Oracle Access Managerが正しく動作するには、すべての主要なコンポーネント間でシステム・クロックの同期がとれていることが重要です。
この章に含まれる内容は次のとおりです。
注意: この章では、NTPの概要を説明します。この説明は、情報提供のみを目的としています。NTPのインストールと構成については、所属する組織のガイドに従ってください。 |
『Oracle Access Managerインストレーション・ガイド』で説明しているように、Oracle Access Managerコンポーネントを複数のマシンにインストールする場合は、すべてのシステム・クロックの同期がとれている必要があります。これは、証明書モードまたは簡易モードでソフトウェアを実行する場合に特に重要です。
通常の運用の場合にも同期化は重要です。セキュリティの要素として、非常に厳密な同期化が必要になる場合があります。たとえば、期限切れのCookieの時間を変更することによって実際の時間よりも早い時間に見せかけるような、時間ベースの攻撃を受ける可能性があります。厳密に同期化されたコンピュータの場合、Cookieのタイムスタンプの偽造は困難になります。
Network Time Protocol(NTP)は、システム・クロックを同期化する場合の一般的なツールです。時刻の同期化の詳細は、次のURLを参照してください。
また、comp.protocols.time.ntpニュース・グループも参照してください。通常のNTPは、数ミリ秒以内でコンピュータの時刻と同期をとります。次の例は、制御されていないオフィス環境にある一般的なワークステーション上でntpコマンドを実行した場合の結果の出力を示しています。この例から、このコマンドで実行される同期のレベルが高いことがわかります。
ntpq -p remote refid st t when poll reach delay offset disp ============================================================================== -qa.mycompany.co clock.via.net 2 u 228 1024 377 1.33 0.121 5.13 #palantir.mycomp clock.via.net 2 u 254 1024 377 1.42 -1.518 5.12 -panacea.company clock.via.net 2 u 244 256 377 0.91 0.551 3.31 +test.mycompany. nist1.aol-ca.tr 2 u 175 256 376 0.96 3.760 5.41 +test.mycompany. pra3a.mycompany 3 u 441 256 372 1.12 3.043 65.31 +test.mycompany. pra3a.mycompany 3 u 232 256 377 0.81 3.736 2.85 +test.mycompany. pra3a.mycompany 3 u 27 256 377 0.93 3.787 3.34 +test2.mycompany nist1.aol-ca.tr 2 u 232 256 377 0.74 3.722 2.92 *nist1.abc-ca.tr .ACTS. 1 u 180 256 377 11.53 1.097 2.88 -ntp-cup.externa .GPS. 1 u 96 256 377 38.48 -0.694 4.45
offsetフィールドの値はミリ秒単位です。すべてのコンピュータの時刻が5ミリ秒の範囲に収まっていることに注目してください。nist1ワークステーションの場合、米国国立標準技術研究所が提供する時刻よりも約1ミリ秒(1.097ミリ秒)遅れています。様々な大気伝播遅延によって約10ミリ秒の精度に限定される可能性があるラジオ放送と比較した場合、これは優れた値です。
UNIXオペレーティング・システムには、NTPのいずれかのバージョンが付属しているのが一般的です。簡単な構成作業により、次に示す付属バージョンを有効にすることができます。
Solaris: ntp.confファイルを作成する必要があります。
Solarisの規則に従ってこのファイルを作成してからコンピュータを再起動すると、xntpが自動的に開始されます。
HP-UX: samを使用してntpを開始できます。
AIX: ntp.confファイルを作成し、/etc/init.d(またはAIX上の同等のディレクトリ)の開始スクリプトを有効にするか新規作成する必要があります。
UNIXのすべてのバージョンについて、http://www.ntp.org/
から現在の(よりセキュアな)バージョンのNTPデーモンを入手することもできます。
すべてのUNIXマシンは内部的にUTC(GMTの学術的な名称)を使用し、ローカル時刻に変換してユーザーに時刻を表示しています。
一般にWindowsコンピュータは、MicrosoftバージョンのNTPを使用して自動的にドメイン・コントローラとの時刻の同期を実行します。NTPで時刻の同期をとることができますが、公式の時刻ソースでドメイン・コントローラとの同期をとる必要もあります。
多くのInternet Service Provider(ISP)により、時刻サービスが提供されています。公開されているstratum-1サーバーの一覧は、http://www.ntp.org/
から入手できます。このサイトに掲載されているサーバーの一部は公開されています(たとえば、NISTのサーバー)。その他のサーバーについては、自社のネットワークの同期で使用する前に電子メールで依頼する必要があります。
Windowsコンピュータのクロックにはローカル時刻が保持されていますが、NTP同期化プログラムによって補正されて各タイムゾーンに適合した時刻に変換されます。
できるかぎり正確に時刻を合せることが重要な組織では、GPSベースのクロックを購入することが考えられます。低価格のクロックの場合、若干の加工が必要です。こうしたクロックを使用して、自社のネットワーク全体を同じ時刻に設定することができます。GPSテクノロジでは、非常に正確な時刻が必要になります。GPSの各衛星は3つの原子時計を搭載し、地上からの訂正を継続的に受信して相対論的効果によるずれを補正しています。言い換えると、現在時刻の正確な推定値は、GPS受信機の位置を決定する副次的な効果としてもたらされたものです。
『Oracle Access Managerインストレーション・ガイド』に記載されているように、Oracle Access Managerは、同期化されたタイム・クロックおよび各ホスト・コンピュータのオペレーティング・システムに依存して時刻を正確に管理します。オペレーティング・システムのタイム・クロックが適切に機能している場合は、Oracle Access Managerも適切に機能します。通常、オペレーティング・システムのタイム・クロックの管理と同期化には、Network Time Protocol(NTP)が使用されます。
OracleデータベースおよびOracleフュージョン・ミドルウェア製品に関する2007年のアメリカ合衆国の夏時間(DST)準拠: 2007年は、夏時間の実施日程が変更されます。アメリカ合衆国では、2005年エネルギ政策法が法制化され、夏時間が延長されることになりました。この新しい規則では、アメリカ合衆国のDSTは3月の第2日曜日に開始され、11月の第1日曜日に終了します。以前の夏時間は、4月の第1日曜日に開始され10月の最後の日曜日に終了していました。
2007年の新しい規則では、DSTは2007年3月11日に開始され、2007年11月4日に終了します。この変更はカナダにも影響します。必要なパッチを適用していない場合は、2007年3月11日から2007年4月1日まで、および2007年10月28日から2007年11月4日まで(翌年以降は異なる日付)の期間、データベースによって不正なタイムゾーン・データが報告されます。メキシコでは、引き続き以前のDST規則が使用されます。
OracleデータベースおよびOracleフュージョン・ミドルウェア製品に関する、2007年のアメリカ合衆国の夏時間(DST)準拠による影響の詳細は、Oracle MetalinkのWebサイト(https://metalink.oracle.com
)の「Note: 397281.1」を参照してください。
Oracle Internet DirectoryおよびOracle Application Serverに関する2007年のアメリカ合衆国のDST変更: 2007年のDST変更によってDSTの問題が発生する可能性があるのはデータベースのみで、タイムゾーンが設定されている場合に限られます。準拠するオペレーティング・システムが必要です。詳細は、Oracle MetalinkのWebサイト(https://metalink.oracle.com
)に含まれている次の項目を参照してください。
Note 357056.1—夏時間(DST)規則の変更によるOracleデータベースへの影響
Note 359145.1—2007年のアメリカ合衆国の夏時間変更によるOracleデータベースへの影響
Note 360803.1—AUタイムゾーンのデータベースおよびフュージョン・ミドルウェアの推奨事項
Note 397281.1—データベースおよびフュージョン・ミドルウェアに関する2007年のアメリカ合衆国の夏時間(DST)準拠
Note 401010.1—西オーストラリアの夏時間変更に関するデータベースおよびフュージョン・ミドルウェアの推奨事項
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