Oracle ADF Business Componentsで開発されたアプリケーションは、通常のエンタープライズ・アプリケーションよりもカスタマイズが簡単です。このトピックでは、まず通常のアプリケーションのカスタマイズ方法を説明してビジネス・コンポーネントを使用した場合の利点と比較し、次にビジネス・コンポーネントを拡張する手順を示します。
エンタープライズ・アプリケーションは、顧客に納品されインストールされた後、特定のサイトのニーズに合せて通常カスタマイズされます。カスタマイズは、ほとんどの場合、オリジナル・アプリケーションのソース・コードを入手し、これを修正して行います。カスタマイズを目的としたオリジナル・ソース・コードの変更は、オンサイト・コンサルタントまたは社内のITエンジニアが行います。ソース・コードの変更はリスクが高く、新機能および基礎となる本来の機能が正常に動作するかを再テストする必要があります。カスタマイズされたアプリケーションは、費用および時間のかかるこの処理の後、使用されます。
一定期間が経過すると、不具合を修正し、新機能を追加したオリジナル・アプリケーションの新バージョンがサイトにデプロイされます。このとき、オンサイト・コンサルタントまたは社内のITエンジニアは次のことを行う必要があります。
アプリケーションの開発元から新しいソース・コードを再入手
前回のカスタマイズで変更したソース・コードすべてと新しいソース・コードを比較およびマージ(手動での再適用)し、カスタマイズの再適用が必要な部分を判別
新しいソース・コードにカスタマイズを手動で再適用
カスタマイズしたアプリケーションをサイトで再実装
変更したコンポーネントを再テスト
これは、オリジナル・アプリケーションの新バージョンがデプロイされるたびに繰り返す必要があります。
対照的に、Oracle ADF Business Componentsフレームワークでは、階層型のコンポーネントのカスタマイズがサポートされています。つまり、ビジネス・コンポーネントのセットとして作成およびデプロイされたアプリケーションを、オリジナル・アプリケーションのソース・コードを変更せずに、容易に拡張することができます。
ビジネス・コンポーネントでは、オリジナル・アプリケーションのソース・コードを変更せずにカスタマイズを行うことができます。手動でカスタマイズを再適用せずに、オリジナル・アプリケーション・コンポーネントの新バージョンを使用することができます。
Oracle ADF Business Componentsフレームワークでは、オリジナル・コンポーネントの既存の機能を有効にしたまま新しい機能、属性およびビジネス・ロジックを追加することも、オリジナルの動作をオーバーライドすることもできます。
オプションで、ファクトリ置換により、オリジナル・アプリケーションのソース・コードを変更せずに、カスタマイズしたコンポーネントで、デプロイされたアプリケーションのオリジナル・コンポーネントの実装を完全に置き換えることができます。つまり、カスタマイズしたOrderコンポーネントでカスタマイズの一部として税金の計算方法を変更した場合、CustomizedOrderコンポーネントを作成し、元のOrderコンポーネントと置き換えると、既存の注文入力システムでこの新しい動作が使用されます。
JDeveloperのウィザードには、既存のビジネス・コンポーネントの定義を拡張する機能が提供されています。拡張できるコンポーネントは次のとおりです。
ウィザードでは、既存のコンポーネントを指定し、これを基礎としてコンポーネントを拡張できます。次に、JDeveloperにより、拡張したコンポーネントのJavaファイルおよびXMLファイルが生成されます。拡張されたコンポーネントは、Javaの拡張機能を使用して、ベース・コンポーネントのJava実装クラスおよびメタデータを継承します。この継承は複数レベルへ拡張できます。つまり、コンポーネントA
を拡張してコンポーネントB
を作成し、コンポーネントB
を拡張してコンポーネントC
を作成できます。
コンポーネントをカスタマイズするには、次のようにします。
.jpx
)を含めるJARファイルを作成します。JARファイルは通常、アプリケーションの開発元から提供されます。
次のトピックでは、ビジネス・コンポーネントを拡張および置換する方法について説明します。
Oracle ADF Business Componentsの開発
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