JDeveloperには、拡張アソシエーションの機能が用意されています。この機能を利用して、拡張エンティティ・オブジェクト間のアソシエーション関係を保持できます。また、アソシエーションを拡張することにより、拡張エンティティ・オブジェクトに追加された新しい属性にアクセスできるようになります。エンティティ・オブジェクト、およびエンティティ・オブジェクト間のアソシエーションを拡張した場合、タイプ・セーフなバインディングが保持されます。元のエンティティ・オブジェクト内に記述されているアソシエーション・アクセッサは、拡張エンティティ・オブジェクトに継承され、元のアソシエーションを横断できます。
次の図に示すように、アソシエーションにより、共通の属性に基づいた関連元と関連先のエンティティ・オブジェクトの関係が定義されます。それぞれのエンティティ・オブジェクトには、アソシエーションを横断するアクセッサ・メソッドを定義できます。たとえば、Dept
およびEmp
のエンティティ・オブジェクトがあり、Dept
には、指定された部門のEmp
オブジェクトの行セットを取り出すgetEmp()
メソッドが含まれ、Emp
には、現行の部門を取り出すgetDept()
メソッドが含まれているとします。
次の図に示すように、拡張エンティティ・オブジェクトには、その親のアソシエーションおよびアソシエーションのアクセッサが継承されます。拡張エンティティ・オブジェクトのアクセッサは、元のアソシエーションを横断できます。Dept
エンティティ・オブジェクトを拡張すると、getEmp()
メソッドはNewDeptEx
に継承され、元のアソシエーションを横断してEmp
のデータを取り出せます。同様に、Emp
エンティティ・オブジェクトを拡張すると、getDept()
メソッドはNewEmpEx
に継承され、Dept
のデータを取り出せます。
ただし、エンティティ・オブジェクトを拡張しても、元のアソシエーションは拡張されないことに注意してください。アソシエーションを拡張しないかぎり、NewEmpEx
からNewDeptEx
へ(またはNewDeptEx
からNewEmpEx
へ)のアクセッサはコールできません。アソシエーションを拡張することにより、アソシエーションを更新し、拡張エンティティ・オブジェクト間の関連付けを行えます。
拡張エンティティ・オブジェクト間のアソシエーションを拡張すると、次のように柔軟性の高い処理を実行できます。
拡張された新しいエンティティ属性を、関連元および関連先のロール属性として選択できます。
既存のアソシエーション・プロパティの値(カーディナリティやコンポジットなど)を選択できます。
次の図は、NewDeptEx
とNewEmpEx
の拡張アソシエーションを表しています。
アソシエーションの拡張
次の例では、エンティティ・オブジェクトDept
およびEmp
を拡張したと仮定します。この手順では、元のエンティティ・オブジェクト間のアソシエーションを拡張することにより、拡張エンティティ・オブジェクトNewDeptEx
とNewEmpEx
間のアソシエーションを作成する方法について説明します。
カスタマイズされたアソシエーションを含めるパッケージを右クリックし、「新規アソシエーション」を選択します。「アソシエーション」ウィザードが開きます。
名前ページで、新規アソシエーションの名前(NewFKAssocEx
)を「名前」フィールドに入力します。柔軟性を高めるために、このページでは、「名前」、「パッケージ」および「拡張アソシエーション」のフィールドが編集可能になっています。
「参照」をクリックし、「親」ダイアログを開きます。元のコンポーネントのパッケージを開き、拡張するアソシエーションを選択します。「OK」をクリックし、ダイアログを閉じます。名前ページで「次へ」をクリックし、エンティティ・オブジェクト・ページに進みます。
アソシエーション・ページで、「関連元エンティティ・オブジェクトの選択」リストの拡張オブジェクトを含むパッケージを開き、NewDeptEx
エンティティ・オブジェクトを選択します。 NewDeptEx
は拡張アソシエーションの関連元として動作します。次に、「関連先エンティティ・オブジェクトの選択」リストの拡張オブジェクトを含むパッケージを開き、NewEmpEx
エンティティ・オブジェクトを選択します。NewEmpEx
は拡張アソシエーションの関連先として動作します。「次へ」をクリックし、関連元ロール属性ページに進みます。
関連元ロール属性ページで、関係を定義する、拡張アソシエーションのリンク元のエンティティ属性を選択します。リンク元およびリンク先の両方で、それぞれのエンティティ・オブジェクトに対して、同じ数の属性を、正しい順序で指定する必要があります。拡張エンティティ・オブジェクトに追加された新規の属性も使用可能であることに注意してください。この例では、Deptno
が「選択済の属性」リスト内に表示されていることを確認してください。
オプションとして、キーを定義するすべての属性を指定できます。「選択済の属性」リストにキーを移動した場合、そのキーに関連付けられた属性が自動的に表示されます。また、関連元の属性ページでキーを選択した場合、一致するキー(該当する場合)が、デフォルトでリンク先の属性ページに含められます。「次へ」をクリックし、関連先の属性ページに進みます。
関連先ロール属性ページで、関係を定義する、拡張アソシエーションのリンク先のエンティティ属性を選択します。リンク元およびリンク先の両方で、それぞれのエンティティ・オブジェクトに対して、同じ数の属性を、正しい順序で指定する必要があります。「次へ」をクリックし、アソシエーション・プロパティ・ページに進みます。
アソシエーション・プロパティ・ページでカーディナリティ、アクセッサまたはコンポジットのプロパティに対して必要な設定を行います。「次へ」をクリックし、「終了」を選択してアソシエーション・ウィザードを終了します。
JDeveloperで、新しいアソシエーションを定義するNewAssocEx.xml
ファイルが生成されます。
NewFKAssocEx
のアソシエーションは、ソース・コードを変更せずに、EmpForeignKeyAssoc
のアソシエーションの機能を拡張して作成されます。JDeveloperによりNewFKAssocEx
の .xml
ファイルが作成され、このファイルはパッケージ化されたアプリケーション内にシームレスに統合できます。この時点で、NewFKAssocEx
というアソシエーションを実行時に使用できます。また、オリジナルのアプリケーション内のEmpForeignKeyAssoc
のすべてのインスタンスのかわりにこのビュー・オブジェクトを使用することもできます。アプリケーションでEmpForeignKeyAssoc
のすべてのインスタンスのかわりにNewFKAssocEx
を使用する方法の詳細は、「拡張ビジネス・コンポーネントの置換」を参照してください。
次に、NewFKAssocEx.xml
のコード・サンプルを示します。
1 <?xml version="1.0" encoding='WINDOWS-1252'?> 2 <!DOCTYPE Association SYSTEM "jbo_03_01.dtd">
3 <Association
4 Name="NewFKAssocEx"
5 Extends="package27.EmpForeignKeyAssoc" >
6 <DesignTime>
7 <Attr Name="_isCodegen" Value="true" />
8 </DesignTime>
9 <AssociationEnd
10 Name="Dept"
11 Cardinality="0"
12 Source="true"
13 Owner="Extender.NewDeptEx" >
14 <AttrArray Name="Attributes">
15 <Item Value="package27.Dept.Deptno" />
16 </AttrArray>
17 </AssociationEnd>
18 <AssociationEnd
19 Name="Emp"
20 Cardinality="-1"
21 Owner="Extender.NewEmpEx" >
22 <AttrArray Name="Attributes">
23 <Item Value="package27.Emp.Deptno" />
24 </AttrArray>
25 </AssociationEnd>
26 </Association>
4から5行: Oracle ADF Business Componentsのフレームワークで、Association
タグにName
およびExtends
フィールドが追加され、新しいアソシエーションの名前(NewFKAssocEx
)と、拡張元のアソシエーションの名前(package27.EmpEoreignKeyAssoc
)が指定されます。
10から15行: フレームワークで、AssociationEnd
タグのName
、Owner
、Source
およびItem Value
フィールドが使用され、元のアソシエーションの一方のエンティティの名前(Dept
)、アソシエーションの一方の新しい所有者(Extender.NewDeptEx
)、アソシエーションの関連元(Source="true"
)が指定され、外部キーの名前が、AttrArray
セクションのItemValue
タグに追加されます(package27.Dept.Deptno
)。
19から23行: 同様に、フレームワークで、AssociationEnd
タグのName
、Owner
およびItem Value
フィールドが使用され、元のアソシエーションのもう一方のエンティティの名前(Emp
)、アソシエーションの一方の新しい所有者(Extender.NewEmpEx
)が指定され、外部キーの名前が、AttrArray
セクションのItemValue
タグに追加されます(package27.Emp.Deptno
)。
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