ヘッダーをスキップ

Oracle Application Serverインストレーション・ガイド
10g (10.1.4.0.1) for Linux Itanium

B31745-02
目次
目次
索引
索引

戻る 次へ

3 インストールを開始する前に知っておく必要のあること

この章の内容は次のとおりです。

3.1 Oracleホーム・ディレクトリ

Oracle Application ServerをインストールするディレクトリをOracleホームと呼びます。インストール中に、このディレクトリのフルパスとOracleホームの名前を指定します。

たとえば、OracleAS Infrastructureを/opt/oracle/OraHome_Infraにインストールして、「Infra」という名前を付けることができます。

Oracleホームの名前は最大128文字で、英数字およびアンダースコアのみを使用できます。


注意:

Oracleホーム・ディレクトリへのパスには空白を使用できません。たとえば、「/opt/oracle/app server/Infra」では「app server」に空白文字が含まれているため、このディレクトリにインストールすることはできません。インストーラでは、このパスの入力後にいくつかの画面が進むまで、これがチェックされません。 


中間層とインフラストラクチャを同じコンピュータにインストールする場合、それらを異なるOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。インストーラでは、同じOracleホームに中間層およびインフラストラクチャをインストールすることはできません。

ヒント:

同じコンピュータに複数のOracle Application Serverインスタンス(たとえば、OracleAS Infrastructureと中間層)をインストールする場合は、インスタンスごとに環境設定のスクリプトを作成します。これによって、バイナリが適切なOracleホームから実行されるようにします。設定する必要がある環境変数には、ORACLE_HOMEやPATHが含まれます。 

3.1.1 既存のOracleホームへのインストール

通常、既存のOracleホームにOracle Application Serverをインストールすることはできません。インストールができない組合せは、「Oracleホーム・ディレクトリ」のリストを参照してください。

3.1.2 空ではないOracleホームへのインストール

Oracle Application Serverは、いくつかのファイルがすでに含まれているディレクトリにはインストールできません。ただし、3.1.1項「既存のOracleホームへのインストール」に説明した場合は例外です。たとえば、インストールを取り消した場合やインストールに失敗した場合は、ディレクトリをクリーンアップしてから、そのディレクトリにOracle Application Serverを再インストールする必要があります。また、インストーラはインストールを修復することもできません。ディレクトリのクリーンアップ方法の手順は、F.3.4項「空でないディレクトリへのインストールに関するメッセージ」を参照してください。

3.2 シンボリック・リンクの使用

Oracle Application Serverをインストールする前にシンボリック・リンクを作成し、これをインストール時に使用できます。たとえば、次のコマンドを実行したとします。

prompt> mkdir /home/basedir
prompt> ln -s /home/basedir /home/linkdir

ここで、インストーラを実行するときに、/home/linkdirをOracleホームとして指定できます。

インストール後に、Oracleホームへのシンボリック・リンクを作成することはできません。また、Oracleホームを別の場所に移動したり、元のOracleホームへのシンボリック・リンクを作成することもできません。

3.3 初めてのOracle製品のインストール

Oracle Application Serverが、コンピュータにインストールする最初のOracle製品である場合、インストーラにより、インベントリ・ディレクトリ(oraInventoryディレクトリとも呼ばれる)を指定するための画面が表示されます。インベントリ・ディレクトリは、インストーラがコンピュータ上にインストールされている全Oracle製品を把握するために使用します。

インベントリ・ディレクトリは、Oracle Application ServerのOracleホーム・ディレクトリとは別のものです。

oinstallグループの他のユーザーがインベントリ・ディレクトリにアクセスできるように(Oracle製品をインストールできるように)、oracleユーザーのホーム・ディレクトリをインベントリ・ディレクトリとして使用しないでください。ホーム・ディレクトリには、oinstallグループのための適切な権限が設定されていないことがあるためです。そのかわり、インベントリ・ディレクトリを/opt/oracleディレクトリ(/opt/oracle/oraInventoryなど)に置くことはできます。

コンピュータにすでにOracle製品をインストールしている場合、インストーラは既存のインベントリ・ディレクトリを使用します。このディレクトリに対する書込み権限を持っていることを確認してください。最も確実な方法は、既存のOracle製品をインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーとしてインストーラを実行することです。

Oracle製品のインストールに関連するすべてのタスクを実行するためのオペレーティング・システム・ユーザーを作成することをお薦めします。詳細は、2.8項「オペレーティング・システム・ユーザー」を参照してください。

3.4 追加の言語のインストール

デフォルトでは、インストーラによって、英語およびオペレーティング・システムの言語のテキストでOracle Application Serverがインストールされます。追加の言語が必要な場合は、「インストールする製品の選択」画面の「製品の言語」をクリックします。

インストールする追加の言語を選択すると、選択した言語でテキストがインストールされます。また、その言語の表示に必要なフォントもインストールされます。

一部のコンポーネントでは、インストール時に選択した場合にのみ、その言語がインストールされます。この場合、使用できない言語でアプリケーションにアクセスすると、サーバーのロケール言語に戻されます。

その他のコンポーネントでは、インストール時に選択した言語に関係なく使用可能な言語がインストールされます。ただし、この場合、フォントは明示的に選択した言語用のみがインストールされます。アプリケーションにアクセスすると、言語はインストールされているため、ご使用の言語でテキストが使用されます。ただし、テキストをレンダリングするための適切なフォントがない場合は、テキストは四角いボックスで表示されます。通常、これは中国語、日本語および韓国語に適用されます。

フォントはインストール後にインストールできます。詳細は、F.3.10項「ユーザー・インタフェースが希望の言語で表示されない、または正しく表示されない」を参照してください。

インストール後に追加の言語をインストールできないことに注意してください。すべての必要な言語はイントール中にインストールする必要があります。インストールしていない言語を使用する環境でOracle Application Serverを実行すると、ユーザー・インタフェースはその言語または英語で表示されます。または、(フォントがないために)テキストのかわりに四角いボックスが表示される場合もあります。

3.5 Oracle Application Server インスタンスとインスタンス名

インフラストラクチャをインストールすると、Oracle Application Serverインスタンスができます。インストーラにより、インストールするOracle Application Serverインスタンスの名前を入力するように求められます。たとえば、「infra」のような名前を付けることができます。この名前は、Oracleホームの名前と同じでなくてもかまいません。

インストール後に、この名前を変更することはできません。

Oracle Application Serverでは、指定されたインスタンス名にホスト名とドメイン名を追加し、完全なインスタンス名にします。たとえば、c1という名前のコンピュータにインスタンスをインストールする場合、インスタンスの名前をinfra1にすると、ドメイン名がmydomain.comであれば、インスタンスのフルネームはinfra1.c1.mydomain.comになります。

インスタンス名に使用できる文字

インスタンス名には、英数字(A-Za-z0-9)および_(アンダースコア)文字のみを使用できます。

インスタンス名の最大長は64文字です。

Oracle Application Serverインスタンス名での制限

Oracle Application Serverインスタンスの名前には、コンピュータのホスト名を使用しないでください。

Oracle Application ServerインスタンスをOracleAS Clusterに配置する計画がある場合は、インスタンス名には次のものを含めないでください。

Oracle Application Serverでのインスタンス名の使用

インスタンス名が重要なのは、Oracle Application Serverでインスタンスを一意に識別するのに使用されるためです。つまり、同じコンピュータ上に複数のOracle Application Serverインスタンスをインストールした場合(OracleAS InfrastructureインスタンスとJ2EE and Web Cacheインスタンスなど)、それぞれに異なる名前を付ける必要があります。

Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Control(または略してApplication Server Control)を使用してOracle Application Serverを管理する場合は、インスタンス名が画面に表示されます。インスタンス名をクリックして、そのインスタンスにインストールされているコンポーネント、コンポーネントの稼働/停止状態、コンポーネントのログ・ファイルなどのインスタンスの詳細を表示できます。Application Server Controlは、Oracle Application Server用のブラウザベースの管理ツールです。管理ツールの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

また、一部のdcmctlコマンドには、パラメータとしてインスタンス名が必要なものもあります。dcmctlは、Oracle Application Serverインスタンスを管理するためのコマンドライン・ツールです。dcmctlの詳細は、『Distributed Configuration Management管理者ガイド』を参照してください。

3.6 ias_adminユーザーとそのパスワードの制限

インストーラにより、ias_adminユーザーのパスワードを指定するように求められます。ias_adminユーザーは、Oracle Application Serverインスタンスの管理ユーザーです。Application Server Controlを使用してOracle Application Serverインスタンスを管理するには、ias_adminとしてログインします。

コンピュータ上に、それぞれが一意のインスタンス名を持つ複数のOracle Application Serverインスタンスをインストールできますが、管理ユーザーの名前はどのインスタンスでもias_adminです。ias_adminユーザーのパスワードは、インスタンスごとに別にすることができます。

ias_adminユーザーのパスワード

ias_adminユーザーのパスワードは、Oracle Internet Directoryのパスワード・ポリシーに準拠している必要があります。

Oracle Internet Directoryに定義されたパスワード・ポリシーに加え、ias_adminユーザーのパスワードには次の制限もあります。

パスワードは、次の作業を実行するときに入力する必要があるため、覚えておく必要があります。

パスワードを忘れた場合は、リセットできます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

3.7 コンポーネントのインストールとコンポーネントの構成

「構成オプションの選択」画面でコンポーネントを選択すると、インストーラにより、選択したコンポーネントがインストールされ、構成されます。選択していないコンポーネントもインストールされますが、構成されません。

ほとんどの場合、「構成オプションの選択」画面で選択しなかったコンポーネントは、インストール後にApplication Server Controlを使用して構成できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

3.8 インストーラがファイルを書き込む場所

インストーラは、次のディレクトリにファイルを書き込みます。

表3-1    インストーラがファイルを書き込むディレクトリ 
ディレクトリ  説明 

Oracleホーム・ディレクトリ 

このディレクトリにはOracle Application Serverのファイルが入っています。このディレクトリは、Oracle Application Serverのインストール時に指定します。 

インベントリ・ディレクトリ 

コンピュータに最初にOracle製品をインストールするときにこのディレクトリを指定します。このディレクトリは、インストーラがコンピュータ上にインストールされているOracle製品を把握するのに使用します。それ以降のインストールでも、インストーラは同じインベントリ・ディレクトリを使用します。 

/var/opt/oracleディレクトリ 

このディレクトリには、コンピュータ上のOracleホームの場所に関する情報が含まれます。

コンピュータにOracle9i ASリリース2(9.0.2)をインストールした場合は、Oracle Enterprise Manager 10g に関する情報の入ったファイルも含まれます。 

/tmpディレクトリ 

インストーラは、インストール時のみに必要なファイルを一時ディレクトリに書き込みます。デフォルトでは、一時ディレクトリは/tmpです。別のディレクトリを指定するには、環境変数TMPを設定します。詳細は、2.9.5項「TMPおよびTMPDIR」を参照してください。 

3.9 インストール中に特定の回数だけrootとしてログインする必要がある理由

インストール中に1回以上は、インストーラにより、rootユーザーとしてログインしてスクリプトを実行するように求められます。rootである必要があるのは、スクリプトが/etcディレクトリ内のファイルを編集するためです。

3.10 インストール中のroot.shの実行

インストーラにより、root.shスクリプトを別のウィンドウで実行するように求められます。このスクリプトにより、ローカルのbinディレクトリ(デフォルトでは/usr/local/bin)にファイルが作成されます。

同じ名前のファイルが検出された場合、スクリプトにより既存のファイルを上書きするかどうかを尋ねられます。これらのファイルのバックアップを作成してから(別のウィンドウでできます)、上書きする必要があります。

次の行に、root.shスクリプトにより表示されるプロンプトを示します。デフォルト値は大カッコに囲まれて表示されます。

Enter the full pathname of the local bin directory: [/usr/local/bin]:
The file "dbhome" already exists in /usr/local/bin.  Overwrite it? (y/n)[n]:  y
 Copying dbhome to /usr/local/bin ...
The file "oraenv" already exists in /usr/local/bin.  Overwrite it? (y/n)[n]:  y
 Copying oraenv to /usr/local/bin ...
The file "coraenv" already exists in /usr/local/bin.  Overwrite it? (y/n)[n]: y
 Copying coraenv to /usr/local/bin ...

root.shを実行すると、「chmod: WARNING: Corresponding set-ID also disabled...」で始まる警告が表示される場合があります。この警告は無視してかまいません。

3.11 インストール中の他のOracle Application Serverインスタンスの変更

Oracle Application Serverインスタンスのインストール中、ご使用の環境の他のインストールの設定またはパスワードの変更は行わないでください。たとえば、ご使用の環境にOracleAS Infrastructureインストールがある場合は、中間層のインストール中にそのインストールの変更は行わないでください。

3.12 SSL接続を介したOracle Internet Directoryへの接続

OracleAS Infrastructureまたは中間層をインストールするとき、Oracle Application ServerコンポーネントがSSL接続のみを介してOracle Internet Directoryに接続するように指定できます。Oracle Internet Directoryのホスト名とポートを指定する画面で、「このOracle Internet DirectoryにはSSL接続のみ使用」オプションを選択できます。

インストール中はOracle HTTP ServerはSSL接続を行うように設定されないことに注意してください。Oracle HTTP ServerでSSLを使用する必要がある場合は、インストール後に設定を行います。詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』を参照してください。

3.13 CD-ROMまたはDVD-ROMのマウント・ポイントの設定

Oracle Application ServerのCD-ROMは、RockRidgeフォーマットです。DVD-ROMは、DVD-ROMフォーマットです。

ほとんどのLinuxシステムでは、ディスクはディスク・ドライブに挿入されると自動的にマウントされます。最初のディスクをマウントするには、次の手順に従います。

  1. Oracle Application ServerのDisk 1をディスク・ドライブに挿入します。

  2. ディスクが自動的にマウントされたことを確認するために、次のコマンドを入力します。

    • Red Hatの場合:

      # ls /mnt/cdrom
      
      
    • SUSE Linux Enterprise Serverの場合:

      # ls /media/cdrom
      
      
  3. 手順2のコマンドが失敗してディスクの内容が表示されなかった場合、次のコマンドを入力します。

    • Red Hatの場合:

      # mount -t iso9660 /dev/cdrom /mnt/cdrom
      
      
    • SUSE Linux Enterprise Serverの場合:

      # mount -t iso9660 /dev/cdrom /media/cdrom
      

3.14 Oracle Universal Installerの起動

  1. CD-ROMまたはDVD-ROMからインストールしていて、コンピュータが自動的にCD-ROMまたはDVDをマウントしない場合、マウント・ポイントを手動で設定する必要があります。詳細は、3.13項「CD-ROMまたはDVD-ROMのマウント・ポイントの設定」を参照してください。

  2. oracleユーザーとしてログインします。

  3. 複数のホームを持つコンピュータにOracle Application Serverをインストールする場合は、環境変数OUI_HOSTNAMEを作成します。この変数は、Oracle Application Serverをインストールしているコンピュータのホスト名を指すように設定します。

    関連項目:

    2.11.2項「複数のホーム(複数のIP)を持つコンピュータへのインストール」 

  4. ハード・ドライブからインストールしている場合は、次の手順に進みます。

    CD-ROMユーザーの場合: Oracle Application ServerのDisk 1をCD-ROMドライブに挿入します。

    DVD-ROMユーザーの場合: Oracle Application Server DVD-ROMをDVD-ROMドライブに挿入します。

  5. 「注意」の後に示すコマンドを使用して、Oracle Universal Installerを実行します。


    注意:

    • Oracle Universal Installerの起動時は、rootユーザーとしてログインしないでください。rootユーザーとして起動しようとすると、エラー・メッセージが表示されます。

    • mount_pointディレクトリ内でインストールを開始しないでください。このディレクトリ内でインストールを開始すると、インストール・ディスクを取り出せない場合があります。cdコマンドにより、現在のディレクトリがホーム・ディレクトリに変更されます。

     

    CD-ROMの場合:

    prompt> cd
    prompt> mount_point/10.1.4disk1/runInstaller
    
    

    DVD-ROMの場合:

    prompt> cd
    prompt> mount_point/application_server/runInstaller
    
    

    ハード・ドライブ

    prompt> cd disk1_directory
    prompt> runInstaller
    
    

    disk1_directoryは、Disk 1ファイルを解凍したディレクトリです。

Oracle Universal Installerが起動します。これを使用して、Oracle Application Serverをインストールします。


戻る 次へ
Oracle
Copyright © 2007 Oracle Corporation.

All Rights Reserved.
目次
目次
索引
索引