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Oracle Collaboration Suiteインストレーション・ガイド
10gリリース1(10.1.1)for Solaris Operating System(SPARC)
B19344-02
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2 Oracle Collaboration Suiteのインストールの準備

Oracle Collaboration Suiteをインストールする前に、この章で説明されている要件をコンピュータが満たしていることを確認してください。

この章の内容は次のとおりです。

2.1 ハードウェア要件

この項では、Oracle Collaboration Suiteをインストールする場合に必要となるハードウェア構成について説明します。

表2-1に、Oracle Collaboration Suiteを実行する場合のシステム要件を示します。

インストーラでは、インストール・プロセスを開始するときにこれらの要件がチェックされ、いずれかの要件が満たされていない場合は警告が表示されます。このため、インストーラによってチェックされない要件のみを手動でチェックすると効率的です。

次のコマンドを実行すれば、インストールを実行せずに、インストーラによるシステム・チェックを実行することもできます。runInstaller実行可能ファイルはOracle Collaboration Suite DVDにあります。

# mount_point/runInstaller -executeSysPrereqs

結果はログ・ファイルに書き込まれるだけでなく、画面にも表示されます。実行されるチェックの詳細は、2.10項を参照してください。

表2-1 Solarisシステムのハードウェア要件

項目 最小要件 インストーラによるチェック
プロセッサの種類 SPARCプロセッサ。プロセッサはv9アーキテクチャを採用している必要があります。 なし
プロセッサの処理速度 450MHz以上推奨。複数のCPUを搭載したコンピュータをお薦めします。

プロセッサの処理速度を測定するには、次のように-vオプションを指定してpsrinfoコマンドを入力します。

# /usr/sbin/psrinfo -v
なし
ネットワーク コンピュータをネットワークに接続する必要があります。Oracle Collaboration Suiteは、ネットワークに接続されていないスタンドアロン・コンピュータにインストールできません。

LinuxおよびMicrosoft Windowsでは、スタンドアロン・コンピュータにOracle Collaboration Suiteをインストールできます。

なし
IP コンピュータのIPアドレスは静的である必要があります。Oracle Collaboration Suiteは、Solaris DHCPを使用するシステムをサポートしていません。

LinuxおよびMicrosoft WindowsではDHCPがサポートされています。

なし
メモリー インストーラでは、コンピュータのメモリー容量がチェックされます。次の最小メモリー要件が満たされていない場合は、インストールを続行できません。

Oracle Collaboration Suite 10gインフラストラクチャ: 1GB

Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーション: 1GB

Oracle Collaboration Suite 10gデータベース: 1GB

注意: 1台のコンピュータにOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャおよびアプリケーションをインストールする場合は、2GB以上が推奨されます。

メモリー容量を確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/prtconf | grep Memory

この値は、1台のコンピュータで1つのOracle Collaboration Suiteインスタンスのみを実行することを想定した値です。

各種のインストール・タイプで指定されているメモリー要件は、Oracle Collaboration Suiteをインストールして実行する場合に必要となる物理メモリーです。ただし、ほとんどの本番サイトでは、2GB以上の物理メモリーを構成する必要があります。大量のトラフィックがあるサイトでは、さらにメモリー容量を増加すると、パフォーマンスが向上する場合があります。

インストールの最適メモリー量を確認するには、サイトのロード・テストを行う必要があります。リソース要件は、アプリケーションや使用形態の違いによって大幅に異なる場合があります。また、オペレーティング・システムのメモリー監視ユーティリティでは、メモリー使用量が実際より多く表示される場合があります(一部は共有メモリーが表示されることが原因)。メモリー要件を判断するには、ロード・テストで追加した物理メモリーによって達成されるパフォーマンスの向上を監視します。テストのためのメモリーおよびプロセッサ・リソースの構成方法の詳細は、プラットフォーム・ベンダーのドキュメントを参照してください。

あり
ディスク領域 インストーラでは、不正確なディスク領域の数値が表示される場合があります。ディスク領域の要件は、次のとおりです。

Oracle Collaboration Suite 10gインフラストラクチャ: 8GB

Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーション: 5GB

Oracle Collaboration Suite 10gデータベース: 5.4GB

空きディスク領域の容量を確認するには、dfコマンドを使用します。

# df -k dir

Oracleホーム・ディレクトリがまだ存在していない場合は、dirをOracleホーム・ディレクトリまたは親ディレクトリに置き換えます。たとえば、Oracle Collaboration Suiteを/private/oracle/infraにインストールする場合は、dir/private/oracleまたは/private/oracle/infraに置き換えます。

なし
/tmpディレクトリの領域 250MB

/tmpディレクトリの空きディスク領域の容量を確認するには、次のコマンドを入力します。

# df -k /tmp

/tmpディレクトリに十分な空き領域がない場合は、TMP環境変数を設定して別のディレクトリを指定します。詳細は、2.7.6項を参照してください。

あり
スワップ領域 1.5GBの使用可能スワップ領域

使用可能なスワップ領域の容量を確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/swap -l

追加のスワップ領域を構成する方法は、必要に応じてオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

あり
モニター 256色表示

モニターの表示機能を確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/openwin/bin/xwininfo

Depthの行を確認します。各ピクセルに8ビット以上の深度が必要です。

あり

2.1.1 Real-Time Collaborationに対する考慮事項

Oracle Real-Time Collaborationコンポーネントでは、クライアントとサーバー間の通信を処理する際に、ロード・バランシングが実行されます。リダイレクタでは、クライアントからのリクエストをルーティングする際に、どのマルチプレクサまたは通信マネージャのプロセスが使用可能かを判断します。マルチプレクサでは、Web Conferencingクライアントとの通信のやり取りをルーティングする際に、どのWeb Conferencingサーバー・プロセスが使用可能かを判断します。

Oracle中間層サーバーで処理されるプロセスの管理に、ロード・バランサを使用することを選択しても構いません。その場合は、次の考慮事項に留意してください。

  • ロード・バランサの背後にあるすべてのシステムには、イントラネット・ルータブルIPアドレスが必要で、少なくとも標準のHTTPポートとHTTPSポート(80と443)でインターネットから直接アクセスできる必要があります。

  • 地理的ロード・バランサ(地理的位置の間でロードを分散させるロード・バランサ)を使用する場合、地理的分布に基づいてシステムを分割するために、Oracle Real-Time Collaborationクラスタを作成する必要があります。


注意:

Oracle Messengerでもポート5222および5223を使用しますが、場合によってはインターネットに対してオープンにする必要があります。

2.1.2 メモリー使用量を削減するためのヒント

メモリー消費量を削減するには、次のようにします。

  • 必要なコンポーネントのみを構成します。

  • インストール後、必要なコンポーネントのみを起動します。詳細は、『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』を参照してください。

  • 必要なコンポーネントを含む最小のアプリケーション層タイプを選択します。

  • インスタンスを管理する必要がある場合にのみApplication Server Controlを実行します。ほとんどの場合、Application Server Controlを常に実行する必要はありません。

    複数のOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャ・インスタンスを1台のコンピュータで実行している場合、各Application Server Controlが大量のメモリーを消費する可能性があります。必要な場合にのみApplication Server Controlを実行することで、他のコンポーネント用にメモリーを解放できます。

  • 複数のインスタンスが管理できるようにApplication Server Controlを構成します。詳細は、『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』を参照してください。

2.2 ソフトウェア要件

インストーラでは、必要なオペレーティング・システム・パッチがコンピュータに適用されているかどうかもチェックされます。必要なパッチが適用されていないことが確認された場合は、エラーが表示されます。

コンピュータのソフトウェア要件以外に、互換性のあるブラウザが必要となります。

サポートされているブラウザは、次のとおりです。


注意:

サポートされているオペレーティング・システム固有のソフトウェアおよびオペレーティング・システムのバージョンの最新リストは、次のURLのOracleMetaLinkを参照してください。

http://metalink.oracle.com


2.2.1 オペレーティング・システム・パッチ

表2-2に、Oracle Collaboration Suiteのインストール前にインストールする必要があるSolarisオペレーティング・システムのパッチを示します。これらはJ2SEパッチ・クラスタを構成するパッチです。パッチは次のサイトからダウンロードできます。

http://sunsolve.sun.com

パッチのインストール方法は、パッチとともに提供されるREADMEファイルを参照してください。


注意:

表2-2に示されているパッチは公開時のものですが、Sun社がJ2SEに必要なパッチのリストを更新する場合があります。http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/J2SEで「Readme」リンクをクリックすると、パッチの最新リストが表示されます。

表2-2 Solarisオペレーティング・システムに必要なパッチ

オペレーティング・システム 必要なパッチ
Solaris 8
  • 108652-82以上: X11 6.4.1: Xsunのパッチ
  • 108921-21以上: CDE 1.4: dtwmのパッチ

  • 108940-62以上: Motif 1.2.7および2.1.1: ランタイム・ライブラリのパッチ

  • 108773-18以上: IIIMおよびX入出力メソッドのパッチ

  • 111310-01以上: /usr/lib/libdhcpagent.so.1のパッチ

  • 109147-28以上: リンカーのパッチ

  • 111308-04以上: /usr/lib/libmtmalloc.so.1のパッチ

  • 112438-03以上: /kernel/drv/randomのパッチ

  • 108434-17以上: C++用32ビット共有ライブラリのパッチ

  • 108435-17以上: C++用64ビット共有ライブラリのパッチ

  • 111111-04以上: /usr/bin/nawkのパッチ

  • 112396-02以上: /usr/bin/fgrepのパッチ

  • 110386-03以上: RBAC機能のパッチ

  • 111023-03以上: /kernel/fs/mntfsおよび/kernel/fs/sparcv9/mntfsのパッチ

  • 111317-05以上: /sbin/initおよび/usr/sbin/initのパッチ

  • 113648-03以上: /usr/sbin/mountのパッチ

  • 115827-01以上: /sbin/suloginおよび/sbin/netstrategyのパッチ

  • 116602-01以上: /sbin/uadminおよび/sbin/hostconfigのパッチ

  • 108987-13以上: patchaddおよびpatchrm用のパッチ

  • 108528-29以上: カーネルの更新パッチ

  • 108989-02以上: /usr/kernel/sys/acctctlおよび/usr/kernel/sys/exacctsysのパッチ

  • 108993-36以上: LDAP2クライアント、libc、libthreadおよびlibnslライブラリのパッチ

  • 109326-14以上: libresolv.so.2およびin.namedのパッチ

  • 110615-11以上: sendmailのパッチ

Solaris 9
  • 113096-03以上: X11 6.6.1: OWconfigのパッチ
  • 112785-35以上: X11 6.6.1: Xsunのパッチ


コンピュータにインストールされているオペレーティング・システム・パッチのリストの取得方法

コンピュータにインストールされているパッチを確認するには、次のようにします。

  1. -pオプションを指定してshowrevコマンドを入力します。次のコマンドを使用すると、ソートされたされた出力がpatchListというファイルに保存されます。

    # showrev -p | sort > patchList
    
    
  2. viまたはemacsなどのテキスト・エディタでファイルを開き、パッチ番号を検索します。

インストーラによるオペレーティング・システム・パッチの有無の確認方法

インストーラでは、コンピュータに必要なバージョンのパッチが検索されます。正確に一致するものが見つからない場合、インストーラを起動したシェルに警告メッセージが表示されます。

# mount_point/runInstaller
...
... installer performs prerequisite checks here ...
...
Some optional pre-requisite checks have failed. Continue? (y/n) [n] n

インストーラを終了または続行します。

すべてのパッチがない場合、nと入力してインストーラを終了します。パッチをダウンロードしてインストールする必要があります。

必要なパッチがすべてインストールされていることを確認できた場合のみ、yと入力して続行します。

2.2.2 オペレーティング・システム・パッケージ

コンピュータに次のオペレーティング・システム・パッケージがあることを確認します。パッケージが存在しない場合、インストーラを続行できません。

  • SUNWarc

  • SUNWbtool

  • SUNWhea

  • SUNWlibm

  • SUNWlibms

  • SUNWsprot

  • SUNWsprox


    注意:

    このパッケージは、オペレーティング・システムのバージョンがSolaris 10(SPARC 64ビット)の場合は不要です。

  • SUNWtoo

  • SUNWi1of(iの後ろの文字は、エルではなく数字の1です。)

  • SUNWxwfnt

  • SUNWi1cs(iの後ろの文字は、エルではなく数字の1です。)

  • SUNWi15cs(iの後ろの文字は、エルではなく数字の1です。)

最後の2つのパッケージ(SUNWi1csおよびSUNWi15cs)は、コード・セットがISO8859-1およびISO8859-15の場合に必要です。

コンピュータにオペレーティング・システム・パッケージがインストールされているかどうかを確認するには、そのパッケージの名前を指定してpkginfoコマンドを入力します。pkginfoを実行する構文は次のとおりです。

pkginfo package_name1 package_name2 ...

たとえば、リストされているすべてのパッケージがコンピュータにインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

# pkginfo SUNWarc SUNWbtool SUNWhea SUNWlibm SUNWlibms SUNWsprot SUNWsprox SUNWtoo SUNWi1of SUNWxwfnt SUNWi1cs SUNWi15cs

コンピュータにパッケージがない場合、システム管理者に問い合せてください。

2.3 カーネル・パラメータ

Oracle Collaboration Suiteのインストールでは、システム・カーネル・パラメータを構成する必要があります。この要件を満たすことは、本番環境で特に重要となります。カーネル・パラメータの設定を確認し、Oracle Collaboration Suiteの要件を満たしていることを確認します。


注意:

  • 表に示す値よりパラメータの現在の値が大きい場合は、そのパラメータの値を変更しないでください。

  • カーネル・パラメータの値が要件を満たしていない場合、インストーラにエラー・メッセージが表示されます。カーネル・パラメータを必要な値に更新するまで、インストールを続行できません。カーネル・パラメータの値を更新した場合、新しい値を有効にするには、コンピュータを再起動する必要があります。


表2-3に、カーネル・パラメータおよび必要な最小設定を示します。

表2-3 Solarisシステムのカーネル・パラメータ設定

パラメータ 最小値を示す/etc/system内の行 説明
msgmax set msgsys:msginfo_msgmax=4096 最大メッセージ・サイズを定義します。
msgmnb set msgsys:msginfo_msgmnb=360000 メッセージ・キューでの最大バイト数を定義します。
msgmni set msgsys:msginfo_msgmni=3774 キュー識別子の数を定義します。
msgtql set msgsys:msginfo_msgtql=2500 メッセージ・ヘッダーの数を定義します。
semaem set semsys:seminfo_semaem=16384 セマフォのUNDO操作で変更可能なセマフォの最大値を定義します。
semmni set semsys:seminfo_semmni=554 システム全体のセマフォ・セットの最大数を定義します。
semmnu
set semsys:seminfo_semmnu=1042
セマフォUNDO構造体の数を定義します。
semmns set semsys:seminfo_semmns=1024 システムでの最大セマフォを定義します。単一のデータベース(インストールするOracle Collaboration Suite 10gインフラストラクチャ)を稼働するコンピュータにおける最小値は、256です。

データベースをすでにコンピュータ上で稼働している場合は、「semmnsパラメータの最小値の決定」を参照してください。

semopm set semsys:seminfo_semopm=12 各semopコールの最大操作数を定義します。
semmsl set semsys:seminfo_semmsl=256 初回インストールの場合のみの最小推奨値を定義します。

注意: データベースのプロセス値を増加した場合、その値と一致するようにsemmslパラメータの値を変更する必要があります。その後、システムを再起動する必要があります。

semume set semsys:seminfo_semume=42 任意のプロセスでUNDO操作を保留にできるIPCセマフォの最大数を定義します。
semvmx set semsys:seminfo_semvmx=32767 セマフォの最大値を定義します。
shmmax set shmsys:shminfo_shmmax=4294967295 1つの共有メモリー・セグメントの最大許容サイズ(4 GB = 4294967295)を定義します。
shmmin set shmsys:shminfo_shmmin=1 1つの共有メモリー・セグメントの最小許容サイズを定義します。

注意: このパラメータは、Solaris 9では使用されません。

shmmni set shmsys:shminfo_shmmni=100 システム全体の共有メモリー・セグメントの最大数を定義します。

注意: アプリケーション層のインストールの場合、shmmniパラメータの値は117以上に設定する必要があります。

shmseg set shmsys:shminfo_shmseg=10 1つのプロセスで接続可能な共有メモリー・セグメントの最大数を定義します。

注意: このパラメータは、Solaris 9では使用されません。

注意: アプリケーション層のインストールの場合、shmsegパラメータの値は17以上に設定する必要があります。

rlim_fd_max set rlim_fd_max=4117 1つのプロセスでオープンにできるファイル記述子の強い制限を定義します。
rlim_fd_cur set rlim_fd_cur=1024 オープン・ファイルの弱い制限を定義します。
noexec_user_stack set noexec_user_stack=1 スタックが実行不可能とマーク付けされるように定義します。このため、バッファオーバーフローに攻撃されにくくなります。

Oracle Collaboration Suiteデータベースのプロセス・パラメータの最小値の決定

Oracle Collaboration Suiteデータベースのprocessesパラメータは、すべてのアプリケーション層のすべてのコンポーネントのすべての接続の合計に、その他のアプリケーションで使用されるプロセスを加えたものであることが必要です。

Oracle Collaboration Suiteデータベースのprocessesパラメータのデフォルト値は250です。アプリケーション層の各システムに対するこの値は概算で次のようになります。

この他に、およそ40の値が内部プロセス用に確保されているため、合計は約200になります。追加バッファとしてさらに50が用意されており、デフォルト値は250になります。

構成されているコンポーネントが少ない場合、この数値は小さくなります。ただし、本番環境では、Oracle Collaboration Suiteデータベースのprocessesパラメータは、各デプロイで構成されているコンポーネントごとのデータベース接続の合計として構成する必要があります。

たとえば、1つのデプロイに、Simple Mail Transfer Protocol(SMTP)とIMAPを実行している3つのアプリケーション層があるとします。各アプリケーション層のSMTPおよびIMAPは、それぞれ100のデータベース接続に対応するように管理者が構成できます。このため、これらのプロセスについて、データベースでプロセスが不足しないように、Oracle Mailデータベースのprocessesパラメータを、2 x 3 x 100 = 600まで増やす必要があります。


注意:

最適なプロセス数とコンポーネント当たりの最大接続数の決定は、チューニングにおける課題です。システムの使用パターンについてさらに情報を得てからチューニングを実行します。

semmnsパラメータの最小値の決定

Oracleデータベースをまだ稼働していないコンピュータにOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャをインストールする場合(つまり、インフラストラクチャがコンピュータ上で稼働する唯一のコンポーネントになる場合)、semmnsパラメータを最小値の256に設定します。

Oracleデータベースをすでに稼働しているコンピュータにインフラストラクチャをインストールする場合、semmnsパラメータを、すべてのOracleデータベース(インフラストラクチャを含む)のprocesses初期化パラメータの合計に、最大値の2倍と、1つのデータベースにつき10を加えた値に設定します。

Oracle Collaboration Suiteデータベースのprocessesパラメータのデフォルト値は250です。

例: コンピュータでOracleデータベースがすでに稼働している場合、processesパラメータは250に設定されています。この場合、semmnsパラメータは920に設定する必要があります。次にその計算方法を説明します。

Oracleデータベースのprocessesパラメータの値を確認するには、SQL*Plusで次のコマンドを入力します。

# sqlplus "sys/password as sysdba"
SQL> show parameters processes

前述の構文で、passwordにはSYSユーザーのパスワードを指定します。

カーネル・パラメータの値を追加または更新するには、次のようにします。

  1. 値を変更するコンピュータでrootユーザーになります。

  2. /etc/systemファイルのバックアップ・コピーを作成します。たとえば、次のコマンドを使用するとsystem.backというバックアップ・コピーが作成されます。

    # cp /etc/system /etc/system.back
    
    
  3. viまたはemacsなどのテキスト・エディタを使用して、必要に応じて/etc/systemファイルの値を更新するか新しい行を追加します。次の行にパラメータの値の例を示します。

    set semsys:seminfo_semmni=300
    set semsys:seminfo_semmns=800
    set semsys:seminfo_semmsl=256
    set shmsys:shminfo_shmmax=4294967295
    set shmsys:shminfo_shmmin=1
    set shmsys:shminfo_shmmni=512
    set shmsys:shminfo_shmseg=150
    
    

    注意:

    /etc/systemファイルのコメント文字は、シャープ記号(#)ではなくアスタリスク(*)です。

  4. コンピュータを再起動して、新しい値を有効にします。

2.4 ポート

Oracle Collaboration Suiteインフラストラクチャのコンポーネント(Oracle HTTP Server、OracleAS Web Cache、Oracle Enterprise Managerなど)およびOracle Collaboration Suiteアプリケーションでは、ポートを使用します。インストーラで、デフォルトのポート番号を割り当てることも、指定したポート番号(1024未満のポート番号を含む)を使用することもできます。

この項の内容は次のとおりです。

Oracle HTTP Serverのデフォルト・ポートがポート80ではなくポート7777である理由

デフォルトでは、インストーラによってポート80ではなくポート7777を使用するようにOracle HTTP Serverが構成されます。UNIXで1024未満のポート番号を使用するコンポーネントを実行するには、rootユーザーとして追加の手順を行う必要があるため、ポート7777がデフォルトのポートとなっています。インストーラにはrootアクセスがないため、1024より大きいポートを使用する必要があります。

Oracle HTTP Serverでポート80などの別のポートを使用する場合は、コンポーネントのポート番号を指定できる静的ポート機能を使用します。ポート番号はインストール後に変更できますが、インストール時にポート番号を設定することをお薦めします。

2.4.1 ポートが使用されているかどうかの確認

ポートが使用されているかどうかを確認するには、次のようにnetstatコマンドを入力して使用されているポートを表示します。

# netstat -an | grep port_num

注意:

確認には、/usr/sbin/lsof -i :port_numコマンドも使用できます。

前述の構文で、port_numは確認するポート番号です。

2.4.2 デフォルトのポート番号の使用

Oracle HTTP Server、OracleAS Web CacheおよびOracle Enterprise Managerのデフォルトのポート番号を使用する場合は、何もする必要はありません。インストーラでコンポーネントに割り当てられるデフォルトのポート番号のリストは、付録Gを参照してください。


注意:

/etc/servicesファイルに指定されているポート番号は割り当てられません。特定のポート番号が割り当てられないようにするには、/etc/servicesファイルにポート番号を追加します。たとえば、ポート7777をアプリケーション用に予約する場合、/etc/servicesに次のような行を追加します。
myApplication 7777/tcp

この行が/etc/servicesファイルに存在する場合、ポート7777はどのコンポーネントにも割り当てられません。



注意:

UNIXオペレーティング・システムのデフォルト構成では、/etc/servicesファイルにポート389および636(LDAPおよびLDAP/SSL用)が含まれています。これらは、Oracle Internet Directoryのデフォルト・ポートです。つまり、これらのポート番号をOracle Internet Directoryで使用するには、/etc/servicesファイルの次の行を削除するか、コメント・アウトする必要があります。行をコメント・アウトするには、次のように行の先頭に#を追加します。
# ldap 389/tcp # Lightweight Directory Access Protocol
# ldap 389/udp # Lightweight Directory Access Protocol
# ldaps 636/tcp # LDAP protocol over TLS/SSL (was sldap)
# ldaps 636/udp # LDAP protocol over TLS/SSL (was sldap)

/etc/servicesのこれらの行をコメント・アウトせず、削除もしない場合、ポート389および636は割り当てられません。Oracle Internet Directoryのポート番号範囲内の番号が割り当てられます。


Oracle Collaboration SuiteインフラストラクチャとOracle Collaboration Suiteアプリケーションを同じコンピュータにインストールする場合

複数のインスタンス(Oracle Collaboration Suiteインフラストラクチャとアプリケーション層、または複数のアプリケーション層など)を同じコンピュータにインストールする場合、そのコンピュータにインストールする最初のインスタンスのみがデフォルト・ポートを使用します。追加のインスタンスをインストールすると、最初のインスタンスがすでにデフォルト・ポートを使用していることが検出され、追加したインスタンスには他のポートが割り当てられます。

このことが最も顕著に表れるコンポーネントは、次の例に示すOracle HTTP ServerとOracleAS Web Cacheです。

表2-4 異なる例でのOracle HTTP Serverポート

非SSLポート SSLポート
Oracle Collaboration Suiteインフラストラクチャとアプリケーション層を同じコンピュータにインストール Oracle Collaboration SuiteインフラストラクチャのOracle HTTP Server: 7777

アプリケーション層のOracle HTTP Server: 80

Oracle Collaboration SuiteインフラストラクチャのOracle HTTP Server: 4443

アプリケーション層のOracle HTTP Server: 443

2つのアプリケーション層を同じコンピュータにインストール 最初のアプリケーション層のOracle HTTP Server: 80

2番目のアプリケーション層のOracle HTTP Server: 7777

最初のアプリケーション層のOracle HTTP Server: 443

2番目のアプリケーション層のOracle HTTP Server: 4443


2.4.3 カスタム・ポート番号の使用(静的ポート・ファイル)

デフォルトのポートを使用するかわりに、インストール時にOracle Collaboration Suiteコンポーネントに対してカスタム・ポート番号を割り当てることができます。これには、コンポーネント名とポート番号を含むファイルを作成する必要があります。2.4.3.1項で、ファイルの書式について説明します。通常、このファイルはstaticports.iniファイルですが、任意の名前を付けることができます。

インストーラにコンポーネントのカスタム・ポート番号の割当てを指示するには、runInstallerコマンドのパラメータとしてstaticports.iniへのパスを次のように指定する必要があります。

./runInstaller oracle.ocs.infrastructure:s_staticPorts=path_to_your_ini_file(Oracle Collaboration Suite 10gインフラストラクチャのインストール用)

./runInstaller oracle.ocs.midtier:s_staticPorts=path_to_your_ini_file(Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーションのインストール用)

./runInstaller oracle.ocs.onebox:s_staticPorts=path_to_your_ini_file(Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーションおよびインフラストラクチャのインストール用)

ファイルのフルパスを指定しないと、インストーラではファイルを検出できません。インストーラでは、警告を表示しないですべてのコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。


注意:

staticports.iniファイルを使用してカスタム・ポート番号を指定すると、インストーラには「ポート構成オプションの指定」画面が表示されません。

2.4.3.1 staticports.iniファイルの書式

staticports.iniファイルの書式は、次のとおりです。port_numを、コンポーネントに使用するポート番号に置き換えます。

# staticports.ini Template File

# This file is a template for specifying port numbers at installation time.
# To specify a port number, uncomment the appropriate line (remove #) and
# replace "port_num" with the desired port number.
# You can then launch Oracle Universal Installer with special options to use this
# file.
# Please refer to Oracle Collaboration Suite 10.1.1.0.2 Installation Guide for
# instructions.

# Ports common to Infrastructure and Applications install

# Oracle HTTP Server port =  port_num
# Oracle HTTP Server Listen port = port_num
# Oracle HTTP Server SSL port = port_num
# Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_num
# Oracle HTTP Server Diagnostic port = port_num
# ASG port = port_num
# Application Server Control port = port_num
# Application Server Control RMI port = port_num
# Java Object Cache port = port_num
# Log Loader port = port_num
# DCM Discovery port = port_num
# Oracle Notification Server Request port = port_num
# Oracle Notification Server Local port = port_num
# Oracle Notification Server Remote port = port_num
# Oracle Management Agent port = port_num

# Ports specific to Infrastructure install
# Oracle Internet Directory port = port_num
# Oracle Internet Directory (SSL) port = port_num
# Enterprise Manager Console HTTP port = port_num
# Enterprise Manager Agent port = port_num

# Ports specific to Applications install
# Web Cache HTTP Listen port = port_num
# Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_num
# Web Cache HTTP Administration port = port_num
# Web Cache Invalidation port = port_num
# Web Cache Statistics port = port_num
# Oracle Net Listener = port_num
# Oracle Mail IMAP4 port = port_num
# Oracle Mail IMAP4 Secure port = port_num
# Oracle Mail POP3 port = port_num
# Oracle Mail POP3 Secure port = port_num
# Oracle Mail SMTP port = port_num
# Oracle Mail NNTP port = port_num
# Oracle Mail NNTP Secure port = port_num
# Oracle Calendar server = port_num
# Oracle Calendar server manager (CSM) = port_num
# Wireless PIM Notification Dispatcher = port_num
# Wireless PIMAP UDC Dispatcher = port_num
# RTC Redirector Server port= port_num
# RTC Redirector MX port= port_num
# RTC Redirector XMPP port= port_num
# RTC Redirector Secure XMPP port= port_num
# RTC process monitor port = port_num
# RTC messenger director server first port = port_num
# RTC messenger director server second port = port_num
# RTC messenger multiuser chat port = port_num
# RTC messenger connection manager port = port_num
# RTC messenger statistics collection port = port_num
# RTC messenger server to server connection port = port_num
# RTC messenger group service port = port_num
# RTC messenger voice proxy port = port_num


注意:

Oracle Collaboration SuiteインフラストラクチャとOracle Collaboration Suiteアプリケーションを1台のコンピュータにインストールする場合、staticports.ini.oneboxテンプレートを使用する必要があります。

このファイルを簡単に作成するには、DVDのstaticports.iniファイルをテンプレートとして使用します。

  1. staticports.iniファイルをDVDからハード・ディスクにコピーします。

    表2-5に、DVDのstaticports.iniファイルの場所を示します。

    表2-5 DVDのstaticports.iniファイルの場所

    メディア staticports.iniファイルの場所
    DVD-ROM ディスク1: mount_point/response/staticports.ini

  2. 必要なポート番号が含まれるようにローカル・コピー(ハード・ディスク上のファイル)を編集します。

    staticports.iniファイルのすべてのコンポーネントにポート番号を指定する必要はありません。コンポーネントがファイルに表示されていない場合、インストーラでは、そのコンポーネントに対してデフォルトのポート番号が使用されます。

    インフラストラクチャ・データベースのリスナーで使用するポート(ポート1521)はインストール中には変更できませんが、インストール後に変更できます。

    次の例では、Application Server ControlのポートおよWeb Cacheの一部のポートを設定します。指定されていないコンポーネントには、インストーラによってデフォルトのポート番号が割り当てられます。

    Application Server Control port = 2000
    Web Cache Administration port = 2001
    Web Cache Invalidation port = 2002
    Web Cache Statistics port = 2003
    
    

    インストールが終了した後、ORACLE_HOME/install/portlist.iniファイルを調べて割り当てられたポートを確認できます。


ポート番号を選択する場合の注意:

  • ポート番号は65536より大きくできません。

  • コンポーネントに1024未満のポート番号を使用する場合は、そのコンポーネントをrootユーザーとして実行する必要があります。

  • コンポーネントに1024未満のポート番号を使用すると、インストーラではインストール終了時にそのコンポーネントを起動できません。コンポーネントは、起動する前に構成しておく必要があります。詳細は、該当するコンポーネントのドキュメントを参照してください。

  • Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheのポート番号を設定する場合、必ず2.4.4項を読んでください。


インストーラでは、メモリーをチェックして、ファイルで指定されているポートが使用可能であるかどうかが確認されます。つまり、インストーラでは、実行中のプロセスで使用されているポートのみを検出できます。インストーラでは、アプリケーションで使用されているポートを確認する場合、構成ファイルは検索されません。

指定したポートが使用不可能であることがインストーラで検出されると、アラートが表示されます。インストーラでは、使用不可能なポートは割り当てられません。この問題を修正するには、次の手順を実行します。

  1. staticports.iniファイルを編集して別のポートを指定するか、またはそのポートを使用しているアプリケーションを停止します。

  2. 「再試行」をクリックします。インストーラでstaticports.iniファイルが再度読み込まれ、ファイル内のエントリが再検証されます。


ヒント:

staticports.iniファイルには、Oracle Collaboration Suiteをインストールした後に作成されるORACLE_HOME/install/portlist.iniファイルと同じ書式を使用します。Oracle Collaboration Suiteをインストールし、同じポート番号を別のインストールに使用する場合は、最初のインストールのportlist.iniファイルを後続のインストールのstaticports.iniファイルとして使用できます。

2.4.3.2 インストーラが指定されたポートではなくデフォルト・ポートを使用する原因となるエラー条件

staticports.iniファイルを調べます。間違いがあると、警告を表示せずにインストーラでデフォルト・ポートが使用される場合があります。次のことに注意する必要があります。

  • 2つ以上のコンポーネントに同じポートを指定する場合、インストーラでは最初のコンポーネントに指定したポートが使用されますが、その他のコンポーネントにはデフォルト・ポートが使用されます。複数のコンポーネントに同じポートを指定した場合、警告は表示されません。

  • 複数の行で1つのコンポーネントに異なるポートを指定した場合、そのコンポーネントにはデフォルト・ポートが割り当てられます。1つのコンポーネントに異なるポートを指定した場合、警告は表示されません。

  • staticports.iniファイルに構文エラーがある場合(行の=文字が抜けている場合など)、その行は無視されます。インストーラでは、これらの行で指定されているコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。行に構文エラーがある場合、警告は表示されません。

  • コンポーネント名が間違っている場合、インストーラではそのコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。このファイルのコンポーネント名は、大/小文字が区別されます。名前が認識されない行に対する警告は表示されません。

  • ポート番号に数字以外の値を指定した場合、インストーラではその行が無視され、そのコンポーネントにデフォルトのポート番号が割り当てられます。この場合、警告は表示されません。

  • コマンドラインでパラメータを間違えた場合、警告は表示されません。処理が続行され、すべてのコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。

  • コマンドラインでstaticports.iniファイル(./staticports.inistaticports.iniなど)に相対パスを指定した場合、インストーラではそのファイルは検出されません。警告を表示せずに処理が続行され、すべてのコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。staticports.iniファイルには、フルパスを指定する必要があります。

  • 実行中のインストール・タイプとコマンドラインで指定したパラメータが一致しない場合(たとえば、インフラストラクチャをインストールしているのに、アプリケーションのパラメータを指定した場合)、警告は表示されません。処理が続行され、すべてのコンポーネントにデフォルト・ポートが割り当てられます。

2.4.4 Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheのポート

これらのコンポーネントにポートを設定する場合は、次のことを理解する必要があります。

Oracle HTTP Serverのhttpd.confファイルでは、PortおよびListenディレクティブにより、図2-1に示すように、OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverで使用するポートを指定します。

図2-1 OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverの両方の構成

ポート構成
図ports_wc.gifの説明

OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverを構成する場合

  1. OracleAS Web Cacheのポートを設定します。

    OracleAS Web Cacheでは、Portディレクティブによって指定されたポートを使用します。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen port = port_number
    
    

    OracleAS Web CacheのSSLポートを構成するには、次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_number
    
    

    この場合は、Oracle HTTP Server portの行を使用してポート番号を設定できません。staticports.iniファイルにOracle HTTP Server portWeb Cache HTTP Listen portの両方が含まれている場合、Oracle HTTP Server portの行は無視されます。たとえば、staticports.iniファイルに次の行があると、Portディレクティブは7979に設定されます。

    Web Cache HTTP Listen port = 7979
    Oracle HTTP Server port = 8080
    
    
  2. Oracle HTTP Serverのポートを設定します。

    Oracle HTTP Serverでは、Listenディレクティブによって指定されたポートを使用します。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen port = port_number
    
    

    SSLリスニング・ポートを構成するには、次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_number
    

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合(OracleAS Web Cacheなし)

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合、Oracle HTTP ServerではPortディレクティブとListenディレクティブの両方が使用されます。この場合、両方のディレクティブが同じポート番号を使用するように設定する必要があります。

これらのポートを設定するには、staticports.iniファイルの「Oracle HTTP Server port」行および「Oracle HTTP Server Listen port」行を使用します。次に例を示します。

Oracle HTTP Server port = 8080
Oracle HTTP Server Listen port = 8080

これらのポートのSSL版を設定するには、次の行を使用します。非SSL版の場合と同様に、ポート番号は同一になるようにします。

Oracle HTTP Server SSL port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 443

OracleAS Web Cacheは構成しないため、staticports.iniにWeb Cacheの行を指定しても無視されます。

2.4.4.1 staticports.iniファイルを使用する例

この項では、staticports.iniの一般的な使用例について説明します。

OracleAS Web Cacheをフロントエンドとして、ポート80と443を使用するようにOracle HTTP Serverを構成

この使用例では、次の行を含むstaticports.iniファイルを作成します。

Web Cache HTTP Listen port = 80
Oracle HTTP Server Listen port = 81
Web Cache HTTP Listen (SSL) port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 444

Oracle HTTP Server ListenおよびSSL Listenのポートは、使用可能な任意のポートに設定できます。この例ではポート81と444を使用します。これらのポート番号は、1024未満にしないでください。1024未満のポート番号を選択した場合は、Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheをrootユーザーとして起動する必要があります。


注意:

1024未満のポート番号を使用しているため、Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheをrootユーザーとして実行するように構成する必要があります。この構成は、インストール中またはインストール後に実行できます。
  • インストール中に構成を実行するには、root.shを実行した後、「OK」をクリックする前に、4.4.4項の手順に従う必要があります。root.shは、インストールの後半で実行します。

  • 構成はインストール後に実行できますが、インストーラでは、まだ構成されていないためにコンポーネントを起動できません。

詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』および『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』を参照してください。


OracleAS Web Cacheなしで、ポート80と443を使用するようにOracle HTTP Serverを構成

この使用例では、次の行を含むstaticports.iniファイルを作成します。

Oracle HTTP Server port = 80
Oracle HTTP Server Listen port = 80
Oracle HTTP Server SSL port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 443

2.4.5 ポート1521が使用されている場合

コンピュータのポート1521がOracle Database 10gリスナーなどの既存のアプリケーションによってすでに使用されている場合は、インストーラを実行する前にいくつかの操作を行う必要がある場合があります。詳細は、次の項を参照してください。

2.4.5.1 ポート1521が既存のOracleデータベースによって使用されている場合

すでにOracleデータベースを実行しているコンピュータ上のOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャに新規データベースをインストールする場合は、両方のデータベースのリスナーが競合しないようにします。

既存のOracleデータベースとOracle Collaboration Suiteデータベースの両方に同じリスナーを使用できます。ポート番号だけでなく、既存のリスナーのバージョンも考慮します。表2-6に、各種の使用例とそれぞれの結果を示します。

インストール後、インフラストラクチャ・リスナーで別のポートを使用するように変更できます。詳細は、『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』を参照してください。

表2-6 すでにデータベースのあるコンピュータにインフラストラクチャをインストールする場合の使用例と結果

既存のリスナーのリリース 既存のリスナーはポート1521を使用 既存のリスナーは1521以外のポートを使用
10.1.0.2より前 既存のデータベース用とOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャ用に2つのリスナーが必要です。

「使用例1: 既存のリスナーはポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2より前」を参照してください。

既存のデータベース用とOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャ用に2つのリスナーが必要です。

「使用例3: 既存のリスナーが1521以外のポートを使用」を参照してください。

10.1.0.2以上 既存のリスナーでは、既存のデータベースとOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャの両方がサポートされています。

「使用例2: 既存のリスナーはポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2以上」を参照してください。

既存のデータベース用とOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャ用に2つのリスナーが必要です。

「使用例3: 既存のリスナーが1521以外のポートを使用」を参照してください。


リスナーのリリースを確認するには、次のコマンドを入力します。

# $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl VERSION

このコマンドで、ORACLE_HOMEは、データベースのホーム・ディレクトリです。

同じコマンドを使用してリスナー・ポートを確認することもできます。

# lsnrctl VERSION
LSNRCTL for Solaris: Version 10.1.0.3.0 - Production on 31-AUG-2004 19:10:54

Copyright (c) 1991, 2004, Oracle Corporation.  All rights reserved.

Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=test-sun.us.oracle.com)(PORT=1521)))
TNSLSNR for Solaris: Version 10.1.0.3.0 - Production
        TNS for Solaris: Version 10.1.0.3.0 - Production
        Unix Domain Socket IPC NT Protocol Adaptor for Solaris: Version 10.1.0.3.0 - Production
        Oracle Bequeath NT Protocol Adapter for Solaris: Version 10.1.0.3.0 - Production
The command completed successfully

使用例1: 既存のリスナーはポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2より前

リリース10.1.0.2より前のリスナーは、このOracle Collaboration Suiteリリース(10.1.1.0.2)のインフラストラクチャと互換性がありません。対処法として、リリース10.1.0.3のリスナーをインストールするインフラストラクチャをインストールし、両方のデータベースにこの新しいリスナーを使用します。

  1. インフラストラクチャをインストールする前に既存のリスナーを停止します。

    # $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop
    
    

    ORACLE_HOMEは、既存のデータベースのホーム・ディレクトリです。

    既存のリスナーを停止しない場合、インストールは失敗します。

  2. インフラストラクチャをインストールします。

  3. 必要に応じて、新しいリスナーの構成ファイルを更新します。リスナーの構成ファイルの名前はlistener.oraです。ORACLE_HOME/network/adminディレクトリにあります。

    1. 既存のリスナーの構成ファイルのネットワーク・アドレスのエントリを確認します。

      構成ファイルに、次のネットワーク・アドレスのみが含まれていることを確認します。

      • TCPポート1521

      • IPCキーEXTPROC

      その場合、インフラストラクチャ・リスナーの構成ファイルをネットワーク・アドレスのために編集する必要はありません。

      構成ファイルにその他のネットワーク・アドレスが含まれている場合、インフラストラクチャ・リスナーの構成ファイルにそれらを追加する必要があります。


      注意:

      EXTPROCキーを指定したIPCプロトコルを使用しているリスナーがコンピュータにある場合、キーを別の値に変更してください。OracleAS Metadata RepositoryリスナーがEXTPROCキーにアクセスする必要があるためです。

    2. 既存のリスナーの構成ファイルのSID_DESCのエントリを確認します。

      既存のリスナーの構成ファイルに既存のデータベースのSID_DESCエントリが含まれている場合、インフラストラクチャ・リスナーの構成ファイルにこれらのエントリを追加する必要があります。

    3. 既存のリスナー(10.1.0.2より前のリリース)は起動しないでください。新しいリスナーでは両方のデータベースがサポートされるため、既存のリスナーを実行する必要はありません。


注意:

前述の項の手順cは非常に重要です。両方のデータベースをサポートするために実行する必要があるリスナーは1つのみ(新しいリスナー)です。

使用例2: 既存のリスナーはポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2以上

既存のリスナーでは、既存のデータベースとインフラストラクチャの両方がサポートされます。インストーラでは、この構成が自動的に実行されます。ユーザーの処理は必要ありません。

インストール中は、既存のリスナーを停止しておく必要があります。

使用例3: 既存のリスナーが1521以外のポートを使用

既存のリスナーのリリースに関係なく、既存のデータベースのリスナーとインフラストラクチャ・リスナーの2つのリスナーを実行します。

既存のリスナーではポート1521が使用されていないため、インストール中にこのリスナーを実行できます。

2.4.5.2 ポート1521が他のアプリケーションによって使用されている場合

別のアプリケーションがポート1521でリスニングを行っている場合、異なるポートでリスニングを行うようにアプリケーションを再構成する必要があります。再構成できない場合は、Oracle Collaboration Suiteデータベースのインストール中はそのアプリケーションを停止します。インストール後、1521以外のポートを使用するようにOracle Collaboration Suiteデータベースを再構成します。この手順は、『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』を参照してください。

2.5 オペレーティング・システム・グループ

次の場合には、オペレーティング・システム・グループを作成します。

ローカル・オペレーティング・システム・グループを作成するには、次のようにSolaris Management Consoleを使用します。

  1. Solaris Management Consoleのウィンドウを表示するモニターを指定するように、DISPLAY環境変数を設定します。環境変数の設定方法は、2.7.4項を参照してください。

  2. Solaris Management Consoleを起動します。

    # /usr/sadm/bin/smc
    
    
  3. 左側のフレームで、「This Computer」を開き、「System Configuration」を開きます。

  4. 「Users」をクリックします。Log Inウィンドウが表示されます。

  5. Log Inウィンドウで、rootユーザーとしてログインします。

  6. 左側のフレームで、「Users」を開き、「Groups」を選択します。

  7. 「Action」を選択します。「Add Group」を選択します。

  8. 「Group Name」にグループ名を入力します。

  9. (オプション)「Group ID Number」に、グループのID番号を入力します。

  10. 「OK」をクリックします。

オペレーティング・システムのユーザーとグループの詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照するか、またはシステム管理者に連絡してください。

2.5.1 インベントリ・ディレクトリのグループの作成

Oracle製品がインストールされていないコンピュータにOracle Collaboration Suiteをインストールする場合は、インベントリ・ディレクトリを所有するためのグループを作成します。インストーラでは、インベントリ・ディレクトリにファイルが書き込まれ、コンピュータにインストールされたOracle製品が管理されます。

このマニュアルでは、このオペレーティング・システム・グループにoinstallという名前を使用します。

インベントリ・ディレクトリの個別のグループを持つことにより、別のユーザーがコンピュータにOracle製品をインストールできるようになります。ユーザーには、インベントリ・ディレクトリへの書込み権限が必要です。書込み権限は、oinstallグループに属することによって付与されます。

コンピュータにOracle製品を最初にインストールする場合は、インベントリ・ディレクトリのグループ名を入力する画面、およびインベントリ・ディレクトリの場所を入力する画面が表示されます。

インベントリ・ディレクトリのデフォルト名は、oraInventoryです。

コンピュータにインベントリ・ディレクトリがすでにあるかどうかを確認するには、/var/opt/oracle/oraInst.locファイルを調べます。このファイルには、インベントリ・ディレクトリの場所と所有しているグループが記述されています。このファイルがない場合は、コンピュータにOracle製品がインストールされていません。そのディレクトリに書込み権限があることを確認するには、既存のOracle製品をインストールしたのと同じオペレーティング・システム・ユーザーとしてインストーラを実行します。

2.5.2 データベース管理者のグループの作成

この項は、インストーラによって作成された新規データベースにOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャをインストールする場合にのみ該当します。

データベースがマウントされておらず、データベースの認証が使用不可の場合、データベースでは、オペレーティング・システム・グループを使用してユーザー権限が確認されます。データベースでは、表2-7に示すグループと権限が認識されます。

表2-7 OSDBAおよびOSOPERグループの権限

グループ 説明
OSDBA データベース管理者グループです。このグループのユーザーには、SYSDBA権限が付与されます。
OSOPER このグループのユーザーには、基本的なメンテナンスに必要な権限が含まれているSYSOPER権限が付与されます。この権限には、データベースの起動と停止およびデータベースの操作で必要なその他の権限が含まれています。SYSOPER権限は、SYSDBA権限のサブセットです。

これらのグループのオペレーティング・システム・グループを作成する必要があります。

dbaというオペレーティング・システム・グループにSYSDBA権限を付与する場合は、次の手順を実行します。

  1. dbaグループを作成します。

  2. インストーラを実行するユーザーがdbaグループのメンバーであることを確認します。

別のオペレーティング・システム・グループにSYSDBA権限を付与するか、またはSYSDBAおよびSYSOPER権限を別のグループに関連付ける場合は、インストーラを実行するユーザーがdbaグループに属していないことを確認します。

インストーラを実行するユーザーがdbaグループに属していない場合は、データベース管理者権限を付与するグループの名前を入力する画面が表示されます。この画面には、OSDBAグループ用とOSOPERグループ用の2つのフィールドがあります(表2-7を参照)。両方のフィールドに同じオペレーティング・システム・グループを入力できます。

2.6 オペレーティング・システム・ユーザー

Oracle製品をインストールおよびアップグレードするオペレーティング・システム・ユーザーを作成します。このマニュアルでは、このユーザーをoracleユーザーと呼びます。インストーラを実行するoracleユーザーには、次のディレクトリに対する書込み権限が必要です。

コンピュータに他のOracle製品が含まれている場合は、すでに目的のユーザーが存在していることがあります。/var/opt/oracle/oraInst.locファイルを検索してください。このファイルには、インベントリ・ディレクトリの場所と所有しているグループが記述されています。このファイルがない場合は、コンピュータにOracle製品がインストールされていません。

Oracle製品をインストールするユーザーがまだ存在していない場合は、表2-8に示すプロパティを持つユーザーを作成します。

表2-8 インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーのプロパティ

項目 説明
ログイン名 ユーザーには任意の名前を使用できます。このマニュアルでは、このユーザーをoracleユーザーと呼びます。
グループ識別子 oracleユーザーのプライマリ・グループには、oraInventoryディレクトリへの書込み権限が必要です。このグループの詳細は、2.5.1項を参照してください。

グループには任意の名前を使用できます。このマニュアルでは、oinstallという名前を使用します。

ホーム・ディレクトリ oracleユーザーのホーム・ディレクトリは、その他のユーザーのホーム・ディレクトリと一貫性があります。
ログイン・シェル デフォルトのログイン・シェルは、C、BourneまたはKornシェルのいずれかです。


注意:

oracleユーザーは、Oracle製品をインストールおよび実行する場合にのみ使用します。rootをoracleユーザーとして使用しないでください。

ローカル・オペレーティング・システム・ユーザーを作成するには、次のようにSolaris Management Consoleを使用します。

  1. Solaris Management Consoleのウィンドウを表示するモニターを指定するように、DISPLAY環境変数を設定します。環境変数の設定方法は、2.7.4項を参照してください。

  2. Solaris Management Consoleを起動します。

    # /usr/sadm/bin/smc
    
    
  3. 左側のフレームで、「This Computer」を開き、「System Configuration」を開きます。

  4. 「Users」をクリックします。Log Inウィンドウが表示されます。

  5. Log Inウィンドウで、「User Name」フィールドにrootと入力します。「Password」フィールドに、rootのパスワードを入力します。

  6. 左側のフレームで、「Users」を開き、「User Accounts」を選択します。

  7. 「Action」を選択します。「Add User」をクリックします。「With Wizard」をクリックします。

  8. 「User Name」フィールドにユーザー名(oracle)を入力します。「Full Name」および「Description」フィールドはオプションです。「Next」をクリックします。

  9. 「User ID Number」フィールドのデフォルト値を受け入れます。「Next」をクリックします。

  10. 「User Must Use This Password At First Login」を選択し、ユーザーのパスワードを入力します。「Next」をクリックします。

  11. ユーザーの「Primary Group」を選択します。これは、以前にインベントリ・ディレクトリを所有するために作成したグループです。2.5.1項を参照してください。「Next」をクリックします。

  12. 「Path」フィールドに、ユーザーのホーム・ディレクトリを入力します。「Next」をクリックします。

  13. ユーザーのメール・サーバー情報を確認し、「Next」をクリックします。

  14. ユーザー情報を確認し、「Finish」をクリックしてユーザーを作成します。

オペレーティング・システム・ユーザーが属しているグループを確認するには、そのユーザーの名前を指定してgroupsコマンドを入力します。次に例を示します。

# groups oracle

オペレーティング・システムのユーザーとグループの詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照するか、またはシステム管理者に連絡してください。

2.7 環境変数

Oracle Collaboration Suiteをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーは、特定の環境変数を設定および解除する必要があります。

表2-9に、環境変数の設定または解除に関するサマリーを示します。

表2-9 環境変数のサマリー

環境変数 設定または解除
ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID
設定しないでください。
PATH、CLASSPATHおよび共有ライブラリ・パス環境変数
いずれかのOracleホーム・ディレクトリのディレクトリへの参照を含まないようにする必要があります。
DISPLAY
インストーラのウィンドウを表示するモニターに設定します。
TMP
オプションです。設定を解除すると、デフォルトで/tmpに設定されます。
TNS_ADMIN
解除します。

2.7.1 環境変数のヒント

次に、環境変数を処理する場合のヒントを示します。

  • .profileファイルで環境変数を設定すると、読み込まれない場合があります。環境変数が正しい値に設定されていることを確認するには、インストーラを実行するシェルでこれらの値を調べます。

  • 環境変数の値を調べるには、envコマンドを使用します。このコマンドを使用すると、現在定義されている環境変数とその値がすべて表示されます。

    # env
    
    
  • ユーザーの切替え(rootユーザーからoracleユーザーへの切替えなど)にsuコマンドを使用する場合は、環境変数が新規ユーザーに渡されないことがあるため、新規ユーザーの場合は環境変数を確認します。-パラメータを使用してsuを入力した場合(su - user)も、環境変数が新規ユーザーに渡されないことがあります。

    # /* root user */
    # su - oracle
    # env
    

2.7.2 ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID

ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDは、設定しないでください。

2.7.3 PATH、CLASSPATHおよび共有ライブラリ・パス環境変数

PATHCLASSPATHおよび共有ライブラリ・パス環境変数を編集して、いずれのOracleホーム・ディレクトリも参照しないようにします。

2.7.4 DISPLAY

インストーラを表示するXサーバーを指すようにDISPLAY環境変数を設定します。環境変数DISPLAYの書式は次のとおりです。

hostname:display_number.screen_number

例(Cシェル):

# setenv DISPLAY test.mydomain.com:0.0

例(BourneまたはKornシェル):

# DISPLAY=test.mydomain.com:0.0; export DISPLAY

次のxclockプログラムを実行すると、表示をテストできます。

# /usr/openwin/bin/xclock &

Oracle Collaboration Suiteでは、インストール中にのみXサーバーを実行する必要があります。オペレーティング・システムとともにインストールされたフレーム・バッファ用Xサーバーでは、ログインしたまま、インストール中にフレーム・バッファを実行しておく必要があります。この操作を行わない場合は、X Virtual Frame Buffer(XVFB)、Virtual Network Computing(VNC)などの仮想フレーム・バッファを使用する必要があります。

XVFBまたはその他の仮想フレーム・バッファ・ソリューションの取得およびインストールについては、次のURLのOracle Technology Networkにアクセスしてください。

http://www.oracle.com/technology/index.html

OTNで「frame buffer」を検索します。

2.7.5 TNS_ADMIN

この項では、次の2つの要件について説明します。

  • TNS_ADMIN環境変数は設定しないでください。

  • /etcおよび/var/opt/oracleディレクトリには、tnsnames.oraファイルを含めないでください。

これらの要件は、異なるOracle製品のNet構成ファイル間の競合を防ぐ場合に必要となります。

TNS_ADMINを設定する、または/etc/var/opt/oracletnsnames.oraファイルがある場合は、Oracle Collaboration Suiteをインストールする前に次の手順を実行します。

  1. tnsnames.oraファイルが/etcまたは/var/opt/oracleディレクトリにある場合、ファイルを別のディレクトリに移動するか、ファイル名を変更します。

  2. TNS_ADMIN環境変数が設定されていないことを確認します。

    例(Cシェル):

    # unsetenv TNS_ADMIN
    
    

    例(BourneまたはKornシェル):

    # unset TNS_ADMIN
    
    

インストール後、新しく作成したtnsnames.oraファイルの内容を既存のtnsnames.oraファイルにマージすることができます。

2.7.6 TMP

インストーラでは、スワップ領域に一時ディレクトリを使用します。インストーラでは、一時ディレクトリを検索するために、TMP環境変数を調べます。デフォルトでは、/tmpディレクトリを使用します。

インストーラで/tmp以外のディレクトリを使用する場合は、TMPを代替ディレクトリのフルパスに設定します。そのディレクトリは、2.1項に示す要件を満たしている必要があります。

例(Cシェル):

% setenv TMP /tmp2

例(BourneまたはKornシェル):

$ TMP=/tmp2; export TMP

この環境変数を設定しておらず、デフォルト・ディレクトリに十分な領域がない場合は、環境変数が設定されていないことを示すエラー・メッセージが表示されます。別のディレクトリを指すように環境変数を設定するか、またはデフォルト・ディレクトリに十分な領域を確保します。いずれの場合でも、インストールをやりなおす必要があります。

2.8 /etc/hostsファイル

/etc/hostsファイルの内容は、次のものに影響を与えます。

インストーラには、hostsファイルを2.8.1項および2.8.2項の説明のように編集せずに、希望する値を入力する別の方法があります。

2.8.1 デフォルトのID管理レルムの場所

インストーラではhostsファイルが読み込まれ、デフォルトのID管理レルムの場所が構成されます。この場所は、「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面に表示されます。

hostsファイルには、次の書式を使用する必要があります。

ip_address   fully_qualified_hostname   short_hostname

例:

123.45.67.89   primaryHost.mydomain.com   primaryHost

前述の例では、デフォルトのID管理レルムの場所は、dc=mydomain,dc=comと表示されます。

このファイルに別の書式が使用されている場合は、画面に不正確な値が表示されます。たとえば、hostsファイルに次の行が含まれているとします。

123.45.67.89   primaryHost   primaryHost.mydomain.com  <--- 不適切な書式

この場合、デフォルトのID管理レルムとしてdc=primaryHost,dc=comが表示されます。これは、デフォルトのID管理レルムとして正しい値ではありません。


注意:

hostsファイルで別の書式を使用する必要がある場合は、必要な書式を使用するようにファイルを編集してインストールを実行し、インストール後にファイルを元の書式に戻します。

hostsファイルを編集できない、または編集しない場合は、「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面の「カスタム・ネームスペース」フィールドにデフォルトのID管理レルムの希望の値を入力します。


2.8.2 Oracle Application Server Single Sign-Onのホスト名

Oracle Application Server Single Sign-Onをインストールしている場合、hostsファイルにドメイン名なしでコンピュータのホスト名のみが含まれていると、Single Sign-Onサーバーにサインオンするには、ホスト名を単独で(ドメイン名なしで)使用します。

OracleAS Single Sign-Onサーバーに接続するときにドメイン名を要求する場合は、ドメイン名が含まれるようにhostsファイルを編集します。ファイルを編集しない場合は、インストーラに対してOUI_HOSTNAMEコマンドライン・パラメータを使用して、hostsの値をオーバーライドします。次に例を示します。

# mount_point/runInstaller OUI_HOSTNAME=myserver.mydomain.com

2.9 ネットワーク・トピック

通常、Oracle Collaboration Suiteをインストールするコンピュータはネットワークに接続されており、Oracle Collaboration Suiteインストールが含まれているローカル・ストレージ、ディスプレイ・モニター、適切なディスク・ドライブがあります。

この項では、通常の条件を満たしていないコンピュータへのOracle Collaboration Suiteのインストール方法を説明します。次の場合を取り上げます。

2.9.1 マルチホーム・コンピュータへのOracle Collaboration Suiteのインストール

複数のネットワーク・カードを備えたコンピュータにOracle Collaboration Suiteをインストールする場合、インストーラでは/etc/nodenamesファイル内の最初の名前を使用して、IPアドレス検索に使用するホスト名を決定します。

これが使用を希望する名前ではない場合、次のようにします。

2.9.2 ハード・ドライブへのDVDのコピーとハード・ドライブからのインストール

Oracle Collaboration Suite DVDからインストールするかわりに、DVDの内容をハード・ドライブにコピーして、そこから製品をインストールできます。多数のOracle Collaboration Suiteインスタンスをネットワークにインストールする場合や、Oracle Collaboration Suiteのインストール先となるコンピュータにDVD-ROMドライブがない場合は、この方法が簡単です。Oracle Collaboration Suiteは、リモートのDVD-ROMドライブからインストールすることもできます。詳細は、2.9.3項を参照してください。

領域要件の確認

ハード・ドライブに、Oracle Collaboration Suite DVDの内容を保存するのに十分な領域があることを確認します。

DVD-ROMの内容のコピー

  1. 図2-2に示すように、ハード・ドライブにディレクトリ構造を作成します。まず親ディレクトリを作成し(この図ではOCS_10g_10_1_1ですが、任意の名前を付けることができます)、その親ディレクトリの下に、Disk1Disk2などの名前のサブディレクトリを作成します。サブディレクトリの名前は、DiskNとする必要があります。ここで、Nはディスク番号です。

    図2-2 DVDの内容をハード・ディスクにコピーするための推奨ディレクトリ構造

    DVDの構造
    図directory_structure_cd.gifの説明

  2. 各ディスクの内容を、対応するディレクトリにコピーします。

    # cp -pr /dvd_mount_point/* /path/to/hard/drive/Disk1/ # cp -pr /dvd_mount_point/* /path/to/hard/drive/Disk2/ ... Repeat for each disk

コピーされたファイルからインストーラを実行するには、rootディレクトリからrunInstaller実行可能ファイルを起動します。Oracle Collaboration Suiteを実行するコンピュータから実行します。

# /path/to/hard/drive/runInstaller

2.9.3 リモートDVD-ROMドライブからのOracle Collaboration Suiteのインストール

Oracle Collaboration SuiteをインストールするコンピュータにDVD-ROMドライブがない場合、リモート・ドライブからインストールを実行できます。次の点を確認してください。

  • ネットワーク・ファイル・システムを介してリモートDVD-ROMドライブを共有する必要があります。

    DVD-ROMドライブのあるリモート・コンピュータで、次の手順を実行します。

    1. Oracle Collaboration SuiteのDVDをDVD-ROMドライブに挿入します。

    2. DVD-ROMドライブを共有します。

      DVD-ROMの場合は、次のとおりです。

      # su
      Password: root_password
      # share -F nfs -o ro /dvdrom
      
      

      パス/dvdromには、DVD-ROMドライブのパスを指定します。任意のパスを使用できます。

    ローカル・コンピュータでDVD-ROMにアクセスし、インストーラを次のように実行します。

    # /net/remote_computer_hostname/dvdrom/runInstaller
    
    

    remote_computer_hostnameはリモート・コンピュータの名前に置き換えます。

2.9.4 リモート・コンピュータへのOracle Collaboration Suiteのインストール

インストーラをリモート・コンピュータ(remote_computer)で実行し、インストーラの画面をローカル・コンピュータ(local_computer)に表示できます。インストーラによって、リモート・コンピュータにOracle Collaboration Suiteがインストールされます。

  1. remote_computerlocal_computerに表示されるようにします。ローカル・コンピュータのコンソールで、次のコマンドを使用します。

    local_computer> xhost +remote_computer
    
    

    xhostを実行しない場合は、インストーラの起動時に「サーバーの接続に失敗しました」、「サーバーに接続が拒否されました」、「表示を開くことができません」などのXlibエラーが発生する可能性があります。

  2. local_computerで、(telnetまたはrloginを使用して)remote_computerへのリモート・ログインを実行します。2.6項の説明のように、oracleユーザーとしてログインします。2.7項に示すように、環境変数が正しく設定されていることを確認します。

    local_computer> rlogin -l oracle remote_computer.mydomain.com
    
    

    または

    local_computer> telnet remote_computer.mydomain.com
    
    
  3. remote_computerで、local_computerを指すようにDISPLAY環境変数を設定します。

    例(Cシェル):

    remote_computer> setenv DISPLAY local_computer.mydomain.com:0.0
    
    

    例(BourneまたはKornシェル):

    remote_computer> DISPLAY=local_computer.mydomain.com:0.0; export DISPLAY
    
    
  4. インストーラを実行します。3.4項を参照してください。


注意:

PseudoColorカラー・モデルまたはPseudoColorビジュアルをサポートしているPC Xエミュレータを使用してインストーラを実行できます。PseudoColorビジュアルを使用するようにPC Xエミュレータを設定し、インストーラを起動します。カラー・モデルまたはビジュアル設定の変更方法は、Xエミュレータのドキュメントを参照してください。

2.9.5 NFSマウント・ストレージへのOracle Collaboration Suiteのインストール

Oracle Collaboration Suiteは、現在、ネットワーク・ファイル・ストレージ(NFS)がマウントされた次のストレージ・システムで動作保証されています。

  • Network Applianceファイラ

NFSマウント・システムは、少なくともリモート・インストール・ユーザーとリモートrootユーザーにエクスポートする必要があります。これには、次のexportfsコマンドを使用します。

# exportfs -i /vol/vol1

最新の動作保証リストで更新を確認するには、次のURLのOracle Technology Networkにアクセスしてください。

http://www.oracle.com/technology/index.html

2.9.6 NISおよびNISのサポート+

Oracle Collaboration Suiteは、ネットワーク情報システム(NIS)環境およびNIS+環境にインストールして実行できます。

2.10 インストーラによって実行される前提条件の確認

表2-10に、インストーラによって実行される確認事項を示します。

表2-10 インストーラによって実行される前提条件の確認

項目 説明
オペレーティング・システムのバージョン サポートされるバージョンは、2.2項を参照してください。
オペレーティング・システム・パッチ 必須パッチのリストは、2.2.1項を参照してください。
オペレーティング・システム・パッケージ 必須パッケージのリストは、2.2項を参照してください。
オペレーティング・システムのカーネル・パラメータ 必須カーネル・パラメータのリストは、2.3項を参照してください。
モニター モニター要件は、2.1項を参照してください。
表示権限 インストーラでは、DISPLAY環境変数で指定されているモニターに表示する権限がユーザーに付与されていることが確認されます。
メモリー 推奨値は、2.1項を参照してください。
スワップ領域 推奨値は、2.1項を参照してください。
TMP領域 推奨値は、2.1項を参照してください。
Oracleホーム・ディレクトリ名 インストーラでは、Oracleホーム・ディレクトリ名に空白が含まれていないことが確認されます。
Oracleホーム・ディレクトリへのパス インストーラでは、Oracleホーム・ディレクトリへのパスが127文字以下であることが確認されます。
Oracleホーム・ディレクトリの内容 インストーラでは、Oracleホーム・ディレクトリにインストールを妨げるファイルが含まれていないことが確認されます。
Oracleホーム・ディレクトリ Oracle Collaboration Suiteアプリケーション層を拡張している場合を除き、Oracle Collaboration Suiteは常に新規ディレクトリにインストールします。8.7項を参照してください。次に、許可されていないインストールの例を示します。
  • Oracle Databaseリリース8.0、8i、9.0.1または9.2データベースOracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • Oracle Management Service OracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • Oracle HTTP ServerスタンドアロンOracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • OracleAS Web CacheスタンドアロンOracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • Oracle9i Developer Suiteリリース9.0.2 OracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • Oracle Application Server Containers for J2EEスタンドアロンOracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • Oracle9iAS 1.0.2.2 OracleホームへのすべてのタイプのOracle Collaboration Suiteのインストール

  • インフラストラクチャ、リリース9.0.2または10gリリース1(10.1.1.0.2)OracleホームへのOracle Collaboration Suiteアプリケーション層のインストール

  • Oracle9iASリリース2(9.0.2または9.0.3)中間層OracleホームへのOracle Collaboration Suiteアプリケーション層のインストール

  • 任意のOracle9iASリリース2(9.0.2)OracleホームへのOracle Collaboration Suiteインフラストラクチャのインストール

ポート1521 ポート1521がいずれかのバージョンのデータベース・リスナーを含むアプリケーションで使用されている場合は、警告が表示されます。ポート1521を使用しているアプリケーションを停止し、警告ダイアログ・ボックスの「再試行」をクリックする必要があります。

データベース・リスナーによってポート1521が使用されている場合、ポートをOracle Collaboration Suiteデータベース用に使用することができます。詳細は、2.4.5項を参照してください。

別のアプリケーションがポート1521を使用している場合は、そのアプリケーションを停止するか、または別のポートを使用するように構成する必要があります。また、1521以外のポートを使用するようにデータベース・リスナーを変更することもできますが、この操作はインストール後にのみ実行できます。詳細は、『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』を参照してください。

静的ポートの競合 インストーラでは、必要に応じてstaticports.iniファイルに表示されているポートが確認されます。2.4項を参照してください。
DISPLAY環境変数 インストーラでは、DISPLAY環境変数が設定されていることが確認されます。
TNS_ADMIN環境変数 TNS_ADMIN環境変数は設定しないでください。

/etcまたは/var/opt/oracleディレクトリにtnsnames.oraファイルが含まれないようにする必要があります。

クラスタ・ファイル・システム インストーラでは、Oracle Collaboration Suiteがクラスタ・ファイル・システム(CFS)にインストールされていないことが確認されます。
Oracle Enterprise Managerディレクトリが書込み可能かどうか インストーラでは、Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーションを拡張しているか、またはOracle Collaboration Suiteを同じOracleホームに再インストールしている場合にのみ、この確認が実行されます。次のディレクトリが、インストーラを実行しているオペレーティング・システム・ユーザーによって書込み可能であるかどうかが確認されます。
  • ORACLE_HOME/sysman/emd

  • ORACLE_HOME/sysman/config

  • ORACLE_HOME/sysman/webapps/emd/WEB-INF/config

Oracle Enterprise Managerファイルが存在しているかどうか インストーラでは、Oracle Collaboration Suite 10gアプリケーションを拡張しているか、またはOracle Collaboration Suiteを同じOracleホームに再インストールしている場合にのみ、この確認が実行されます。次のファイルが存在しているかどうかが確認されます。
  • ORACLE_HOME/sysman/config/iasadmin.properties

  • ORACLE_HOME/sysman/webapps/emd/WEB-INF/config/consoleConfig.xml