このマニュアルでは、Oracle Fail Safeのインストールについて順を追って説明します。Oracle Fail Safeは、Oracle Fail Safe Manager、Oracle Services for MSCS、およびOracle Fail Safe固有のサーバー・コンポーネントなどの複数のコンポーネントから構成されています。
Oracle Fail Safe ManagerはGUIであり、これを使用してOracleシングルインスタンス・データベース、Oracle Management Agent、汎用サービスなどをMSCSクラスタで高可用性を持つように構成および管理できます。Oracle Services for MSCSは、メインのサーバー・コンポーネントです。
通常は、Oracle Universal InstallerのGUIを使用して、インストールを実行します。複数のシステムに同じインストールを行う必要がある場合は、インストール手順をバッチ・ファイルまたはスクリプトで自動化するためにOracle Universal Installerをサイレント・モードで実行する必要があります。サイレント・インストールについては、付録Bに説明があります。
この章では、次の項目について説明します。
Oracle Fail Safeのインストールの前に、次の構成作業を実行する必要があります。
Microsoft WindowsクラスタのMicrosoftハードウェア互換性リストに記載された、クラスタ・ハードウェア構成であることを確認します。
各システムでOracle Netのtnsnames.oraが適切に構成されていて、そのローカルのデータベース(該当する場合)および別のシステム上のデータベースにアクセスできることを確認します。
Oracle Services for MSCSをクラスタのノードのサブセットにインストールする場合は、クラスタ・グループがOracle Fail Safeをインストールしたノードのいずれかで実行されていることを確認します。MSCSクラスタ アドミニストレータを使用して、クラスタ・グループの場所を表示または変更できます。
Microsoft Distributed Transaction Coordinator(MSDTC)が正しく構成されていることを確認します。Oracle Fail Safeの一部の操作はMSDTCに依存しており、MSDTCが正しく構成されていない場合はOracleMSCSServicesサーバーが起動しません。次のMicrosoft Knowledge Baseの記事の手順に従って、クラスタでMSDTCをインストールおよび構成してください。
Oracle Fail Safeを実行するすべてのノードに、Microsoft Visual C++ 2005ランタイム・ライブラリがインストールされていることを確認します。対話型インストールでは、必要なイメージをインストールするため、自動的にMicrosoftインストーラが実行されます。
Oracle Services for MSCSのインストール中に、Microsoft Windowsイベント・ビューアが実行されていないことを確認します。
注意: Microsoft Windowsイベント・ビューアの実行中にOracle Services for MSCSをインストールしようとすると、fsus.dll ファイル(日本語システムの場合はfsja.dll )をコピーできないことを示すエラーが返され、再試行、無視または取消しを求められます。Microsoft Windowsイベント・ビューアを停止し、Oracle Fail Safeインストールのエラー・ウィンドウで「再試行」をクリックすると続行できます。 |
Oracle Services for MSCSは、Microsoft Windows 2000 Advanced ServerまたはDatacenter Serverにインストールする必要があります。条件が満たされた場合、次のようになります。
Oracle Fail Safe Managerは、次のオペレーティング・システムと互換性があります。
Microsoft Windows 2000
Microsoft Windows XP
Microsoft Windows Server 2003
Microsoft Windows Server 2003 R2
Oracle Fail Safe Serverは、次の表に示すソフトウェアと互換性があります。
ソフトウェア | リリースまたはバージョン |
---|---|
Oracle Database(StandardおよびEnterprise Edition) | Oracle9iリリース2(9.2)
Oracle Database 10gリリース1(10.1) Oracle Database 10gリリース2(10.2) Oracle Database 11gリリース1(11.1) |
Oracle Intelligent Agent | リリース9.2.0 |
Oracle Management Agent | リリース10.1.0.2
リリース10.1.0.3 (Microsoft Windows用の管理エージェント・リリースのみ。) |
Oracle Enterprise Manager | リリース9.2.0
リリース10.1.0 |
Oracle Application Server | リリース10.1.2 |
注意: Oracle Fail Safeでは自動ストレージ管理がサポートされていません。また、Oracle Fail Safe ServerおよびOracle Fail Safe Managerは、Windows Vistaではサポートされていません。 |
このマニュアルではOracle Fail Safeのインストールを詳細に説明していますが、Oracle Fail Safe環境を実装するためには、他の製品のインストールも必要です。図1-1に、2ノード・クラスタへのソフトウェアの推奨インストール順序を示します。
次のリストに、インストールの順序と、Oracle Fail Safeの起動に役立つ他の作業の詳細を示します。
Microsoft Distributed Transaction Coordinator。クラスタ環境に合せて正しく構成。
Oracle Fail Safeとともに使用できるMicrosoft Windowsのバージョンの詳細は、『Oracle Fail Safeリリース・ノート』を参照してください。Oracle Fail Safe Webサイトには、Microsoft Cluster Serverのインストールの詳細が掲載されています。
それぞれのクラスタ・ノード上で、Microsoft Windowsのpingコマンドを使用して、TCP/IP接続をテストします。
クラスタ間においてIPアドレスとホスト名が正しく解決されるかどうか検証するには、次のテストを実行して、pingにより各クラスタ・ノードで同じアドレスが返されることを確認します。
ネットワーク構成の問題の詳細は、『Oracle Fail Safe概要および管理ガイド』を参照してください。
インストールする予定の各Oracle製品に対する各クラスタ・ノードで、プライベート・ディスク(システム・ディスクなど)にOracleホームを作成します。次回のアップグレードの際の停止時間を最短にするため、主要な各コンポーネントには別々のOracleホーム(たとえば、データベース、アプリケーション・ソフトウェア、およびOracle Fail Safe用の別個のOracleホーム)を使用することをお薦めします。アプリケーションでフェイルオーバーを可能にするため、各クラスタ・ノードのOracleホームに必ず同じ名前を付けてください。たとえば、各クラスタ・ノードのOracle Fail Safeホームにofs_homeと名前を付け、各クラスタ・ノードのデータベース・ホームにはdbs_homeと名前を付けます。
各クラスタ・ノードで、Oracle Fail Safeとともに使用する予定のオプションのOracleソフトウェア(Oracle Databaseおよびその他のアプリケーション)を、Oracleホームにインストールします。フェイルオーバーを可能にするため、すべてのアプリケーションおよびデータベースのデータ、制御、およびログ・ファイルを共有クラスタ・ディスク上に配置します。
Oracle Databaseソフトウェアをインストールする場合、Oracle Fail Safeをインストールする前でも後でもデータベースを作成できます。非クラスタ環境の場合と同様に、データベース・リスナーも含めてデータベースを作成します。ただし、データベースはクラスタ・ディスク上に作成する必要があります。
各クラスタ・ノードに、Oracle Fail Safeのサーバー・コンポーネント、Oracle Services for MSCSをインストールします。クライアント・コンポーネントのOracle Fail Safe Managerを同時にインストールすることもできます。
Oracle Fail Safeのインストールの詳細は、第2章を参照してください。
(他の管理コンソールを設定する場合などに)オプションで、Oracle Fail Safe Managerを1台以上のクライアント・システムにインストールします。
図1-2は、プライベート・ディスクおよび非共有クラスタ・ディスク上にインストールする必要のあるソフトウェアおよびファイルを示しています。
既存のクラスタにノードを追加する場合は、次の作業を実行します。
クラスタを追加するシステムで、プライベート(システム)・ディスクにMicrosoft Windows Serverをインストールします。
これで、新規のノードをクラスタに追加できます。
Oracle Fail Safeとともに使用できるMicrosoft WindowsのバージョンおよびOracle Fail Safe Webサイトへのリンクの詳細は、『Oracle Fail Safeリリース・ノート』を参照してください。Oracle Fail Safe Webサイトには、Microsoft Cluster Serverのインストールの詳細が掲載されています。
それぞれの(新規ノードを含んだ)クラスタ・ノード上で、Windowsのpingコマンドを使用して、TCP/IP接続をテストします。
クラスタ間においてIPアドレスとホスト名が正しく解決されるかどうかを確認するには、次のテストを実行して、pingにより各クラスタ・ノードで同じアドレスが返されることを確認します。
ネットワーク構成の詳細は、『Oracle Fail Safe概要および管理ガイド』を参照してください。
新規ノードに、Oracle Fail Safeとともに使用する予定のオプションのOracleソフトウェア(Oracle Databaseおよびその他のアプリケーション)をインストールします。プライベート・ディスク(たとえば、各ノードのシステム・ディスク)にあるOracleホームに、実行可能アプリケーション・ファイルをインストールします。
新規ノードに、Oracle Services for MSCS(Oracle Fail Safeのサーバー・コンポーネント)をインストールします。同時にOracle Fail Safe Managerをインストールできます。
Oracle Fail Safeには、ユーザーが指定したクラスタ・ディスクに事前構成済のサンプル・データベースをインストールする「サンプル・データベースの作成」コマンドがあります。サンプル・データベースの機能は限定されており、テスト目的にかぎり、オンラインのOracle Fail Safeチュートリアルで使用することが意図されています。サンプル・データベースを本番で使用しないでください。本番用のデータベースを作成するには、Database Configuration Assistantを使用するか、手動でデータベースを作成してください。
Oracle Fail Safeが正常にインストールされた後、次の作業を実行します。
任意のOracleソフトウェアをインストールした場合、次の作業を実行します。
共有クラスタ・ディスクまたはプライベート・ディスクのどちらかにおける、アラート・ファイルおよびトレース・ファイルの構成。
アラート・ファイルおよびトレース・ファイルをプライベート・ディスク上で構成することにより、管理者は問題が発生したノードを判別できますが、複数のファイル・セットをメンテナンスする必要があります。それぞれのクラスタ・ノードで違うパラメータにする場合にのみ、プライベート・ディスクにパラメータ・ファイルを置いてください。たとえば、プライマリ・ノードより少ないリソースのフェイルオーバー・ノード上でデータベースを使用する場合(フェイルオーバー・ノードに、リソースが必要な別のアプリケーションまたはデータベースがある場合など)に利用できます。
クラスタ・ディスク上のデータベースの再作成については、使用しているデータベースの、インポート/エクスポートに関するドキュメントを参照してください。
Oracle Fail Safe Managerを起動し、各クラスタ・ノードで管理者権限を持つドメイン・アカウントでクラスタ別名に接続して、プロンプトが表示されたときに「クラスタの検証」
操作を実行します。
Oracle Fail Safeの起動に関する情報は、第3章を参照してください。
グループの作成およびそのグループへのリソースの追加に関する手順を追った説明は、Oracle Fail Safeチュートリアルを参照してください。(Oracle Fail Safe Managerからチュートリアルを起動するには、「ヘルプ」→「チュートリアル」を選択します。)
各クラスタ・ノードで、Oracle Fail Safeの/GETSECURITY
修飾子付きでfssvr
コマンドを実行します。/GETSECURITY
修飾子により、コマンドを実行したシステムのセキュリティ情報が表示されます。
コマンドおよび関連する出力は、次のようになります。
fssvr /getsecurity Looking up user account information for OracleMSCSServices. The user account must be a domain user acount with local Administrator privileges. The user account must also have the 'Log on as batch job' privilege. User account specified for OracleMSCSServices is NEDCDOMAIN\cluadmin User account specified has local Administrator privileges User account has the 'Log on as batch job' privilege Looking up user account information for Cluster Service. The user account must be a domain user account with local Administrator privileges. The user account must also have the 'Log on as batch job' privilege. User account specified for Cluster Service is NEDCDOMAIN\cluadmin User account specified has local Administrator privileges User account has the 'Log on as batch job' privilege Checking to see if DCOM is enabled. DCOM must be enabled. DCOM is enabled.