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Oracle Voicemail & Fax管理者ガイド
10g リリース1(10.1.2)
B25663-01
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14 VoIPゲートウェイ・デプロイメント

この章では、次の項目について説明します。

この章では、PBXが複数の場合のPBXアプリケーション・クラスタの構成方法およびVoIPデプロイメントのスケール変更方法など、Voice over Internet Protocol(VoIP)デプロイメントについて説明します。

VoIPゲートウェイ・デプロイメントのシナリオ

この項では、Oracle Voicemail & FaxデプロイメントでVoice over IP(VoIP)ゲートウェイを使用する様々なシナリオについて説明します。

単一サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント: 1つのPBXが、Voice over Internet Protocol(VoIP)を介して、1つのVoicemail & Faxサーバーに接続します。 VoIPはハードウェアとソフトウェアの両方に属すカテゴリで、これによりユーザーは、従来の回線伝送を使用せずにIPネットワーク上で通話を送信できます。 VoIPゲートウェイは、通話を従来の回線伝送からVoIPに変換して、Voicemail & Faxサーバーに接続します。PBXはリモートの場所にあり、Voicemail & Faxサーバー、インフラストラクチャおよびOracle Collaboration Suiteデータベースは、中央の場所にあります(図14-1)。

図14-1 単一サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント

図14-1の説明は次にあります。
「図14-1 単一サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント」の説明

ホストVoIPゲートウェイ・デプロイメント: 会社はそれぞれPBXを所有し、VoIPゲートウェイを介して離れた場所のVoicemail & Faxサーバーに接続します。各サーバーは、同じインフラストラクチャおよびOracle Collaboration Suiteデータベースにアクセスします(図14-2)。このようなデプロイメントは、サービス・プロバイダとしてApplication Service Provider(ASP)のような、通信、ストレージ、処理などのサービスを提供する企業や組織では典型的です。

図14-2 ホストVoIPデプロイメント

図14-2の説明は次にあります。
「図14-2 ホストVoIPデプロイメント」の説明


注意:

1つのPBXに対してデプロイするVoicemail & Faxサーバーの数には制限はありません。1つのOracle Voicemail & Faxのインスタンスが各Voicemail & Faxサーバーにインストールされます。

Oracle Voicemail & Faxシステムは、単一のOracle Internet Directoryに対してインストールされたOracle Voicemail & Faxのすべてのインスタンスで構成されます。前述のデプロイメントは、それぞれ別個のシステムに含めることができます。また、同じシステム内に様々な組合せでデプロイメント・タイプを含めることも可能です。

複数PBXを使用したデプロイ

複数サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント: VoIPゲートウェイを介して、複数のPBXが単一のリモートVoicemail & Faxサーバーに接続します(図14-3)。 サーバー、インフラストラクチャおよびOracle Collaboration Suiteデータベースは集中管理されます。このデプロイメントでは、複数のサイトがVoicemail & Faxサーバーを共有してリソースを節約できます。

図14-3 複数サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント

図14-3の説明は次にあります。
「図14-3 複数サイトのVoIPゲートウェイ・デプロイメント」の説明

VoIPゲートウェイを使用する複数のPBXの構成

異なるサイトで処理を行うために、複数のPBXを、ゲートウェイおよびVoIPを介して単一のVoicemail & Faxサーバーに接続した構成にすることができます。サンフランシスコとニューヨークに1つずつ、計2つのPBXがあるとします。物理的には2つのPBXが存在しますが、NetMerge CCSの視点からは1つの仮想PBXが存在するだけです。そのため、どちらのPBXからコールを受信し、どちらのPBXにコールを発信するのかをNetMerge CCSが判断できるように、それぞれのPBXが識別される必要があります。PBXの識別は、Voicemail & Faxアプリケーションにおいても、どちらのダイヤル・ルールを適用するかを判断するために必須です。

次の手順では、VoIPゲートウェイは、Intel社のPBX IP Media Gateway(PIMG)であると仮定しています。Intel NetMerge CCS 3.0 Administration Interfaceを使用して、PBXごとに接頭辞を指定します。

PBXの接頭辞を指定するには、次のようにします。

  1. IntelのWebコンソールにログインします。

  2. ページの左側にあるメニューで「Configure」をクリックします。

  3. 「Platform」、その後「Intel NetMerge CCS Logs」をクリックします。

  4. ページの右側にある「PBX」タブをクリックします。

  5. 「Add PIMG」をクリックします。

    「PBX IP MG Settings」ページでPBXの設定を指定します。

  6. 「PBX Name」フィールドでPBXの名前を入力します。

  7. 「PBX Prefix」フィールドで、このPBXの接頭辞となる1つの整数(1、2など)を指定します。

  8. 「PBX IP MG Address」フィールドに各PIMGのIPアドレスを入力します。アドレスは各行に1つのみ入力します。

  9. メッセージ待機インジケータ機能を使用する場合は、MWIコールを受信するPIMGのIPアドレスを入力し、「Add」をクリックします。

    特定のPBXを処理するためにいくつかのPIMGを連結させていて、メッセージ待機インジケータ機能を使用している場合、そのPBXへのメッセージ待機コールを聞くために必要なポートは、いずれかのPIMGの1ポートのみです。「MWI Gateway Address」フィールドに、MWIのコールを受け入れるPIMGとして、1つのPIMGおよびそのPIMGのポートを指定します。

    「Add」をクリックすると、「MWI Gateways」フィールドにポート情報が表示されます。

  10. ポート情報リンクをクリックし、「MWI Gateway Settings」ページで「Port」フィールドを編集します。

  11. 「OK」をクリックします。

  12. 再度「OK」をクリックします。

  13. PBXアプリケーション・クラスタに属すPBXごとにこの手順を繰り返します。

PBXの構成方法の詳細は、Intel WebコンソールについてはIntel社のオンライン・ヘルプを参照してください。

「PBX IP MG Address」フィールドに指定した接頭辞は、電話番号がPIMGとNetMerge CCSの間で渡される際に電話番号の先頭に追加されます。 2つのPBX(サンフランシスコに1つ、ニューヨークに1つ)に対する「PBX IP MG Settings」を作成し、サンフランシスコのコールに1、ニューヨークのコールに2の接頭辞を指定したと仮定します。サンフランシスコのPBXに接続されているVoIPゲートウェイからNetMergeに電話番号が渡されると、NetMergeによって接頭辞とそれに続くハイフンが追加されます。サンフランシスコのゲートウェイから5桁の電話番号、たとえば53445が渡されるとします。NetMerge CCSによって電話番号の先頭に1-が追加され、その番号(1-53445)がVoicemail & Faxアプリケーションに渡されます。

同様に、ニューヨークのPBXに接続されているゲートウェイからNetMergeに電話番号が渡されると、NetMerge CCSによって電話番号の先頭に2-が追加され、たとえば2-63784となります。Oracle Voicemail & Faxでは、接頭辞1-および2-を使用して各PBXが識別され、適用するダイヤル・ルールが判別されます。そのため、PBXの構成時に電話番号を指定する際には、電話番号のパターンに接頭辞を含める必要があります。

電話番号

図14-4は、VoIPゲートウェイを使用した複数のPBXの電話番号表の例です。電話番号のパターンは、この図14-4のパターンと同様に、サンフランシスコのサイトの場合は1-、ニューヨークのサイトの場合は2-の接頭辞が追加されます。

図14-4 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの電話番号表の例

図14-4の説明は次にあります。
「図14-4 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの電話番号表の例」の説明

内部ダイヤル・ルールおよび外部ダイヤル・ルール

内部ダイヤル・ルールおよび外部ダイヤル・ルールを指定する際には、国際電話番号のパターンの接頭辞を含む各PBXのルールを、内部ダイヤル・ルール表および外部ダイヤル・ルール表で指定します。この例では、サンフランシスコのPBXは、内部番号へのダイヤル発信に5桁の内線番号を使用するものとします。 表14-1では、最初の4つのルールがサンフランシスコのPBXに適用され、5〜8番目のルールがニューヨークのPBXに適用されます。 (ルール列の番号は参照用であり、「管理」Webページには表示されません。) そのため、ルール1は、1とハイフンを含む最初の8文字を削除することを指定しています。ニューヨークのPBXは、内部番号へのダイヤル発信に4桁の内線番号を使用するものとします。 そのため、ルール5は、最初の9文字を削除することを指定しています。ルール2は、サンフランシスコのPBXに属さない市内局番の電話番号をダイヤルする場合のルールを指定しています。ルール3は、アメリカ合衆国のその他すべての電話番号のダイヤルのルールです。ルール4は、国際電話番号のダイヤルのルールです。ルール6、7、8はニューヨークのPBX用で、ルール2、3、4に相当します。

アスタリスクはパターンの末尾のみに使用できるワイルドカードで、不特定の桁数を表します。そのため、ルール1の1-415775????パターンは、1-415775*と指定することも可能です。アスタリスクは、特に、桁数が多様で不明な国際電話番号を指定する際に便利です。

表14-1 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントのダイヤル・ルール表の例

ルール 国際電話番号形式 削除する文字数 追加する文字

1

1-1415775????

8


2

1-1415*

6

9

3

1-1*

2

9

4

1-*

2

9011

5

2-1212242????

9


6

2-1212*

6

9

7

2-1*

2

9

8

2-*

2

9011



注意:

複数のPBXが存在する構成では、内部および外部の両方のダイヤル・ルールを外部ダイヤル・ルール表に入力する必要があります。内部ダイヤル・ルール表は無視されます。

電話番号変換ルール

サンフランシスコのPBXは5桁の内線番号を、ニューヨークのPBXは4桁の内線番号をNetMerge CCSに渡します。NetMerge CCSは、サンフランシスコの電話番号の先頭には1-を、ニューヨークの電話番号の先頭には2-を追加します。図14-5は、各PBXの電話番号変換ルールの例です。電話番号変換ルールにより、接頭辞(1-または2-)が削除され、内線番号を国際形式に変換するために必要な数字が接頭辞として追加されます。

図14-5 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの電話番号変換ルールの例

図14-5の説明は次にあります。
「図14-5 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの電話番号変換ルールの例」の説明

MWI電話番号変換

図14-6は、MWI電話番号変換ルールの例です。 この例では、どちらのPBXでもMWIをオンまたはオフにする際に市内番号形式が使用されることを前提としています。つまり、サンフランシスコのPBXでは5桁の内線番号、ニューヨークのPBXでは4桁の内線番号が使用されます。複数PBXのインストールのルールが単一PBXのインストールのルールと唯一異なる点は、電話番号パターンの接頭辞を指定する必要があることです。

図14-6 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントのMWI電話番号変換ルールの例

図14-6の説明は次にあります。
「図14-6 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントのMWI電話番号変換ルールの例」の説明

音声自動応答

図14-7は、VoIPゲートウェイを使用する複数のPBXの音声自動応答表の例です。複数PBXのインストールが単一PBXのインストールと唯一異なる点は、国際電話番号のパターンでPBXの接頭辞を指定する必要があることです。

図14-7 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの音声自動応答表の例

図14-7の説明は次にあります。
「図14-7 複数のPBXが存在するVoIPゲートウェイ・デプロイメントの音声自動応答の例」の説明

VoIPゲートウェイ・デプロイメントのスケール変更

この項では、次の項目について説明します。

VoIPゲートウェイ・サイトへのVoicemail & Faxサーバーの追加

コール数が増加して既存のサーバーでは処理できなくなると、別のVoicemail & Faxサーバーを既存のVoIPゲートウェイ・サイトに追加することが必要になります。この状況の場合、PBXとVoIPゲートウェイおよびVoicemail & Faxサーバーはすでに存在しています。 したがって、追加するサーバーは2台目以降のVoicemail & Faxサーバーとなります(図14-8)。

図14-8 VoIPゲートウェイ・サイトへのVoicemail & Faxサーバーの追加

図14-8の説明は次にあります。
「図14-8 VoIPゲートウェイ・サイトへのVoicemail & Faxサーバーの追加」の説明

Voicemail & FaxサーバーをVoIPゲートウェイ・サイトに追加するには、次のようにします。

  1. Oracle Voicemail & Faxのインストールは、『Oracle Collaboration Suite Oracle Voicemail & Fax and Oracle Web Conferencing Conversion Serversインストレーションおよびアップグレード・ガイド』の手順に従います。

  2. 構成時に、新規PBXアプリケーション・クラスタを作成するか、既存のPBXアプリケーション・クラスタを選択するように促す指示が表示されます。 このVoIPゲートウェイ・サイトでは既存のPBXアプリケーション・クラスタを選択します。

  3. ソフトウェアのインストールおよび構成を完了します。

  4. サイトの処理能力を増やす必要がある場合は、Intel社のPIMGゲートウェイを追加します。

    PIMGを複数のVoicemail & Faxサーバーと通信するように構成するには、VoIPアドレス解決サービス(通常はSIP登録サーバーまたはSIPプロキシ・サーバー)を使用する必要があります。 このサービスでは、各Voicemail & Faxサーバーのエンドポイント・アドレスを1つ指定できます。このアドレスは、ファーム内にある様々なVoicemail & Faxサーバーの多くのアドレスの1つに変換されます。 この概念の詳細は、PIMGに関するIntel社のドキュメントを参照してください。

  5. IntelのNetMerge CCS 3.0 Administration Interfaceを使用して、このサイトでテレフォニ・サーバーが認識するPIMGのリストに新規PIMGを追加します。

VoIPゲートウェイ・サイトへのサイトの追加

VoIPゲートウェイ・サイトでは、新規サイトを追加する場合、新規Voicemail & Faxサーバーを追加する必要はありません。既存のPBXが、すでにVoIPを使用してVoicemail & Faxサーバーに接続し、サイトの処理を行っています。 ここでは、別のサイトの処理を行う2つ目のPBXを、同じVoicemail & Faxサーバーに接続して追加します(図14-9)。結果として、同じVoicemail & Faxサーバーで、接続先の2つのPBXがそれぞれ異なるサイトの処理を行います。

図14-9 VoIPゲートウェイ・サイトへのサイトの追加

図14-9の説明は次にあります。
「図14-9 VoIPゲートウェイ・サイトへのサイトの追加」の説明

サイトをVoIPゲートウェイ・サイトに追加するには、次のようにします。

  1. サイトとグループを作成します。

  2. PIMGゲートウェイをPBXと連携して動作するように設定します。

  3. PBXアプリケーション・クラスタを、新規サイトを処理するように構成します。

    PBX接頭辞を指定する方法および同じVoicemail & Faxサーバーに複数のPBXを構成する方法の詳細は、「VoIPゲートウェイを使用する複数のPBXの構成」を参照してください。