビルドと配布のスケジュールを作成します。
この項では、これらの手順について説明します。
使用可能なデータがないかぎり、パッケージはビルドできません。詳細は、第1.7.1項「OracleAS Personalizationによる予測モデルの作成」を参照してください。
最初の手順はREファームの作成です。これを開始するには、次の2つの方法があります。
「ホーム」ページで「新規ファームの作成」リンクをクリックし、「リコメンデーション・エンジン・ファームの作成」ページを表示します。
「ファーム」タブをクリックし、「ファーム」ページに移動します。「ファーム」ページで、右下にある「ファームの作成」をクリックし、「リコメンデーション・エンジン・ファームの作成」ページを表示します。
「リコメンデーション・エンジン・ファームの作成」ページで、次の手順を実行します。
ファームの名前を入力します。
「リコメンデーション・エンジンの追加」ページで、リコメンデーション・エンジンの名前を入力します。
データベース接続の詳細では、インストール時に入力した情報が必要です。
「ホストID」、「ポート」、「SID」および「データベース別名」では、データベースのインストール時に入力したデータベース情報が必要です。
「DBスキーマ名」、「ユーザー名」および「パスワード」では、REスキーマのインストールおよび設定時に入力した情報が必要です。
すべてのフィールドに入力したら、「接続のテスト」をクリックして、データベース接続が正常であるかどうかを確認します。つまり、入力した情報に基づいて目的のスキーマに正常に接続できることを確認します。
データベース接続が正常であることを前提とした場合、右下にある「OK」をクリックすると、「リコメンデーション・エンジン・ファームの作成」ページに戻ります。ここには、定義したリコメンデーション・エンジンが一覧表示されます。
注意: 「OK」のかわりに「取消」をクリックすると、入力した情報は失われます。
次に、パッケージを作成します。
パッケージを作成するには、MTRへの接続が必要です。MTR接続がない場合は、次の手順を実行します。
右上にある「オプション」をクリックし、「MTRデータベース接続」セクションに移動します。MTR接続に必要な情報は、MTRスキーマのインストールおよび構成時に入力したデータに基づきます。
データベース接続を確認するには、「接続のテスト」をクリックします。
接続が正常であることを確認し、「OK」をクリックすると、「ファームの作成」ページに戻ります。
これで、次のようにしてパッケージを作成できます。
「パッケージ」タブをクリックします。「パッケージ」ページが表示されます。
「パッケージ」ページで、右下にある「パッケージの作成」をクリックします。パッケージの作成ウィザードの3ページのうち、最初のページが表示されます。
パッケージの名前(必須)と説明(オプション)を入力し、MTR接続の名前を確認した後、「次へ」をクリックします。
新規パッケージのビルドとチューニングに使用する設定を指定し、「次へ」をクリックします。
指定した設定を確認し、「ビルドのスケジュール」ボックスを選択したままにして、「終了」をクリックします。「ビルド・スケジュールの作成」ページが表示されます。
「ビルド・スケジュールの作成」ページで、次の手順を実行します。
「すぐにビルド」を選択します。
「配布のスケジュール」ボックスを選択したままにします。
「OK」をクリックします。「配布スケジュールの作成」ページが表示されます。
「配布スケジュールの作成」ページで、次の手順を実行します。
「パッケージが作成されるたびに配布」を選択します。
「頻度」をデフォルトの「1回」のままにします。
「OK」をクリックします。「パッケージ」ページに戻ります。
1つのREを含むREファームが作成されました。また、パッケージが作成され、パッケージのビルドと配布のスケジュールが作成されました。
2、3分経過したら、「パッケージ」ページで、パッケージがビルドされ、配布されているかどうかを確認してください。 「パッケージ」ページにはステータスが表示されます。ページをリフレッシュするには、「実行」をクリックしてください。
パッケージが正常にビルドされ、配布されたら、そのパッケージを基にリコメンデーション・エンジンAPIを使用して、データの収集およびリコメンデーションの作成が可能です。
次に、予測モデルの作成に使用するマイニング・テーブル・リポジトリ(MTR)データベースの内容を参照します。 これは、OracleAS Personalizationのインストール時にオプションを選択するとインストールされる、データ移入済のMTRです。 このMTRには、このマニュアルに記載されている演習を実践するために必要なデータが事前に移入されています。
データベース表の内容を参照するには、SQL*Plusコマンドを使用します。 表2-1は、MTRデータベース表の一部です。これには、顧客別の映画のレーティング、対象の顧客に関する人口統計データ、評価された各映画のID、特定の映画に対する特定の顧客によるレーティング、およびデータソース・タイプが格納されています。
表2-1 サンプルMTRデータベース表
| CUSTOMER_ID | ITEM_ID | ITEM_TYPE | ATTRIBUTE_ID | BIN_VALUE | DATA_SOURCE_TYPE |
|---|---|---|---|---|---|
|
2 |
264 |
MOVIE |
1 |
1 |
2 |
|
2 |
389 |
MOVIE |
2 |
1 |
3 |
|
2 |
153 |
MOVIE |
2 |
2 |
3 |
|
2 |
354 |
MOVIE |
2 |
2 |
3 |
|
2 |
264 |
MOVIE |
2 |
3 |
3 |
|
2 |
153 |
MOVIE |
3 |
1 |
4 |
|
2 |
264 |
MOVIE |
3 |
1 |
4 |
|
2 |
354 |
MOVIE |
3 |
1 |
4 |
|
2 |
389 |
MOVIE |
3 |
1 |
4 |
|
2 |
0 |
NONE |
4 |
3 |
1 |
|
2 |
0 |
NONE |
5 |
1 |
1 |
|
2 |
0 |
NONE |
6 |
2 |
1 |
このサンプルは、顧客別の映画のレーティング、対象の顧客に関する人口統計データ、評価された各映画のID、特定の映画に対する特定の顧客によるレーティングが格納されている大規模なデータベースから抽出したものです。表の各列は次のとおりです。
CUSTOMER_ID: 抽出元のデータは、すべてCUSTOMER_IDが2の顧客のデータです。
ITEM_ID: ID番号は、特定の映画を示します。顧客の人口統計情報のITEM_IDは、常に0です。
ITEM_TYPE: 評価される項目のタイプを示します。この場合、タイプはMOVIEです。 顧客の人口統計情報のITEM_TYPEは、常にNONEです。
ATTRIBUTE_ID: 値1、2および3は、購入、レーティングおよびナビゲーション・データの属性です。値4、5および6は人口統計データの属性です(最後の3行)。4は年齢、5は性別、6は未婚/既婚をそれぞれ表します。
BIN_VALUE: レーティングは、3つのビンに格納されています。表の値は、個々のビンに対応します。
DATA_SOURCE_TYPE: (データの種類)1は人口統計、2は購入、3はレーティング、4はナビゲーションです。
OracleAS Personalizationスキーマの詳細は、『Oracle Application Server Personalization管理者ガイド』を参照してください。