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Oracle Calendar管理者ガイド
10gリリース1(10.1.1)
B25126-01
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B カレンダのカーネル・パラメータの調整

この付録では、Calendar Serverに十分なリソースを確実に割り当てるために、特定のカーネル・パラメータおよび運用環境に加える必要のある変更について詳しく説明します。Solarisクラスタなど、特定の特殊な操作環境をサポートする際に検討が必要なサーバー構成上の問題についても説明します。

この付録の内容は次のとおりです。

カーネル・パラメータの調整

調整が必要なUNIXシステム・パラメータは、ユーザー全体、プロセス全体またはシステム全体でリソース消費を制御するために使用されます。ユーザーまたはプロセス・パラメータの場合、パラメータの新しい値は既存の値またはCalendar Server要件のうち、パラメータによって大きい方または小さい方になります。システム全体のパラメータの場合、既存の値にサーバー要件を加算して、新しい値を算出します。

変数と用語

この付録で、プラットフォーム固有のすべてのカーネル・パラメータの計算に推奨する式は、次の変数定義に基づいています。

カーネルの計算を開始する前に、変数だけでなく用語の定義も理解してください。次の用語は、この付録の「予備計算」の項とプラットフォーム固有の計算で使用されます。

予備計算

この付録の表に示すプラットフォーム固有のカーネル・パラメータの計算を単純化するために、予備計算が必要になります。計算する必要がある値は、LCKリスナーの数(L)、セマフォの数(S)、最大共有メモリー・セグメント(B)です。式の後に2つの例を示します。

LCKリスナーの計算

LCKリスナー要件の計算に使用する式は、カレンダに構成されているノード数(N)によって異なります。環境に合せて表B-1の式を使用します。

表B-1 L(LCKリスナー)の計算

N < 10の場合 N >= 10の場合

L = N

L = TRUNC [(N - 10)/15 +10]


例1:

When N = 5
L = 5

例2:

When N = 13
L = TRUNC {[(13) - 10]/15 + 10}
L = TRUNC {3/15 + 10}
L = TRUNC {0.2 + 10}
L = TRUNC {10.2}
L = 10

セマフォ数の計算

セマフォ数の計算に使用する式は、カレンダに構成されているノード数(N)によって異なります。環境に合せて表B-2の式を使用します。

表B-2 S(セマフォ数)の計算

N < 10の場合 N >= 10の場合

S = N + 18

S = TRUNC [(N - 10)/15 + 28]


例1:

When N = 5
S = (5) + 18
S= 23

例2:

When N = 13
S = TRUNC {[(13) - 10]/15 + 28}
S = TRUNC {3/15 + 28}
S = TRUNC {0.2 + 28}
S = TRUNC {28.2}
S = 28

最大共有メモリー・セグメントの計算

最大共有メモリー・セグメントの計算に使用する式は、$ORACLE_HOME/ocal/misc/unison.iniファイルの[ENG] maxsessions(M)に割り当てられている値によって異なります。次の式を使用して、最大共有メモリー・セグメントを計算します。

B = MAX [2000000, (8000 * M)]

例1:

When M = 200
B = MAX [2000000, (8000 * 200)]
B = MAX [2000000, 1600000]
B = 2000000

例2:

When M = 3000
B = MAX [2000000, (8000 * 3000)]
B = MAX [2000000, 24000000]
B = 24000000

Solarisカーネル・パラメータの調整

Solarisは、カーネルおよびカーネル・モジュールにチューニング可能なパラメータを提供しています。Solarisでは、カーネル・パラメータは、標準のテキスト・エディタで/etc/systemファイルを直接編集して変更します。すべてのパラメータは、次の書式を使用して設定します。

set rlim_fd_cur=1024
set rlim_fd_max=4117

さらに、メッセージ・キューおよびセマフォ・パラメータには、変更するモジュールの名前を含める必要があります。書式は次のとおりです。

set msgsys:msginfo_msgmni=351
set semsys:seminfo_semmni=345

この変更を有効にするには、システムを再起動する必要があります。



カーネル・パラメータに割り当てられている現在の値を確認するには、/usr/sbinディレクトリにあるsysdefコマンドを使用します。次に例を示します。

% sysdef

次のディレクティブを、/etc/systemカーネル構成ファイルで指定する必要があります。

forceload: sys/semsys
forceload: sys/shmsys

表B-3では、X変数はオペレーティング・システムでの現在のカーネル・パラメータ設定を表し、Y変数は「Calendar Serverの要件」列で計算された値を表します。

表B-3 Solarisカーネル・パラメータ

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

制限

rlim_fd_cur

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,Y)

rlim_fd_max

ファイル記述子のハード・リミット

X

(4 * N) + 4077

MAX (X,Y)

IPCメッセージ

msgsys:msginfo_msgmni

システム全体のメッセージ・キュー識別子の最大数

X

ROUNDUP (1.1 * M)

X + Y

msgsys:msginfo_msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,Y)

msgsys:msginfo_msgmnb

キュー上の最大バイト数

X

144 * M

MAX (X,Y)

msgsys:msginfo_msgtql

メッセージ・ヘッダーの最大数

X

M

MAX (X,Y)

IPCセマフォ

semsys:seminfo_semmni

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

X + Y

semsys:seminfo_semmns

システム全体のセマフォの最大数

X

6 * S

X + Y

semsys:seminfo_semmnu

システム全体のundo構造体の最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

X + Y

semsys:seminfo_semmsl

セット当たりのセマフォの最大数

X

12

MAX (X,Y)

semsys:seminfo_semopm

semopコール当たりの最大演算数

X

12

MAX (X,Y)

semsys:seminfo_semume

プロセス当たりのundo構造体の最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

MAX (X,Y)

semsys:seminfo_semvmx

セマフォの最大値

X

32767

MAX (X,Y)

semsys:seminfo_semaem

adjust-on-exitの最大値

X

16384

MAX (X,Y)

IPC共有メモリー

shmsys:shminfo_shmmax

共有メモリー・セグメントの最大サイズ

X

B

MAX (X,Y)

shmsys:shminfo_shmmin

共有メモリー・セグメントの最小サイズ

X

1

1

shmsys:shminfo_shmmni

システム全体のshm識別子の最大数

X

18

X + Y

shmsys:shminfo_shmseg

プロセス当たりのshmセグメントの最大数

X

18

MAX (X,Y)


例: カレンダのSolarisカーネル・パラメータの計算

次に、同時ユーザーが2500、構成されているノード数が10の例を示します。

M = 2500

N = 10

表B-3「Solarisカーネル・パラメータ」の式に基づいて計算を進めるには、セマフォ数の値(S)と最大共有メモリー・セグメントの値(B)を計算する必要があります。SとBの計算方法の詳細は、この付録の「セマフォ数の計算」および「最大共有メモリー・セグメントの計算」を参照してください。

N = 10であるため、次の式を使用してセマフォ数を計算します。

S = TRUNC [(N - 10)/15 + 28]

S = TRUNC [(10 - 10)/15 + 28]
S = TRUNC [0/15 + 28]
S = TRUNC [0 + 28]
S = TRUNC [28]
S = 28

次の式を使用して、最大共有メモリー・セグメントを計算します。

B = MAX [2000000, (8000 * M)]

B = MAX [2000000,(8000*2500)]
B = MAX [2000000,(20000000)]
B = 20000000

計算した値を表B-3「Solarisカーネル・パラメータ」の式で使用すると、Oracle Calendar Serverで必要な値は次の表のようになります。

表B-4 Solarisカーネル・パラメータ(例)

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

制限

rlim_fd_cur

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,1024)

rlim_fd_max

ファイル記述子のハード・リミット

X

4117

MAX (X,4117)

IPCメッセージ

msgsys:msginfo_msgmni

システム全体のメッセージ・キュー識別子の最大数

X

2750

X + 2750

msgsys:msginfo_msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,4096)

msgsys:msginfo_msgmnb

キュー上の最大バイト数

X

360000

MAX (X,360000)

msgsys:msginfo_msgtql

メッセージ・ヘッダーの最大数

X

2500

MAX (X,2500)

IPCセマフォ

semsys:seminfo_semmni

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

42

X + 42

semsys:seminfo_semmns

システム全体のセマフォの最大数

X

168

X + 168

semsys:seminfo_semmnu

システム全体のundo構造体の最大数

X

42

X + 42

semsys:seminfo_semmsl

セット当たりのセマフォの最大数

X

12

MAX (X,12)

semsys:seminfo_semopm

semopコール当たりの最大演算数

X

12

MAX (X,12)

semsys:seminfo_semume

プロセス当たりのundo構造体の最大数

X

42

MAX (X,12)

semsys:seminfo_semvmx

セマフォの最大値

X

32767

MAX(X,32767)

semsys:seminfo_semaem

adjust-on-exitの最大値

X

16384

MAX(X,16384)

IPC共有メモリー

shmsys:shminfo_shmmax

共有メモリー・セグメントの最大サイズ

X

20 000 000

MAX (X,20 000 000)

shmsys:shminfo_shmmin

共有メモリー・セグメントの最小サイズ

X

1

1

shmsys:shminfo_shmmni

システム全体のshm識別子の最大数

X

18

X + 18

shmsys:shminfo_shmseg

プロセス当たりのshmセグメントの最大数

X

18

MAX (X,18)


その他の関連資料

カーネル・パラメータの変更の詳細は、Sun社の『Solaris Tunable Parameters Reference Manual』も参照してください。

Solarisでのカーネル・パラメータ変更の詳細は、『Solaris Internals: Core Kernel Components』(ISBN: 0-13-022496-0)を参照してください。

HP-UXカーネル・パラメータの調整

次の項では、カーネル要件について説明します。これらはほとんどのHP-UXインストールに適用できます。すべてのパラメータは、メニュー・ベースのシステム管理マネージャであるSAMを使用して変更できます。

semmslの値は500に設定されていますが、HP-UXでは構成できません。

表B-5では、X変数はオペレーティング・システムでの現在のカーネル・パラメータ設定を表し、Y変数は「Calendar Serverの要件」列で計算された値を表します。

表B-5 HP-UXカーネル・パラメータ

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

ファイルのオープン

maxfiles

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,Y)

maxfiles_lim

ファイル記述子のハード・リミット

X

(4 * N) + 3821

MAX (X,Y)

nfile

システム全体のファイル記述子の最大数

X

MAX {100000, [417 + (7 * L) + (3821 * M)/25 +(4 * M * N)/25]}

X + Y

プロセス管理

max_thread_proc

プロセス当たりのスレッドの最大数

X

210

MAX (X,Y)

nkthread

システム全体のカーネル・スレッドの最大数

X

ROUNDUP [100 + (1.1 * M)]

X + Y

maxuprc

ユーザー・プロセスの最大数

X

TRUNC {1.5 [(M/25) + L + 57]}

MAX (X,Y)

nproc

システム全体のプロセスの最大数

X

TRUNC {1.5 [(M/25) + L + 57]}

X + Y

IPCメッセージ

mesg

IPCメッセージの有効化/無効化

X

1

1

msgmap

メッセージ空き領域マップ・サイズ

X

M + 2

msgtql + 2

msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,Y)

msgmnb

メッセージ・キューの最大バイト数

X

65535

MAX (X,Y)

msgmni

システム全体のメッセージ・キューの最大数

X

ROUNDUP (1.1 * M)

X + Y

msgseg

システム全体のメッセージ・セグメントの最大数

X

2500

MAX (X,Y)

msgssz

メッセージ・セグメント・サイズ

X

159

MAX (X,Y)

msgtql

システム全体のメッセージの最大数

X

M

X + Y

IPCセマフォ

sema

セマフォの有効化/無効化

X

1

1

semaem

sem値変更制限

X

16384

MAX (X,Y)

semmni

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

X + Y

semmap

空きsemリソース・マップのサイズ

X

ROUNDUP [(1.5 * S) + 2]

MAX (X,Y)

semmns

システム全体のユーザー・セマフォの最大数

X

ROUNDUP (6 * S)

X + Y

semmnu

セマフォ当たりの最大undo

X

ROUNDUP (1.5 * S)

MAX (X,Y)

semume

プロセス当たりの最大セマフォundo

X

ROUNDUP (1.5 * S)

MAX (X,Y)

semvmx

セマフォの最大値

X

32767

MAX (X,Y)

IPC共有メモリー

shmem

共有メモリーの有効化/無効化

X

1

1

shmmax

shmemセグメントの最大サイズ

X

B

MAX (X,Y)

shmmni

システム全体のセグメントの最大数

X

18

X + Y

shmseg

プロセス当たりのセグメントの最大数

X

18

MAX (X,Y)

「HP-UX 11.0でmaxfiles/maxfiles_limを2049以上に設定」を参照


HP-UX 11.0でmaxfiles/maxfiles_limを2049以上に設定

HP-UX 11.0でmaxfiles/maxfiles_limを2049以上に設定する方法、および他の構成可能なカーネル・パラメータの詳細は、http://docs.hp.com/en/939/KCParms/KCparams.OverviewAll.htmlにあるHP-UXのドキュメントを参照してください。

例: カレンダのHP-UXカーネル・パラメータの計算

次に、同時ユーザーが2500、構成されているノード数が10の例を示します。

M = 2500

N = 10

表B-5「HP-UXカーネル・パラメータ」の式に基づいて計算を進めるには、LCKリスナー数(L)、セマフォ数(S)および最大共有メモリー・セグメント(B)の値を計算する必要があります。L、SおよびBの計算方法の詳細は、この付録の「LCKリスナーの計算」「セマフォ数の計算」および「最大共有メモリー・セグメントの計算」を参照してください。

N = 10であるため、次の式を使用してLCKリスナーを計算します。

L = TRUNC [(N - 10)/15 +10]

L = TRUNC [(10 - 10)/15 + 10]
L = TRUNC [0/15 +10]
L = TRUNC [0 + 10]
L = TRUNC [10]
L = 10

N = 10であるため、次の式を使用してセマフォ数を計算します。

S = TRUNC [(N - 10)/15 + 28]

S = TRUNC [(10 - 10)/15 + 28]
S = TRUNC [0/15 + 28]
S = TRUNC [0 + 28]
S = TRUNC [28]
S = 28

次の式を使用して、最大共有メモリー・セグメントを計算します。

B = MAX [2000000, (8000 * M)]

B = MAX [2000000,(8000*2500)]
B = MAX [2000000,(20000000)]
B = 20000000

ここで計算した値を表B-5「HP-UXカーネル・パラメータ」の式で使用すると、Calendar Serverで必要な値は次の表のようになります。

表B-6 HP-UXカーネル・パラメータ(例)

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

ファイルのオープン

maxfiles

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,1024)

maxfiles_lim

ファイル記述子のハード・リミット

X

3861

MAX (X,3861)

nfile

システム全体のファイル記述子の最大数

X

386587

X + 386587

プロセス管理

max_thread_proc

プロセス当たりのスレッドの最大数

X

210

MAX (X,210)

nkthread

システム全体のカーネル・スレッドの最大数

X

2850

X + 2850

maxuprc

ユーザー・プロセスの最大数

X

217

MAX (X,217)

nproc

システム全体のプロセスの最大数

X

217

X + 217

IPCメッセージ

mesg

IPCメッセージの有効化/無効化

X

1

1

msgmap

メッセージ空き領域マップ・サイズ

X

2502

msgtql + 2

msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,4096)

msgmnb

メッセージ・キューの最大バイト数

X

65535

MAX (X,65535)

msgmni

システム全体のメッセージ・キューの最大数

X

2750

X + 2750

msgseg

システム全体のメッセージ・セグメントの最大数

X

2500

MAX (X,2500)

msgssz

メッセージ・セグメント・サイズ

X

159

MAX (X,159)

msgtql

システム全体のメッセージの最大数

X

2500

X + 2500

IPCセマフォ

sema

セマフォの有効化/無効化

X

1

1

semaem

sem値変更制限

X

16384

MAX (X,16384)

semmni

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

42

MAX (X,42)

semmap

空きsemリソース・マップのサイズ

X

44

X + 44

semmns

システム全体のユーザー・セマフォの最大数

X

168

X + 168

semmnu

セマフォ当たりの最大undo

X

42

MAX (X,42)

semume

プロセス当たりの最大セマフォundo

X

42

MAX (X,42)

semvmx

セマフォの最大値

X

32767

MAX (X,32767)

IPC共有メモリー

shmem

共有メモリーの有効化/無効化

X

1

1

shmmax

shmemセグメントの最大サイズ

X

20000000

MAX (X,20000000)

shmmni

システム全体のセグメントの最大数

X

18

X + 18

shmseg

プロセス当たりのセグメントの最大数

X

18

MAX (X,18)


その他の関連資料

HP-UXでのカーネル・パラメータの変更の詳細は、次のURLを参照してください。

http://docs.hp.com/hpux/onlinedocs/939/KCParms/KCparams.OverviewAll.html

Linuxカーネル・パラメータの調整

LinuxでOracle Calendar Serverのデフォルト構成をサポートするには、システム・カーネル・パラメータを変更する必要があります。

kernel.semパラメータには、semmsl semmns semopm semmniの書式で複数の値を指定できます。次に例を示します。

100 256 100 100

ファイル記述子のソフト・リミットおよびハード・リミットを増やすには、/etc/security/limits.confファイルを編集し、次の行を追加します。

*soft nofile 1024

*hard nofile 65535

設定によっては、ログオフしてからもう一度ログオンして変更を有効にする必要があります。

表B-7では、X変数はオペレーティング・システムでの現在のカーネル・パラメータ設定を表し、Y変数は「Calendar Serverの要件」列で計算された値を表します。

表B-7 Linuxのカーネル・チューニング要件

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

/etc/security/limits.conf

* soft nofile

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,Y)

* hard nofile

ファイル記述子のハード・リミット

X

(4 * N) + 3821

MAX (X,Y)

/etc/sysctl.conf

ファイル

fs.file-max

システム全体のファイル記述子の最大数

X

MAX {100000, [417 + (7 * L) + (3821 * M)/25 +(4 * M * N)/25]}

X + Y

プロセス管理

kernel.threads-max

プロセス当たりのスレッドの最大数

X

210

MAX (X,Y)

IPCメッセージ

kernel.msgmni

システム全体のメッセージ・キュー識別子の最大数

X

ROUNDUP (1.1 * M)

MAX (X,Y)

kernel.msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,Y)

kernel.msgmnb

キュー上の最大バイト数

X

65535

MAX (X,Y)

IPCセマフォ

kernel.sem (1: semmsl)

セット当たりのセマフォの最大数

X

12

MAX (X,Y)

kernel.sem (2: semmns)

システム全体のセマフォの最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

X + Y

kernel.sem (3: semopm)

semopコール当たりの最大演算数

X

12

MAX (X,Y)

kernel.sem (4: semmni)

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

ROUNDUP (1.5 * S)

X + Y

IPC共有メモリー

kernel.shmmax

共有メモリー・セグメントの最大サイズ

X

B

MAX (X,Y)

kernel.shmmni

システム全体のshm識別子の最大数

X

18

X + Y

kernel.shmall

システム全体で使用可能な総shmページ数

X

ROUNDUP [(9 * B)/32768]

X + Y


例: カレンダのLinuxカーネル・パラメータの計算

次に、同時ユーザーが2500、構成されているノード数が10の例を示します。

M = 2500

N = 10

表B-7「Linuxのカーネル・チューニング要件」の式に基づいて計算を進めるには、LCKリスナー数(L)、セマフォ数(S)および最大共有メモリー・セグメント(B)の値を計算する必要があります。L、SおよびBの計算方法の詳細は、この付録の「LCKリスナーの計算」「セマフォ数の計算」および「最大共有メモリー・セグメントの計算」を参照してください。

N = 10であるため、次の式を使用してLCKリスナーを計算します。

L = TRUNC [(N - 10)/15 +10]

L = TRUNC [(10 - 10)/15 + 10]
L = TRUNC [0/15 +10]
L = TRUNC [0 + 10]
L = TRUNC [10]
L = 10

N = 10であるため、次の式を使用してセマフォ数を計算します。

S = TRUNC [(N - 10)/15 + 28]

S = TRUNC [(10 - 10)/15 + 28]
S = TRUNC [0/15 + 28]
S = TRUNC [0 + 28]
S = TRUNC [28]
S = 28

次の式を使用して、最大共有メモリー・セグメントを計算します。

B = MAX [2000000, (8000 * M)]

B = MAX [2000000,(8000*2500)]
B = MAX [2000000,(20000000)]
B = 20000000

ここで計算した値を表B-7「Linuxのカーネル・チューニング要件」の式で使用すると、Calendar Serverで必要な値は次の表のようになります。

表B-8 Linuxのカーネル・チューニング要件(例)

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件 新しい設定

/etc/security/limits.conf

* soft nofile

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,1024)

* hard nofile

ファイル記述子のハード・リミット

X

3861

MAX (X,3861)

/etc/sysctl.conf

ファイル

fs.file-max

システム全体のファイル記述子の最大数

X

386587

X + 386587

プロセス管理

kernel.threads-max

プロセス当たりのスレッドの最大数

X

210

MAX (X,210)

IPCメッセージ

kernel.msgmni

システム全体のメッセージ・キュー識別子の最大数

X

2750

X + 2750

kernel.msgmax

メッセージの最大サイズ

X

4096

MAX (X,4096)

kernel.msgmnb

キュー上の最大バイト数

X

65535

MAX (X,65535)

IPCセマフォ

kernel.sem (1: semmsl)

セット当たりのセマフォの最大数

X

12

MAX (X,12)

kernel.sem (2: semmns)

システム全体のセマフォの最大数

X

42

X + 42

kernel.sem (3: semopm)

semopコール当たりの最大演算数

X

12

MAX (X,12)

kernel.sem (4: semmni)

システム全体のセマフォ・セットの最大数

X

42

X + 42

IPC共有メモリー

kernel.shmmax

共有メモリー・セグメントの最大サイズ

X

20000000

MAX (X,20000000)

kernel.shmmni

システム全体のshm識別子の最大数

X

18

X + 18

kernel.shmall

システム全体で使用可能な総shmページ数

X

5494

X + 5494


AIXカーネル・パラメータの調整

AIXプラットフォームでOracle Calendar Serverのデフォルト構成をサポートするには、システム・カーネル・パラメータを変更する必要があります。

表B-9では、X変数はオペレーティング・システムでの現在のカーネル・パラメータ設定を表し、Y変数は「Calendar Serverの要件」列で計算された値を表します。

表B-9 AIXのカーネル・チューニング要件

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

/etc/security/limits

nofiles

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,Y)

nofiles_hard

ファイル記述子のハード・リミット

X

(4 * N) + 158

MAX (X,Y)

プロセス管理

sys0: maxuproc

ユーザー当たりのプロセスの最大数

X

62 + M + L

MAX (X,Y)


例: カレンダのAIXカーネル・パラメータの計算

次に、同時ユーザーが2500、構成されているノード数が10の例を示します。

M = 2500

N = 10

表B-9「AIXのカーネル・チューニング要件」に基づいて計算を進めるには、LCKリスナー(L)の値を計算する必要があります。Lの計算方法の詳細は、この付録の「LCKリスナーの計算」を参照してください。

N = 10であるため、次の式を使用してLCKリスナーを計算します。

L = TRUNC [(N - 10)/15 +10]

L = TRUNC [(10 - 10)/15 + 10]
L = TRUNC [0/15 +10]
L = TRUNC [0 + 10]
L = TRUNC [10]
L = 10

ここで計算した値を表B-9「AIXのカーネル・チューニング要件」の式で使用すると、Calendar Serverで必要な値は次の表のようになります。

表B-10 AIXのカーネル・チューニング要件(例)

カーネル・パラメータ パラメータの説明 現在の設定(X) Calendar Serverの要件(Y) 新しい設定

/etc/security/limits

nofiles

ファイル記述子のソフト・リミット

X

1024

MAX (X,1024)

nofiles_hard

ファイル記述子のハード・リミット

X

198

MAX (X,198)

プロセス管理

sys0: maxuproc

ユーザー当たりのプロセスの最大数

X

2572

MAX (X,2572)


その他の関連資料

AIXでのカーネル・パラメータの変更の詳細は、『Performance Management Guide: Kernel Tunable Parameters』を参照してください。

 http://publibn.boulder.ibm.com/doc_link/en_US/a_doc_lib/aixbman/prftungd/2365a82.htm#HDRI25144

オペレーティング・システム・クラスタの使用

「クラスタ」という用語は、Calendar Serverクラスタの概念とは異なります。Calendar Serverクラスタは、クライアントのログインや自動登録などの目的で、1つのノードをマスター・ノードとして指定するノード・ネットワークです。オペレーティング・システムのクラスタは、複数のマシンを使用して同じデータを管理して、フェイルオーバー機能を提供するシステムを指します。

これらの環境では、特定マシンの実際のホスト名である物理ホスト名と、そのマシンを含むクラスタのホスト名であるクラスタ・ホスト名を区別することが重要です。クラスタ環境でCalendar Serverを使用する場合、$ORACLE_HOME/ocal/misc/unison.iniファイルでローカル・ホストのホスト名を必要とするすべてのパラメータをクラスタ・ホスト名に設定する必要があります。さらに、[ENG] calendarhostnameパラメータを追加して、その値をクラスタ・ホスト名に設定する必要があります。最後に、外部LDAPディレクトリ・サーバーを使用する場合、[YOURHOSTNAME, unidas]セクションのYOURHOSTNAMEの場所でクラスタ・ホスト名を指定する必要があります。ここで説明したunison.iniのすべてのパラメータの詳細は、『Oracle Calendarリファレンス・マニュアル』の第3章「Calendar Serverパラメータ」を参照してください。

ノード・ネットワークを使用する場合、$ORACLE_HOME/ocal/misc/nodes.iniファイルで、物理ホスト名ではなくクラスタ・ホスト名のみが使用され、すべてのクライアントがクラスタ・ホスト名を使用してCalendar Serverにログインしていることを確認してください。


注意:

マスター・ノードを含むマシンが、クラスタ内の別のマシンに切り替わった場合、マスター・ノードは現在物理ホスト名を使用するクライアントとして動作するため、Oracle Calendar Web Clientでのログインが失敗することがあります。