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Oracle Application Serverインストレーション・ガイド
10g (10.1.4.0.1) for HP-UX Itanium

B31749-02
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7 高可用性環境へのインストール: 概要

この章では、Oracle Application Serverでサポートされている高可用性構成の概要を説明します。詳細は、後続の章で説明します。また、この章では共通の要件についても説明します。

この章の内容は次のとおりです。

7.1 高可用性構成の概要

この章では、Oracle Application Serverでの高可用性構成の概要のみを説明します。構成の詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。

Oracle Application Serverがインストール時にサポートする高可用性構成のタイプは次のとおりです。それぞれのタイプには複数のバリエーションがあることに注意してください。

高可用性構成の比較一覧は、7.1.4項「相違の概要」を参照してください。

7.1.1 OracleAS Cold Failover Cluster

Oracle Application Serverでは、OracleAS Cold Failover Clusterを使用して、そのコンポーネントに対してアクティブ-パッシブ・モデルを提供します。OracleAS Cold Failover Clusterトポロジでは、2つ以上のOracle Application Serverインスタンスが同じアプリケーションのワークロードを処理するように構成されますが、常に一方のインスタンスのみがアクティブになります。これらのインスタンスは、ハードウェア・クラスタ内の異なる2つのノードで実行されます。また、これらの2つのノードは、Oracle Application ServerインスタンスのOracleホームをインストールする共有記憶域にアクセスすることもできます。

ハードウェア・クラスタ内のいずれかのノードは、アクティブ・ノードです。これによって、共有記憶域がマウントされ、Oracle Application Serverインスタンスが実行されます。もう1つのノードはパッシブ(スタンバイ)ノードになります。これは、アクティブ・ノードに障害が発生した場合にのみ実行されます。フェイルオーバー・イベント中、パッシブ・ノードは共有記憶域をマウントし、Oracle Application Serverインスタンスを実行します。

OracleAS Cold Failover Cluster構成の最も一般的なプロパティは次のとおりです。

OracleAS Cold Failover Cluster構成の利点は次のとおりです。

通常、OracleAS Cold Failover Clusterという用語は、Oracle Application Serverインスタンス・レベルでのクラスタリングを表します。ただし、クラスタ化されている特定のタイプのインスタンスをコールアウトする必要がある場合、このマニュアルではOracleAS Cold Failover Cluster(タイプ)という表記で、クラスタ・ソリューションを表します。次に例を示します。

Oracle Application Serverシステム(コンテンツ・キャッシュ)のエントリ・ポイントからバックエンド・レイヤー(データソース)まで、クライアント・リクエストが通過するすべての層は、OracleAS Clusterを使用したアクティブ-アクティブ構成またはOracleAS Cold Failover Clusterを使用したアクティブ-パッシブ構成のいずれかで、冗長に構成できます。

インストールの詳細は、第8章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cold Failover Cluster」を参照してください。

7.1.2 OracleAS Cluster

Oracle Application Serverは、OracleAS Clusterを使用したそのすべてのコンポーネントに対してアクティブ-アクティブなモデルを用意しています。OracleAS Clusterでは、2つ以上のOracle Application Serverインスタンスが同じアプリケーションのワークロードを処理するように構成されます。通常、これらのインスタンスは異なるノードで実行されます。

ノードの前面には、外部のロード・バランサが必要です。クライアントは、ロード・バランサを介してこれらのノードにリクエストを送信します。その後、ロード・バランサは、いずれかのノードにそのリクエストを送信して処理します。ロード・バランサは、独自のアルゴリズムを使用して、リクエストを送信するノードを決定します。

OracleAS Cluster構成の最も一般的なプロパティは次のとおりです。

OracleAS Cluster構成の利点は次のとおりです。

通常、OracleAS Clusterという用語は、Oracle Application Serverインスタンス・レベルでのクラスタリングを表します。ただし、クラスタ化されている特定のタイプのインスタンスをコールアウトする必要がある場合、このマニュアルではOracleAS Cluster(タイプ)という表記で、クラスタ・ソリューションを表します。たとえば、次のようになります。

OracleAS Cluster(Identity Management)の詳細は、第9章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cluster(Identity Management)」を参照してください。

7.1.3 OracleAS Disaster Recovery

OracleAS Disaster Recovery構成には、次の特性があります。

OracleAS Disaster Recoveryには、OracleAS Infrastructureおよび中間層が含まれます。詳細は、第10章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Disaster Recovery」を参照してください。

7.1.4 相違の概要

表7-1に、高可用性構成間の相違の概要を示します。

表7-1     高可用性構成間での相違
  OracleAS Cold Failover Cluster  OracleAS Cluster  OracleAS Disaster Recovery 

ノード構成 

アクティブ-パッシブ 

アクティブ-アクティブ 

アクティブ-パッシブ 

ハードウェア・クラスタ 

あり 

なし 

オプション(OracleAS InfrastructureをOracleAS Cold Failover Cluster構成にインストールする場合にのみハードウェア・クラスタが必要です) 

仮想ホスト名 

あり 

なし 

あり 

ロード・バランサ 

なし 

あり 

なし1 

共有記憶域 

あり 

なし 

なし 

1 地理ロード・バランサは、サイト名のスイッチオーバーを実行するために使用できます。

7.2 高可用性構成のインストール順序

高可用性構成では、コンポーネントは次の順序でインストールします。

  1. OracleAS Metadata Repository

  2. Oracle Identity Managementコンポーネント

    Oracle Identity Managementのコンポーネントを分散する場合は、それらのコンポーネントを次の順序でインストールします。

    1. Oracle Internet Directory および Oracle Directory Integration Platform

    2. OracleAS Single Sign-On および Oracle Delegated Administration Services

  3. 中間層

    他のコンポーネントをインストールする前に中間層をインストールし、他のコンポーネントをインストールした後に、中間層を高可用性構成に再関連付けることができることに注意してください。

7.3 高可用性構成の要件

この項では、すべての高可用性構成に共通の要件を説明します。これらの共通の要件に加えて、各構成には固有の要件があります。詳細は、それぞれの章を参照してください。


注意:

第2章「要件」に示す要件に加えて、使用する高可用性構成に固有の要件を満たす必要があります。 


共通の要件は次のとおりです。

7.3.1 ノードの最小数の確認

高可用性構成には、2つ以上のノードが必要です。なんらかの理由でノードに障害が発生した場合、2番目のノードが引き継ぎます。

7.3.2 すべてのノードでグループが同様に定義されていることの確認

クラスタ内のすべてのノードの/etc/groupファイルに、使用するオペレーティング・システム・グループが含まれていることを確認します。oraInventoryディレクトリ用に1つのグループ、データベース管理用に1つまたは2つのグループが必要です。グループ名およびグループIDは、すべてのノードで同じである必要があります。

詳細は、2.6項「オペレーティング・システム・グループ」を参照してください。

7.3.3 oracleユーザーのプロパティの確認

Oracle Application Serverをインストールするためのログインに使用するoracleオペレーティング・システム・ユーザーに次のプロパティがあることを確認します。

7.3.4 すべてのノード上の以前のOracleインストールの確認

高可用性構成でインストールするすべてのノードに、既存のoraInventoryディレクトリがないことを確認します。

すべてのOracleソフトウェアのインストールの詳細は、Oracle Installer Inventoryディレクトリに記録されます。通常、このディレクトリはノードに対して一意であり、oraInventoryという名前が付けられています。Oracle Installer Inventoryディレクトリのディレクトリ・パスは、oraInst.locファイルに格納されています。

このファイルがノードに存在することにより、ノードになんらかのOracleソフトウェアのインストールが含まれることが確認できます。高可用性構成では、他のノードではアクセスできない可能性のあるファイル・システムのOracle Installer Inventoryディレクトリを含む複数のノードへのインストールが必要であるため、この章以降のインストール手順では、この高可用性構成で使用されるすべてのノードに、Oracleソフトウェアの以前のインストールはまったくなかったものとします。oraInst.locファイルとOracle Installer Inventoryディレクトリは、高可用性環境をインストールする前にこれらのノードに存在していてはいけません。

インストーラによって検出される可能性があるoraInventoryディレクトリがノードにあるかどうかを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 各ノードで、oraInst.locファイルが存在するかどうかを確認します。このファイルは/var/opt/oracleディレクトリにあります。

    ノードにこのファイルがない場合、インストーラによって使用されるoraInventoryディレクトリはありません。次のノードを確認できます。

  2. ノードにoraInst.locファイルが存在する場合は、このファイルおよびoraInventoryディレクトリの名前を変更します。その結果、インストーラによって新しいoraInventoryディレクトリの場所を入力するように要求されます。

    たとえば、rootとして次のコマンドを入力します。

    # cat /var/opt/oracle/oraInst.loc
    inventory_loc=/localfs/app/oracle/oraInventory 
    inst_group=dba 
    # mv /var/opt/oracle/oraInst.loc /var/opt/oracle/oraInst.loc.orig 
    # mv /localfs/app/oracle/oraInventory /localfs/app/oracle/oraInventory.orig
    
    

oraInst.locファイルとOracle Installer InventoryディレクトリはOracleソフトウェアのインストール時にのみ必要であり、実行時には必要ないため、後でこれらの名前の変更やリストアを実行しても、ノードにインストールされたOracleソフトウェアの動作には影響はありません。Oracle Universal Installerを開始する前に、適切なoraInst.locファイルとOracle Installer Inventoryディレクトリが正しく配置されていることを確認してください。


注意:

OracleAS Disaster Recovery構成の場合は、インストール中のみでなく、正常動作時にも、適切なoraInst.locファイルと関連するoraInventoryディレクトリが必要です。 



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